大規模災害時に被災者のチカラになる「ボランティア」について日本赤十字社香川県支部の大林武彦さんに伺います。
大林さんは日本赤十字社の職員として、東日本大震災では発生当日に東北に入り、現場で救護活動にあたるほか、県内のボランティアの育成も行っています。
こちらが日本赤十字社が行っている防災に関するボランティアです。
地域、青年、特殊、それぞれどういうことでしょうか?
日本赤十字社の防災ボランティアは、いずれも赤十字の講習を受けた一般の人たちで構成しています。
「地域奉仕団」は市町の地域ごとに組織されていて、地域の活動に従事するグループです。
「青年奉仕団」は学生や青年などが中心になって赤十字の活動に賛同するグループです。
「特殊奉仕団」はアマチュア無線やレスキューバイクなどの特殊技能を持った人で構成されたグループです。
赤十字では多様化するニーズにこたえるために、専門性も深めて、日赤ではさまざまな防災ボランティアの育成を行っています。
香川県のボランティアの人口はどれくらいいるのでしょうか。
日本赤十字社香川県支部に登録している人だけで約1万5000人くらい。これは登録をしている人数なので、実数ははるかに多いです。
赤十字の講座や講習を受ければ誰でも登録できます。
登録した方はまず地域の訓練や、赤十字の活動に参加します。
ボランティアへの関心は高い?
平成7年にあった阪神淡路大震災はボランティア元年と言われるくらい全国のボランティアの数が多かった年です。
東日本大震災の被災地でも活動に当たったが、全国から多くのボランティアがかけつけて、私たちと一緒に活動をしました。
平成16年の香川県であった台風水害の時でも、学生をはじめ多くのボランティアの方が地元の被災された方々のために土砂のかきだしや畳の運搬を一緒に活動しました。
夏の広島の土砂災害でも、ボランティアに行くにはどうしたら良いかなどの問い合わせが殺到し、関心は高いと感じています。
では実際にボランティアをしたい、しようと思ったときに気をつけなくてはならないことはありますか?
実際に被災地に行ってボランティア活動をする場合に、どんなボランティアでも喜ばれるというものではありません。
「こんなボランティアはお断り」という例も実際に出ています。
それぞれどういうことなのでしょうか?
「無計画なボランティア」
計画性がなく、突然来てすぐに帰ったり、途中で勝手にいなくなったりすると現場も混乱します。
「でしゃばり」
責任者を無視して、自分たちの思いこみで勝手に行動して、輪を乱す。
現場では協調性を持って意見の統一を図ることが大切です。
「指示待ち」
指示がないと動かないので避難所の責任者や職員に手間ばかりをかけてしまいます。
色々なニーズにこたえられるようにしましょう。
「自己完結できない」
被災地に行ってボランティアが被災者への物資を取ってしまう。
自分たちの宿泊場所や食糧の調達、交通手段は自分自身で行う必要があります。
善意ではありますが、ある程度の知識とルールも必要ということなんですね。
日本赤十字社では、防災ボランティアをはじめ、さまざまな研修や訓練を年間を通じて開催しています。
知識や技術を持って現場に行くのが、被災者側からしても求められていると思います。
赤十字のボランティアの講習などでも教えられている、いざと言う時に役に立つ炊き出しの方法を教えてください。
まず何を用意すれば良いのでしょうか?
熱に強いポリ袋、水、米、梅干し、輪ゴム、鍋、紙コップなど。
(紙コップはお米を袋に入れる際にじょうご代わりにするために、底を空けておきます)
ポリ袋の中には米と水を入れます。
(水の代わりにお茶、ジュース、ケチャップ、スープの素など備蓄しているものでも美味しいです。)
炊きあがると、ソーセージ状の形で白米が炊きあがります。
中に入れるものを工夫するとケチャップライスやコーンポタージュライス、お吸い物を入れて炊き込みご飯風など備蓄しているもので美味しく炊き上がります。
こうした役に立つ内容が盛り込まれた講座などは今後開催の予定はありますか?
水の事故、災害での救助や手当てを行う水上安全法の講習会があるほか、救急法の講座、子どもに起こりやすい事故などの予防法や応急手当などの講習会を開催しています。
また、自治会や子ども会などの団体は希望に応じて出張防災教室を実施していますので、みなさんの参加をお待ちしています。
日本赤十字社香川県支部が開催する講座や出張防災教室に関する詳しいお問い合わせは…
日本赤十字社香川県支部 087-861-4618まで。