コロナだけじゃない! 感染症対策

すくすく子育て
2020年11月7日 放送

新型コロナウイルスの感染拡大後、初めて迎える秋冬シーズン。インフルエンザやウイルス性胃腸炎など、コロナだけではない子どもの感染予防は、どうしたらいいのでしょうか? 専門家に教えていただきました。

専門家:
松永展明(国立国際医療研究センター病院/小児科専門医/感染症専門医)
日沼千尋(天使大学 特任教授/小児看護学)

今回のテーマについて

松永展明さん

インフルエンザや、おう吐や下痢の症状が出るノロ・ロタウイルスなど、秋冬にはさまざまな感染症があります。新型コロナウイルスのことを考えると、非常に複雑な状況になっているのではないかと思います。
感染症の予防は、手洗いなど、衛生環境に気をつけることが基本になります。3月はロタウイルスが流行する時期ですが、今年は例年と比べてほとんど出ていませんでした。新型コロナへの対策が、他の感染症にも効果が出ていると思われます。この冬は、何が流行するのか予想がつきにくい状況ですが、感染症対策の基本は変わりません。


大人と同じようにはできない子どもの手洗い、どうしたらいいの?

新型コロナはもちろん、感染症予防のため、娘の手洗いには特に力を入れてきました。でも、園では手洗いするのに、家ではとても嫌がります。できれば私がきちんと洗ってあげたいけど、忙しいときは手や口を拭いて終わることもあります。パパが手洗いをしようとすると、断固拒否で逃げてしまいます。大人と同じようにはなかなかできない子どもの手洗いは、どうしたらいいのでしょう。
(2歳6か月 女の子のママ)

手洗いが楽しくできるような工夫を

回答:日沼千尋さん

子どもが手洗いを嫌がる場合は、子どもが楽しくなるような工夫ができるといいですね。例えば、好きなキャラクターやヒーローが手洗いしている動画などを見ながら、「一緒に洗おうね」と言いながら洗う方法もあります。

難しい場合は除菌シートで

回答:日沼千尋さん

どうしても手洗いが難しい場合は、アルコールが入った除菌シートを使いましょう。成分表示に「エタノール入り」と表記されているものです。きちんと手を拭いて、清潔にしてあげてください。子ども向けのシートは、かぶれないようにアルコールが入っていないものが多いと思いますが、感染症予防の場合はアルコール入りで拭いてあげてください。

赤ちゃんの場合はアルコールなしでもよい

回答:日沼千尋さん

まだハイハイする前の赤ちゃんは、自分から感染源に近づくことは少ないので、アルコールの入っていない除菌シートでも大丈夫です。きょうだいが赤ちゃんに触れるような場合は、「赤ちゃんに近づくときは手洗いする」といった約束をしておきましょう。そうやって子どもたちを感染から守ってあげましょう。


除菌スプレーや除菌シートで、どう子どもの手を消毒したらいいのか、松永展明さんに教えてもらいました。

除菌スプレーや除菌シートの使い方

解説:松永展明さん

除菌スプレー

まずは、ちょっとした前振りがポイントになります。手にスプレーを出したとき、「あ!つめた!何これ」と言って、子どもの気を引きます。すると、子どもは興味を持って、やってみたいなという気持ちになります。

アルコールを出すときは、手に水分がたまるぐらい、しっかり出してください。それを子どもの手にまんべんなくつけて、乾くまで待ちましょう。アルコールが揮発するときに効力が出て、きれいになります。

除菌シート

除菌シートで拭く場合は、手のひら、手の甲、指の間をやさしく拭きます。ゴシゴシこすると手を傷つけてしまうことがあるので注意してください。また、ギュッと強く握ってしまうと、痛がって次から嫌がる場合もあるので、気をつけてください。

水拭きについて

アルコールにかぶれてしまう場合は、水拭きでも物理的な除去ができます。1度より2度拭くほうがより取り除くことができます。

100%でなくても、今できることをすることがいちばん大事です。感染症の対策は、完璧にしようとすると破綻してしまうこともあるので、バランスをとって取り組むことが大切ではないかと思います。


子どもが外遊びから帰ったときの感染症予防は?

感染症予防のため、子どもが外遊びから帰ると、シャワーを浴びて着替えをしています。でも、そこまでする必要はあるのでしょうか?

リスクは「ある・ない」ではなく「高い・低い」で考える

回答:松永展明さん

非常に悩む部分だと思います。現在、少しずつ新型コロナウイルスの状況がわかってきて、子どもは重症化しない傾向にあることがわかってきています。そして、リスクは、白か黒かといった「ある・ない」でなく、0から100のメーターのように連続した「高い・低い」という形で考えてください。
その観点では、外遊びから帰ってきたとき、あまり接触がなかったり、地面でゴロゴロするようなことがなければ、手洗いだけにするのもいいでしょう。一方で、買い物に行って、いろんなものに触れた可能性がある場合は、着替えもする。友だちと遊んで、たくさん触れ合ったと思われる場合は、汗もかいているしシャワーを浴びて着替える。一定の基準があるわけではありませんが、このように状況に合わせて対応するのがよいのではないかと思います。


子どもがマスクを嫌がる。どうしたらいい?

1歳6か月になる双子の息子たちはマスクを嫌がります。まだつける意味が分からないような、小さな子どものマスクはどうしたらいいでしょうか?

2歳未満の子どものマスク着用は推奨されていない

回答:松永展明さん

現在、2歳未満の子どもに関しては、窒息のリスクがあるのでマスクは推奨されていません。1歳6か月であれば、むしろつけないようにしましょう。

無理につけると感染リスクを高める場合も

回答:松永展明さん

マスクを嫌がっているのに無理につけても、外そうとしたりします。すると、かえって口のまわりを触ってしまい、接触感染の可能性が高くなってしまいます。そんなときは、マスクをしないほうがよいでしょう。

マスクをするのが難しい子どもを守るためには、周囲の大人がしっかり感染対策をすることが大切です。


妊婦や乳幼児のインフルエンザ予防接種はどうしたらいい?

インフルエンザの予防接種は、妊娠中に接種してもいいのでしょうか。また、小さな子どもの場合はどうでしょう。現在、妊娠中で、1歳の子どもを育てています。私も子どもも受けていいのか迷っています。
(1歳2か月 男の子のママ)

赤ちゃんは生後6か月から接種可能

回答:松永展明さん

インフルエンザの予防接種は、乳幼児に関しても勧めています。6か月以上であれば、予防接種は可能だと考えてください。1歳以上の子どもに、より効果があるといわれています。

妊婦もワクチン接種可能

回答:松永展明さん

妊婦さんに関しても接種を勧めています。妊婦さんはインフルエンザにかかるとリスクが高くなりますが、母親が感染しにくくなると、子どもへの感染予防効果もあります。さらに、母親の免疫が子どもにも移行して、少し守られることがあります。

そのほか、予防接種をしておけばインフルエンザにかかる可能性が低くなるため、発熱など新型コロナの疑いが生じたとき、医師の診断に役立つことがあるそうです。


きょうだい間の感染を防ぐには?

わが家の元気いっぱいのきょうだいは、いつも2人でくっつきあって遊んでいます。そのためか、どんなに気をつけても、手足口病や水ぼうそうなど、きょうだい間で感染してきました。例えば、タオル・お風呂・食事・寝るところなどを別々にして、2人が直接遊ばないように気をつけていたのですが、感染してしまいました。効果的な感染対策があれば知りたいです。
(5歳・2歳 男の子のママ)

家族で手洗いや消毒に取り組む

回答:日沼千尋さん

ひとつの空間の中で一緒に暮らしているので、感染予防はなかなか難しいですね。家族全員で手洗いすること、きちんと排せつ物・おう吐物を処理することが大切になります。
このとき、「感染したお兄ちゃんにばい菌がある」といった伝え方をすると、その子がつらい立場になってしまいます。感染した人を対象にするのではなく、「みんなが触れるトイレにばい菌が隠れている、家族みんなで手洗いや消毒を頑張ろう」といった取り組みをしましょう。

感染しやすい時期は、カレンダーにシールを貼って「この期間は、みんなで手洗いを頑張ろうね」と子どもに理解してもらうようにするのもおすすめです。

窓を開けて換気する

回答:松永展明さん

窓を開けて換気をしましょう。エアコンをつければ空気が入れ替わると思いがちですが、室内の空気が循環されるだけなので、換気にはなりません。ただ、子どもが窓から外に出てしまう危険があるので、窓を開けるときにはしっかり注意してください。

せきエチケットも大切

回答:松永展明さん

インフルエンザなどは、せきや鼻などが感染経路になります。例えば、口を手で覆ってくしゃみをすると、手にウイルスがつきます。すると、その手で触ったところも感染源になってしまいます。

そのため、大人であれば腕を使ったり、腕が届かないような子どもは、服の中でおなかに向かってせきをするなど、本人に合った方法を見つけて、手にウイルスがつくことを避けましょう。そのような、せきエチケットもとても大切になります。


感染症の消毒方法

病原体によって違う。効果的な消毒方法

解説:松永展明さん

病原体の種類によって、効果的な消毒方法が違います。

これは、消毒・除菌方法をまとめた表です。例えば、石けんでの手洗いは、上記すべてのウイルスに有効です。一方で、アルコール消毒液は、新型コロナウイルスには有効ですが、ノロ・ロタのような胃腸炎のウイルスには効きません。胃腸炎に関しては、地道な手洗いが非常に大切になってきます。

排せつ物やおう吐物の処理のしかた

解説:日沼千尋さん

ウイルス性胃腸炎にかかった人の排せつ物やおう吐物を処理するとき、基本となるのは「直接触れない」と「消毒」です。

消毒液の作り方

消毒液は、水500mlに対して、ペットボトルのキャップ2杯分の家庭用の塩素系漂白剤を混ぜて作ります。
ここで、塩素系漂白剤を薄めた消毒液について注意点が3つあります。

①消毒液は使い切る
作った消毒液は、時間がたつと効果が弱まるので、その都度使い切りましょう。

②ほかの薬品と混ぜない
酸性のものと合わさると、有毒ガスが発生します。絶対にほかの薬品と混ぜないでください。

③十分な換気をする
消毒液の成分は体によくない場合があるので、十分に換気をして使いましょう。

床の掃除

床を掃除するときは、手袋をして、汚物にペーパータオルなどをかぶせます。
※手袋はビニール袋と輪ゴムで代用できます

消毒液を、浸すぐらいにたっぷりかけてから、しっかり取り除きましょう。

バケツにポリ袋をかけておき、この中にごみを捨てます。手袋も一緒に捨てましょう。こうすることで、感染源となるものを一か所に閉じ込められます。さらに、袋を2重にして捨てるとよいでしょう。

衣類の場合

衣類の場合は、大きな汚れを落とした後、消毒液に15分ほど漬けてから洗濯機で洗います。ほかの人の衣類とは、分けたほうがよいでしょう。
※消毒液に漬けるとき、色落ちに注意してください

洗えないものの場合

いすなど、洗えないものの場合は、床の掃除と同様に、ペーパータイルと消毒液を使いながら汚物を取り除きます。取り除いた後は、捨ててもいい布でポンポンと叩いて拭き取ります。

他にもスチームアイロンを使った消毒方法があります。
ノロウイルスは、85度以上の熱1分間で、死滅するという研究結果があります。スチームアイロンを「高」にして2分間当てると、実際にその状態が作れるといわれています。子どもがいる家庭では、くれぐれもやけどに注意してください。

最後に、排せつ物やおう吐物の処理が済んだら、石けんでしっかり手を洗いましょう。


新型コロナ流行期の発熱。受診のタイミングは?

先日、朝から息子の元気があまりないな、と思っていたら、午後になって保育園から「発熱した」と連絡がありました。パパも発熱したので、家族みんなで新型コロナにかかったのではないかと不安になって受診することにしました。結果、新型コロナではなかったのですが、この時期、受診のタイミングが難しいと感じます。以前であれば、多少熱があっても、本人が元気なら家で様子をみていたのですが、今は新型コロナがどうしても心配になってしまいます。
(1歳10か月 男の子のパパ・ママ)

症状が重くないかどうかをみる。困ったらかかりつけの医師に相談

回答:松永展明さん

現在までにわかっている情報では、ほとんどの子どもは新型コロナウイルス感染症で重症化しません。ですので、子どもをみるときは、今までと変わらず、症状が重くないか、重症化していないかどうかに気をつけてください。あわててすぐに受診するよりも、今まで通りの感覚でよいでしょう。
困った場合は、かかりつけの医師に連絡するのがいちばんいい方法だと思います。

緊急性があるかないかをみる

回答:日沼千尋さん

子どもが発熱したとき、受診の目安として最も大切な点は緊急性があるかないかです。熱の高さではなく、全体の活気、元気さをみましょう。
赤ちゃんの場合、いちばん好きなおもちゃなどを見せても関心を示さないような状態は、意識状態が少し下がっていると考えることができます。元気がなく、ぐったりしていて、好きなものに関心を示さないような状態は緊急性が高いと思います。そのほか、顔や手足の色が悪い、呼吸が苦しそうなどの場合も緊急性が高く、すぐに受診が必要です。

いつもと違うときは受診を考える

回答:日沼千尋さん

食べることができない、短時間ですぐ起きてしまう、好きな遊びができない、ウンチやおしっこが出ているか、下痢やおう吐の症状があるかなど、「くう・ねる・あそぶ・だす」がいつもと比べて違うかどうかをみてください。親から見て「何か変」と感じる場合は、相談や受診を考えましょう。

「何か変」という親の感覚は大切に

回答:松永展明さん

親の「何か変」という感覚は、小児科医でも非常に大切にしています。今は、新型コロナのため、その観点を忘れてしまうことがあります。いつもと変わらず、何か変だなという親の感覚を、ぜひ大切にしていただきたいと思います。

※記事の内容や専門家の肩書などは放送当時のものです