みなさんの暮らしと命を守る防災気象情報について高松地方気象台の防災管理官・片岡幹男さんに教わります。

9月、全国的に台風による被害が目立ちましたが、香川県も台風で大雨となり、大雨警報をはじめ、気象に関する様々な情報が発表されました。 9月20日には高知県室戸市付近を台風16号が通過し、香川県でも床下浸水、床上浸水、がけ崩れなどの被害が発生しましたが、幸いにも大きな被害とはなりませんでした。
今回は、そうした台風や大雨などの際に気象台が発表する「防災気象情報」について考えていきます。

今回のような台風や大雨で発表される情報を時系列にしてまとめてみました。
雨の可能性が高くなった時点から大雨の振り始めで注意報。
強さが増したら大雨となる前に警報を。
一層激しくなり、広い範囲で数十年に一度の大雨となったら特別警報を発表します。 大雨の注意報、警報、特別警報と3段階に分けて発表します。
特別警報は平成25年の運用開始以来、香川では発表したことはありません。

こうした注意報警報だけでなく、より危険度が高まった場合に発表される主な情報がこちらです。
■「土砂災害警戒情報」
■「記録的短時間大雨情報」
■「指定河川洪水予報」
いずれも今回の台風16号でも発表されたものです。
今回はこの3つについて考えていきたいと思います。

一方、大雨や豪雨などの際によく見聞きする避難準備情報や避難勧告、避難指示はここにはないのですね。

避難に関する情報は、気象台が発表した警報などを判断材料として、みなさんのお住まいの"自治体"が発表する情報です。
防災気象情報に留意し、自治体から出される情報に従って行動してください。

台風16号で出た情報について考えていきます。まずは「土砂災害警戒情報」についてです。

気象台では、大雨により土砂災害の危険が高まった場合には大雨警報(土砂災害)を発表します。その後も雨が続き、土砂災害の危険性が更に高まった場合には、香川県と共同して土砂災害警戒情報を発表します。
土砂災害警戒情報とは、市町村長の避難勧告等の判断を支援するよう、また、住民の自主避難の参考となるよう、対象となる市町村を特定して警戒を呼びかける情報です。

土砂災害警戒情報が発表されたときは、対象の市町村内で土砂災害発生の危険度が高まっている領域を土砂災害警戒判定メッシュ情報でご確認ください。周囲の状況や雨の降り方にも注意し、危険を感じたら躊躇することなく自主避難をお願いします。

地域で配られるハザードマップを確認している方は多いと思うのですが、 土砂災害警戒判定メッシュ情報とは何ですか？

土砂災害警戒判定メッシュ情報は、地図上に5�q四方ごとに土砂災害の危険度の高まりを色分けして表示しています。
気象庁のホームページから誰でも閲覧することが可能です。
早めの避難行動につなげるためにも活用が重要です。

「記録的短時間大雨情報」この情報が出ると、全国的なニュースにもなります。
この情報はどう受け止めればいいでしょうか？

記録的短時間大雨情報は予測で発表するものではありません。
実際に数年に一度の大雨を観測した場合に発表されます。
都道府県ごとに基準が異なり、 香川県では1時間に90ミリ以上の雨を観測した場合に発表されます。 今年は9月20日に東かがわ市で発表になり、7月5日にまんのう町で90ミリの雨を観測しました。
過去にも高松市など、この10年間で6回発表しています。

「指定河川洪水予報」。これは聞き慣れない方も多いのではないでしょうか？

気象庁は国土交通省または都道府県と共同して、
あらかじめ指定した河川について、区間を決めて水位または流量を示した洪水の予報を行っています。これを「指定河川洪水予報」と呼んでいます。
高松地方気象台では、香川河川国道事務所や県と共同して土器川と香東川を対象に指定河川洪水予報を発表しています。

指定河川洪水予報の標題には、「はん濫注意情報」、「はん濫警戒情報」、「はん濫危険情報」、「はん濫発生情報」の4種類があり、 河川名を付して「香東川はん濫注意情報」「土器川はん濫警戒情報」のように発表します。

改めてこうした防災気象情報をどう活用してほしいですか?
気象台では危険度の高まりに応じて、段階的に防災気象情報を発表しています。
防災気象情報の持つ意味を正しく理解していただいて、早めの避難や行動につなげてほしいです。