パパの本音

すくすく子育て
2022年3月5日 放送

子育てに奮闘しながらも、思い通りにいかずにモヤモヤを抱えるパパたち。子どもがなかなかなつかない、夫婦で育児方針にズレを感じるなど、悩めるパパたちの本音に向き合い、専門家と一緒に考えます。

専門家:
石井クンツ昌子(お茶の水女子大学 副学長)
泉秀生(東京都市大学 准教授)

今回のテーマについて

これまでにパパから受けた相談には、どんなものがありますか?

回答:泉秀生さん

例えば、家事や育児を一生懸命しても妻に文句を言われてしまう、何をすればいいのか尋ねたら「自分で考えなさい」と言われてしまったなど、そんな悩みを持つパパは多いようです。

回答:石井クンツ昌子さん

まわりのパパと比べて育児・家事をしていると思っていても、なかなか妻は評価してくれない、といった話をよく聞きます。一方でママからは、少しばかりの育児・家事をしただけで「イクメン」だと勘違いしているようだ、といった声を聞くこともあります。


子どもがなついてくれない。どうしたらいい?

息子(2歳)はママのことが大好きですが、パパにはなつきません。例えばごはんのとき、「パパといるとおいしくない、大好きじゃない」と言われます。子どもと一緒の時間は、できるだけ遊んだりしているのですが、仕事で家に帰るのは息子が寝る30分前、土曜日も仕事で、一日時間をとれるのは日曜だけです。でも、どうしてもママのほうに行ってしまい、ママの負担が大きくなり心配です。限られた時間の中で息子になついてもらうには、どうすればいいのでしょうか。
(お子さん2歳・9か月のパパ)

楽しいことを共有することで、パパへの信頼感が増す

回答:石井クンツ昌子さん

まずは、会話や遊びなど、子どもと何かを一緒にすることが重要です。その中で、楽しさを共有することで、パパへの信頼感が少しずつ増えていくと思います。
また、お風呂でリラックスしながらコミュニケーションをとるのもひとつの方法です。信頼関係がうまれて、よい関係につながると思います。仕事で毎日は難しい場合は、例えば週末の休日など、ちょっとした時間ができたときに、ぜひお子さんとお風呂に入っていただきたいと思います。

遊びに夢中になっているときに、パパと2人だけの空間を作る

回答:泉秀生さん

ママと子どもの空間をとても大切にしていると思います。まずは、パパがママのとなりに座って、一緒に遊んでみましょう。子どもが好きな遊びに夢中になっていたら、ママは場所を変えて、パパと子どもだけの空間を少しずつ作ってみてください。ふと、子どもが「あれ? ママがいないな」となるかもしれませんが、パパと子どもの交流を増やしていくことができると思います。

お気に入りの人形などを使って興味や関心をよせる

回答:泉秀生さん

子どもの興味や関心がある人形などがあれば、人形を使って、人形がしゃべっているように話しかける方法もあります。子どもは「なんだろう、パパが遊んでくれるのかな?」と思って、パパに興味や関心が向きやすくなると思います。

パパと一緒なら行ける特別な場所をつくる

回答:泉秀生さん

パパと一緒なら行ける特別な場所をつくる方法もあります。私自身、子ども(2歳)が電車好きで、一緒に駅まで散歩するなど、「パパと外に行けば電車に乗れる」というようにしています。ほかにも公園でキャッチボールするなど、「パパと一緒に行けば〇〇ができる」と子どもが思えるといいですね。

 ママっ子になっている状態のままでいいのでしょうか?

幼少期は安全な場所を探すもの。間接育児でパートナーを助ける

回答:泉秀生さん

幼少期は、安心・安全な場所(安全基地)を探すものです。それがママになることが多く、不安になることはありません。私自身、保育などを勉強して、育児に取り組んでいますが、子どもが「ママ、ママ」となることはよくあります。教科書と実際は違うと感じますね。
そんなときは、洗濯や掃除などの家事をして、ママと子どもの時間がとれるようにしています。間接的に育児をするわけです。ママも「今は子どもに専念していいんだ」と落ち着くのではないでしょうか。

ママが自分のための時間をつくる

回答:石井クンツ昌子さん

ママに「me time(ミー・タイム)」をつくってあげることがおすすめです。例えば、読書や自分の趣味など、ママが毎日少しでも、自分のやりたいことをする時間のことです。「ミー・タイム」を意識してみましょう。


夫婦で育児方針にズレを感じる⋯

子どものしつけに関してママとのズレを感じています。例えば、子どもが食事中に遊びだしたとき、「怒るのが早くないかな」「ここまで怒らなくてもいいのに」と感じます。何度か話し合おうとして、子どもが寝た後にママに声をかけたこともありますが、お互いに共働きでママも疲れているので、しっかり話し合うのは難しいと思います。実は、今回「ズレを感じている」ことを伝えたら、ママは「私はあまり感じていなかったので、びっくりした」といいます。どのようにしていけばよいでしょうか。
(お子さん3歳のパパ)

折衷案を目標にして素直に話し合う

回答:石井クンツ昌子さん

夫婦は、もともと違う環境で育ち、それぞれの価値観を持っているので、育児方針に違いがあるのは当たり前です。その違いについて心配することはありません。どちらかの意見を通す、勝ち負けを決めるというより、それぞれが思っていることを素直に話して、折衷案を目標にすれば、解決に結びつくと思います。あえて子どもの前で話し合ってみてもよいと思います。子どもにとって、問題をどのように解決できるのか、学ぶ機会になります。

2人で話し合える時間を作る

回答:泉秀生さん

親がそれぞれ違うことを言うと、子どもが混乱する種になるので、折衷案に向かうのがよいですね。相手を言い負かすようなことは必要ありません。夫婦で話し合う時間をつくっていきましょう。
私の場合は、早朝、子どもが起きる前に、2人で少し話をするようにしています。昨日の子どもの様子を聞いたり、子育てについてそれぞれが勉強したことを伝え合ったりして、お互いの子育てに役立てています。

きちんと考えられるときに話し合う

回答:石井クンツ昌子さん

何らかの解決を導くための話し合いは、お互いにきちんと物事を考えられるときにするのが前提だと思います。例えば、夜遅くに子どもが寝て時間ができたとしても、すごく疲れていたら休んだほうがいですね。

子育てを頑張ってくれているママに「話し合おう」と言いにくいときは?

パートナーを尊重しながら意見交換をする

回答:泉秀生さん

たまにしか育児・家事をしないパートナーに「あれはこうだよ」「何でそんなことしているの?」と言われても、たとえ正論だったとしても、いい気持ちはしないですよね。仕事でもあることだと思います。まずは、相手を尊重して「いつも本当にありがとう」と感謝の気持ちを伝えてみてください。それから「この前、どうしてああいうふうに叱ったの?」のように、意見交換を始めてみましょう。

一方通行の感謝ではなく、お互いに伝え合う

回答:石井クンツ昌子さん

感謝の気持ちをパートナーに伝えるのは、とてもよいことだと思います。また、パパがママに感謝すると同時に、ママもパパに感謝してください。一方通行の感謝では、なかなか変わっていかないと思います。本当に小さな気持ちでもいいので、何らかの形でお互いに感謝を伝え合っていくことが大切です。


妻に子育てに関する意見が言えない⋯ どう話せばいい?

夫婦共働きで子育てをしています。以前は家事を積極的に手伝っていましたが、妻のダメ出しでだんだん嫌になってしまい、最近では指示待ちになっています。妻のやり方や考えが正解になっていて、子育てでも、私が違うことをすると間違いのようになり、自分の意見が言えないことに悩んでいます。
夫婦で食い違いがある状態は、子どもにとっても、あまりよくないと思っていますが、このまま我慢を続ければいいのか、どんなきっかけで話せばよいのか⋯ コミュニケーションのしかたを相談したいです。
(お子さん2歳のパパ)

ふだんの会話の種類を意識する

回答:石井クンツ昌子さん

育児は、誰かに言われてするよりも、子どもの成長に関わりたいという自分の気持ちからするのがいちばんよいですね。
日本では、アメリカなどと比べると、親子の「縦の関係」は非常に意識されますが、夫婦の「横の関係」はあまり重要視されない傾向があります。ふだんの会話の種類を意識してみましょう。
会話の種類は、主に2種類あると言われています。小さな子を持つパパ・ママがよく話すのは「レポート・トーク」です。例えば、「保育園の運動会」「ピアノのレッスン日」など、連絡事項や事実関係の確認について話すこと。もうひとつは、フランス語の「ラポール(つながり・交流)」からきた「ラポール・トーク」。心の奥底にある本心を話しながら問題解決をする話し方です。この「ラポール・トーク」レベルの話し合いができるとよいでしょう。

本心を話すのはなかなか難しいと思いますが、どのようにしていけばよいでしょう?

最初は言葉よりも文字で伝えることで伝えやすくなる

回答:石井クンツ昌子さん

例えば、携帯のコミュニケーションツールやノートを使って、簡単に思っていることを書いてみてください。会話で伝えるのが難しくても、文字であれば、何となく思っていることを素直に書くことができて、話し合いにつながるのではないかと思います。ちょっとした工夫が必要ですね。

ひとりで悩む「“弧”育て」にならないように

回答:石井クンツ昌子さん

パパ友など、周りのパパに相談するのもひとつの方法です。ママもパパも、子育てが孤立して「“弧”育て」になることは避けてください。

パパ友はどのように作っていますか?

職場や保育園などのパパと子育ての悩みを共有する

回答:泉秀生さん

私の場合は、職場でパパになったばかりの人と会話して、子育ての様子や悩み、夫婦関係などを共有しています。子どもの保育園・幼稚園の送り迎えで顔を合わせるパパとは、いろいろと話もできるようになりました。SNSなどでも、気軽に自分が思っていることを話すことができるでしょう。深入りしない仲かもしれませんが、同じ悩みを抱えている人がいることを知ることも大切だと思います。


専門家からのメッセージ 

感謝・コミュニケーション・協働が重要

石井クンツ昌子さん

私は「3K」が重要だと思っています。最初のKは「感謝」で、お互いに感謝すること。次は「コミュニケーション」。最後は「協働」で、何かの目的を共有して、ともに力を合わせて活動することです。「感謝・コミュニケーション・協働」の3つを大事にしましょう。

日々悩みながら楽しみながら子育てに向き合う

泉秀生さん

今の時代、パパは仕事だけをしていればいいのではなく、家事や育児も大事にする。さらに、コロナ禍で、いろいろな悩みを抱えながらの育児になり、大変だと思います。でも、子どもが大きくなったときに「大変だったけど、頑張ってよかった」と思えるのではないでしょうか。私自身を含めて、日々悩みながら楽しみながら、一緒に頑張っていきましょう。

※記事の内容や専門家の肩書などは放送当時のものです