昨年の12月20日、21日の2日間にわたって行われた防災キャンプについて、キャンプを主催した五色台少年自然センターの田岡浩明さんに伺います。
なぜこの防災キャンプを今の時期に、始めようと思ったんですか?
元々、私が香川県の保健体育の教員をしていまして、学校で何度も防災訓練を行いました。でも子供達は、なかなかリアリティーがない感じでした。しかし巨大地震はいつ来るか分からない。だから子供たちに、防災に興味を持ってもらいたいとこの防災キャンプを企画しました。
今回の防災キャンプの目的はどのようなところにありますか?
いざ震災などが起こった時に、身近な物で数日間を過ごせるように、キャンプでは、空き缶や段ボールを使って過ごせる準備をしてみました。
では防災キャンプの中で、食事や居室を子供達が作った様子を写真とともに振り返ります。
まずこちらは、普段よく見る空き缶で子供達が食事の準備をしているところです。これは、空き缶で何を作っているんですか?
食事をするためのお皿やコンロを子供達と一緒につくりました。
なぜ空き缶を使って、お皿などを作ろうと思ったんですか?
被災直後には、身近な物が手に入りにくいことから、どこでも手に入る空き缶を使い、食事を作ってみました。
こちらは、火をおこしている所です。
子供達にとって、難しいではないでしょうか?
火おこしも慣れれば簡単にできます。ただキャンプでは子供達はかなり苦戦していましたね。
空き缶のお皿やランタンを使いどんなメニューを作ったんですか?
この日のメニューは、ご飯に、ベーコンエッグに、お味噌汁を作りました。
おいしそうに食べていますね。子供達の出来は、どうでしたか?
火加減の調節が難しく、初めは固い仕上がりになることもありましたが、慣れてくると空き缶コンロでもおいしくお米を炊くことができました。
実際に作った空き缶のコンロがこれです。
これで、ごはんが本当に炊けるんですか?
はい、家庭にある除菌用のアルコールを燃料に、飯盒炊飯の要領と同じで、ご飯を炊くことができます。
どれくらいの時間がかかりましたか?
空き缶コンロを作るのに40分程度。料理完成までは1時間半程かかりました。
食べ物だけでなく、子供達は居室作りにも取り組みました。
こちらは、段ボールで寝る場所を作っている様子ですね。
実際に被災すると、体育館や教室で寝泊まりするようになります。その時に、プライバシーを守ることができ、またできるだけ心地よく体を休められる空間づくりをめざして作業を行いました。
実際に寝て見てどうでしたか?
段ボールから伝わる床の冷たさや固さに苦戦した参加者もいましたが、何とか休息をとることができました。
苦労はありますが、空き缶や段ボールなどの身近なもので、何日か過ごせそうですね。
そうですね。今回の感じだと2〜3日は過ごせるのかなと思いました。
ただ、快適や便利さとはかけ離れているので、有事の避難所での長期にわたる生活がいかに大変か、実感することができました。
夜には、被災地岩手県の岩手県立大学の2人の学生たちとの対談会も行われました。
子供達とは、どのような話し合いが行われましたか?
私たち職員が東北に視察に行った時のスライドを見ながら話をしました。もうすぐ4年が経とうとしているのに、いまだに傷跡を残す被災地の現状をみて、多くの子供たちが驚いていました。また、悲しく重い話題だけではなく、東北地方に関心をもってもらうために、食べ物を例にとり、香川県との違いを話し合いました。
防災キャンプ、子供達が空き缶を使い食事を作ったり、被災地の大学生と交流したりと充実した内容でしたが、全体を通して、子供達はどのようなことを学んでいましたか?
あって当たり前のものがなくなる生活の不便さを実感するとともに、有事に備えることの大切さを学んでくれたのではないかと思っています。また、岩手県立大学の学生と触れ合うことで、震災復興の現状だけでなく、文化や食べ物などの違いに関心をもち、実際に東北へ行ってみたいという子どもたちもいました。
今後もこの防災キャンプをどうしていきたいと考えていますか?
今年は8月中旬の実施を予定しています。昨年が第1回ということもあり、今回のキャンプではたくさんの課題が見つかりました。有事の時に、自ら考えて動ける子供達を育成するために、フィールドワークなども取り入れようと検討しています。