もっと知りたい! 感染症

すくすく子育て
2021年11月6日 放送

新型コロナウイルスやRSウイルスなど、子どもの感染症は心配ですよね。今回は、感染症についての、みなさんからの質問に専門家が答えます。

専門家:
勝田友博(聖マリアンナ医科大学/小児科医)
宮里暁美(お茶の水女子大学 教授/保育学/認定こども園元園長)

家庭内感染は何に気をつければいい?

3人の子どもを育てています。ふだんから感染症が心配です。誰かが感染しても部屋を別にしたりできないし、小さい子にはマスクできません。パパは仕事で家にいないので、どうしても子どもたちと一緒にいる状況になります。2歳になる次男は、赤ちゃんの妹が大好きで、せきをしていてもくっつきたがります。「手で口をおさえて」と言っても、イヤイヤです。誰かが感染したら、家族みんなが感染するくらいの気持ちでいます。家庭内感染は、何に気をつければいいですか?
(お子さん6歳・2歳・9か月のママ)

感染経路をひとつでも減らす

回答:勝田友博さん

仲よしで接触が密な家族は、どうしてもウイルスが広がりやすいですね。家庭にウイルスが入ってしまうと、消し去るのは難しいと思います。子どもたちが、園や学校で感染してしまうこともあります。
とはいえ、少なくとも大人が家庭にウイルスを持ち込まない対策は可能です。大人は子どもに比べて、いろいろな感染予防をしやすいので、対策を徹底し、感染経路をひとつでも減らすことが大事です。

タオルなどを共用せず、接触感染予防する

回答:勝田友博さん

家庭でできる対策のひとつが、ペーパータオルなどを使って、家族でタオルを共用しないことです。接触感染予防として重要なポイントです。

部屋数が足りなくて隔離が難しいときに、できることはありますか?

同じ部屋でも感染経路を理解して対策する

回答:勝田友博さん

小さな子どもの体調が悪いときは、ひとりで寝かせておくわけにもいきません。部屋の数や広さに関係なく、どうしても一緒にいなければいけない状況になります。これは、どんな国でも同じだと思います。一部の空気感染する特別な感染症の疾患以外は、同じ部屋でもできる対策があります。
ひとつは、飛沫感染の予防です。一般的には2mの距離をあけると、せきやくしゃみでの感染予防になるといわれています。最低でも2mをひとつの基準にしてください。どういう感染経路があるのか、ある程度理解することによって、経路を遮断する方法がとれるわけです。

誰と誰の間をブロックするかがポイント

回答:勝田友博さん

小さな子どもの場合は、意識して接触を避けたり、距離をあけることが難しいですよね。このとき、誰と誰の間の感染経路をブロックするかが大事なポイントになります。例えば、0歳のお子さんが感染した場合に、2歳のお子さんは自由にさせて、下の子をベビーベッドなどで2m以上の距離をあける方法もあります。下の子のほうの距離をとる形です。

いろんなことを想定してシミュレーションしておく

回答:宮里暁美さん

これまで接してきた家族の中で、子どもがひとり感染したら、まだ感染していないきょうだいを近所の祖父母に預けていた方がいました。人によってどのような手段があるのか違いはありますが、いろんなことを想定してシミュレーションしておくことが大事だと思います。

保育園での集団感染が不安で、行かせるべきか悩むことがあります。

園での対策と保護者の協力で、子どもたちの安全・安心を守りたい

回答:宮里暁美さん

いろいろなケースがありますね。いちばんは、とにかく園内で感染が広がらないように、園では本当に努力しています。換気や消毒、そして何より子どもたちと職員の体調管理です。そのような対策の中でも起こりうる。その場合は、すぐに保健所や行政に報告して、その後の体制をとることになります。もしも陽性者が出た場合、園で判断できなくなるので、園を閉じることもあります。
保育者たちは、今すごく、子どもたちにいい経験をさせようとしています。例えば、少し早めに迎えに来ていただける場合は、密がどんどん下げられます。あくまでも協力依頼の形で、それぞれの事情に合わせていただきながら、子どもたちの安全と安心を守ろうと考えています。


家庭内感染の体験談

先日、家族4人が新型コロナに感染したというパックンさん(タレント)。当時の様子を伺いました。

家族みなさんの様子はどうですか?

パックンさん

家族全員、元気になりました。私は症状が軽くて、後遺症もありません。息子がいちばん熱を出して、40度を超えました。それでも3~4日でおおむね回復しました。

家庭内感染を避けたかったと思いますが、どのような状況でしたか?

パックンさん

最初に陽性になったのが息子です。はじめての新型コロナの感染で、手探りで感染対策していました。さいわい、部屋の階を分けることができたので、息子は1階で、息子用のトイレも決めました。娘と妻と私は2階で暮らしました。
やり取りのときはマスクと手袋、食事はドアの外に置いて息子に取ってもらいました。食事が終わったらドアの外に出してもらい、食器をビニール袋に入れて、その上からも消毒して片づけました。がんばって対策しましたが、どこからかウイルスがすり抜けて、結局は家族みんなが感染しました。

接触してしまったかもしれないと思う場所はありますか?

パックンさん

お風呂ですね。息子が入るときは、窓を全開にして、換気扇をまわして、残りの3人は遠ざかっていました。同じ空間にいたとすれば、息子がリビングを通る瞬間ぐらいです。

それでも広がってしまったんですね。看病はどうしていましたか?

パックンさん

看病がいちばん難しいですね。特に息子ひとりが陽性のときは、ひとりだけ隔離していましたから。例えば、子どもがインフルエンザになると、汗を拭いてあげたり、氷枕を替えたり、手を握ったりすると思います。でも、新型コロナは近くで看病できません。ドアの外で苦しそうな声を聞いて、親として、それが何よりつらかったです。自分が苦しいことは我慢すればいいのですが、子どもたちの苦しさは、なかなか我慢できないですね。

家族が感染した後は、どうしていましたか?

パックンさん

その後、妻が陽性になったときは、回復してきていた息子が看病してくれました。症状のピークがずれたんです。それから、娘と私も陽性になり、家族間の隔離の必要はなくなって、先に治った人が順番に看病していました。

子育て中のパパ・ママに伝えたいことはありますか?

パックンさん

感染することを想定して事前準備しましょう。もし我が家に隔離期間が訪れたらどうしよう。どこの部屋で隔離するのか、誰に買い物を頼むのか、などです。処方箋をもらっても自分で薬局にいけません。
例えば、近所の方に「お互いがなった場合は頼めるようにしませんか?」といった約束を、事前にお願いしたほうがいいと思います。長くてつらいトンネルですが、出口がないわけではありません。何とか乗り越えられるのではないかと思います。

買っておいたほうがよかった、用意しておけばよかったものはありますか?

パックンさん

私の場合は、のど飴ですね。のどが痛かったので、すぐなくなりました。いつもはすぐに買いに行ける物でも、行けなくなるのが隔離なんです。


新型コロナは症状が出る2日ぐらい前から感染させる力がある

コメント:勝田友博さん

適切な感染予防管理がよくできていたと思います。部屋を分けることは、せきなどからの飛沫感染予防になります。食器をビニールに入れることは接触感染予防で、とても有効です。
ただ、それにも関わらず、家族みんなが感染してしまったのは、新型コロナの特徴でもあります。症状が出る2日ぐらい前から感染させる力があるといわれています。最初にお子さんの陽性がわかった時点で、広がっていた可能性もあります。もちろん、症状が出てから可能な範囲で隔離することで、感染の可能性を下げることができます。


RSウイルスはどう予防したらいいの?

長男が11か月のとき、RSウイルスに感染しました。ぜんそくのような症状になり、入院を繰り返しました。それから、冬になるとRSウイルスの流行が心配で、家では手洗いや消毒など気をつけています。でも、またRSウイルスにかからないか心配です。今は下の子もいるので、もしどちらかがなった場合、家の中での感染も心配です。RSウイルスを防ぐにはどうしたらいいのでしょうか?
(お子さん2歳・0歳のママ)

多くは2歳までにかかる。0歳児は強い症状が出ることも

回答:勝田友博さん

RSウイルスは冬に流行しやすいウイルスの代表格です。多くの子どもが2歳までにかかってしまいます。その後も、2回目、3回目と感染を繰り返しますが、最初の1回目、特に0歳児がかかると、ゼーゼーしたり、高い熱が出たり、鼻水がたくさん出て鼻づまりになったり、いろいろな形で強い症状が出ることもあります。

有効なワクチンがなく、感染力が強い

回答:勝田友博さん

RSウイルスには有効なワクチンがありません。一方で、感染力が強いことでも有名です。飛沫やせき、接触によっても感染するウイルスのひとつです。手に触れると、1時間弱ぐらいは残ってしまいます。
例えば、RSウイルスに感染した子どもの鼻水や唾液などの気道分泌物を拭いてあげて、手を十分に洗わないままほかの子のケアをすると、感染してしまうことがあります。

大人も症状があるときは気をつける

回答:勝田友博さん

実は、大人もRSウイルスに感染します。かかっても軽い症状で、ちょっとした鼻かぜ程度に感じるため、普通に活動できてしまいます。それでも感染する道筋になるため、意図せず親から子どもに感染することが、容易に想像できるのです。大人も症状があるときは気をつける必要があります。

2回目の感染だと軽症になることもありますか?

2回目は軽症であることが多い。1回目、0歳児の感染に注意

回答:勝田友博さん

まず、2回目のときは、それなりの年齢になり、体力がついていることがあります。また、1回目の免疫が残っていて、2回目が軽症であることが多いといわれています。やはり、1回目、特に0歳児が初めて感染した場合は気をつけなくてはいけません。

ウイルスの流行情報をチェック

回答:勝田友博さん

RSウイルスは一般的に冬に流行しやすいウイルスです。地域で流行情報が出始めたときには、十分注意してください。

園からも情報をお知らせする

回答:宮里暁美さん

流行情報をしっかり把握しておくことは大切ですね。園もいち早く保護者にお知らせするようにしています。それぞれが、そのような意識で子どもの様子をみたり、予防的に少し家で過ごすことができる方がそうしたりすることで、感染の拡大を抑えることができると思います。また、重症化を避けられるように努力したいと思っています。


子どもと新型コロナウイルスQ&A

子どもが新型コロナに感染したら、症状はどうなりますか?

一般的な発熱・せき・鼻水のほか、1割ぐらいの人に消化器症状がある

回答:勝田友博さん

一般的な症状として、発熱、せき、鼻水が多いです。また、大人にも言えることですが、1割ぐらいの方に、下痢やおう吐などの消化器症状がみられます。おなかの症状だから新型コロナではないと判断せずに、かかりつけの医師に相談しましょう。

RSウイルスやおたふくかぜと比べると、どれぐらい注意が必要ですか?

新型コロナ以外の感染症にも十分に注意を

回答:勝田友博さん

入院している子どもの患者数や重症度から見ると、新型コロナよりもRSウイルスやインフルエンザのほうが圧倒的に多いです。たしかに新型コロナは社会的に注目されていますが、季節が冬に向かうときは、RSウイルスやインフルエンザなど、もともとよくある子どもの感染症にも十分な注意が必要です。

新型コロナのデルタ株は、子どもがかかりやすいのでしょうか? 重症化しないでしょうか?

子どもだけに流行しやすいわけではない

回答:勝田友博さん

デルタ株が流行して、日本だけでなく、各国で子どもの患者の絶対数が増えています。しかし、子どもにだけ流行しやすいタイプのウイルスではありません。感染力が比較的強く、大人に大きな流行が起こり、子どもにも感染しているわけです。国内では、7割ぐらいの子どもの感染症は、家庭内感染です。結果的に、子どもの患者数が増えていますが、決して子どもだけが危ないわけではありません。

なぜ新型コロナのワクチンを子どもに接種できないのでしょうか? どのような状態か教えてください。
※2021年10月現在

国内外の情報から、接種可能な年齢が設定される

回答:勝田友博さん

これも重要な問題点ですね。通常、ワクチンは10年以上かけて安全性という厚生を十分評価してから、世の中に出ます。新型コロナワクチンの場合は、その時間がなかったため、1年ほどで、重症化が多かった高齢者の方などから接種が開始されました。情報が少ない状態ではじまったわけです。それから少しずつ若い世代にもワクチンが普及し、国内外から小児に使っても大丈夫だという情報が徐々に集まっています。現在(2021年10月)、国内では12歳以上で接種が可能です。
接種するかどうかは、最終的に本人と家族、かかりつけ医との十分な相談が必要だと思います。流行が拡大すると接種のメリットも増えていくので、そのことを考慮して相談する段階に入ってきていると思います。


子どもがかぜをひかないと、免疫力はどうなる?

子どもはかぜをひいたほうが、免疫力があがるのでしょうか?

わざわざかぜをもらいに行く必要はない

回答:勝田友博さん

免疫が活性化されず、免疫をつくる割合が減る可能性はあります。ただ、一般的に0~1歳くらいの子どもは、年に6回かぜをひくといわれていて、少しずつ免疫が上がっていきます。ずっと感染しないで済むわけではないので、免疫をつけるために、わざわざ自分からかぜをもらいに行く必要は全くありません。
また、年齢が上がるにつれて体力もついてきて、重症化しにくくなります。決して、低年齢の間にかからなければいけないと考える必要もありません。


専門家から
これだけは言っておきたいメッセージ

感染症の流行前から、家族で相談しておく

回答:勝田友博さん

子どもたちの中で感染が広がると、予防するのはなかなか難しいと思います。どんな予防的なことができるのか、常に家族で相談しましょう。例えば、手洗いをする、ペーパータオルを使うなど、具体的なことを含めて、感染症が流行する前から、みんなで考えておくことが重要です。

安心と感謝、希望を持ち続けて乗り越えていけるように

回答:宮里暁美さん

本当に考えることがたくさんあります。それでも、心の元気が子どもを支えているかと思います。大人もたくさんの心配があると思いますが、子どもは「大丈夫」と言ってくれる大人がいると安心できます。たくさんの人の世話になりながら、「今日も無事に過ごせた」「ありがとう」といった安心と感謝、そして、希望を持ち続けて乗り越えていけば、きっとすてきな子どもたち、大人たちになるのではないかと思います。

※記事の内容や専門家の肩書などは放送当時のものです