ステップファミリー

すくすく子育て
2022年2月12日 放送

今回のテーマは「ステップファミリー」。パートナーと子どもの関係が気になる、突然親になって一緒に暮らすことに戸惑うなど、子どもがいて再婚した家族ならではの、さまざまな悩みがあるといいます。ステップファミリーという家族の形について、専門家と一緒に考えます。

専門家:
野沢慎司(明治学院大学 社会学部 教授)
緒倉珠巳(ステップファミリー・アソシエーション・オブ・ジャパン 代表)

今回のテーマについて

「ステップファミリー」とは、子連れの再婚という意味になるのですか?

回答:野沢慎司さん

ステップファミリーを子連れの再婚と言いがちですが、少し違います。例えば、家族が離婚を経験し、子どもと母親(実母)が同居している場合に、実母が新しいパートナー(継父)と結婚すると、実母と継父の関係、継父と子どもの関係「継親子(けいしんし)」という関係ができます。一方で、父親(実父)が別居していて、子どもが定期的に会いに行く場合は、子どもから見ると複数の家庭にまたがった関係ができて、関わりのある人物が多くなります。
この例よりも、さらに人物が増えるケースもあります。このような関係の全体を「ステップファミリー」と捉えると、「子連れの再婚」では表現しきれない部分があるのです。

※「継父(けいふ・ままちち)」を「ステップファーザー」、「継母(けいぼ・ままはは)」を「ステップマザー」ともいいます

コメント:緒倉珠巳さん

私自身、20年ほど前に実母の立場でステップファミリーとなりました。当時は、継母・継父がどのような悩みを持ち、どんな親子関係の問題が起きるのかあまり知られていませんでした。「うまく子どもを叱ることができない」といった悩みにも、「親になったんだから」とアドバイスされることが多かったようです。その点は、今でもステップファミリーの難しさとして実感しています。


再婚は子どもにどう影響する?

3年前に離婚し、去年、子どもが6歳と4歳(双子)のときに初婚男性と再婚しました。夫は、私に子どもがいることを知った上で、一緒になりたいと言ってくれて、自分で子どもたちに「ママのことが好きになったから結婚したい。一緒に家族になってほしい」と伝えてくれました。私は子どもたちが受け入れてくれなかったら全力でフォローしようと話を聞いていました。
子どもたちは夫を受け入れ、今は家族5人で暮らしています。子どもたちは夫を下の名前で呼んでいます。夫と子どもたちはとても仲がよく、子どもたちも家族だと思ってくれているようですが、少し不安があります。例えば、学校の参観日のときに、子どもが友達から「○○くんのパパだね」と言われたら複雑な気持ちにならないか、成長にどんな影響があるのか心配です。
(お子さん3人の実母)

結婚したからといって、急に子どもとの関係を変えない

回答:野沢慎司さん

継父を「パパと呼ばなくてもいい」としたり、子どもが下の名前やニックネームで呼ぶことはよくあります。基本的に、親から「こうしなさい」と言わず、子どもが呼びたい呼び方で、継父・継母を呼ぶのがいいでしょう。急に実父・実母に成り代わるのではなく、まずは、一緒に遊んでくれる友達のような関係が、子どもたちも受け入れやすく、適応しやすいと思います。
継父・継母も、「子どもの親としてしっかりしないと」と考えて、頑張れば頑張るほど、自分も子どももつらくなってしまう場合があります。特に、結婚前は「楽しいお兄さん・おじさん」だったのに、急に「父親になったのだから、厳しく叱る」といったことがあるので、そうならないようにしましょう。
いろいろなステップファミリーのケースから、あえてゆるい状態でいることが、徐々に関係をつくる上で大切だと思います。ご相談の家族はとてもよいのではないかと思いました。

事実に基づいて家族をつくっていく

回答:緒倉珠巳さん

例えば、子どもが小さくて、継母から産まれたのか、実母から産まれたのか、よくわからず混乱していくことがあります。実の母がいることをタブーにしないで、事実を話すことが大事です。子どもの発達に応じで、わかるように説明してあげてください。1回だけではなく、成長の過程で、その都度説明が必要になると思います。事実関係に基づいて、ゼロから家族をつくっていくことが大事です。

継父/結婚することに、あまり不安はありませんでした。はじめから「パパ」になるのではなく、「家族」になろうと考えていたんです。子どもたちに受け入れてもらえるかは私次第だと思っていました。
実母/不安はなかったと聞いてうれしいです。どちらかというと、私が「パパになってもらわないといけない」と考えてしまっていたので、専門家の話を聞けてよかったです。それでも、夫に罪悪感を覚えることがあります。例えば、子どものおもらしを夫が掃除してくれたとき、「私の子なのにさせてしまった」と思ってしまうんです。

「申し訳ない」を「ありがとう」に変える

回答:緒倉珠巳さん

ステップファミリーは、もともとの親子であるグループ「インサイダー」に、継父・継母の「アウトサイダー」が加わる構造になっています。

「申し訳ない」という気持ちになるのは、どこかでアウトサイダーを意識しているためでしょう。一方で、アウトサイダーは、インサイダーに入りづらいと感じることが多いのです。「申し訳ない」という気持ちを「ありがとう・助かる」といった言葉に変えてみてください。アウトサイダーは入りやすくなり、自分自身も感謝の気持ちで時間を重ねていくことができると思います。

実母/これからは「ありがとう」で返していきたいと思います。チームの力をよりよくするために必要な時間だと感じました。
継父/いつも、ふわっとしているのでかしこまった形では言えないのですが、子どもたちが毎日笑顔でいられるように、何かできればいいなと思っています。

「ふわっと」という感覚が大事

コメント:野沢慎司さん

子どもたちにとって「ふわっと」した感覚は、とてもいい状態だと思います。なかなかできないところがありますが、「ふわっと」がキーワードになると思います。


継母として、どう子どもに関わればいい?

1年ほど前に、2人の子がいる男性と結婚しました。夫は子どもたちに、「前のママとは一緒に暮らすことができなくなって離婚した。これからはこの人と一緒に住む。たまに前のママと会うことができる。パパはずっと子どもたちのそばにいる」と伝えて、私と結婚したいと相談してくれました。父親から話すことで、子どもたちなりに理解して、一緒に暮らしはじめることができたと思います。それまでに子どもたちと交流を重ねて、とてもなついてくれて、子どもたちも一緒に住むことをよろこんでくれました。
もともと保育士で、小さな子どもとのコミュニケーションには支障がないと思っていました。でも、突然母親になって、母親として子どもを育てることは未知の世界でした。「お母さん」と呼ばれたり、突然抱きつかれたりして、重荷に感じてつらかったんです。子どもたちが求めてきているのに応えられない、応えないといけないのにできない。そんな葛藤があります。結婚前は、たくさんだっこしたり、スキンシップしていたのですが、「母として」と考えると難しさを感じます。継母として、どう子どもに関わっていけばいいのか、どうやって幸せな家族をつくっていけばいいのか悩んでいます。
(お子さん2人の継母)

母としてではなく、あなたという人間との関係を大切に

回答:緒倉珠巳さん

「お母さん」にならなければいけないという思いから、一生懸命頑張っているのだと思います。保育士の経験から、スキンシップなど、どんな関わり方がいいのかを知っているだけに、難しさが増しているのではないでしょうか。
こうあるべきではなく、子どもたちが一緒に暮らせることを喜んでくれたときの、あなたという人間とのあたたかな関係性を大切にしてください。そこから、少しずつ関係を増やしていけると思います。「お母さん」ではなく「ステップマザー」を目指すわけです。

応えないといけないと考えることをやめたほうがいい

回答:緒倉珠巳さん

子どもは突然スキンシップをしてくることが多いので、戸惑いは無理もないと思います。スキンシップに応えないといけないと考えているかもしれませんが、断ってもいいのです。ただ、断るときには、「後にしてね」「今はちょっとやめてくれるかな」と優しく伝えて、別の機会にきちんとコミュニケーションをとる。例えば、ハイタッチやハグなど、できる範囲で触れ合うことで、親密感は増していきます。まず、すべてに応えないといけないと考えることを、やめたほうがいいでしょう。

実父/妻は保育士だったので、子育てに関しての不安はなかったのですが、母親として子どもと接することは全く違うことだとわかって、何度も子育ての悩みについて相談しています。

実の親は継親の話を聞いて、共感してほしい

回答:緒倉珠巳さん

実の親の立場では、継親の気持ちをなかなか実感できないことが多いようです。わからないなりに、パートナーの話を一生懸命聞いてほしいと思います。否定することなく、「そんなふうに思っていたんだね」「それはつらかったね」と共感することが大切だと思います。

理想を目標にしないで、今できることを少しずつ積み重ねる

回答:緒倉珠巳さん

このような難しさは、どんなステップファミリーにも多かれ少なかれあります。インサイダーとアウトサイダーの関係も、同様に必ずあります。パートナーが協力して、話し合って、戦略的に関係をつくっていく経験を重ねることで、徐々に違和感を小さくできると思います。理想を目標にせず、今できることを大事にして、少しずつ積み重ねていきましょう。

実親と子どもたちだけの時間も大事。子どもたちもバランスが取りやすくなる

回答:野沢慎司さん

実父とお子さんだけの時間を意識的につくってみてください。遊んだり、お風呂に入ったり、そのような時間をつくるように心がける。その時間は、継母の休み時間にもできます。また、離れて暮らしている実母と過ごす時間もつくると、子どもたちはバランスを取りやすくなると思います。

継母/ステップファミリーであることを、まわりにどう伝えたらいいでしょうか。隠すつもりはないのですが、会った人たちにいちから伝えるのがいいのか、どこまで伝えたらいいのか悩んでいます。

伝えるのはメリットとデメリットがある

回答:緒倉珠巳さん

現在、特に継母の立場では、保育園などで母親としての対応を求められることが多く、大きなストレスになると思います。信頼できる先生であれば、継母であることや、自分のリクエストを伝えておくことが大事です。
ただ、子どもの環境はどんどん変わります。例えば、学校に入学するとき、学年があがるときなど、いろいろな人との関係ができます。継母であることを応援・サポートしてくれる方もいますが、子どものトラブルがあったときに継母であることをネガティブに評価する社会のようなものもあります。メリットとデメリットがありますが、当事者の問題というより、社会の問題だと感じています。


シングルマザーです。つきあっている彼を子どもにどう伝えたらいい?

シングルマザーです。今、おつきあいしている方がいます。子どもには、いつどのように彼の存在を伝えたらいいでしょうか?

最初から少しずつ事実を伝える

回答:緒倉珠巳さん

子どもは、親の離婚・再婚・つきあう人などに関与できない立場です。でも、親に何かが起こっていることは感じるものです。
私の場合は、子どもに段階を踏んで「好きな人ができた」「つきあい始めた」「大好きな人だ」と説明して、「あなたのことも大事に考えてくれる人だよ」と、ずっと伝えました。すると、子どもは「まあ、しかたがないね」のような感じで受け入れてくれたんです。最初から、少しずつ、きちんと事実を伝えることを大事にしていました。


再婚後に子どもが生まれたとき、再婚前の子どものケアは?

再婚後に子どもが2人生まれました。再婚前の上の子に、どんなケアを考えたらよいでしょう?

実親と子ども・継親と子どもなど、1対1の時間をとる

回答:野沢慎司さん

例えば、継父と実母のあいだに子どもができると、上の子は母親をとられたように感じることがあります。また、継父・実母・生まれた子のグループがインサイダー、上の子がアウトサイダーとなって、疎外感がでてくることもありえます。そのため、実親と子ども、継親と子どもなど、1対1の関係を大事にしてください。例えば、1対1のコミュニケーションをとる時間をつくって、注意していくのがよいでしょう。


専門家から
これだけは言っておきたいメッセージ

家族を大きな器で考えて、子どもの人生を豊かに

野沢慎司さん

ステップファミリーを、子どもとお母さんと新しいお父さんといった形式で考えずに、ふわっとした感覚で、大きな器として考えてみましょう。子どもたちに関わる大人がどんどん増えていく家族がステップファミリーだと理解できれば、子どもたちにとって豊かな人生になると思います。

自分たちなりの思いやりを大事にした関係をつくる

緒倉珠巳さん

「家族」だと考えると、何となく既存の「家族」になっていくことを想像するかもしれません。私の経験では、ステップファミリーをきっかけに、お互いにいろんな言葉かけや配慮をしていくことで、これまでと違った家族、親子関係、継親子関係がつくれて、夫婦関係も密なコミュニケーションがとれるようになったと感じます。既存の家族を目指すのではなく、自分たちなりの思いやりを大事にした関係をつくってほしいと思います。

※記事の内容や専門家の肩書などは放送当時のものです