わが家のルール・決まりごと

すくすく子育て
2022年3月26日 放送

わが家のルール、「これでいいのかな?」と思うことはありませんか? 一度決めたルールを変えたほうがいいのか悩む。また、子どもを決まりごとで制限すると発達に影響があるのか心配⋯。 そんな悩みや不安について、専門家と一緒に考えます。

専門家:
柴田愛子(保育施設代表)
中井昭夫(武庫川女子大学 教育研究所 教授)

今回のテーマについて

3歳前後は、秩序・順番・ルールを大切にする時期

中井昭夫さん

3歳前後は、大人が思っている以上に秩序・順番・ルールが好きで、大切にする時期です。同じ順番で物事が進み、同じことが起こることで心の安定が生まれて、いろいろなことにチャレンジして発達していくことがわかっています。わが家の決まりや社会のルールが入りやすい時期でもあります。

ルールと子どもの自由は、相反することではない

柴田愛子さん

子どもは、時間や論理ではなく心で生きていますよね。ルールなどで生活のリズムを整えてあげると、子どもの気持ちも、盛り上がったり、落ち着いたり、心の動きができる。ルールと子どもの自由は、相反するように思えるかもしれません。でも、そのような暮らしの秩序が、子どもが自由でいることを保証していると思います。親の思いでルールを決めて、子どもに1日の過ごし方を伝えていけばいいと思います。


一度決めたルール、このままでいいの?

子どもたちにおもちゃの整理整頓ができるようになってほしくて、「おもちゃは、おもちゃ箱に入るまでしか持たない」というルールを決めました。増えてきたら子どもたちと話し合って、残さないものは捨てています。子どもたちも片づけしやすいようです。
でも、長女(5歳)がルールを逆手にとって「おもちゃを捨てれば、新しいものを買ってもらえる」と思い始めています。また、中には新しいものや、いただきものもあり、捨ててよいのか考えてしまいます。一度決めたことで、ルール自体は残したいのですが、このままでいいのか悩んでいます。
(お子さん5歳・3歳・0歳のママ)

発達段階に応じて、子どもと相談してルールを見直す

回答:中井昭夫さん

子どもの発達段階をみながら、ルールの見直しが必要になると思います。「ここはできたから、次のステップにいこうか」のように子どもと相談して、「これはもらったばかりだね。捨てるのはもったいないよね」といった話もセットで、ルールを見直すわけです。親だけで新しいルールをつくると、子どもが混乱することもあります。上のお子さんであれば、ルールについて話せる時期ではないかと思います。

親もルールを守ることが大切

回答:中井昭夫さん

子どもは、秩序や順番といったルールをとても大切にして守りたがります。そこで、親が自分でつくったルールを忘れたり、「今日はいいか」のように扱ったりすると、子どもはきちんと見ています。例えば、「ソファで飲み食いはダメ」と言っているのに、親自身が守らないことがある、などです。親もしっかりルールを守ることが大切です。

5歳ごろから自己コントロール力が生まれる

回答:柴田愛子さん

5歳ごろは、自己コントロール力が生まれはじめる時期だといわれています。たとえるなら、今までアクセルだけだったけど、少し気持ちのブレーキが利くようになります。欲しいけど我慢する気持ちがあってもいいでしょう。「おもちゃがほしい」となったとき、「そんなに買えないから、ひとつ選ぼう」「クリスマスまで待ってみよう」と伝えてみてください。
ルールについては、第一に「おもちゃ箱に入る・入らない」ではなく、子どもとの話し合いで進めてもいいように思います。


テレビ・スマホの情報を制限することは子どもの発達に影響があるの?

わが家では「テレビやスマホを見る時間は30分まで」と決めています。子どもには、絵本に興味を持ってほしい、想像力を育んでほしいという思いがあります。将来の学習で、本への抵抗がないことも大事になると思います。今では、30分たつと自分でテレビを消すようになりました。
一方で、テレビには英語教育や海の生物を紹介する番組など、有益なものもたくさんあります。そんな映像ならではの刺激が不足してしまうのではないかと心配しています。テレビやスマホなどの情報を制限することは、子どもの発達に影響するのでしょうか?
(お子さん2歳9か月のママ・パパ) 

今後、時間の制限を嫌がることも

回答:柴田愛子さん

3歳前で、テレビを自分で消すのはすごいですね。今後、自分の意思が出てきたときに、ちょうど30分の番組ならきりがいいけど、終わらないときには「消すのはダメ」と言って嫌がる時期がくるかもしれません。

いろいろな体感を通して体験することが大切

回答:柴田愛子さん

例えば、人気のキャラクターなど、テレビからの情報で流行する遊びもあります。でも、子どもの遊びは昔から同じです。ちゃんばらごっこやお姫様ごっこなどには、おもしろいエッセンス入っていて、テレビを見ていない子でも一緒に遊べます。私の保育園にも、テレビを見ない子が何人かいますが、孤立することなく、一緒に遊んでいます。
テレビについて、ほどよく時間の制限があってもいいと思います。やはり、情報を見るだけでは体験になりません。ごっこ遊びのように、実際にやってみるような体感を通して体験することが圧倒的に多いと思います。

五感や自分の体を使った体験が発達の土台をつくる

回答:中井昭夫さん

お子さんの時期では、テレビから一方的に流れる情報を見ていても情報が入っていかず、目の前で同じ内容を見聞きしたほうが、理解や知識が増えるといいます。自分で見て・触って・聞いて・味わって・匂いを嗅いで・体を動かして何かをしてみる。そんな五感や自分の体を使った体験が、発達の土台をつくっていきます。お子さんがもっと大きくなると、テレビの見方も変わってくると思います。

食事中に子どもの集中力が途切れて、遊んでしまうことがあります。何かルールを決めたほうがいいのでしょうか?

食事は親子の貴重なコミュニケーションの場。食に興味を持つような会話を

回答:中井昭夫さん

食事は、食欲を満たすなど、栄養学的な側面もありますが、親子のコミュニケーションの貴重な時間のひとつです。「これはにんじんさんだよ、これはトマトっていうんだよ」のように、食に興味を持てるような話をする場所にできたらいいですね。

幼児期は年齢の2倍ほど集中できればいい

回答:中井昭夫さん

子どもの集中力は、徐々に発達していきます。幼児期は大人が思っている以上に集中力が続く時間が短く、「幼児期の集中力は年齢の2倍ぐらい」といわれることもあります。2歳であれば4分続けば十分なんですね。4~5分食べて小腹が落ち着いたら、「集中して食べたね」と思うことができれば、親の気持ちが楽になるのではないでしょうか。


子どもを落ち着かせるため「寝る前に本を読む」と決めたけど、うまくいかない⋯

息子(2歳)は寝る前にヒーローごっこをして、寝るのが遅くなることがあります。そこで、寝る前の息子を落ち着かせるため、「本を読んでから寝る」という決まりごとをつくりました。でも、読んでいると「これは何ていうの?」と聞かれるなど、内容に興味を持ってしまい、結局寝るのが遅くなってしまいます。どうすればいいでしょうか。
(お子さん2歳・9か月のママ)

入眠のルーチン(入眠儀式)で安心して眠りにつける

回答:中井昭夫さん

「寝る前に本を読んであげる」のように、入眠の前のルーチン(決まった手順)を「入眠儀式」と呼んでいます。幼児期の子どもは、毎日同じことを繰り返すことで心が安定します。となりにいる親のあたたかい体温を感じながら、穏やかな声で決まった絵本を読んでくれる。それで子どもは安心して、眠りにつくことができるでしょう。プロレスごっこより絵本の読み聞かせのほうがいいですね。

子どもが安心する空間をつくる

回答:柴田愛子さん

大人は寝るのが大好きですが、子どもではめったにいません。子どもは、遊びきって、眠たくなって、ぱたっと寝たりしますよね。親は子どもを早く寝かせたいけど、子どもはそう思っていないわけです。
そこで大事になるのは、子どもが安心して闇の世界に入っていけることだと思います。寝るときになると、指をしゃぶったり、おっぱいを触ったり、違う世界に対する不安感・恐怖感があると思います。どんな方法でもよいので、子どもが安心できる空間をつくるようにしてみてください。

抑揚をつけない淡々と語る昔話も効果的

回答:柴田愛子さん

絵本の読み聞かせはいいですよね。親に抱かれているような穏やかなぬくもりがあって、子どもは眠くなります。絵本を読むには暗すぎるときは、親の昔話も効果的です。
子どもは、親の小さいときの話が大好きです。「昔、小学校に行きました。1年1組でした」のように、創作を交えてもいいでしょう。抑揚をつけずに、淡々と語っていると、子どもは眠くなると思います。そんな親の穏やかな声がうれしいでしょうね。

本の内容によっては子どもが興奮して眠りにくくなる

回答:中井昭夫さん

読む本の内容も大事です。柴田さんが言われたように、淡々と静かなほうがいいですね。ときどき失敗してしまうのは、おばけや怪獣などの本です。「今日はパパが読むから」と、いろんな声色を使ったり、「ほら出た!」とびっくりさせたりすると、子どもは興奮して、「次はどうなる?」とわくわくして、プロレスごっこと変わらない状態になってしまいます。
長い話の本だと、読み終わらないと寝ないというルーチンになってしまうので、薄暗いところでも読めて、字数が少なく、5分ほどで読み終わる短めの本がいいですね。


専門家からのメッセージ

発達的特徴を大切にして、成長に合わせたルールの見直しを

中井昭夫さん

繰り返しになりますが、幼児期はルール・秩序・ルーチンなどをとても大切にする時期です。その発達的な特徴を大切にしてあげたいですね。しつけの意味でも、私たちが守ってほしいことの大枠を子どもたちに伝える意味でも重要です。子どもには、それをすっと受け入れてくれる土壌があります。
ただ、細かいルールがたくさんありすぎると、子どもも大人もがんじがらめになってしまいます。例えば、「当たり前になって守れているから、ルールとしてはなくてもいいね」など、子どもの成長に合わせて、ときどきルールをなくしたり、見直したりしてほしいと思います。

親の思いと子どもの反応から「わが家流」を親子でつくっていく

柴田愛子さん

家の中は自然体でいいと思います。だから、親のやり方を子どもに伝えていい。その基盤になるのは、親の思いでしょう。そこに子どもの反応があって、その反応を見ながら、親の思いも変わっていきます。わが家が「ほっと」できることを大事にして、ルールに縛られるより、柔軟に「このほうが気持ちいいよね、楽しいよね」と、不快にならない「わが家流」をみんなでつくってください。

※記事の内容や専門家の肩書などは放送当時のものです