4月に起きた熊本地震では、益城町などで多くの住宅が倒壊し、大きな被害が出ました。この地震以降、香川県内でも住宅の耐震化への関心が高まっています。耐震診断の仕組みや補助金制度について構造設計一級建築士の米澤量さんに聞きました。
米澤さんは高松市内で建築設計事務所を営み、一般建物の構造設計及び、住宅の耐震診断や耐震改修なども手掛けていらっしゃいます。平成7年の阪神淡路大震災では現地で被災状況の調査にあたりました。また、民間資格である防災士の資格も取得し、建築士としての知識を活かして防災・減災にむけた活動もなさっています。
4月の熊本地震では、住宅や建物が倒壊し、多くの死者も出ました。米澤さんからみてこの地震や被害はどんな特徴を感じましたか?
「まず一番には昭和56年に新耐震が改正になりましたが、古い建物のほうが、倒壊している可能性が高いのではないかなと思います。これは阪神淡路大震災の時でも同じでした。ただ一つ言えることは、昭和56年以後の新しい基準法によっても倒壊している建物があります。」
「それはなぜかというと、基準法そのものの構造設計は、一番大きな本震に対し構造設計をしますが、それ以後の2回も来る揺れに対しては、もともとの基準になっていないので、今回の熊本の地震は2度来たから、そういう意味では、新しい建物でも倒壊した可能性があるんではないかと思います。」
まずは「耐震診断」を受ける必要があるとのことですが、耐震診断とはどういうことを行うのでしょうか?
「耐震診断というのは、人間の健康診断と同じで、まず耐震診断を行って、耐震診断の補強が必要かどうかの有無を調べます。地震に対しての耐力要素、木造住宅の場合は特に壁が一番大きな耐力要素になります。配置や老朽化を現地調査と図面によって調査し、それを数値化致します。」
実際に耐震診断を受けるためにはどうしたら良いのか、その流れをまとめました。
(1)市町の窓口に問い合わせ
(2)建築士選び、費用見積もりを依頼
(3)補助金の申請
(4)診断業務の契約、診断開始
(5)診断完了→補助金の請求
これが一連の流れになっています。
米澤さんから見て、この中で、注意すべき点はありますか?
「建築士を選ぶとか費用の見積もりは、香川県建築士事務所協会が建築士を選んでくれたり、そこが窓口になって費用を見積もっていただけますので、香川県建築士事務所協会に問い合わせたら最初は一番いいのかなと思いますね。 」
トラブルにならないように、最初はしっかり相談をしてまずは見積もりを出してもらうということですね。
耐震には実際に費用がかかることで、ためらっている方も多いのではないでしょうか。
こちらは県の補助制度。
まず、耐震診断での補助はどうなっていますか?
「『耐震診断』はまず、事務所協会に行くと10万円の見積もりが出ると思いますが、その90%にあたる9万円までが補助対象になります。」
続いて、耐震改修は本格的・簡易・シェルターベッドと3種類ありますが、こちらはどうなっていますか?
「「耐震改修」では本格的な改修は今のところ90万円まで補助が出ることになっています。簡易な改修については50万円の補助がでることになっています。耐震シェルターベッドについては今、20万円の補助が出ることになっています。」
それぞれの状況や市町によって状況が変わるので 確認した上で補助を受けてほしいということですね。
「市町村によって、金額は変わらないと思いますが、内容については多少違う可能性もあるので、市町村の窓口に問い合わせたほうが良いと思います。」
まずは気軽に相談をはじめてみるということが大事なんですね?
「手軽く無料相談もあるでしょうし、市町村の窓口、基本的にもっと細かく調べるなら、香川県建築士事務所協会が一番、手ごろな窓口だと思います。」
まずはしっかり相談して、大規模な災害に備えるということが大事なんですね。
香川県の住宅課や市や町の建築課、建設課、香川県建築士事務所協会などに問い合わせてみてはいかがでしょうか。