はじめての園えらび

すくすく子育て
2022年10月8日 放送

はじめての子どもの入園。どんな園を選べばいいのか悩みますよね。先輩ママ・パパたちに園選びの体験談やアドバイスを聞きながら、専門家と一緒に考えます。

専門家:
大豆生田啓友(玉川大学 教授/乳幼児教育学)

園選びのポイントは?

子どもの園を選ぶとき、何をポイントに見ていけばいいのでしょうか? 「今の園を選んでよかった」という先輩ママ・パパに、「園を選んだ決め手」を聞いてみました。

園庭が広い

決め手は園庭が広いこと。娘自身、パワーが有り余っていて、開放感が大事だと思いました。園の見学のときに、娘が元気よく遊んでいるか様子を見ていました。
(幼稚園/ママ 専業主婦)

家や職場から近い

まわりの親たちから、子どもが体調崩したときや、いろんな行事で園に行くことが多いと聞いて、近くがいいと考えました。
(認定こども園/ママ 専業主婦・パパ 公務員)

家や職場のすぐ近くだと安心です。地震など、もしものときも歩いて迎えにいけます。
(保育園/ママ 施設職員・パパ 会社員)

習いごと

年少ぐらいから習いごとをはじめる子が多いようですが、両親ともにフルタイムで働いていて、祖父母など近所に頼れる人もいなくて難しいと考えていました。でも、今通っている保育園では、英語教室、リトミック、運動遊びなどがあり、年長では鉛筆の持ち方指導もあります。そんなカリキュラムがあることがポイントでした。
(保育園/ママ 会社員)

親の負担が少ない

園長先生が「保護者がらくになるように」と話していたことに感銘を受けました。例えば、オムツは月額制で園が用意してくれるので、家庭から毎日持っていかなくてもいいんです。園の準備が少なくなり助かります。
もうひとつ、電子化が進んでいることもポイントでした。連絡帳はスマホのアプリで、いつでも見れて、簡単に書き込めて、園から写真つきで様子を伝えてもらえます。紙よりアプリのほうが、夫婦で共有できると感じます。
(保育園/ママ 会社員・パパ 会社員)

動物がいっぱい

子どもが、子ども視点で楽しめることが決め手でした。園では、カモ・ニワトリ・ウサギなどの動物が、大きな飼育小屋で飼われています。子どもが動物に興味を持つだろう、家庭ではできない体験になると思いました。
(保育園/ママ 会社員)

親の感性

通っている園は、悪く言えば「ぐちゃぐちゃ」に見えますが、きちんと片づいているより「子どもが遊んで、いろいろなことをしているから」と感じました。そういう部分が、いちばん自分の感性に合っていると思いました。
(認定こども園/ママ 公務員)

清潔感・作品の掲示・人柄・給食

ほかにも、清潔感や明るい雰囲気、作品がたくさん掲示してある、先生の人柄、給食がおいしそう、などが決め手になったという声もありました。


園庭、親の負担、動物の飼育、作品の掲示など、いろいろな園の情報を聞いていると、余計にどこを選んでよいのか難しく感じます。選ぶときのポイントはありますか?
(保育園希望のママ・パパ)

園選びのポイント① 遊びの様子

回答:大豆生田啓友さん

園選びの大事なポイントは2つあります。1つ目は「遊びの様子」です。子どもにとって、遊びに夢中になれて、いろいろなことに興味を持てることがとても重要です。大人から見ると「遊んでいるだけ」と思うかもしれません。でも、遊びの中で、自然に興味を持ったり、文字や数字に興味を持ったりしながら、さまざまな世界に広がっていきます。そのような遊びができるかがポイントになるのです。

また、園によっては、遊びの環境を工夫しています。例えば、そのとき子どもが興味・関心のあるものが、遊びの場に置かれていれば、スムーズに子どもたちが夢中になれて、集中することができます。

外遊びも大事です。園庭が小さくても、散歩で外に出れば、そこで豊かな経験をすることもできます。

園選びのポイント② フィーリング

回答:大豆生田啓友さん

2つ目のポイントは「フィーリング」です。園について調べると、たくさんの情報がありすぎて、逆に迷うときもあります。そんなときは、パパ・ママが実際に園を見て感じたこと(フィーリング)を大事にしてください。
園を見学するとき、おそらく「自分の子どもがここにいたらどうなるかな」と想像すると思います。すると「なんとなく楽しめそう」「保育士の方々があたたかく受け止めてくれそう」といった雰囲気を感じます。園で感じた印象はとても大事なのです。
親がわが子のいちばん専門家なので、親自身が感じたことを大事にしてほしいと思います。


園を選ぶときに、やっておいたほうがいいことは?

園選びのために、やっておくとおすすめなことはどんなことでしょうか? 先輩ママ・パパに、実際に「やってよかったこと」を教えてもらいました。

複数の園を見学

最初は、夫婦ともに「どこでも一緒だから、見学しても変わらないだろう」と思っていました。でも、いざ見学してみると、園によって理科実験をやっていたり、ひとりで生活できる力を身につけることを大事にしていたり。複数の園を見学すると違いが見えてきます。
(保育園/ママ 会社員・パパ 会社員)

同じ園を2回見学

同じ園を2回見学してよかったと思っています。1回目は、緊張して雰囲気を見るだけで終わりました。でも、2回目は緊張や不安がなく、いろいろと見ることができたんです。「ここに子どもをお願いしたい」とより強く感じました。6年通うことになるので、後悔したくないという思いがありました。
(保育園/ママ 会社員・パパ 会社員)

保護者に聞きこみ

保護者の生の声がポイントです。通っている人でないとわからないことがあると思います。例えば「毎週、お昼寝用に大きい布団を持っていく」と聞くことができれば、園が遠い場合は大変だと思えます。ささいだけど実は大変なことや、大切な情報は、やはり保護者が持っていると思います。
(認定こども園/ママ 公務員)

保育士の口コミ

保育士の方の口コミサイトがあって、「この園で働いて、とても大変だった」などの声を知ることができます。やはり、働きたい・働きやすい園は、よい雰囲気であることと関係してると思います。働き手の目線から園を見てみるのもいいかもしれません。
(保育園/ママ 会社員)

保護者の紹介・ふだんの様子・情報整理

ほかにも、児童館のスタッフに相談して希望する園に通う保護者を紹介してもらう、園の外からふだんの遊びの様子を観察する、などの声もありました。

また、先輩ママ・パパの中には、見学した園の情報を表にして比較していた方もたくさんいました。

こちらは保育園に入園したママがつくっていた表です。「立地」「駐車場」「無料の教室」「園庭が広い」などの項目を、〇・△で評価してまとめていたといいます。

見える化することで、大事にしたいことが見える

コメント:大豆生田啓友さん

表にまとめるのは、とてもいい方法ですね。情報を見える化することで、自分が何を大事にしたいのか、そのポイントが見えてきます。先ほどの表で言えば、「立地」「駐車場」などの項目が、大事にしたい部分なのでしょう。
また、表にまとめることでほかの人と対話できます。夫婦で情報を共有できて、2人で決めいけます。それは、わが家の子育てで何を大事にしていきたいか、夫婦で理解していくことにもつながります。

夫婦で園を見学したいのですが、コロナの影響でひとりしか参加できません。そのため、参加できなかったほうが、どんな園なのかイメージしにくく困ることがあります。
(保育園希望のママ・パパ)

夫婦それぞれで見学する

回答:大豆生田啓友さん

先輩ママ・パパの「やってよかったこと」の中に、「同じ園を2回見学」という話がありましたね。私もいいことだと思います。ひとりしか見学できないのであれば、例えばママが最初に見学して、「もっと知りたい」と思ったら、2回目はパパが行く方法もあります。実際に見てわかることもあるので、夫婦それぞれで見学して対話できるといいですね。
もしかすると、「2回見学するのは迷惑では」と思うかもしれませんが、園側は「うちのことにとても興味を持ってくれている」と感じるのではないでしょうか。「また来ちゃいました」ぐらいの率直さで参加してもいいと思います。

夫婦で情報共有するために、保育園チェックリストをつくっています。保育目標や方針、職員の人数、離乳食の進め方など、60ぐらいの項目があります。

最近は、園児が置き去りにされた事故など、心配になるニュースを聞きます。そのため万が一を考えてしまい、このようなチェックシートをつくりました。事故が起きやすい園の見分け方はあるのでしょうか。
(保育園希望のママ・パパ)

一人一人の子どもと、どう対応しているかが基盤になる

回答:大豆生田啓友さん

みなさんが心配してしまうと思いますが、ほとんどの園はそうではありません。ただ、安全に厳しすぎると禁止だらけになってしまうので、多くの園では、子どもたちにある程度できることを十分にやらせながら、安全も確保するという方法をとっています。保育者が、一人一人の子どもと、どう丁寧に対応しているかが基盤になると思います。

先日も、園児が送迎バスに取り残されるというかなしい事件が起こりました。このように園の安全対策を心配する人は多いはずです。だからこそ、納得がいくまで園を見学する、先生と話をする、このことが大切だと大豆生田さんは考えています。


保育園・幼稚園・認定こども園、それぞれどういうもの?

先輩ママ・パパに話を聞いた中で、認定こども園に通ってる人もたくさんいました。保育園、幼稚園、認定こども園は、それぞれどういうものなのでしょうか。

認定こども園は、保育所と幼稚園の機能をあわせ持ったもの

回答:大豆生田啓友さん

認定こども園は、保育所(保育園)と幼稚園の機能をあわせ持ったものと理解するのがよいでしょう。

保育所(保育園)は、保護者が就労や介護などで、保育を必要とするとき、0~6歳の子どもを預けることができます。幼稚園は、基本的には3~6歳までの子どもが通うことができます。そして2006年に、両方の機能をあわせ持つ認定こども園が創設されました。共働き家庭が増え、長時間預かってほしいという親のニーズなどから、幼稚園が認定こども園に変わるケースも増えています。

現在、2歳児クラスまでの小規模保育所に通っていて、卒園後の3歳からは幼稚園を考えています。保育園のよさもわかるのですが、保育園は保育、幼稚園は習いごともするというイメージがあります。小学校の勉強や集団生活を考えると、幼稚園のほうがいろいろ教えてくれるのではないかと思うのですが、実際はどうなのでしょうか。
(幼稚園希望のママ・パパ)

幼稚園・保育所・認定こども園は、同じ教育機能を持つ

回答:大豆生田啓友さん

幼稚園は教育をするところ、保育所は保育だから生活中心、というイメージがあると思います。でも今は、幼稚園も、保育所も、認定こども園も、すべて同じ教育の機能があります。「保育所には教育がない」と考えるのは大きな間違いです。

キーワードは主体的で対話的で深い学び

回答:大豆生田啓友さん

ここでいう「教育」をどう考えるかも大事です。今、教育の方向性が大きく変わり、「主体的で対話的で深い学び」がキーワードになっています。保育所・幼稚園・認定こども園だけでなく、学校を含めた方針です。国の「幼稚園教育要領」や「保育所保育指針」でも「遊びが大事」と書かれています。今の保育所・幼稚園・認定こども園が、その方向性を大事にしていることは、共通理解として考えてよいでしょう。
主体的であるときに、人はよりよく学びます。そのため、遊びの中で学ぶことがポイントになるのです。

単に小学校の準備ではない

回答:大豆生田啓友さん

保育所・幼稚園・認定こども園の教育で大事にしていることは、「単に小学校の準備ではない」という言い方をしています。例えば、「小学校の授業の45分、きちんと座れるようにする」というよりは、「自分が何かに夢中になって興味を持つから、結果的に人の話を聞く。みんなである程度の時間を一緒に座って聞く」と考えるのです。
走り回るような子どもでも、自分の好きなことが満足にできていると、好きなことが抑え込まれるより、だんだん力を発揮するようになります。その時期は少し気になるかもしれませんが、長期的に見ると子どものよさが出てきます。それぞれの子どもの個性を大事にすることも、重要な視点なのです。


専門家からのメッセージ

子どものワクワクに、親もワクワクをもらう

大豆生田啓友さん

少し前まで、「たくさんの待機児童で園に入れない、入園できるだけでいい」という状況でしたが、この数年で大きく変わりました。少子化や園の数が増えたことで、親が園を選ぶ時代になってきています。どの園も、保育の質を高めるために努力しています。一人一人の子どもが大事にされ、自己肯定感が高まるような、子どもが真ん中の保育が大事にされているのです。園を選ぶときは、これもあれもと、いろんな条件を考えがちですが、子ども自身が「園に通うことが楽しい」と思えることがいちばん大事です。
私は、子どものワクワクに、親もワクワクをもらえると思っています。みなさんが、そんな園選びができることを祈っています。

※記事の内容や専門家の肩書などは放送当時のものです