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アートの島・香川県直島町の防災 災害の種類にあわせて避難を

  • 2023年12月12日
アートの島・香川県直島町の防災

今回めぐるのはアートの島、直島。去年は人口のおよそ170倍の52万人の観光客が訪れた人気の島です。魅力ある直島を防災の視点で見てみると注意すべき2つのポイントがありました。

キーワードは「浦」 内陸にも低い土地が

地形や地質のスペシャリスト、香川大学の長谷川修一特任教授と訪れたのは、直島の玄関口、宮ノ浦地区。ここで注目するのは「浦」という文字です。

長谷川さん

浦っていうのは地形を表しているんです。

浦とは海が陸地に入り込んでいるところを指しています。長谷川さんによると、かつて海だったことを地名が表しているのだといいます。

青く囲まれているのは平成16年の台風16号による高潮で浸水したエリアです。宮浦港周辺は、建物が立ち並ぶ地域も広く浸水したことがわかります。

そして黄色く示されているのは、最大で1メートルの津波が想定されている範囲。高潮の浸水エリアとほぼ重なることがわかります。

長谷川さん

もともと海だった低い土地なので、高潮や津波の浸水リスクがあります。

昔の直島はどのような姿だったのか、地元の歴史に詳しい濱﨑勝光さんに案内してもらいました。津波や高潮に警戒が必要だという「浦」。濱﨑さんは宮ノ浦のほかに「浦」のつく地名が2つあると話します。

濱﨑さん

1つ目は「積浦」。
そして2つ目は「高田浦」、現在は本村と呼ばれているところです。
こういうところでは防波堤を作ったり、埋め立てたりして今に至りました。 

直島にある3か所の「浦」。海に近くて低い土地に集落が作られています。
さらに。 

長谷川さん

海から離れても、低い浸水しやすい土地が広がっているところがあります。 

それは「文教地区」と呼ばれる、小学校や中学校があるエリアです。地図を見てみると、すこし内陸に入ったところに位置していることがわかります。 

標高を色であらわした地図で見てみると、このエリアには高さが1メートル以下を示す、濃い青色の表示が広がっています。

長谷川さん

周りは少し盛り土して高くなっていますが、それ以前は標高図の濃い青色が示しているように低い土地がずっと広がっていた。この土地というのは昔、浦が奥の方まであったということを示しています。

ただ今の風景からは、土地が低いとは感じられませんよね・・・。 
昔の様子を濱﨑さんに聞いてみると・・・?

濱﨑さん

手前側は水田が広がっていました。
反対側は塩田がほとんど操業しない形で残っていました。 

濱﨑さんによると、およそ60年前までは塩田があったといいます。
今も残る石積みや水路は、その痕跡です。

過去に塩田があった周辺には、低い土地が広がっていました。
濱﨑さんはこの周辺も平成16年の台風による高潮で浸水したと話します。 

濱﨑さん

高潮が一気に走るように押し寄せてきて逃げる暇もなかった。
床下まで水が達したと近所の人は話していました。 

長谷川さん

文教地区は以前の浦が内陸まで入りこんでいるわけです。
そうすると海から離れていても高潮・津波の浸水リスクが高い。
つまり低い土地であるということを知っておいてほしいと思います。 

高台避難で落とし穴 土砂災害にも備えを 

一方、島の中で標高が高いところでは別の注意点が。 
津波や高潮からの避難で向かう避難所を訪れました。 

 ハザードマップを見てみると津波や高潮では避難できますが、なんと土砂災害の所には「×」が。

長谷川さん

以前は谷だったんです。
向こうで山が崩れると土石流となってこちらに流れてくる可能性があります。

近くの山に行ってみると岩肌が露出しているところが。そのすぐ下を見てみると、このような土が落ちていました。とち知りではおなじみ、花こう岩が風化した「マサ土」です。特徴は崩れやすいこと。長谷川さんはこの「マサ土」が直島の土壌を作り上げていると話します。

花崗岩が露出していた場所の少し下には、コンクリートで固めた斜面がありました。
5年前の西日本豪雨で、土砂崩れが起きた場所です。土砂災害特別警戒区域にも指定されています。

ハザードマップを見てみると、この周辺一帯が赤や黄色の線で囲まれています。広い範囲で土砂災害に警戒が必要なのです。

アートの島、直島 災害時に注意すべきポイントは

長谷川さん

港のある所には内陸に低い土地が広がっていて、高潮・津波の浸水リスクがあるというところが特徴です。そして山が平野に迫っているため、雨が降ると崩れやすい。高潮や津波から避難する時には山のほうに避難する必要がありますが、一方で山の近く、標高の高いところは土砂災害に気を付けなければいけない。そういう2面性があります。

五味

どこでも同じですが、その土地の歴史を見て備えてほしいですね。  

長谷川さん

自分の住んでいる土地を知るということが防災にもつながっていくと思います。

五味アナウンサーのひとこと
「浦」というキーワードでめぐった今回の「とち知り」。アートの島は防災に注目しても発見がたくさんありました。島という環境だからこその、備えや避難の難しさもあると思います。自分の暮らす土地の地形や歴史も知っておくことが重要だと、改めて感じます。

  • 五味哲太

    高松放送局アナウンサー

    五味哲太

    2020年から「ゆう6かがわ」のキャスターを担当

  • 橋本ひとみ

    高松放送局記者

    橋本ひとみ

    2021年入局。
    前任地は松山。ことしから高松局に異動しました。
    アートの島をたくさんめぐりたいです!

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