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生活にすぐ取り入れられる防災情報
「防災インタビュー」では、県内外の専門家を招いて、身近な防災に役立つ情報をお伝えしていきます。
いざという時のために、出来ることから備えを始めましょう。

第18回 生活防災を考える

「京都大学防災研究所」矢守克也教授

防災に関する国内最先端の研究を行っている京都大学の研究機関「京都大学防災研究所」矢守克也教授。
心理学や社会学を切り口に防災に関する多角的な研究を進め、防災や巨大災害に関する書籍も多数執筆されています。
矢守教授が提唱し、東日本大震災以降特に注目されているのが身近な生活と密接した「生活防災」です。

今回の防災インタビューは、南海トラフ巨大地震に向けて香川県内でもさまざまな備えが進む中、私たちの「生活」では何を心掛けると良いのか「生活防災」の専門家に暮らしの中でできる防災術を教わります。

生活防災とは?

ふだんの暮らしの中に防災・減災の取り組みを入れる

「生活防災」とはどんなものなんですか?
防災減災の活動と言うと、普段の暮らしとはちょっと違ったところにある、特別な活動というイメージがあると思います。 たとえば「避難訓練」というのも普段の暮らしとは離れたところで、そのためだけに特別にやりますよね。 しかし「生活防災」というのは普段の暮らし、日常の生活から切り離さずに、普段の暮らしでしていることの中に、防災や減災のための取り組みを組みいれてしまおう、ビルトインしてしまいましょうという試みです。

整理整頓をすることで、スムーズな避難とけがの防止になる

非常に身近な例でいえば、部屋の中を「整理整頓」していただくことです。
これは、立派な生活防災だと思うんですね。
整理整頓、つまり重たい物が上の方にないようにしておく、あるいは床の上に余分な物が転がっていないようにしておく、このことは即そのままスムーズに避難をしたり、あるいは自分が上のほうに置いてあったものが落ちて来て怪我をしないための防災対策でもあると、このことが身近な例としてもあります。

過去の大災害から学ぶ

東日本大震災当日0歳児含む子どもと大人100人余全員が無事に高台に避難

生活防災が実際の災害時に役だったという事例はあるんですか。
東日本大震災の被災地の事例です。
これは岩手県の野田村という北のほうに位置している村の保育所であった例です。 この保育所、3.11当日、非常に大きな津波に襲われました。 100名あまりの0歳児を含む子供たちと職員の方々、先生方、全員無事に高台に避難できました。
なぜそのような避難が可能だったか、たくさんの理由の1つに生活防災に関わっていると思います。

速足散歩

それは何かといいますと、「速足散歩」という普段の習慣です。
普段、保育所なので、毎日のようにお散歩に行かれるわけです。
そのお散歩の中で、行きと帰りに分けて行きはできるだけ速足で歩いてみて、単に速足で歩くだけでなく、 先生方が小さい子供たちと速足で歩くことで、どれぐらいの時間でどこまで行けるかをチェックするための機会でもあり、ここが大事なんです。
普段の保育活動の一環なんですが、その中に上手に防災、特にこの場合、津波避難の要素を組み込まれていたんですね。

香川では…

地域を超えた支援の枠組み作り

香川県の場合は生活防災といいますと、どんなことが考えられますか。
生活防災の一つの大事な柱は暮らし生活に根差すので、暮らしや生活は地域によって特徴があります。
香川県は南海トラフ巨大地震が起きた場合、大きな被害が出ることが予想されていますが、むしろより大きな被害が徳島県や高知県で発生して、その支援を要請される、 あるいは支援のための基地となることが期待されている地域でもあります。
これは香川県の一つの特徴ですよね。

県を超えた、つまり香川と高知・徳島の間で、地域、県境を越えた支援の枠組みづくりをしておくということが必要と考えられます。

香川県の生活防災の例 香川県の生活防災の例 香川県の生活防災の例


例えば、普段から香川県内のある商店街と、高知県のある商店街とが連携をして、時々、その商店街の名産品や名物料理などをお互いに交換して、プロモーションをするような会をやっておくとか、普段はお互いの商店街の活性化に役立てつつ、その関係性をいざというときに、高知から香川に、あるいは香川から高知に、 援助物資をスムーズに届けるためのチャンネルやルートを作っておくことが大切です。

すぐ始められる 主人公は一般市民

ペットボトルの備蓄や買い置きを

他に香川県の例としては何がありますか。
香川県は雨が少ないということで「渇水・水不足」という災害に見舞われることが他の地域と比べると可能性が高いです。
全国的にもやって下さいと進められているペットボトル等の備蓄・買い置きを、香川県のみなさんも心がけることが大事だと思います。
ペットボトル等の備蓄・買い置きは、日常の暮らしにも役立ち、大きな災害への備えになるという意味で生活防災を進めていく上のひとつとして、香川らしいアプローチの一つかなと思います。

暮らしも便利に一石二鳥

色々な生活防災の話を伺いましたが、香川の人もこれから簡単にすぐ始められるという感じがしますね。

一石二鳥という言葉がありますが、生活防災をすることで普段の暮らしもちょっと便利になったり、あるいは少しだけ快適になったりし、しかもそのことがいざというときにも役立つようなアイデアを住民の方が中心に主役になって、一つでも二つでも考え出していただければと思います。

このほかにも電車バスで通勤通学の際に最寄りの駅より一駅前で降りて歩くことで、健康増進のほか、危険個所の把握や避難ルートの確認にも役立ちます。

※番組およびこのページは特定の製品・店舗を推奨するものではありません。製品・サービスの特性や使用上の制限、契約内容・条件などについては、各自におかれまして、メーカーや販売会社に十分ご確認ください。
※なお掲載している情報は放送当時のものです。
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