困った! 自分で〇〇しない

すくすく子育て
2022年8月18日 放送

ごはんや着替えなど、子どもに“自分でしてほしい”こと、ありますよね。また、何事にも自分でチャレンジしてほしいと思うことも。そんな悩みや、子どものやる気を引き出す方法について、専門家と一緒に考えます。

専門家:
岩立京子(東京家政大学 教授/子ども学)
由田新(千葉明徳短期大学 学長/幼児教育学)

ごはんを自分で食べてほしい。どうすればいい?

長男(2歳7か月)は、ごはんを自分で食べてくれません。いつも「食べさせて!」と言って聞かないんです。食べやすいようにひと口大にしたり、食器を変えたり、いろいろ工夫してみましたがうまくいきません。
でも、歯磨きや着替えなど、食事以外のことは自分でできます。食事も、幼稚園では自分で食べているようです。下の子の離乳食がはじまって、甘えているのかもしれません。今後、どのようにしていけばよいでしょうか?
(お子さん2歳7か月・7か月のママ)

あえてやらないことには理由がある

回答:岩立京子さん

子どもは、何かができるようになると、それを盛んにするようになるのですが、「あえてやらない、やってほしい」といった場合があります。それにはいくつかの理由があります。
まずは、愛着対象である「親にやってほしい」です。「パパはいや!ママがいい」という場合もありますね。
次に「欲求の発散」です。幼稚園という集団の中で頑張ったり緊張したりするので、家では欲求不満を満たしてもらおうとするわけです。
続いて、体調がすぐれない、機嫌が悪いときなどの「八つ当たり」です。
最後に「赤ちゃん返り」です。お子さんの場合は、下の子の離乳食がはじまって、いつもパパ・ママが丁寧に食べさせていて、「僕も食べさせてほしい」と思ったのかもしれません。

赤ちゃん返りには、どう向き合えばいいですか?

無理にさせると逆に赤ちゃん返りが強くなることも

回答:岩立京子さん

基本的には、より温かい関心を子どもに向ける、愛情をかけるのがよいでしょう。お子さんは、幼稚園で世界が広がっているところなので、時間の問題だとは思います。今は、甘えを受け止めて、食べさせてあげてもいいでしょう。子どもに無理をさせると、逆に赤ちゃん返りが強くなって長引く可能性があります。

何歳くらいまで、という目安はありますか?

子どもの様子をみながら、あまり拒否せず対応する

回答:岩立京子さん

個人差があるので目安は難しいですね。4~5歳でも、下の子と一緒に哺乳瓶で飲みたいという子もいます。まずは、拒否しないであげていると、多くの場合、こだわらないようになります。また、幼稚園などで世界を広げて、友だちと仲よくなって、こだわりがなくなることもあります。今は、「もうちょっと」ぐらいの気持ちで、子どもの様子をみながら、やってあげてもいいのではないかと思います。

食事を家族みんなの楽しい時間にする

回答:由田新さん

食事のときは、どうしても手のかかる下の子に気持ちがいきがちですが、家族みんなで一緒に食べることを大事にしてみましょう。幼稚園では「仲間と一緒に食べて楽しい」という雰囲気があるかもしれません。家でもみんながおいしそうに食べていれば、「自分も『食べない』なんて言わずに、食べようかな」と、楽しい食卓にしようと思うかもしれません。下の子のお世話で大変かもしれませんが、食事を楽しい時間にすることを考えてみてください。


スムーズに自分で着替えてほしい!

息子は来年小学生です。でも、着替えがなかなかうまくいきません。着替えの途中で遊んだり寝転んだりしています。ときおり「がんばれ!」と声をかけますが、着替えに20分ぐらいかかることもあります。やる気が出るように、できたらシールを貼るようなものを作ってみましたが、効果はまちまちです。本人は「早く終わらないのが嫌だ」と言いますが、スムーズにいきません。妹が着替えだすと、自分の着替えを再開することもあります。いつも自分で、最後まで着替えができるようになるには、どうしたらいいでしょう?
(お子さん5歳・3歳のママ・パパ)

子どもは効率よく行動するための力が未熟

回答:岩立京子さん

子どもは、むだを省いて時間を短縮するなど、効率よく行動するための力が未熟です。3つの力の発達が必要になる、難しいことなのです。
1つ目は「急いでやっておかないといけない」などの「必要感と目的意識」です。2つ目は、「これをやる前にあれを先にやる」といった「段取り」ができる「計画力」です。3つ目は、1つ目と2つ目に基づいて「行動をコントロールしながら達成する力」です。幼児から小学校低学年にかけては、これらの力がとても未熟です。
映像を見ると、お子さんの場合は、必要感や段取りは少しわかってきている一方で、行動のコントロールは少し未熟なようです。あまり急がせないほうがいいでしょう。

やる気をそがないよう、余裕を持って見守る

回答:岩立京子さん

自分が「今からやろう」と思っているときに、「まだなの?」と言われて、やる気がそがれてしまうことがありますよね。これを反発理論といいます。やる気をそがないように、「がんばれ」と励ましたりしながら、あせらずに余裕を持って見守ってみてください。スモールステップで関わっていくといいでしょう。

子どもに、自分で約束事を決めさせる

回答:由田新さん

妹が着替えはじめたら動き出すのが興味深いですね。お子さんは「まだ大丈夫」「もう動かないとまずい」といったことが、わかっていると思います。いろいろな意味で、必要だと感じたら着替えられるのでしょう。
例えば、親が「何時までにやりなさい」と言うより、子どもに「ここまでならできる」と自分で約束事を決めてもらってみてはどうでしょう。親に言われたことより、自分で言ったことのほうが実行できると思います。ちゃんとできたときには、たっぷり認めてあげてください。

時間に余裕があるときにゆっくりつきあう

回答:由田新さん

ふだんは、どうしても子どもが大人のペースでやらざるを得ないところがあると思います。ゆったりとした時間がとれるときは、子どものペースでできるように、ゆっくりつきあってみましょう。

小学校に入ると、いろいろと時間が決まっているので、強く言ってしまいます。どのように考えたらいいでしょう?

自分で必要だと理解するとやるようになる

回答:由田新さん

自分が困ったり、しないことで何が起こるかわからないうちは、難しいかもしれませんね。時間に余裕があると思っていたら、すぐには動かないわけです。
逆を言えば、実際に自分に困ったことが起きると、変わるのではないでしょうか。「これをやっておかないと困る。必要なこと」という考えが生まれます。本質的には、自分で必要だと理解することで、やるようになると思います。

親が「入学までに」と頑張り過ぎないように

回答:岩立京子さん

子どもが自分で何かをする力は、幼稚園や保育園、学校、あるいは仲間関係の間で育っていきます。あまり、親が「入学までにきちんとできるように」と考えて、頑張り過ぎなくてもいいと思います。


子どもが自分から挑戦するには、どう関わればいい?

子どもには、何事にもチャレンジするようになってほしいと思っています。でも、次男(3歳)は、あまり積極的ではありません。例えば、公園で遊んでいても、自分が怖いと思った遊具は、萎縮して自分だけでやろうとしません。「だっこして」と言ってきます。嫌がった遊具でも、家族みんなで応援して、自分でできたこともあります。でも「できた!楽しかった!」と喜んでいても、次は「もうしない」と言います。親としては「支えてるから大丈夫だよ」と言いながらサポートしていますが、嫌がっている子どもを無理にやらせていいのか心配です。
(お子さん5歳・3歳・7か月のママ・パパ)

好きなことから少しずつ自信を広げていく

回答:岩立京子さん

研究者である以前に、ひとりの親として、私自身の子育てを思い出しました。長男は発達が遅い子で、まわりの子より多くのことができず自信を失っていました。例えば「すべり台、やる?」と聞くと「できない」、「じゃあ一緒に滑る?」と言っても「できない」となります。親として忍びない気持ちがありつつ、急がせるとだめになるかもしれないと思い、保育士の方に相談しながら、工夫したり試したりする日々でした。
少し時間をかけながらやっていってみてください。親が一緒にやってあげるのもいいですね。焦らないで少しずつが大事です。子どもが自信を失ってしまうと、なかなか挑戦しなくなってしまいます。お子さんの得意なところが、たくさんあるはずです。例えば、好きな遊具を中心にして多くの経験を重ねていくと、少しずつ自信が広がっていくと思います。

子どもが自分からやりたがるのを待つ

回答:由田新さん

人に言われた遊びはおもしろくないですよね。遊びは自分がやりたいと思ってやるものです。例えば、「大好きな友だちがやっている」「お兄ちゃんが遊具で遊んでいるところがかっこいい」「みんなで楽しそう」など、人を見て「やりたい」と思うこともあります。
無理に「やろう」と言わずに、「おもしろいね」「やるならどう?」ぐらいの感覚で接してみてはどうでしょう。自分から「じゃあ自分もやりたい」と言ってくれたらしめたものです。そのような気持ちの動きを待ってみましょう。


発達面で心配のある子どもへの接し方は?

自分でやってみることについて、発達面で心配のある子には、どのように接してあげたらいいでしょうか?

子どもがおもしろがることを一緒にやってみる

回答:由田新さん

人間は、自分の興味や関心が基本なので、やりたいことからはじめます。その上で、いろいろな世界が広がっていきます。まずは、子どもがおもしろがっていることを、一緒におもしろがってやってみることからはじめてみましょう。

子どもの持ち味を生かす。専門家の知恵をかりる

回答:岩立京子さん

基本的に、障害の有無に関わらず、子ども一人ひとりに持ち味があるので、それを生かしていくことです。親が心配して抱え込んでしまうと、毎日そればかり考えて、子どもとの関わり方に影響してしまいます。そんなときは、専門家の知恵をかりながら、いろんな人の視点で考えていくといいでしょう。関わり方についても、専門家の助言で変わっていけるように思います。

どんな方に相談したらいいでしょうか?

子どもを多面的に理解するために迷わず相談を

回答:岩立京子さん

「保育園、子ども園、幼稚園」は、相談も含めて子育てを支援することになっています。「子育て支援センター」や「小児科」でもいいでしょう。子どもを多面的に理解することにつながるので、相談することを迷わないでください。

※記事の内容や専門家の肩書などは放送当時のものです