どうあげたらいい? おやつ

すくすく子育て
2020年11月21日 放送

市販のお菓子はどんなものを選んだらいいの? 量はどのくらい? おやつと虫歯の関係は? 甘いものばかり欲しがって心配⋯。そんな悩みが尽きない子どものおやつについて、専門家と一緒に考えます。

専門家:
太田百合子(東洋大学 非常勤講師/管理栄養士)

小さい子どもにおやつは必要なの?

おやつは、エネルギーや栄養素を補う第4の食事

回答:太田百合子さん

幼児期は、体が小さいわりに多くのエネルギーや栄養素を必要としています。でも、まだ内臓や消化器官が未熟で、胃も小さく、たくさん食べることができません。3回の食事だけでは十分なエネルギーや栄養素をとりきれないのです。それを補うのがおやつです。おやつを単に甘いお菓子とみるのではなく、「補食」「第4の食事」だと考えてください。

どのくらいの時期から、おやつを始めればいいですか?

1日3食のリズムができるころ

回答:太田百合子さん

1日3回の食事にリズムが出てきて、日中の授乳量が減ってくるころが目安です。そのころから、おやつが必要になってきます。


おやつの量・栄養・時間は、どうすればいい?

娘は、何時におやつをあげても必ず食べます。毎回食事を完食しているのに、常におなかをすかせているのかなと思うくらい食いしん坊です。おやつと夕ごはんの間隔が1時間ぐらいになることもあり、どのぐらいの量を、いつあげればよいのか悩んでいます。
(1歳2か月 女の子のママ)

おやつの時間を決めることが大事。食事との間隔を2~3時間あける

回答:太田百合子さん

おやつの時間を決めてリズムを作ることが大事です。だらだらと食べさせないようにしてください。おやつの回数は、1歳ごろであれば午前と午後の2回、食事の量が増えてきたら午後の1回、というようにしていきましょう。
食事とおやつの間隔は、2〜3時間あけるのが基本です。外出などで時間がずれたときは、無理にあげる必要はありません。

おやつの量の目安はどのくらいですか?

1日のエネルギー消費量の10~15%

回答:太田百合子さん

非常に個人差がある部分ですが、1日のエネルギー消費量に対して10~15%ぐらいといわれています。エネルギーの目安は、体型や性別による違いもありますが、1~2歳では100〜150kcal、3〜5歳では150〜200kcalほどになります。

例えば、バナナ1本・りんご半分が約80kcal、牛乳(コップ1杯)が約70kcalです。右の市販のお菓子は、それぞれ1皿分で100kcalです。種類によって違うので、袋に書いてあるエネルギー量を確認してください。これらのおやつのバランスをみて、「午前はお菓子小袋1個と麦茶。午後はバナナ半分と牛乳」のように、組み合わせてあげるといいですね。

ごはんもよく食べて、おやつもたくさん食べるような場合、どんどん食べさせてもいいんですか?

急激な変化がなければ大丈夫

回答:太田百合子さん

急速に体重が増えるなど、成長曲線を大きく上回るようなことがなければ、それほど気にしなくても大丈夫です。元気いっぱいに動いているから、たくさん食べることもありますよ。

1~2歳のころは食べむらもある

回答:太田百合子さん

例えば、食べているときに寝てしまったり、いつもは元気だけどまったく食べない日があったり。1~2歳のころは、そのような食べむらがよくあります。あまり食べていないときは、その分をおやつで補充しましょう。食事並みに食べさせても大丈夫ですよ。

おやつはバナナや子ども用のお菓子が多く、炭水化物に偏りがちです。栄養のバランスで気をつけるポイントはありますか?

炭水化物は問題ない。不足しがちな栄養素も考えてみる

回答:太田百合子さん

そもそも、おやつにはエネルギーを補給する意味もあるので、炭水化物に偏ったとしても問題はありません。むしろ、バナナにはビタミンやミネラルなど他の栄養素も多く含まれています。
でも、全体的に見ると、鉄分とカルシウムが不足しがちです。その部分は少し考えてみるといいですね。

例えば、しらすを混ぜたおにぎり、きなこと砂糖であえたマカロニ、野菜を混ぜた蒸しパンなどは、鉄分やカルシウムを補うことができるのでおすすめです。そのようなおやつを上手に取り入れてみましょう。


夜、寝る前におやつを食べてもいいの?

夜、パパが仕事から帰ってきて夕食をとるとき、息子が一緒にお菓子やごはんを食べたがります。寝る直前だったりするので、やめたほうがいいなと思いつつ、何度もせがんでくるので、つい食べさせてしまいます。寝る前におやつを食べてもいいのでしょうか。
(2歳7か月 男の子のママ)

夜食は必要ないが、一緒に食べる楽しさは大事

回答:太田百合子さん

大人と同じように夜食は必要ないと思います。でも、誰かと一緒に食べる楽しさは、人間特有のもので大切にしたいですね。一緒におやつを食べたり、少しおすそ分けしてもらったりしてもいいのではないかと思います。夜食べるなら、消化のよいものを少しだけにしましょう。

保育園から帰ってきた後など、夕食の前に欲しがる場合はどうすればいいですか?

夕食に影響しないエネルギーが少ないものを

回答:太田百合子さん

夕食の時間がすぐであれば、食事の準備を手伝ったり、味見をさせたりすると満足して待てる場合もあります。夕食まで1〜2時間ほどかかる場合は、小腹も空くと思うので、脂肪分の少ないラムネ、ヨーグルト、薄切りのリンゴなど、夕食に影響しないエネルギーが少ないものを用意してあげるといいかもしれません。


甘いお菓子やジュースばかりで大丈夫?

息子はクッキーやチョコなどの甘いお菓子が大好きなので、甘いものばかりを食べたがります。飲み物も甘いジュースが大好きで、お茶や水は飲まずに「ジュースほしい!」と言ってきます。水分はとってほしいので、しかたなく与えています。甘いものばかりになってしまい、よくないのではないかと思っています。どうすればいいのでしょうか?
(2歳1か月 男の子・6か月 女の子のママ)

甘いものだから悪い、というわけではない

回答:太田百合子さん

甘いものだから悪い、というわけではありません。エネルギーの元になりますし、リラックス効果もあり、頭を働かせてくれる物質もあります。ただ、糖分によって短時間に血糖値が上がって、その後も急に下がると、また甘いものが欲しくなってしまいます。このような悪循環に陥りやすいので、だらだらと食べないように注意してください。

ジュースもおやつ

回答:太田百合子さん

ジュースを水の代わりにだらだらと飲ませるような習慣になりやすいので注意しましょう。ジュースもおやつのひとつだと考えてください。エネルギーのこともきちんと考えたほうがよいと思います。

甘いものを食べ過ぎると、太ってしまわないかと心配になります。

決まった量をあげる工夫を

回答:太田百合子さん

継続して甘いものばかり食べさせていると、体の中で脂肪に変わってしまい、肥満になりやすくなります。やはり、食べる量には気をつけたほうがいいですね。「今日は小袋1個だよ」など、量をきちんと伝えて、際限なく食べることを避けてください。例えば、小鉢におやつを半分入れて、食べ終わってもの足りなさそうにしていたら、残りの半分を「おかわり」にしてあげる。与える量が同じでも、満足感が得られることもあります。

6か月の娘の世話が忙しいこともあり、上の子に「おやつをあげるから〇〇しようね」といったお願いをすることが増えてしまい、あげ過ぎになっていないか気になっています。

おやつの与え方は親子関係に影響する

回答:太田百合子さん

赤ちゃんのお世話もあるので、とても大変ですよね。でも、おやつの与え方は、のちのちの親子関係にも影響するといわれているので、気をつけたほうがいいと思います。補食や間食という目的ではなく、乗り物で静かにさせたり、言うことを聞かせたりするためにおやつを利用すると、食べ物を駆け引きに使うことになり、言葉のやりとりがなくなってしまうのです。子ども自身も、いつでももらえると思って、待つ・我慢することがなかなかできなくなり、自律心も育たなくなります。
ですので、できるだけ「ごほうび」のおやつは、きちんと特別なことだと伝えましょう。例えば「今日は特別な日だから、好きなお菓子を買っていいよ。でも、1個だけよ」と伝えれば、ちょっと我慢しながら、じっくりと選ぶことができるようになります。そのように、少しずつ我慢を覚えさせていくことも大事だと思います。

おやつを駆け引きに使わないようにするのは、何歳ぐらいからでしょうか?

少しずつ言葉で伝えるようにする

回答:太田百合子さん

今からでも、と言いたいところですが、赤ちゃんのお世話などで大変な時期であれば、徐々に調整していけばいいと思います。おおよそ言葉がわかるようになるころ、3歳ぐらいから、「これはいいこと、これはいけないことだよ」と少しずつ言葉で伝えていきましょう。うまくいかない場合もあると思いますが、おやつではなく、言葉で我慢を覚えていくことが大切です。


甘いものは「虫歯」になる?

甘いおやつを食べたりジュースを飲んでばかりだと、虫歯も気になりますよね。そこで、甘いものと虫歯の関係を、小児歯科に長く携わっている倉治ななえさんに伺いました。

解説:
倉治ななえ(日本歯科大学附属病院 臨床教授/歯科医)

日本人の砂糖の消費量は世界でも少ない

甘いお菓子・砂糖を控えることが、虫歯の予防になると思いがちです。ところが、日本は世界の中でも、ひとりあたりの砂糖の消費量が少ないのに、子どもの虫歯の数は多いのです。

砂糖を制限することが、虫歯の予防につながるわけではありません。

だらだら食べが虫歯の原因のひとつ

日本の子どもに虫歯が多いのは、「だらだら食べ」が原因のひとつではないかといわれています。海外では、食事の後など、決められた時間にたくさん甘いものを食べるデザートの文化があります。一方、日本では、いつも何かを食べて、口の中に食べ物が残ってしまう「だらだら食べ」が多くみられます。

口の中に食べ物がない時間をしっかりあけると、自分の唾液で虫歯を修復する再石灰化が行われます。おやつと食事、食事と食事の間の時間が重要なのです。ここで、だらだらと食べていると、口の中がずっと酸性に傾いたままで、唾液の力で歯を修復する時間が足りなくなり、虫歯になってしまうのです。

虫歯予防のためには、甘いものを食べさせないことよりも、だらだら食べないことが大切です。甘いものを口にしたら、次の食事まで2〜3時間は間隔をあけるようにしましょう。

おやつで気をつけること

アメなど口の中にずっと甘みがとどまるものや、キャラメルなど歯にくっつくもの。そして、クッキーやチョコレート、グミなど、奥歯にはさまったまま残りやすいものには、特に気をつけてください。これらのお菓子を食べるときは、その後のケアが重要です。

ゼリーやアイスクリーム、ケーキなどは、短時間で口の中をさっと通り過ぎるので、意外と歯に優しいおやつです。ただし、食べたあとに水やお茶を飲んで、口の中に残さないようにしましょう。

どんなおやつでも、虫歯の元になる酸が作られないように、口の中を洗い流すことが大事です。食べたあとはジュースではなく、水やお茶を飲むことを習慣づけて、その後は何も食べない時間を作りましょう。


だらだら食べは 虫歯・偏食・生活リズムの乱れにつながる

コメント;太田百合子さん

だらだら食べは、虫歯の原因にもなりやすいのですが、偏食の原因になる場合もあります。生活リズムが崩れていくと、食べてほしい大事な食事を食べなくなってしまうこともあります。生活リズムを作る上で、おやつも食事も、ちゃんと時間を決めたほうがいいですね。


市販のおやつ、どう選べばいい?

子どもがまだ小さいので、1歳から食べられる幼児用のせんべいなどをおやつにしています。念のため、成分表を見て、いろいろな種類のものが入っているものをできるだけ避けて、無着色・無香料のものを選んでいます。市販のものは、味の濃さや添加物が気になるのですが、どう選んであげたらいいのでしょうか?
(2歳 男の子のママ)

小さいうちは幼児用のお菓子を

回答:太田百合子さん

小さいうちは幼児用のお菓子がおすすめです。脂肪分・塩分・糖分などが抑えめで、薄味になっているものが多いですね。

何歳ぐらいから、大人と同じお菓子でいいですか?

一般的なお菓子なら4〜5歳ごろ

回答:太田百合子さん

一般的な、ちょっとしょっぱいおせんべいのようなものであれば、4〜5歳ごろを目安にしてください。それでも、小さいうちから食べさせることがあるかもしれません。そのような場合は、やはり時間や量を決めて、しっかりと親がコントロールすることが大事になります。習慣にならないように気をつけてください。
もちろん、辛すぎるものや、アルコールが入っているものは、小学生になっても難しいですね。

添加物については、どう考えたらよいでしょう?

市場に出ているものは、心配する必要はありません

回答:太田百合子さん

食品添加物で食中毒を起こすことはありません。食品添加物は、食べ物に味をつけたり、のどの滑りをよくしたりします。特におやつの場合は、食事と違ったいろいろな味わいがあります。そういった、おいしくするためのスパイスのひとつだと考えてください。
発がん性物質など、いろいろと気になるかもしれませが、食品安全委員会でたくさんの検査をして人体に影響がないぐらいの量のものが市場に出ています。それほど心配する必要はありません。


次の画像は、食品成分表示の例(幼児用のグミ)です。

原材料は、使用量が多い順に書かれています。そして、「/」後に書かれているものが食品添加物です(例ではソルビット以降)。ソルビットは粘りや弾力をつけるもの。カロテノイドや紅麹(べにこうじ)は食品から抽出した天然の着色料です。チャ抽出物は、虫歯になりづらくする効果があるといわれ、酸化防止剤としても使われています。

着色料や香料がたくさん入っていると気になります。

できるだけ少ないほうがよいでしょう

回答:太田百合子さん

1〜2歳の体が小さい子どもは、まだどれくらいが適量か示されていないので、影響がないとも限りません。できるだけ少ないものを選んであげたほうがいいと思います。


専門家からのメッセージ

太田百合子さん

おやつには、食事にない食感がたくさんあります。ネチョっとしたり、ツルンとしたり、パリパリしたり。いろんなものを味わうことによって、食べる楽しみが増えて、食が広がっていきます。そういったことを上手に利用しながら、家族一緒に楽しんでほしいと思います。なんといっても楽しいことが何よりです。
そして、楽しさは、「手を洗おうね」「いただきますしようね」といった、しつけの面にも生きてきます。おやつが楽しいからこそ、身についていく部分もあるのです。
おやつは、決まった時間帯で適量を食べる習慣にしていってください。

※記事の内容や専門家の肩書などは放送当時のものです