大変!? きょうだいの子育て

すくすく子育て
2021年4月3日 放送

子どもが増えると、なかなか目が行き届きませんよね。ケンカの仲裁はどうすればいい? 上の子と下の子どっちを優先したらいい? きょうだいの子育てについて、専門家と一緒に考えます。

専門家:
汐見稔幸(東京大学 名誉教授/教育学)
渡辺弥生(法政大学 教授/発達心理学)

今回のテーマについて

小さなころの関わり方を大切に

汐見稔幸さん

子どもはきょうだいを選べません。反抗したり、もめたりすることもよくあることです。だからこそ、きょうだいの小さなころの関わり方が大切だと思います。上手に関係を育ててあげれば、将来的に反目し合うようなきょうだいになることもないでしょう。

きょうだいの間に愛を育てる

渡辺弥生さん

きょうだいで親の愛を取り合い、そのために仲が悪くなることもあります。親としては「きょうだいの間の愛を育てよう」といった考えも必要になるのではないでしょうか。


きょうだいのケンカ。どう仲裁すればいい?

長女は4歳、次女が1歳9か月になります。2人で遊べるようになりましたが、ケンカになることも増えました。ケンカのときは、それぞれの気持ちを代弁しながら仲裁するようにしています。
でも、家事などで目を離しているときのケンカは、何が起こったかわからないので、気持ちを代弁したくてもできません。下の子は大泣きしてかわいそうに見えるし、上の子に聞いてもどこまで本当かわかりません。どうしても言葉のわかる上の子に強く言ってしまいます。上の子をケアしたいし、下の子の気持ちも大事にしたくて、平等にしたいけど、どちらをフォローすればいいのか難しいと感じます。どのようにケンカを仲裁すればいいのでしょうか。
(4歳3か月・1歳9か月 女の子のママ)

きょうだいのコミュニケーションを手伝う

回答:汐見稔幸さん

ケンカを収める絶対的な方法はありません。ささいなことから始まるので、「どちらが悪い・どちらをフォローすべき」といったことは考えないほうがよいでしょう。
基本は、きょうだいのコミュニケーションを手伝うことです。例えば、お姉ちゃんに「どうしたの?」と聞いて、妹に「お姉ちゃんは〇〇と思っているよ」と伝える。妹にも「どうしてほしいの?」と聞いて、お姉ちゃんに伝える。そのようにお互いの気持ちを聞いて、代弁してあげることが大事です。子どもも「自分の思いをわかってくれる人がいる」と感じることができます。
ケンカのたびに間に立つのは大変なので、ある程度子どもたちにまかせてもいいでしょう。

警察官や裁判官にならない

回答:汐見稔幸さん

ケンカのときは、親が警察官や裁判官にならないようにしましょう。例えば「あなたが悪い。あやまりなさい」のように決めつけて裁くことです。すると、子どもは「どうして私が⋯」と感じて、しこりが残る場合もあります。それよりも、相撲の行司のように、見守りながら、危ないときはおさえてあげるような関わり方がよいと思います。

気持ちを表現する言葉を教えてあげる

回答:渡辺弥生さん

多少のケンカは、生きていくための解決方法を学ぶ時間でもあります。ただ、子どもは自分の気持ちを表現することがまだ難しいので、親が代弁してあげるのは、とてもいいことだと思います。このとき、「悲しいのね」「悔しいのね」のように、気持ちを表現するボキャブラリーを広げてあげるといいですね。気持ちと言葉がつながっていきます。
また、怒り過ぎたり、悲し過ぎたり、強い感情を調節できる力を教えていくことも大事です。

下の子が泣いているからといって、上の子を責めないで

回答:汐見稔幸さん

親がケンカの仲裁に入ったとき、下の子が役者のように演じていることもあります。例えば、わざと大きな声で泣いて、親を味方にしようとする。そんな考えが半分ぐらいあってもよいと思います。下の子が大泣きしているからといって、上の子をあまり責めないでくださいね。


上の子に厳しくしてしまう。どう声かけすればいい?

長男はもうすぐ小学生で、次男は2歳です。年の差があるので2人への声かけで悩むことがあります。例えば、おもちゃの片づけのとき。下の子は遊びながらでも、手伝うことができれば「上手にできたね」と、すぐに褒めます。一方で、上の子には「ちゃんと片づけて」と言ったり、遊んでいるとすぐに注意したり、下の子に比べて少し厳しくなってしまいます。上の子への期待が大きいのかもしれません。
とはいえ、まだ6歳なので甘えたい気持ちもあるようです。「弟は2歳だからできないよ。あなたは6歳だからできるんじゃない?」のように、「お兄ちゃんだから」とは言わず、年齢で説明するようにはしています。上の子への声かけや伝え方は、どうすればいいですか?
(6歳・2歳5か月 男の子のママ)

ポジティブな声かけを心がけて

回答:渡辺弥生さん

親は、下の子と比べると上の子は“できる”と感じて、たとえできていても「なぜもっとできないの」という気持ちになりがちです。実際はいろいろなことができているので、「こんなにできてすごいね」など、ポジティブな声かけを心がけてみましょう。6歳のころはヒーロー感覚になりたい子も多いので、「ここまでできると完璧だね!」のように、気持ちを盛り上げるような声かけもいいですね。

有用感・成長感・効力感を大事に

回答:渡辺弥生さん

小学校の低学年では「何でもできる」といった万能感を持つ子が多いのですが、小学校の中学年になると「自分はダメ」と思ったり、自尊心が低くなる傾向があります。自尊心が低くならないためには、3つの気持ちを育てることが大切です。誰かの役に立っていると思える「有用感」。誰かと自分を比べるのではなく、少し前の自分と比べて成長していると思える「成長感」。やればできると思える「効力感」。これらを大事にしながら、声かけをしてみましょう。

子ども自身が「できた」と感じるように

回答:汐見稔幸さん

子どもに何かをしてほしいときは、「このあいだの片づけ方と比べたら、ずいぶん上手になったね」など、自尊心をくすぐる言葉や、子ども自身が成長を実感できる言葉を増やしてみてください。「〇〇しなさい」のように、脅すような言葉かけでは、子どもが「自分でやれた」という気持ちになりにくいのです。上の子が、下の子に比べていろんなことができることを、喜びに感じるような声かけを多くしてあげるといいですね。疲れているときなどは大変ですが、できる範囲で心がけてみましょう。


下の子が生まれて赤ちゃん返り。どうすればいい?

次女が生まれた直後から、長女が赤ちゃん返りするようになりました。下の子をだっこしたり授乳したりすると、「ダメ、ダメ」と邪魔してきます。だっこひもなど、自分が使っていたものを妹に使うことも嫌がります。最近では指しゃぶりが増え、妹のことを「好きじゃない。いらない」と言ってしまうこともあります。妹の顔に毛布をかぶせていたこともあり、目が離せません。
ストレスがたまっているのだろうな、もっと優先して遊んであげたいと思いますが、どれぐらい頑張れば落ち着いてくれるのか不安です。赤ちゃん返りの対応は、どうすればいいですか?
(2歳8か月・3か月 女の子のママ)

人間の感情がある限り赤ちゃん返りは起こる

回答:汐見稔幸さん

特に共感能力の高い子どもは、うまく共感できないと強い嫉妬心が生まれることがあります。嫉妬がいろいろな形で満たされず、解消できないため、赤ちゃん返りのような行動が起こるのです。子どもにとって「人生は簡単にはいかない」という経験の始まりかもしれません。人間の感情がある限り起こりうるドラマだと思います。毛布をかぶせたのは、それが危ないという知識はなく、下の子を親の目から隠したかっただけだと思います。
このとき、上の子との時間をつくることが大事です。例えば、下の子が寝ている間に「一緒にお風呂に入ろう」と誘ったり、「大好きだよ。今は下の子が大変だからごめんね」とわかってもらう努力をしたり、ある程度、上の子のケアが必要なことは間違いありません。

上の子が誇りを持ち始めると変わってくる

回答:汐見稔幸さん

お子さんの年齢が、4歳と2歳ぐらいになってくると大きく変わってくると思います。例えば、お姉ちゃんが妹のお世話をして、それを褒めてあげれば、お姉ちゃんであることに誇りを持ち始めると思います。そうなると、嫉妬感情ではない関係がつくられていく。一挙に変わるわけではないと思いますが、少しずつ見守っていきましょう。

上の子に「いちばん信頼してるよ」と言うぐらいでちょうどいい

回答:渡辺弥生さん

赤ちゃん返りのような行動を発達心理学では「退行」といいます。指をしゃぶったり、トイレトレーニングができていたのに戻ったり、いろいろな問題にもつながります。上の子は、親を下の子に取られたと感じて不安になっています。その不安を解消してあげましょう。
例えば、赤ちゃんが寝ている間に「実はお姉ちゃんのことをスペシャルだと思ってる」「いちばん信頼してるのよ」といったことを言うぐらいでちょうどよいと思います。まだ下の子が言葉のわからないうちは、上の子に「いちばん大好きよ」と言ってもいいと思います。


妹が姉の遊びを邪魔する。集中できない子にならない?

もうすぐ4歳の長女は、工作や絵を描くのが大好きです。でも、妹はお姉ちゃんが夢中でやっていることに興味津々で、つい手を出して邪魔してしまいます。どうすればお姉ちゃんを集中させてあげられるか悩みつつ、結局お姉ちゃんに我慢してもらっていました。
そのせいか、最近は絵を描かなくなってしまいました。妹ができたことで、遊びに夢中になれなくなったお姉ちゃんが、集中力がない子にならないか心配です。
(3歳11か月・1歳1カ月 女の子のママ)

保育園・幼稚園での集中力はガヤガヤしているときに必要

回答:渡辺弥生さん

学校や保育園・幼稚園で、何かを学ぶときの集中力を期待しているのかもしれません。でも、そのときの集中力は、まわりでガヤガヤしていても集中できる力で、心配しているような静かな環境での集中とは違います。

イメージを育ててあげると好奇心が強くなり集中力が育つ

回答:渡辺弥生さん

この時期の子どもが持つイメージは、モザイク的ではっきりまとまっているわけではありません。邪魔が入るとイメージがあやふやになって「もうやめた」となりがちです。そのため、親が積極的に入ってあげて、「すごい海になるね」「お魚がいるかな」のように子どものイメージを育ててあげると、まとまりのない遊びがはっきりしてきて好奇心が強くなっていきます。その意味で集中力を徐々に育てることができるといわれています。
子どもがあれこれ次々に手を出すのも、集中力がない・落ち着きがないというより、イメージがモザイク的であるためで、健全な発達だと思います。

本当の集中力はもう少し後の課題

回答:汐見稔幸さん

本当の集中力は、もっと後の発達段階での課題です。例えば、カブトムシを育てておもしろいと思って、昆虫のことばかりに夢中になるのは4~5歳以降だと思います。今の段階で、集中力を心配することはありません。妹のせいで集中力が育たないといったこともありません。ただ邪魔が入って気持ちが変わっただけだと思います。
そのうちに、本当にやりたいことが見つかり、興味を持ったらどんどん集中するようになると思います。

※記事の内容や専門家の肩書などは放送当時のものです