離乳食と子どもの貧血

すくすく子育て
2022年1月8日 放送

初めての離乳食は迷うことが多いですよね。子どもの食が細くて、食べられるものが増えない! 赤ちゃんは貧血になりやすい? など、親子で元気にごはんを楽しめるように、専門家と一緒に考えます。

専門家:
太田百合子(東洋大学 講師/管理栄養士)
江田明日香(小児科専門医)

離乳食を始めたばかり。こんな感じで大丈夫?

娘(5か月半)の離乳食を始めて8日目です。パパは釣りが趣味で、ハーフバースデーには釣った白身魚を離乳食にしてあげたいと思っています。離乳食の本を読むと、魚をあげられるのは離乳食を始めて約3週間後とありました。ハーフバースデーに間に合うように、そこから逆算して離乳食を始めたわけです。ただ、離乳食を始めるタイミングや、最適な時期があるのか気になります。離乳食で気をつけるところも知りたいです。
(お子さん5か月半のママ・パパ)

子どもの発達をみながら離乳食を始める時期を決める

回答:太田百合子さん

子どもは、成長とともにいろいろな栄養が必要になるため、母乳やミルクからの栄養だけでは足りなくなります。離乳食は5~6か月ぐらいからといわれていますが、子どもの発達には個人差があるので、子どもの様子を見てタイミングを決めてよいと思います。

離乳食を始めるサインを参考にする

回答:太田百合子さん

離乳食を始める子どものサインとして、「お座りが自分でできる」「首がすわり寝返りができる」「大人が食べる様子を見て、口を動かす、欲しそうにしてよだれを出す」「スプーンなどを口に入れても舌で押し返すことがない」などがあります。このようなサインがいくつか出てきたら、そろそろ離乳食を始めようと考えてもいいでしょう。

離乳食のために、何か準備できることはありますか?

子どもの姿勢を安定させる工夫をする

回答:江田明日香さん

子どもが食べやすい姿勢にも注目してみてください。椅子の背もたれが深かったり、足がぶらぶらしたりすると、姿勢が安定せず食べづらいものです。

足の裏全体でしっかり踏ん張れて、背骨がまっすぐに立ち、腰と背中が安定する椅子にしましょう。

テーブルの高さは、へそと胸の間くらい、ひじがつける程度にすると自分で食べやすくなります。合わない場合は、タオルや箱、踏み台や雑誌などを使って体がぐらぐらしないよう調整するといいでしょう。テレビやスマートフォンの画面やおもちゃなどが目に入らないようにすることも大事です。

離乳食の本に書かれたカレンダーを参考にして進めています。書いてある通りにしたほうがいいでしょうか? 例えば、「初めての食材は3日間続ける」と聞きますが、子どもが大丈夫だと1~2日でやめることもあります。

本を参考にしながら子どもに合わせてアレンジ

回答:太田百合子さん

離乳食の本は、離乳食を知らない、作ったこともないという保護者の方に、「こんなふうにすれば、赤ちゃんの消化にもいい、進めやすいですよ」と紹介するものです。子どもは、大きい子もいれば小さな子もいて、いっぱい食べる子もいれば、少ない子もいます。本はあくまでも目安と考えましょう。離乳食の全体の流れがわかったら、子どもに合わせてアレンジしていけばいいと思います。

<食べさせてはいけないもの>

消化機能が未熟な時期に食べさせてはいけないものを覚えておきましょう。まず、はちみつは加工品も含めて1歳未満は食べさせないようにします。牛乳を飲み物にするのは1歳まで避けます。生の肉や魚は消化できず、食中毒などの恐れがあるので、必ず加熱するのが基本です。

離乳食の初期に注意することは?

10倍がゆでは栄養が足りなくなる場合がある

回答:江田明日香さん

日本では、離乳食初期は「10倍がゆ」からといわれていますが、10倍がゆやポタージュのような水分の多いものは、母乳やミルクよりも単位あたりの栄養価が少ないことに注意しましょう。実際に、長い間10倍がゆを食べていて、授乳の量が減り、体重が減ってしまったケースもあります。本の通りでは栄養が足りなくなることもあるので、「この時期は何を何グラム」と気にしすぎず、子どもの様子や体重を見ながら離乳食を進めていきましょう。

子どもに不足する栄養を補う食事を心がける

回答:江田明日香さん

最近、主にWHOが提唱している「補完食」という考え方が、日本でも広く知られるようになりました。母乳やミルクでは不足してしまう栄養をとるための子どもの食事を指します。従来の離乳食の進め方にとらわれ、悩みすぎないようにして、きちんと栄養が補える食事を心がけましょう。

離乳食の初期は「慣らし」の時期

回答:太田百合子さん

離乳食の最初は「慣らし」の時期です。お米は日本の食文化で、エネルギーの元でもあるので、最初にあげようといわれているわけです。とはいえ、おかゆをすり潰すとのりのようになって、赤ちゃんが飲み込めずに苦手になってしまう場合があります。そのため、まずは水分の多いおかゆを飲み込むことを覚えて、その後に、徐々に水分を減らしていくとよいでしょう。
初期のころは、栄養のほとんどは母乳やミルクなので、赤ちゃんが飲みたいだけ母乳やミルクを与えることも大事です。

食べ過ぎに注意。こまめに体重をチェック

回答:太田百合子さん

食べ過ぎて消化不良を起こしてしまったり、肥満になってしまう子どももいます。こまめに体重をチェックしながら、食事の量をコントロールしてあげるとよいでしょう。


食べる量が少なくて品数を増やせない。どうしたらいい?

コロナ禍で自治体の離乳食教室などが中止になったため、本やネットを参考に離乳食を進めてきました。でも、6~7か月くらいから、スプーンや皿で遊んだりして、離乳食がなかなか進まなくなりました。ほとんど食べてくれない時期が1か月ほど続いて、新しい食材やアレルギーのあるもの、肉や魚もあまり試せていない状態です。
例えば卵は、「固ゆでの卵黄を少量から。徐々に増やして全部食べられるようになったら卵白に進む」と本に書いてありました。でも、息子は小食で、卵黄を丸ごと食べるのが難しく、卵白に進むのが遅くなってしまいそうで心配です。健診では「発育に問題はない」と言われましたが、食べられるものが増えないことが心配です。
(お子さん10か月のママ)

食物アレルギーに気をつけたい食材は、病院にかかれる時間に

回答:江田明日香さん

卵は食物アレルギーの頻度が高い食材で、しっかり加熱することがとても大事です。そのほか、乳製品や小麦も頻度が高いので気をつけましょう。こういった食物アレルギーに気をつけたい食材を初めて試すときは、もしもを考えて、かかりつけの病院が開いている時間帯だと安心ですね。野菜などの食物アレルギーの頻度が高くない食材は、比較的進めやすいと思います。

食物アレルギーのリスクを考慮して進め方を考える

回答:江田明日香さん

卵黄を丸ごと1個食べられないと卵白に進めないわけではありません。食物アレルギーのリスクの少ない子どもであれば、ある程度卵黄を進めた段階で、異常がないなら、しっかり火を通した卵白を試してもよいかと思います。
かゆみを伴う湿疹があるような、食物アレルギーのリスクが高い子どもは、必ず医師に相談して離乳食を進めるようにしましょう。

リスクが低い場合、離乳食を遅らせても食物アレルギー予防にならない

回答:江田明日香さん

食物アレルギーのリスクが低い子どもは、離乳食を遅らせても食物アレルギーの予防にはつながりません。早い時期から、さまざまな食材をバランスよく食べるほうが、予防効果が高いといわれています。

「自分で食べたい」を大事に

回答:江田明日香さん

お子さんがスプーンを持ちたがるのは、自分で食べたいという意欲の表れだと思います。食べさせてもらうより、自分で食べることがすごく好きなのかもしれませんね。離乳期の子どもは、自分で食べる力を育てていく時期でもあります。例えば、スプーンを親が食べさせてあげる用と、子ども用を別に用意するなど、子どもが自分で食べられる環境にすれば、より食欲が育まれるかもしれません。

子どもが食べやすい長さ・やわらかさにする

回答:太田百合子さん

子どもが自分で手づかみ食べをするとき、食べものをグーで握って拳の中に入り込んでしまうと食べにくいので、少し手から出る4~5cmぐらいの長さにして、かじりやすくするといいでしょう。バナナぐらいの軟らかさまでゆでた、にんじんや大根の野菜スティックなどがいいと思います。キャベツの芯もコトコト煮ると甘みが出ておいしいですよ。

口に入れすぎて、のどを詰まらせないようにするには?

子どもの様子を見ながら食材を調整する

回答:太田百合子さん

最初は慣れなくて口の奥まで入れてしまうことがあるので、子どもから目を離さないことが大事です。子どもの食べる様子をみながら、カットする長さを調整しましょう。また、食材によっていろんな食感があるので、食材によっては手元でつぶしたり、細くしてあげるといいですね。


子どもの貧血が悪くなったらどうなる?

子どもが1歳1か月のときに、軽度の鉄欠乏性貧血だとわかりました。医師からは、薬に頼るほどではないので鉄分を補給できる食事の指導がありました。でも、指導された赤身の肉はパサパサしていて子どもがなかなか食べてくれません。レバーは食べてくれるのですが、メニューがマンネリ化してしまっています。子どもの貧血はよくあると思いますが、悪くなったらどうなるのでしょうか。
(お子さん1歳5か月のママ)

<鉄分を含む食材について>

鉄が多く、吸収されやすい食材は、特に赤身の肉や魚、レバー、貝類などです。豆類や卵、ほうれん草などは、ビタミンCといっしょに食べると吸収されやすくなります。

早い段階から鉄分を補充する食事が大事

回答:江田明日香さん

貧血の多くの理由は、子どもも大人と同じように鉄不足です。早い段階から鉄を補充する食事が大事になります。

鉄不足が進んで貧血になると、顔色が悪くなったり食欲や注意力が低下するなどの症状があらわれることがありますが、赤ちゃんだとなかなかわかりません。さらに、鉄が不足することで、身体の発育、脳や神経の発達に影響が出ることがあります。
赤ちゃんがおなかの中で母親からもらった鉄のストックは、生後6か月ほどでなくなってしまうので、鉄の補充が必要になります。
鉄分を補給するメニューは、離乳食の時期に不足しがちなビタミンDや亜鉛も補充できます。栄養は食事からとるのが、自然で効率がいいでしょう。鉄不足を予防するような離乳食を、ぜひ心がけてみてください。

鉄欠乏になりやすい子どものタイプはある?

成長のスピードが速い、主に母乳で育っている、早産児など

回答:江田明日香さん

まず、成長のスピードがとても速い子どもや、体重がとても増えている子どもです。次に、母乳中の鉄分は少ないので、主に母乳で育っている場合も気をつけましょう。また、早産児の場合は、おなかの中で母親からもらう鉄のストックが十分でないため、鉄欠乏のリスクがあるといわれています。

メニューがマンネリ化しないために、できることはありますか?

鉄分の多い食材といろいろな食材を組み合わせる

回答:太田百合子さん

食品はサプリメントではないので、ひとつの食材にいろいろな栄養素が含まれています。メニューがマンネリ化しないためには、鉄分が多い食材を意識しながら、オレンジ色や黄色など、いろいろなものをカラフルに組み合わせるとよいでしょう。青のりやごまを少しふりかけることでも、簡単に鉄分を強化できます。

レバーは鉄分豊富だがほどほどに

回答:太田百合子さん

レバーは、鉄分をいちばんとりやすい食材です。でも、レバーを多くとり過ぎると、ビタミンA過剰症までにならなくても、体内にたまり過ぎてしまいます。ほどほどに使っていただければと思います。

鉄やカルシウムを含むフォローアップミルクを料理に使う

回答:太田百合子さん

9か月以降になると、鉄やカルシウムを含むフォローアップミルクを使えます。シチューの中に入れたり、つぶしたカボチャの中に混ぜると、簡単でミルク味になっておいしく食べられると思います。
※順調に離乳食が進んでいる場合、フォローアップミルクを母乳や育児用ミルクの代わりに与える必要はありません


ここで、鉄分が取れるように食事を改善したママの体験談を紹介します。

息子は主に母乳で育ち、8か月のときに鉄欠乏性貧血と診断されました。6~7か月ごろバナナしか食べてくれない時期があったので、予想していましたが落ち込みました。それから、病院から処方された鉄を補充する飲み薬のほか、鉄を多くとれるように食事を工夫しています。
例えば、鉄分が強化されたライスシリアルや、レバーのパウダーを活用して、必ず食べるバナナに鉄分を含むものをふりかけたりしています。肉や魚のおかずにかたくり粉や豆腐を混ぜて、大好きなバナナの食感に近づけたりもしました。その効果なのか、およそ1か月で貧血は改善しました。
その後も食欲が落ちたときなどにまた貧血の症状が出ることはありましたが、今はいろいろなものを食べられるようになっています。子どもが貧血になっても落ち込んだり、自分を責め過ぎず、早く専門家といっしょに継続的に改善に取り組むことが重要なことかなと思いました。
(お子さん1歳3か月のママ)

鉄欠乏になりやすい子は、必要に応じて赤身の肉・魚・レバーをとる

コメント:江田明日香さん

小児科医としては、体重が増えるペースがとても速くて、食事に偏りがあり、思うように鉄分が取れない時期があったという情報があるとき、鉄欠乏や貧血の可能性を考えます。
赤ちゃんが効率よく食べられる鉄が強化された食品は、まだ種類や量が少ないのが日本の現状です。主に母乳で育っている場合は、鉄欠乏のなりやすさを気にかけて、早い段階から、赤身の肉や魚、レバーといったものを食事に取り入れていくといいでしょう。

赤身の肉や魚を早い段階から食べても大丈夫?

鉄分の入っているベビーフードを活用する

回答:太田百合子さん

赤身の肉は、フードプロセッサーなどを使ってポタージュ状にすれば、初期から食べられます。でも、手間がかかり、せっかく作ったのに食べてくれないと、親としてはつらいですよね。5~6か月から使える鉄分を含むベビーフードもあるので、そういったものも活用するとよいでしょう。


専門家から
これだけは言っておきたいメッセージ

難しく考えずに、家族全体で鉄を意識した食生活を

江田明日香さん

離乳食は、あまり難しく考えずに、「自分だったらこうするとうれしいかな」「こうすると食べやすいかな」と想像してみてください。また、鉄は赤ちゃんだけでなく生涯にわたって気にしていただきたい栄養素なので、家族全体の食育のスタートだと思って、離乳食に取り組んでいただけるとうれしいです。

いちばん大事なのは楽しく食べること

太田百合子さん

離乳食では、栄養はもちろん、そしゃく力や味覚など、いろいろなことを学んでいくことも大切です。そして、いちばん大事なことは、楽しく食べること。楽しく食べてさえいれば、後々いろいろなものが食べられるようになっていくと思います。いろいろな料理方法に挑戦して親子で一緒に楽しく食べることを心がけてください。

※記事の内容や専門家の肩書などは放送当時のものです