ペットと子育て

すくすく子育て
2022年1月22日 放送

子どもとペットが仲よくしてくれない、ペットを飼うか迷っている、いいことや気をつけることを知りたいなど、「ペットと子育て」について専門家と一緒に考えます。

専門家:
濱野佐代子(帝京科学大学 准教授)

子どもに「ペットを飼いたい」と言われたら、どうすればいい?

半年前、息子(6歳)が「ペットを飼いたい」と言い出しました。あまり外で遊ばないことが心配でしたが、「ペットがいたら外に行く」と言うのです。これがいいきっかけになればと思う一方で、ペットの世話は大変です。息子が自発的に、責任を持って最後まで世話できるのか心配です。
私自身、犬を飼った経験があるので、その大変さも、ペットとの生活のよい側面もわかります。現実的には、仕事・家事・育児を考えると難しいと感じますが、親が面倒だからという理由で、その機会を奪ってしまっていいのかと悩んでしまいます。
(お子さん6歳・3歳のママ・パパ)

飼う前に家族で考える時間が必要

回答:濱野佐代子さん

ペットを飼う前に、家族で一緒に考える時間が必要です。最後まで幸せに飼ってあげられるのか、子どもにも考えてもらうのであれば、例えば、「もし捨てたりしたら、生きていけないんだよ」のように、子どもでもわかるようにきちんと説明しましょう。その上で、一緒にペットを迎えるかどうかを決めてください。

子どもに手がかかる場合は、余力があるかを考えてから

回答:濱野佐代子さん

子どもにまだ手がかかる場合など、現時点でペットを飼う余力があるかどうかを考えてください。保護者にペットの飼育経験があるかどうかも関係していると思います。例えば、犬を飼うとどのような生活になるのか、どのような世話が必要なのかわかっているほうが、はじめて飼うよりも余裕があると思います。余裕がないと感じる場合は、ペットを迎えることを先延ばししたほうがいいかもしれません。

ペットを飼うことは、命を考えることでもあると思います。子どもの情操教育にもなるのでしょうか?

ペットの飼育は情操教育につながる

回答:濱野佐代子さん

ペットを飼う状況が整っていれば、子どもの情操教育につながると思います。幼少期から小学校低学年のころまでに飼うのがよいでしょう。ペットを飼っている自分を尊敬できたり、きちんと世話をしないといけないという気持ちが忍耐力・責任感などにつながると思います。
このとき、ペットとの愛情関係や信頼関係を築けていることがとても重要です。小さな時期はまだ言葉が発達途中で、自分の気持ちを表現することが難しいときがあります。そんなときは、ペットをだっこしたり、なでたり、スキンシップする。言葉を介さないペットとの関係が、子どもにとって心地よい場所になるかもしれません。将来、まわりの人と愛情・信頼関係を築くことにもつながると思います。

ペットが亡くなったとき、ショックを受けた子どもとどう関わればいいでしょう?

命の大切さを実感する機会に

回答:濱野佐代子さん

ペットが亡くなったら、大人もそうですが、子どももとても嘆き、悲しみますよね。その経験は、命はひとつしかないという大切さを実感する機会でもあります。今後、大切な人を失う経験や、つらい思いをするなど、人生でいろんなことに遭遇すると思います。そのとき、ペットを亡くした悲しみを乗り越えた経験が、そこを乗り越え、回復する力になるのではないでしょうか。

一緒に悲しむなど、子どもに寄り添うことが大事

回答:濱野佐代子さん

子どもが悲しみから立ち直るためのサポートとして、寄り添うことが大事になるでしょう。親として「自分が悲しむ姿は見せないほうがいい」と考えるかもしれません。でも、大切な家族の一員であるペットを亡くしているわけですから、子どもと一緒に悲しんでもいいと思います。

「あなたのせいじゃない」と教えてあげる

回答:濱野佐代子さん

小さい子どもの場合、「自分のせいでペットが死んでしまった」と、実際は関係がなくても思ってしまうことがあります。そんなときは、「あなたのせいじゃないよ。違うんだよ」と教えてあげてください。


ペットが引き起こすアレルギーには、どんなものがあるの?

2か月前に出産したばかりですが、3年前から完全室内飼いの猫を飼っています。うちの猫は抜け毛も多くブラッシングをしていてもなかなか減りません。生まれた息子が猫アレルギーにならないか心配です。
(お子さん2か月のママ)

ペットを飼う上で気になる「アレルギー」について、小児アレルギーの専門家、大矢幸弘さん(国立成育医療研究センター アレルギーセンター長)に話を聞きました。

ペットのアレルギーは、ほかのアレルギー疾患と同じ症状が出る

回答:大矢幸弘さん

ペットが引き起こすアレルギーには、アトピー性皮膚炎など、いろいろなアレルギー疾患と同様に、アレルギー結膜炎、ぜんそく、じんましんなどの症状があります。鼻水、くしゃみ、目のかゆみといった症状がよくみられるので、注目しておきましょう。
また、ぜんそくやアトピー性皮膚炎の診断を受けている方は、ペット以外にも刺激になるものがあるため、判断が難しいと思います。ぜんそくの発作をよく起こして、なかなかコントロールできないといった場合、ペットが原因であることもあります。アトピー性鼻炎を治療しても、なかなかよくならない場合も、ペットのアレルギーも疑ったほうがいいかもしれません。

症状が出る前に、アレルギーを持っているか調べることはできますか?

事前に検査する方法がある

回答:大矢幸弘さん

アレルギーを持っているかを事前に検査する方法があります。例えば、採血した血液でアレルゲン検査を行って、犬・猫などの抗原に対して陽性になるか調べることができます。採血の他にも、皮膚に直接アレルゲンを接触させて反応を見る「プリックテスト」と呼ばれるものもあります。
ただし、子どものときに大丈夫でも、大きくなってからも大丈夫とは限りません。年齢が上がるほど「感作」を受ける人の割合が増えていきます。その点を覚えておきましょう。
ペットを飼っていて、アレルギー疾患があるので気になるという方は、犬や猫、その他ハムスターなど、いろいろなアレルギーを調べることもあります。
※感作(かんさ):アレルゲン(抗原)が体内に入り、アレルギー反応を起こしやすい体質になってしまうこと。

もしも子どもにアレルギーの症状が出た場合、どうすればいいのでしょうか?

ある程度は薬で症状を抑えることができる

回答:大矢幸弘さん

ペットによる刺激があっても、ぜんそくやアトピー性皮膚炎など、ほかのアレルギー疾患と同様に、ある程度、薬によって症状を抑えることができます。でも、抑えることができない場合は、体のほうを優先して、ペットを手放すことなどを考えてください。


ペットを手放すときのことも考えておく

コメント:濱野佐代子さん

アレルギーを薬でも抑えられない、居住空間を分離しても難しいなど、医師からそういった診断があった場合は、やむをえずペットを手放すという悲しいことが起きるかもしれません。その場合に備えて考えておくことも大事です。ペットを手放すことになったら、責任を持って新しい飼い主を探してあげてください。事前にアレルギーを調べることは大切だと思います。

アレルギーのほかに注意しなくてはいけないことはありますか?

ペットには感染症のリスクもある

回答:濱野佐代子さん

アレルギーのほかに、ペットには感染症のリスクもあります。例えば、身近なカメやハムスター、インコなどから感染する病気があります。犬や猫が口元をなめたりするのも注意してください。ペットと適度な距離感を保ち、動物を触ったら手を洗う、排せつ物をすぐに処分するなど、基本的な感染症対策を行うようにしましょう。


子どもとペットが仲よくするにはどうすればいい?

子どもが生まれる前から犬を飼っていて、ときどき娘(2歳)が犬に乱暴するので困っています。1歳のころは「ダメだよ、痛いよ」と言えば聞いてくれたのですが、今はわざとやるようになり、言っても聞きません。さすがに犬もストレスになったようで、頬のところをかんだことがありました。娘の行動は突飛で注意しきれないこともあります。このままでは、どちらかがケガをするのではないかと心配です。仲よくするには、どうすればいいでしょうか?
(お子さん2歳のママ・パパ)

動物の気持ちを代弁するのは有効

回答:濱野佐代子さん

「ダメだよ、痛いよ」のように、動物がどう感じているかを教えてあげることは大切です。相手の立場になって考える練習にもなります。動物の気持ちを代弁するのは、有効な方法だと思います。

子どもとペットが楽しめる遊びを提供する

回答:濱野佐代子さん

子どもとペットとのいざこざが、楽しい遊びに変えられるといいですね。どうすれば、両方が楽しくなるのか考えてみましょう。例えば「ボールを使って遊ぶんだよ」と教えるなど、子どもとペットが楽しめる遊びを提供することが効果的です。

実際にペットにかまれるという事故も起きていると思いますが、どう防げばいいですか?

ペットと子どもだけにしない

回答:濱野佐代子さん

まず、ペットと子どもだけにしないことです。必ず、大人の目が届く範囲で触れ合わせてください。ふだんはおとなしい犬でも、怖い思い、痛い思いをすると、自分を守る行動をとる可能性もあります。

ペットへの興味や探索心は大事に

回答:濱野佐代子さん

お子さんは関心があってペットに手を出していると思います。そのため、単にペットから遠ざけるのではなく、どんなことをするとペットが嫌なのか、どんなふうに関わればいいのか伝えましょう。ペットに対する興味や探索心を育てつつ、適切な関わり方を教えてあげるのがいいですね。

大人が、子どもの手本になるような関わり方をすることが重要ですか?

暴力でペットをしつけると子どもに悪影響

回答:濱野佐代子さん

そうですね。思い通りにならないからといって、大人がペットをたたいたり蹴ったり、暴力でしつける、恐怖心をあおるのはよくありません。子どもが、その行為を模倣してしまうかもしれないので、必ず避けてください。


専門家からのメッセージ

人とペットが幸せに暮らすことで、子どもによい影響がある

濱野佐代子さん

迎え入れる準備が整ったときが、ペットを飼うタイミングだと思います。ペットを飼うことは、子どもの世界を広げる豊かな経験になるでしょう。誕生と成長、老いと死を体感することになります。そして、ペットが最期のときを迎えるまで、責任を持って飼育することが重要です。人とペットの両者が幸せに暮らすことで、子どもの成長によい影響を与えられるのではないかと考えています。

※記事の内容や専門家の肩書などは放送当時のものです