新型コロナウイルスが心配! 子どもの感染症対策

すくすく子育て
2020年5月9日 放送

今、新型コロナウイルスの影響で、幼い子どものパパ・ママは不安な毎日ですよね⋯⋯ 番組にも、悩みや困っていることなど、多くの声が寄せられています。手洗い・マスクができない赤ちゃんの感染対策は? 不安とどう向き合う?
そんなみなさんの疑問や質問に、専門家がこたえます。

専門家:
松永展明(国立国際医療研究センター病院/小児科専門医/感染症専門医)
遠藤利彦(東京大学大学院 教授/発達心理学)

まだ手洗いが難しい子どもの感染対策、どうしたらいい?

大人はこまめに手洗いできますが、まだ9か月の娘は自分で手洗いができません。食事の前に手を拭いてあげたり、外出後はだっこして手をさっと洗ってあげたりしますが、感染対策になっているのか気になります。手洗いができない赤ちゃんの予防策が知りたいです。
(9か月 女の子のママ)

手洗いは、楽しいと思えるような水遊びから始める

回答:松永展明さん

自分で手洗いすることが難しい子どもの場合は、楽しいと思えるような水遊びからトライしてみましょう。水に手を伸ばして触ってみるなど、お試し感覚からでよいと思います。それが、今後の手洗いの習慣につながるのではないでしょうか。しっかり洗えなくても、「うまくできたね」と褒めましょう。その後、ぬれたタオルで拭く程度でも、ウイルスを多少は落とすことができるので感染のリスクを低くできます。赤ちゃんの場合は、完璧に洗わないといけないと躍起にならなくても大丈夫です。

親がしっかり手洗いをすることが大事

回答:松永展明さん

お母さん・お父さんが手洗いをすることはとても大事なことです。子どもは親をよく見ています。親が楽しそうに手洗いをしている姿を見ると、子どもも「手洗いしたいな」という感覚になることもあります。そのように手洗いに導く習慣をつけるのも大切です。
また、親は外から戻ったときにしっかり手を洗ってください。これまでの子どもの感染の多くは親からです。子どもや家族を守るためにウイルスを家に持ち込まないことが、子どもの感染対策の大切なポイントになります。


親子で手洗いしよう

手洗いは20~30秒ほどかけるとよいでしょう。「きらきら星」の曲と同じくらいの長さなので、歌いながら洗うのもおすすめです。ウイルスを落としやすくするために、石けんをよく泡立てることが大切です。

まずは、手のひら同士をゴシゴシ。続いて手の甲もこすってください。

指の間は、両手の指と指を組んで洗います。手のひらのしわのウイルスを落とすように爪を立ててガリガリガリ。

親指の付け根を包み込むようにつかんでぐりぐり。手首を洗うのも忘れずに。
これで細菌やウイルスをかなり減らせます。

洗った後はしっかり乾かしましょう。ぬれたままだと、その後何かを触ったときに、手にウイルスが付くリスクが高まってしまいます。
最後に、クリームなどで保湿します。乾いて荒れた手だと、知らないうちに手を洗う回数が減るというデータもあります。
無理なく楽しみながらやってみてください。

手洗いアイデア

埼玉県、そうたんママさんからは、こんな手洗いアイデアが届いています!

手にばい菌の絵を描いて、それが消えるまで洗うんです。子どもも遊び感覚で手を洗うことができます。
みなさんもいろんなアイデアを考えて試してみてください。


子どもの手をアルコールで消毒してもいいの?

消毒はアルコールを使うのがいいと聞きますが、小さな子どもにアルコールを使っても大丈夫でしょうか。
(1歳1か月 男の子のママ)

アルコールなしでもウイルスを除去する方法がある

回答:松永展明さん

小さな子どもの肌は弱いので、アルコールで肌が荒れてしまう場合もあります。アルコールを使わない場合は、しっかり手を拭く、1度だけではなく2度拭くことで、ばい菌やウイルスを除去できます。すべてを完璧にしようと思わず、できるときにできることを、その時に最善だと思われることをしてあげるのが大事だと思います。

ウイルスの除去について

ウイルスを除去する方法は、主に2つあります。1つは消毒。せっけんやアルコールなどで、ウイルスの膜を壊して感染力を低下させる方法です。もう1つは、水で洗い流す、拭きとるなど、物理的にウイルスを取り除いてしまう方法です。
大人の場合はアルコール消毒が効果的ですが、小さな子どもはアルコールで手が荒れたり、アレルギー反応が起きたりすることもあります。せっけんやアルコールがない場合、水でぬらしたタオルで拭うだけでも、ウイルスの数を減らせるので感染リスクを下げることができるそうです。
お子さんの様子を見て使い分けてください。

スーパーで売っている食品などに、ウイルスが付着していたらと考えると、どこまで気にしたらいいのかわかりません。なにかできることはあるのでしょうか。

過度に気にし過ぎない

回答:松永展明さん

なかなか難しいですね。確かにいろいろな人が触っている可能性があるので、感染リスクがないとは言えません。例えば、買い物から帰ったときに、食品のパックを拭いてから冷蔵庫に入れたり、パックをはずした後は手洗いをしたり、そのような対策になると思います。でも、過度に気にし過ぎてしまうと、疲れてしまいますので、ほどほどを心掛けるとよいのではないかと思います。


子どもがマスクを嫌がるとき、どうしたらいい?

外に出るときなどは、感染対策のためマスクをつけたほうがよいと思うのですが、子どもがマスクを嫌がってしまいます。どうしたらいいんでしょう。

マスクは接触感染対策・飛沫感染対策になる

回答:松永展明さん

個人的な見解ですが、マスク自体の感染予防効果はあまり高くないと思います。マスクをする理由には大きく2つあります。1つはウイルスのついた手で顔を触ったときに、口や鼻に触れないようにする接触感染対策。もう1つは、自分が感染している場合に、くしゃみやせきの飛沫で人にうつすリスクを減らす飛沫感染対策です。大人がくしゃみなどをすると、飛沫が約2メートル飛ぶといわれています。それが直接、目や鼻、口の粘膜についたり、吸ったりすることで、感染してしまうこともあるのです。

小さな子どもはマスクをつけないほうがよい場合も

回答:松永展明さん

マスクを嫌がる子に、無理につけさせようとすると、マスクを取ろうとして何度も顔を触ったり、付けなおすときに口や鼻の周りを触ったりすることで、逆に感染のリスクが高まることも考えられます。子どもが健康なときは、子どもが嫌がるのであればあえてマスクをつけなくてもよいでしょう。また、2歳未満の子どもにマスクをつけるのは、窒息のリスクもあり推奨されていません。


予防接種はどうしたらいいの?

クリニックで受ける予防接種をどうしようか悩んでいます。接種のスケジュールがあるけど、新型コロナウイルスが心配で、クリニックに行くかどうか迷っています。

基本的に予防接種を受けてください

回答:松永展明さん

予防接種の対象は、非常に重篤で命に関わるような病気です。接種が遅れることで、その病気にかかってしまうリスクが高くなってしまいます。新型コロナウイルスの状況を見ながら、予定していたスケジュールから少しずらすことを検討してもよいかと思いますが、できるかぎり必要な年齢・月齢で受けてください。
もちろん、予防接種を受けるために子どもが新型コロナウイルスに感染するのは困りますので、小児科でも十分に対策をしていると思います。安心して受けたほうがよいでしょう。気になることは、かかりつけの医師などに電話などで相談しておくとよいでしょう。


子どもの外遊び、どう考えたらいいの?

子ども達が外で遊ぶことと感染リスクの間で悩んでいます。今は、できるだけ人のいない場所を見つけて子ども達を遊ばせています。外遊びによる感染リスクをどう考えたらいいのでしょうか?
(4歳4か月・1歳4か月 男の子のママより)

感染リスクは「ある・ない」ではなく「段階的」に考える

回答:松永展明さん

公園のジャングルジムなど、みんなで共有している遊具で遊ぶ場合は、感染のリスクは高くなると思います。一方で、遊ぶ場所や時間を考えたり、触った後、遊んだ後は親子で手洗いをしたり、そのような対策によってリスクを減らすこともできます。非常に難しいことですが、感染リスクは「ある・ない」ではありません。「高い~低い」のように段階的に考えてください。
外遊びによってリスクは高くなるかもしれませんが、ストレスが発散されるなど、心の健康によいこともあります。バランスを考えて、その地域の状況に合わせて決めるとよいでしょう。


子どもを不安にさせない説明のしかたは?

できるだけ外出しないように、買い物はひとりで行くようにしています。そのとき、子どもが「一緒に行きたい」と言ってきたら、どのように説明すればよいのか困ってしまいます。「今は連れて行けない」ということを、子どもが不安にならないように伝える方法はあるでしょうか。
(4歳4か月・1歳4か月 男の子のママより)

不自然に「怖いもの」から遠ざけず、「安心感」を与える

回答:遠藤利彦さん

例えば「今、世の中にバイキンのようなものがはやっていて、それで病気になることがあるんだよ。でもちゃんと手を洗ったりすれば大丈夫だよ」「そういうところに近づかなければ病気にはならないから、今は一緒に我慢しようね」など、怖いものだけど、それは避けたりコントロールできるということを伝えてあげてください。
大切なことは、子どもを不自然に「怖いもの」から遠ざけるのではなく、むしろ子どもが「怖いもの」に接したときに、ちゃんと大人がその「怖い」という感情を立てなおして、しっかりと安心感を与えてあげることです。


家で動画を見せてばかり。発達に影響はある?

子どもも家族もなかなか外出できないので、つい家で動画を見せてばかりになってしまいます。子どもの発達に悪い影響があるのではないかと心配です。

親子のコミュニケーションの機会に

回答:遠藤利彦さん

映像メディアを子どもひとりだけで長時間視聴するのは発達によいとは言えません。でも、同じものを親子で一緒に見ながら、それをひとつの話題にしてコミュニケーションをとることは、子どもの発達にとってプラスに働くこともあるように思います。「これは面白いよね」「なんでこの人こんなことしたのかな」など、そこに映っているものについて子どもとの会話を楽しんでみてください。
親がずっと一緒に見続けることは難しいかもしれませんが、子どもが笑い声をあげたときなどに「面白かった?」などと声かけをしてみてください。そうすれば子どもたちは、パパやママも一緒に見ているんだ、と気持ちが通い合っていることを感じることができます。
そのように会話や表情で触れ合いができているのであれば、動画などの映像メディアが子どもの発達にマイナスに作用することにはならないと思います。


発熱したとき、家族が感染したときどうすればいい?

子どもはふだんからよく発熱しますが、今は新型コロナウイルスによる発熱なのか、他の病気なのか判断がつきません。いつ受診したらいいのでしょうか?

おかしいと感じたときは受診・相談を

回答:松永展明さん

高熱が数日続く場合は、新型コロナウイルス以外の病気も疑う必要があります。今の状況によらず、「ふだんなら小児科にいこうと思うかどうか」が、ひとつの判断の目安になります。お父さん・お母さんが、「子どもがおかしい」「いつもと違う」と感じるときは、熱がなくても、受診や相談をすることが大切だと思います。

もしも、子どもや家族の誰かが感染した場合はどうしたらいいでしょうか?

自分が感染しないように注意する

回答:松永展明さん

家族を看病する場合は、自分が感染しないことが大切です。次のようなことに注意しましょう。

  • できるだけ部屋を別にする。難しい場合はカーテンなどで仕切るという方法も。
  • 1時間に1回は、10分ほど換気する。
  • 本人も看病する人も、できるだけマスクをつける。
  • おむつの処理など、看病した後はこまめにせっけんで手を洗う。
  • ドアノブなど、みんなが触るような場所は、家庭用の塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)を水で薄めた消毒液で拭く。
    ※ペットボトルのキャップ2杯程度の塩素系漂白剤を水500mlで薄めます。使用する場合は換気を忘れないように。金属腐食作用があるので拭いた後は水拭きする。

感染した子どもが泣いているときは、ウイルスが飛散します。だっこして頭を肩に乗せてあげれば、大人の顔に直接飛沫がかからないので、少しは感染リスクを減らせるかもしれません。

感染症の対策は、基本を忠実にできるかが大事

回答:松永展明さん

実は、このような対策は、他のウイルスの場合でも同じです。例えば、ノロウイルスのときと同じような対応をすれば万全だと思います。インフルエンザへの対応も十分応用できるでしょう。感染症の対策は、新型コロナウイルスを含めて、基本的なことをどれだけ忠実にできるかが非常に大切なのです。手洗い・消毒などの対策をひとつずつ積み重ねることが基本なのです。


専門家からのメッセージ

松永展明さん

新型コロナウイルスの対策で、さぞかし苦労や心配をされていると思います。親御さんの中には、子どもがせきをひとつするだけで、眠れなくなるほど不安になる方もいるでしょう。それは、いたって当然の反応です。そのような不安は、今後正しい知識を得ることで、少しずつ軽減していくと思います。
ウイルスの対策には、いろいろな場面で正解というものはありません。一方で、親御さんは子どものことを一番よく知っています。ですので、みなさんが子どものために考えたことに間違いはないのです。自信を持って行動をしてほしいと思います。
明けない夜はありません。これからも一緒に新型コロナウイルスに立ち向かって頑張っていきましょう。


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※記事の内容や専門家の肩書などは放送当時のものです