なんでも質問スペシャル

すくすく子育て
2022年7月9日 放送

今回は「なんでも質問スペシャル」。ママ・パパのさまざまな悩みについて、専門家と一緒に考えます。

専門家:
草川功(聖路加国際病院/小児科医)
岩立京子(東京家政大学 教授/子ども学)

子どもが急に走り出して危ない⋯ 子ども用ハーネスをつけてもいいの?

娘(2歳4か月)は、お出かけのときになかなか手をつないでくれません。「ひとりで歩きたい」という気持ちがあるようですが、急に走り出すこともあり、車道があるような場所では危ないので不安です。子どもの安全のため「子ども用ハーネス」をつけたほうがよいか考えています。

両手がふさがっているときはハーネスが便利だと思います。一方で、ハーネスが子どもの体にダメージを与えたり、歩行者がハーネスのひもに引っかかったり、エレベーターなど扉に挟まったりなど、心配もあります。命を助けたいハーネスが、悪い方向に働くことはないかと気になっています。
(お子さん2歳4か月のママ・パパ)

まずは、ことばと関わりで伝える

回答:岩立京子さん

お子さんの場合は、ことばの発達も進んできているころなので、まずは、ことばと関わりで伝えてみてください。例えば、「危ないよ。車が来てぶつかってしまったら、けがをして遊べなくなるよ」のように、危険であることを伝えます。また、「ママは悲しい」のように、親の気持ちも伝えるなど、子ども自身が考えるような方向で関わっていくのがよいでしょう。

子ども用ハーネスを使うことをどう思いますか?

危険な場所で短時間の使用にメリットがある

回答:草川功さん

子ども用ハーネスは、新しいものではなく、欧米などでは何十年も前から使われています。車が多いなど、危険な場所でつけていると安心できますよね。そのような場所で、短時間だけ使用するのは、ひとつのメリットだと思います。

使い方によっては子どもの体の負担になることも

回答:草川功さん

子どもが、ハーネスをつけたまま急に走ると、抑えつけられることになります。つけている場所によっては骨に当たる、サイズが合っていない場合は腹部を圧迫するなど、物理的な影響が出ても不思議ではありません。よいハーネスであっても、サイズの違いや装着のしかたによっては、子どもへのダメージになることがあります。使い方に気をつけることが大切です。
また、ハーネスのロープが長すぎると、心配しているようにまわりの人の迷惑になる可能性もあります。

子どもが判断する力が育ちにくくなる可能性も

回答:岩立京子さん

子ども用ハーネスのメリットは、危険を防げることですね。一方で、ひもに引っ張られて反射的に止まることを学んでしまうと、自分で危険だと思ったり、そのときどうするか考えるなど、大事だといわれている自律的な判断や自分でコントロールする力が育ちにくくなる可能性もあります。

親は毅然とした態度で伝える

回答:岩立京子さん

事故が起こってからでは取り返しがつきません。例えば「道路のある場所ではハーネスをつける。つけないなら手をつなぐ。そうしないと公園には行けない」と伝えるなど、親は毅然とした態度で対応しましょう。


子どもがものを口に入れたり人をかんだりする⋯ どうすればいい?

次男(1歳5か月)は、おもちゃを口に入れてしまいます。最近では、いきなりかみついてくるようになりました。本当に痛くて、あざになっています。最初は「やめてね」と言っていても、途中で「やめてよ!」と怒ってしまうこともあり、それもよくないと思っています。長男のときにはなかったので、いつまで続くのか心配です。
(お子さん2歳9か月・1歳5か月のママ)

口に入れて確認しながら学ぶ時期がある

回答:草川功さん

子どもは生後6~7か月ぐらいから手でものをつかむようになります。最初は手全体を使って、大きいものをつかむだけなので、つかんだものをなめるだけで済みます。指でつまめるようになると、口に入るような小さいものも持てるようになります。ちょうどそのころ食事をするようになり、手づかみで食べることもあります。何でも口に入れて確認しながら学んでいくんですね。そこで、食べものは口に入れていいけど、そうじゃないものはだめだと言われても、子どもにとっては難しいわけです。

1歳半ごろでおさまっていくが個人差も

回答:草川功さん

口にものを入れるのは、1歳前後ぐらいから始まって、1歳半ごろにはおさまることが多いのですが、個人差はあります。お子さんの場合は長引いているのかもしれません。でも、半分ぐらいの子どもに見られることなので、不思議ではありませんよ。

ことばにできず伝わらないと、かむことがある

回答:草川功さん

1歳前後になると、自分にしてほしいことなど、いろいろなことがでてきます。でも、まだことばにできず、伝えることができないと急にかむといった行動にでることがよくあります。親に子どもの歯形がついていることは、めずらしくないんですね。ただ、一生かみ続けることはなく、必ずやめていきます。考えているうちに、いつの間にか落ち着いていくでしょう。

口唇欲求が残っていて口に入れる傾向がある

回答:岩立京子さん

映像をみると、お子さんはおしゃぶりを口に入れたがっていたようなので、まだ口唇(こうしん)欲求が強いのかもしれません。赤ちゃんは、何でも口で世界を探索していきます。お子さんの場合は、それがまだ残っていて、少し口寂しい。それで、いろいろなものを口に入れる傾向があるのだと思います。

親の注意を引きたい場合も

回答:岩立京子さん

上のお子さんとの関係で、このような行動が増幅されている可能性もあります。親に自分のほうを向いてほしくて、口にものを入れて親の反応をうかがう。そのような、注意を引くための行動である場合も考えられます。

かまれたときは、痛さと感情を伝える

回答:岩立京子さん

かむことを感情的に怒る必要はありません。ただ、かませておくだけだと、子どもが、相手にどんな痛みを与えているか、わからないままになってしまいます。「イタタタタ」と言ったり、かまれたあとを見せたり、痛くて泣く演技をしたり、痛さや感情を伝えてください。子どもが学べることが大事です。ただし、大げさに痛がって、かみつきごっこのような遊びにならないように気をつけましょう。


左利きは右利きに矯正したほうがいいの?

息子が1歳のころから、何かをつかむときに左手が出ることに気づき、左利きかもと思うようになりました。左利きであることは、家族にもいるのであまり気になりません。でも、文字を書くことや生活面では、右利き前提の場合が多く、不利になるかもという心配はあります。
一方で、スポーツでは左利きが有利な場面や、伝説的な左利きの選手もいるので、書くのは右・スポーツは左のようにできないかなと思わなくもありません。左利きの場合は、右利きに矯正するほうがいいのでしょうか? 矯正するとしたら、何か問題はありますか?
(お子さん2歳4か月のママ・パパ)

利き腕は、2歳から小学校入学ごろまでにわかる

回答:草川功さん

利き腕は、どちらの手で道具を使うかでわかります。おおよそ、2~3歳ごろから小学校に上がるぐらいまでの間に、はっきりわかってくるでしょう。日本では、左利きになるのは1割前後といわれています。子どもが左利きの場合、家族にも左利きがいることが多いようです。

社会は右利きに便利にできているが、改善されているところもある

回答:草川功さん

日本では約9割の方が右利きで大多数のため、右利きに便利な社会になっています。例えば、電車の自動改札機は体の右側にあります。以前は、はさみのように、右利き用しかなく左利きには不便な道具もありました。ですが、道具については、どんどん改良されて左右どちらでも大丈夫なものがでてきています。
文字は右のほうが書きやすいため、「字だけは右」といった、両利きを目指すことが多いようです。

「左利きはだめ」という考えにならないように

回答:岩立京子さん

今は多様性を認める社会になっているので、無理に直す必要はありません。例えば、親が「字を書くのは右がいいのではないか」と考えていて、なおかつ子どもが嫌がらないのであれば、働きかけてもいいでしょう。ただし、「左利きはだめ」といった価値観や劣等感が生まれないように気をつけてください。「右でも書けるかな」「右でも書けてすごいね」といった関わり方であれば問題ないでしょう。


大人のマスク姿は子どもの発達に影響する?

娘は、コロナ禍のため、ふだんマスクなしで見る顔は両親だけです。顔全体が見えないことは、乳幼児の発達や言語の習得にどのような影響があるのでしょうか? マスクの弊害を心配しています。
(お子さん1歳のママ)

家で家族がマスクを外しているなら心配ない

回答:草川功さん

外では大人のマスク姿だけを見ていたとしても、家ではマスクをしていない家族の中で生まれ育っていれば問題ないと思います。1歳ぐらいまでであれば、他の人に会わなくても十分育っていきますので、心配ないかと思います。

言語の発達ではニュアンスの部分が難しいことも

回答:草川功さん

コミュニケーションは、言葉だけでなく、表情や仕草が関係しています。まず、音として耳に入った言葉が、行動とどう合っているのかを理解していくわけです。マスクと言語の発達を考えると、言葉の音については心配ありませんが、表情全体が見えないことで、同じ言葉でも意味が違うなど、細かいニュアンスの部分で難しい場合があるかもしれません。

口が見えないことで感情が伝わりにくくなることも

回答:岩立京子さん

ずっとマスクをつけるようになってからは、保育界でも問題になっています。小さい子どもでも、感情のコミュニケーションにたけています。特に赤ちゃんは、人を知ろうとするときに目と口を見ることがわかっています。口が全く見えないことで、うれしいときに口角が上がったり、悲しいときに下がったりするなどがわからず、伝わりにくい面があると思います。
ただ、家には顔全体が見えるコミュニケーションがあり、テレビなどのメディアを通して見ることもできるので、それほど気にしなくてもよいでしょう。長期的には、何らかの実証データが出てくるかもしれませんが、現時点ではそれほど問題ないのではないかと思います。

※記事の内容や専門家の肩書などは放送当時のものです