車いすに乗る高齢者の女性を押す、地域住民たち。
9月に丸亀市で行われた、高齢者や障害者などのいわゆる「災害弱者」を含めた避難訓練の様子です。
丸亀市の飯山南地区では、こうした災害弱者をサポートするためのきめ細かな防災訓練を毎年行っています。
今回のゲストは、この防災訓練の主催者、飯山南コミュニティーセンター所長の進和彦さんです。
進さんは、一般の住民の避難訓練では、どうしても高齢者や障害者などのケアができないことが分かり、そこで3年前から災害弱者を特にきめ細かなサポートが出来るような訓練を、一般の防災訓練とは別に行うようになったそうです。
一般の防災訓練とは、どのようなところが違うのですか?
普通の訓練と違い、普段なかなか訓練に参加できない一人暮らしの高齢者などに参加してもらうこと。
そして地域の住民にも、だれがサポート役になるかを決めてもらい、自分の避難だけなく、自治会の高齢者とともに避難してもらうことです。
9月28日(日)今年も災害弱者を含めた訓練が行われました。今回はどのような想定で行ったのですか?
今回は、香川県内で震度6の揺れを観測。その中で、高齢者たちを自宅から避難場所である飯山南コミュニティーセンターまで、車いすや車を使って避難してもらいました。
具体的にどのような訓練が行われたのか写真とともに振り返って行きます。
まずは、地震が発生した直後に、地域住民が一人暮らしの高齢者宅に駆けつけ、避難させているところです。
写真では、誘導員と支援者と胸のところにプレートがありますが、どのような違いがあるのですか?
まず、誘導員が避難経路を確認し、確認後、支援者とともに高齢者宅に駆け付け、避難させるという手順で行いました。
皆さんスムーズに車いすを押していますが、いきなり車いすを押すことに不安を感じる住民はいなかったですか?
皆さん、押し慣れていないので、すごく不安を感じていました。だから訓練では、補助としてプロの介護士などが同行しています。
さらに今回の避難訓練では、高齢者たちをコミュニティーセンターまで避難させた後には、サポートする地域住民たち向けの講習会も行われました。プロの介護士が地域住民の方に向けて、車いすの押し方について教えている様子です。
普段、車いすを押し慣れていない地域住民にとってはありがいですね。
普段の生活では、車いすに触れることがないので、多くの地域住民が関心をもって、参加してくれました。
車いすを押す上で、どんな所に気をつけなければ行けないのですか?
例えば、写真のように段差があるとき、(この日は竹で段差をつくりました)しっかりと前輪を上げることが大事です。そのまま押してしまうと、転んでしまうことがあります。
それから坂道やスロープを下りの場合は、そのまま押すと乗っている人が転げ落ちてしまう場合があるので、車いすを後ろ向きにして、下がることが大事です。
続いては、寝たきりの高齢者をどのようにケアするかについての講習会です。
これは、なぜ必要なのですか?
いざという時には、寝たきりの人を車いすに乗せて、避難場所まで避難させないといきません。ですからこの訓練では、毎年、寝たきりの高齢者をどのようにサポートできるかと言う講習ももうけているんです。
一般の防災訓練では車いすや寝たきりの高齢者のケアの仕方まではしないような気がしますが、なぜここまでするのですか?
家族と一緒に住んでいる人は家族がサポートできるが、一人ぐらしの高齢者などは、災害時に近所の人がサポートする必要が出てきます。
だから近所の人たちには、具体的なケアの仕方を1年に一度の避難訓練の機会に勉強してほしいです。
今後は、どのような訓練を行っていこうと考えていますか?
訓練はこのまま、継続していきたいと考えています。
今後の課題としては、飯山南地区で増えている若い世代の参加率の低さです。
今後は若い世代にも積極的に参加できるように呼びかけたいです。それから飯山南地区には、およそ130世帯の一人ぐらしの高齢者世帯がいるので、いざというときにどのようなケアが必要になってくるのか行政とも連携していきたいです。