子育てアイデア大集合!

すくすく子育て
2020年8月1日 放送

「すくすく子育て」では、これまで10回以上にわたって、みなさんの子育てアイデアを紹介する特集番組「すくすくアイデア大賞」をお送りしてきました。今回は2019年のアイデア大賞から、よりすぐりの作品をご紹介します。目からウロコのアイデアが続々登場します。

専門家:
遠藤利彦(東京大学大学院 教授/発達心理学)

子育ての困りごとを解決するアイデア

キラキラ☆プラネタリウム

アイデアのきっかけは、台風の影響による停電です。子どもに寝かしつけの絵本を読んでいるとき、停電で突然まっ暗に。子どもは怖くなって寝つけませんでした。その後も、部屋を暗くすると怖がるようになり、電気をつけたままでないと寝ることができなくなってしまいました。
これをなんとかできないかとママが考えたのが、お手製の「キラキラ☆プラネタリウム」です。

作り方は簡単です。

半円の黒い画用紙を好きな形に切り抜き、そこに、包装などで使われるセロハンを貼ります。セロハンに油性ペンで好きな色を塗ります。裏返して、円錐の形にしてテープでとめれば完成です。

スマホのライトをつけて、その上にかぶせると、壁や天井に幻想的な模様が広がります。

プラネタリウムのおかげで、部屋が暗くても寝ることができるようになりました。

コメント:遠藤利彦さん

眠るときに寂しさや不安を感じる場合、多くの子どもは「就眠儀式」を行います。絵本を読んでもらったり、歌を歌ってもらったり、お気に入りのぬいぐるみを抱えるなど、眠る前に決まってとる行動です。
この子の場合は、元々はおそらく絵本だったのでしょうが、停電で怖くなり、就眠儀式としてうまく働かなくなってしまったのでしょう。そこで知恵を絞って作ったプラネタリウムが、新しい就眠儀式になったように思えます。リラックスできそうな光がいいですね。

倒せ! ダンボールロボ

3人きょうだいの上の男の子2人は、やんちゃざかりでケンカばかり。ママはケンカのたびに仲裁するのが大変です。
そこで作ったのが「ダンボールロボ」。家族からは“敵”と呼ばれています。

きょうだいゲンカがはじまると、ママはこのダンボールロボを登場させます。すると⋯⋯

きょうだいが力を合わせて“敵”と戦うモードになり、ごっこ遊びがはじまるんです。

子どもたちは、ダンボールロボを倒すことに夢中になり、ケンカのことはすっかり忘れます。

こうして戦いが終わり、家族にひとときの平和が戻ります。

コメント:遠藤利彦さん

きょうだいが共通の「敵」に立ち向かうことで、「私たちは同志。助け合おう」という気持ちが生まれています。ケンカしていたのに、結果的に仲直りできている。
人間には、助け合うという大切な性質があります。例えば、同じものを並んで見たり、同じことを一緒にするだけで、「私たちは仲間だね」という気持ちになれます。集団の中で、たまたま同じ色のTシャツを着ていただけでも、仲間意識が芽生えることもあります。そんな性質をうまく活用している、いいアイデアだと思います。

ボクこっちで遊ぼう

お兄ちゃん(7歳)と妹の2人きょうだい。妹は自己主張がはっきりした性格で、お兄ちゃんがおもちゃで遊んでいると「私が遊ぶ!」と言い出しておもちゃの取り合いになります。
いつも妹に譲ることになるので、ケンカをせずにおもちゃを取り返せないかと思っていたお兄ちゃん。そこで考えたのが、このアイデアです。

お兄ちゃんが積み木で遊んでいると、いつものように妹と取り合いに。

そこで、お兄ちゃんは「ボク、こっちで遊ぼう」と言いながら、違うおもちゃで遊びはじめます。
すると、妹はそのおもちゃが気になって「私もそれで遊ぶ!」と言ってきます。

妹が興味を示したら、おもちゃを譲ってあげます。
これがアイデアのポイント。いったん違うおもちゃで遊ぶことで、元のおもちゃから妹の気持ちをそらす作戦なんです。

お兄ちゃんは、ケンカをせずに積み木を取り返せました。

コメント:遠藤利彦さん

おそらく妹さんは、お兄ちゃんがしていることに関心があります。お兄ちゃんは、そのことにうすうす気づいて、「自分が違うおもちゃで遊べば、妹が興味を持つだろう」と思えたのでしょうね。結果的に、作戦が成功して、ケンカせずにおもちゃを取り返しています。お兄ちゃんの知恵には感服するばかりですね。


どのアイデアも、困ったことをポジティブにとらえて、アイデアで乗り越えているように思えます。子育ての困りごとを解決するヒントは、どんなところにあると思いますか?

押してだめなら引いてみる。発想の転換を

回答:遠藤利彦さん

大人は、「子どもに○○をやらせたい」「○○でないと困る」と考えて、いろいろなことを試します。でも、なかなかうまくいくものではありません。そんな中で、つい「もっと言えば、できるかも」と思って、押しが強くなってしまいがちです。
そんなときは、違う方法を試してみましょう。これでだめなら、あれをやってみよう。押してだめなら引いてみよう。そんな発想の転換で、結果的に困りごとが解消されるように思います。
また、みなさんのアイデアには、創意工夫と愛情を感じます。親も喜んでいることが印象的でした。「子どものために○○をしないといけない」のような切迫した気持ちではなく、親自身が楽しみながら工夫することが大事なのかもしれません。


子育てが楽しくなるアイデア

お姉ちゃんのお楽しみトイレ

ママが「なかなかトイレでウンチができない⋯」と困っていた弟のトイレ。お姉ちゃん(6歳)が自分にも何かできないかと思って考えたアイデアが「お姉ちゃんのお楽しみトイレ」です。弟が「ウンチができたらいいことがある! 」と思えるように作戦をたてました。

まず、弟が少しでもウンチのそぶりを見せたら、「はい、行くよ!」と手を引いてトイレに連れて行きます。トイレに入ったら「がんばれ!がんばれ!」と精一杯、応援します。

無事にウンチが出たら、一緒に喜びをわかちあいます。

続いて、お姉ちゃんお手製の金メダルを授与。

そして、ご褒美のくじ引きです。くじ引きの賞品は、「おとうさんの たかい たかい」など、家族と好きな遊びができるチケットです。
このように、トイレでウンチをすることを全力で応援して、褒めて、盛り上げていきます。
ママは「お姉ちゃんのおかげでウンチが家族の楽しいイベントになった」と感謝しているそうです。

コメント:遠藤利彦さん

子どもから「ウンチをしたい」という気持ちが、なかなか起きないときは、なんとかやる気を引き出してあげようと考えます。意欲を引き出すための刺激として、お菓子やおもちゃなど、ご褒美を与えることもあるでしょう。でも、「ご褒美」という外側からの刺激だと、1回はうまくいくかもしれませんが、長続きしないかもしれません。
このアイデアでは、応援して、一緒に喜ぶことで子どもの内側にあるやる気を引き出しているところがすばらしいですね。おそらく、弟さんにとってとてもうれしいことで、やる気につながっていると思います。

ぼくのマイカー! おうちドライブ

おばあちゃんの心配事は、いつも元気いっぱいの孫が「大の怖がり」なこと。夜になると、電気がついていても、ひとりでトイレやお風呂に行くことができません。
そこで考えたのが、このアイデアです。

まず、トイレットペーパーの芯で車を作ります。車のイラストを描いて、孫の写真を貼って、孫のマイカーに仕立てます。

続いて、移動する経路にゴムひもを張ります。居間のドアのところでゴムひもを画びょうなどでとめ、ここをスタート地点にします。これを、お風呂のある洗面台まで引っ張って画びょうなどで固定します。
家の中で移動したいときには、張りめぐらされたゴムひもに車を通します。ゴムひもをたどって車を走らせれば、目的地まで行けるというわけ。
孫がドライブを楽しめるように、車をいくつか用意してその日の気分で選べるようにしたり、移動中の壁に大好きなものの写真を貼っておくこともポイントです。

車と一緒に行くことで、楽しみながら怖がらずに移動できるようになりました。

コメント:遠藤利彦さん

嫌いなもの・苦手なものに、好きなものを抱き合わせる方法がいいですね。この子の場合は、車であったり、壁に貼ったものであったり。好きな車を使って、好きなものに沿って進んでいく。そうしているうちに、自然と怖くて嫌なことを克服できるところが、すばらしいと思います。

お母さん助カルタ

弟が生まれてから、ママは赤ちゃんの世話に忙しくなり、お兄ちゃんがさびしそうな様子を見せることが多くなりました。お兄ちゃんとも遊んであげたいと考えたママ。お兄ちゃんは自分の写真を見るのが好きなので、たくさん写真を撮ってあげることに。
その写真で作ったのが「お母さん助カルタ」です。

お兄ちゃんがひとりで着替えができたとき、ひとりでトイレができたとき。そんな、がんばっている姿の写真ひとつひとつに文字をつけて、カルタの札にしています。

例えば「つ」の札は、食事のときに「つくえ」を拭くお手伝いをしてくれたときの写真です。

このカルタで遊ぶ楽しみもあります。例えば、ママが「(い)一緒に食べよう朝ごはん」と読み上げて、弟のお世話ができたときの札を取り合います。仕事で家にいられる時間が少ないパパも、ふだんのお兄ちゃんのがんばりを知ることができて楽しいといいます。

お兄ちゃんは、カルタをはじめてから弟と遊ぶことが増えて、きょうだいはすっかり仲良しになりました。お手伝いにも積極的になり、弟の手をとって一緒にお片づけしています。

コメント:遠藤利彦さん

親に見てもらえている。それだけで、子どもはとてもうれしいと感じます。自分を見てくれる、写真を撮ってくれる、しかも頑張っているところです。子どもは自信を持てるようになり、自尊心が高まっているのではないでしょうか。自信があれば、自発的に動くことができるようになります。自然と、弟にもいろいろなことをしてあげるようになる。そんな、すばらしいアイデアだと思います。


子育てが楽しくなるアイデアは、どのように考えたらいいでしょう?

大人も楽しく、子どもと一緒に楽しめることを

コメント:遠藤利彦さん

子どもを楽しませたい気持ちも大切ですが、親自身が楽しもうとすることが大事ですね。親が楽しそうでなければ、子どもは楽しめないと思います。お父さんやお母さんが笑っていると、子どもはいちばん楽しい気持ちになれるのではないでしょうか。大人も楽しめる、子どもと一緒に楽しめることを考えてみましょう。


おうちで楽しく過ごすためのアイデア

新型コロナの影響で、新しい生活スタイルが求められています。そんな生活での、子育てアイデアについても考えます。ここでは、すくすく子育てホームページに寄せられた、外出しにくい中でみなさんが考えたアイデア、その一部をご紹介します。

みなさんが考えたアイデア

新聞紙プール
新聞紙を破ってプールの中へ。紙を破るとストレス発散にもなるよ。

デジカメで撮影
散歩のとき子どもにデジカメを持たせて、道端の草花や石など、気になったものを自由に撮影。そのうちに図鑑で調べるようにもなったそうです。

バルーンマット
ふとん圧縮袋に風船を入れて作ったもの。子どもならこの上で遊べるそうです。

お絵かきモグラたたき
カマキリやセミなど、好きな絵を描いて作ります。そして、名前を言った絵をもぐらたたき! スピードアップするとゲラゲラ笑って盛り上がるそうです。

きょうだいでおやつ食い競争
洗濯ハンガーにおやつをつるして、3人きょうだいでおやつ食い競争!


みなさん、おうちや近所で子どもと楽しく過ごす工夫をされていますね。お出かけや、思いっきり外で遊ぶことが難しい状況で、子育てを楽しむヒントを教えてください。

新しいことをする、これまでを見直すチャンス

回答:遠藤利彦さん

よく「ピンチをチャンスに」と言います。例えば、今までしてきた遊びができないことは、これまでになかった新しい遊びができる可能性でもあるわけです。あるいは、親と子の関係を見直して、違った関わり方ができたり、関係を軌道修正したりするチャンスになるかもしれません。

※記事の内容や専門家の肩書などは放送当時のものです