ふたご・みつごの悩み

すくすく子育て
2022年5月21日 放送

ふたごやみつごの子育て。外出するのもひと苦労で、とにかく目と手が足りないといいます。性格の違いや褒め方で悩むことも。そんな多胎児の悩みについて、みんなで一緒に考えます。

専門家:
志村恵(日本多胎支援協会 代表理事/金沢大学 副学長)
松本彩月(日本多胎支援協会 理事/金城学院大学 人間科学部 非常勤講師)

ふたごは外出するのもひと苦労⋯ どうやって乗り切ればいい?

夫が単身赴任のため、私一人で男の子と女の子のふたご(8か月)を育てています。一人でみていると、外出できる場所も限られます。悪天候だとより難しく、覚悟を決めて出かける感覚です。買物はネットスーパーを利用します。

ベビーカーに乗せるときは、一人を部屋で待たせながら、一人ずつ。前の席のほうが機嫌がいいので、交代しながら偏らないようにしています。ベビーカーが大きいので、エレベーターに乗せるのも大変です。
病院など、ベビーカーから降ろすことがある場合は、育児支援のヘルパーさんにお願いします。ヘルパーさんがいるときは買物にもいけます。ほかにも、子育て広場に行くとスタッフの方が手伝ってくれます。そんなサポートがありがたいです。
外出するだけでもひと苦労で、みんなはどうやって乗り切っているのか気になります。
(ふたご8か月のママ)

外とのつながりを持つことが大事

回答:志村恵さん

外出についての悩みは多いですね。「外出できなくて孤立したように感じる」という声もたくさんあります。そのため、妊娠期から、いろいろなところとつながりを持ち、情報も得ておくことが大事です。外に出れないときは、SNSなどもあります。いろいろと工夫しながら、少しでも外とつながっておきましょう。
また、困難な中でも一生懸命に外出できた自分自身を、ぜひほめてあげてほしいと思います。

外出は困難だけど、その先で世界が広がる

回答:松本彩月さん

私自身もふたごを育てていましたが、本当に「外出は困難だった」という記憶しかありません。道が大変だったらどうしよう、一人で行き止まりになったらどうしよう、そう思うとなかなか出かけることができない。雨の日も難しいですよね。そんな気持ちを乗り越えて、徐々に一歩を踏み出して、ようやく外出できるのです。その先には、子育て広場のような場所があり、世界が少しずつ広がっていきます。


ふたごを平等に扱えなくてモヤモヤ⋯

3歳になるふたごを育てています。ふたごとはいえ、得意なこと不得意なことに差があり、性格の違いや褒め方など、平等に扱うにはどうしたらいいか悩んでいます。
例えば、ふたりに違う種類のシールをあげると、妹が「こうかんしてください」と言います。妹は、自分の気持ちをはっきり言うタイプで、お姉ちゃんは優しい性格で譲ってあげることが多いんです。最近では、妹が「この習いごとがいいけど、一人じゃ寂しい」と言って、お姉ちゃんは、「一緒にやってあげる、妹の好きな習いごとでいい」と言うんです。お姉ちゃんには「ありがとう」と伝えますが、平等に扱えないことにモヤモヤします。
(ふたご3歳のママ)

長いスパンで成長を見守ることが大事

回答:松本彩月さん

私自身は、ふたごの子どもたちを「妹・姉」のように育てていませんでした。今は小学6年生で体重に4kgの違いがありますが、差があるとは考えていません。一人一人の成長を、個の成長として、家族で喜んでいます。
子育ての過程では、長いスパンで成長を見守ることが大事です。それぞれ、一人の子なんだと考えて、育児するほうも一緒に育っていくものだと思います。

平等にしたいという気持ちを持って子育てできれば大丈夫

回答:志村恵さん

平等に接したいという親の気持ちはよくわかります。多胎の子育ての悩みのビッグ2のひとつなんです。もうひとつは、十分に手をかけられないという罪悪感です。でも、そういう感情を持つ必要はありません。平等にしたいと一生懸命に考えていることだけでもすばらしいと思います。子どもたちは個性がバラバラで、完全な平等は無理ですが、子どもたちを信じて、平等にしたいという気持ちを大事にしながら育児していけば大丈夫だと思います。
ずっとどちらかが我慢して、どちらかがとってしまうような場合は、「今度は譲ろうね」「今度は我慢しなくていいんだよ」のように声かけしてあげてください。

志村さん自身、ふたごの兄だとのことですが、差を感じたり、兄だから我慢しないといけないといったことがありましたか?

差があってもすみ分けしながら成長してきた

回答:志村恵さん

もちろん能力差はあり、ふたごなりの悩みもありました。でも、差があっても、うまくすみ分けしたり、それぞれ調整したりしながら、少しずつ成長してきたと感じます。
世代的には、兄・弟という考え方が強かったのですが、両親は私たちを同じように扱い、一度も「お兄ちゃん」と呼ばれたことはありません。それでも、社会からは「どちらがお兄ちゃん?」と聞かれるので、だんだん私のほうが兄的性格になり、少し我慢したこともありました。とはいえ、もう一人も「俺だってたくさん我慢したぞ」と言うかもしれませんね。

ふたごは、ほぼもう一回ふたごに生まれたいと思っている

回答:志村恵さん

ふたごは、ほぼみんなが、もう一回ふたごに生まれたいと思っています。やはり、ふたごライフが楽しいからでしょう。もう一人、自分を絶対に信頼してくれる人がいる。この安心感は、ものすごくすばらしいものなのです。


ふたごやみつごが低体重で生まれてきたとき、どんな影響がある?

ふたご・みつごが、低体重で生まれてくることがありますが、成長にどんな影響があるのでしょうか。勝田友博さん(聖マリアンナ医科大学 小児科医)に聞きました。

解説:勝田友博さん

ふたごやみつごは、体重が小さく生まれてくることが多いです。生まれてすぐに体重が少なめの場合は、低血糖や低体温など、注意する点があります。でも、そのようなリスクがある間は、体重が増えるまでなど、安全が担保できるまで入院して、医師たちがケアします。退院できるときには随分リスクが減っているので、「家で安全に過ごせる」というお墨付きをもらったと考えていいでしょう。
それぞれの月齢相当の発達がゆっくりだと感じることも多いと思いますが、発達も含めて時間をかけてゆっくりと成長しながら、最後には追いつきます。その点は安心して、必要以上に慎重にならなくてもいいでしょう。


みつご育児。どう乗り切ったらいい?

みつごを育てている家族から、「どう乗り切ったらいいのか」という声が届いています。

5か月のみつごと、お姉ちゃんがいます。みつごが同時に泣かれると、一人ではとても手が足りません。今大変なのはミルクです。

それぞれ違う時間に飲むので、時間を予測しながら、パパとママで対応する時間をわけて、最低限の睡眠時間を確保できるようにはしています。乳児期のみつご育児は、疲れがたまる一方です。
(お子さん2歳4か月・みつご5か月のママ・パパ)

1歳8か月のみつごを育てています。歩き回る子どもたちから常に目が離せず、目も手も足りません。遊具のある公園ではなかなか遊べず、芝生のあるところばかりに行きます。一人が靴を脱ぐとみんな脱ぎだしたり、一人がフェンスに登るとみんな登りだしたりします。外に出かけるときは、ママとパパで分担しながら子どもたちをみなくてはいけません。
ごはんの時間も大変で、食べさせたり、こぼしたものを掃除したり、着替えさせたり。夫婦で対応しても自分たちのごはんはゆっくり食べられません。

保育園の準備も毎回3セットを用意します。オムツは名前を書いて、あらかじめダンボールに分けて準備しておきます。ママとパパ、二人三脚でないと育てるのは大変です。
(お子さん3歳11か月・みつご1歳8か月のママ・パパ)

同じ境遇の人を近くで見つけるのが難しいというみつごのママたちは、オンラインでのおしゃべり会でさまざまな悩みや工夫を共有しているといいます。みつご育児のママ、先輩ママたちの話を聞きました。

みつご1歳のママ/みつごのママ以外とおつきあいするときは、どうしていますか? 例えば、子どもを連れたランチに誘われても、私一人では無理で、夫と一緒でないと難しいですね。

みつご6歳のママ/小さいころは、家に来てもらっていました。子どもたちもそれがいちばんでした。外出して、自分自身がストレス抱えて、疲れて帰ってきて育児をするのもきつかったんです。

みつごの先輩ママ/幼稚園や小学校に入ると、それぞれの友達ができて、バラバラで遊びにいくようになりました。例えば、娘の友達のママとランチしたり、息子の友達のママたちとランチしたり、それぞれにつながりができて、自分も友達が増えました。

みつごの先輩ママ/今、子どもたちは27歳になりますが、小さいころは人手が足りなかったですね。当時、お向かいとおとなりに中学生の子がいて、その子たちが手伝ってくれたんです。例えば、私が子どもをお風呂に入れた後、服を着せたり、ミルクを飲ませたり、絵本を読んでくれたりしたんです。お姉ちゃんたちが遊んでくれるので、誰もぐずらずに1人ずつお風呂に入れられました。とても助かりましたね。

みつご1歳8か月のママ/まわりにみつごママが少ないので、なかなか会う機会がありません。こんなおしゃべり会を開いてもらえて、とても心が温かく、うれしくなりました。

多胎の家庭の育児のコツは「使えるものは何でも使う」

コメント:志村恵さん

ふたごの育児は「2倍」ではなく「2乗」大変だといいます。みつごの場合は「3倍」ではなく「3乗」なんです。声を届けてくれた家族は、夫婦で一生懸命に子育てしていて、敬意を表したいと思います。すばらしいことです。
その上で、みつごになると大人2人でも困難になり、できるだけいろいろなものを利用していかなくてはいけません。多胎の家庭の育児のコツは、「使えるものは何でも使え」なのです。先輩ママの話にあった「近所の中学生に手伝ってもらえた」のように、いろいろなものを一緒にやってもらう、使っていく、利用させていただく。そういうことが大事だと思います。

家族だけで子育てするのではなく、地域全体で子育てしていく

コメント:松本彩月さん

やはり、ふたごとみつごで違うのは、絶対的に人の手が足りないことです。夫婦二人では難しい状況になるので、家族だけで子育てをするのではなく、外部サービスを有効に使って、地域全体で子育てをしていくことが、積極的に必要になるのではないかと思います。

※記事の内容や専門家の肩書などは放送当時のものです