心配!? 子どもの歯のケア

すくすく子育て
2020年3月7日 放送

歯みがきを嫌がる子ども、多いですよね。歯をみがくだけでもひと苦労。
歯みがき絵本を読み聞かせたり、鏡を見せて「むし歯菌がいるから歯みがきしよう」と誘ったり。
「私自身が歯で苦労したので、子どもには歯で苦労をさせたくない」
「年齢にあった歯のケアは?」
「むし歯のなりやすさ、遺伝するの?」
今回は、子どもの歯のケアについて考えます。

専門家:
井上美津子(昭和大学 歯学部 客員教授/歯科医)
鈴木恵美(昭和大学歯科病院/歯科衛生士)

子どもの歯のケアについて、親はどんな姿勢でいたらいい?

子どもに「歯みがきは気持ちいいもの」だと分かってもらいましょう。

回答:鈴木恵美さん

子どもに「歯みがきは気持ちいいもの」だと分かってもらいたいので、パパやママには根気よく、あせらずに取り組んでほしいですね。

1〜2歳ごろは食生活に気をつける。歯みがき習慣は発達に合わせて。

回答:井上美津子さん

1〜2歳ごろは食生活に気をつけていれば、むし歯がすぐにできるわけではありません。子どもの発達に合わせて歯みがきをゆっくりと習慣づけるような気持ちでいるとよいかと思います。


子どもの歯の健康、親のせい?

息子が11か月のころ、下の歯を見ていたら黒くスジになっているところがありました。歯医者さんに行くと、「むし歯になりそうな歯です」と言われました。後で汚れだったことがわかりましたが、その時は、「私がみがかせなかったからだ」と思って心が痛みました。それまで歯のケアは、ガーゼで拭いたり、嫌がらない程度に自分でみがかせたりするだけで簡単に済ませていたので責任を感じました。その後、食べたらすぐに歯みがきさせるようになり、仕上げみがきも念入りにしています。虫歯になってしまうのではないかという恐怖心があり、絶対に歯をみがかせなきゃと思っています。子どもの歯の健康は、やっぱり親のせいでしょうか。
(1歳2か月 男の子のママ)

初期のむし歯はコントロールできます。

回答:井上美津子さん

今、子どものむし歯は減少傾向にあります。そのためか、歯科検診で「むし歯です」と言われるととてもショックを受けて、中には涙ぐんでしまう方もいます。ですが、初期のむし歯はあまり痛くならないようにコントロールできます。できるだけ早く見つけて、「最終的にむし歯で痛い思いをしなければいい」「初期の虫歯ならコントロールできる」というくらいの気持ちでいていただければと思います。

下の歯は、よだれが汚れを洗い流してくれるのではないかと思って、簡単な歯のケアで済ませていました。よだれにむし歯を防ぐ効果はありますか?

だ液には洗浄作用がありますが、べったりとついた汚れや歯石は落とせません。

回答:井上美津子さん

よだれ、つまり、だ液には口の中の食べかすなどを流す洗浄作用があると考えられます。しかし、歯にべったりとついた汚れや歯石は、だ液で落とすことができません。また、睡眠中はだ液の分泌量が大幅に減少します。寝る前に食べたものや飲んだものは口の中に長く残ってしまいますので、寝る前の歯みがきは大事です。


むし歯はどうやってできるの?

なぜ、むし歯になるのでしょうか。
むし歯には、口の中にいるむし歯菌が関係しています。

むし歯菌は食べ物に含まれる糖分をエサにして、ネバネバの物質を出しプラーク(歯垢)を作ります。

プラークは歯につきやすく、プラークの中でむし歯菌は糖分を分解して酸を出します。
すると酸によって歯が溶けてしまいます。これがむし歯です。

むし歯菌がいても、むし歯になるかどうかには、食事のとり方が大きく関係しています。

こちらは、口の中がアルカリ性か酸性、どちらに傾いているかを数値で表したグラフです。
口の中は基本的には中性です。pHという単位で、だいたい【7】ぐらいの状態になっています。何かを食べた後は、むし歯菌が糖分と結びつき、酸を出すので口の中は酸性に傾きます。

ある一定のライン、【5.5】ぐらいを下回ると酸によって歯は溶けはじめると言われています。
しかし、何も食べていない時間帯では、「だ液」による中和作用で口の中は徐々に中性へと戻っていきます。つまり、歯が溶けにくい状態になるのです。

ところが、ダラダラと食べたり飲んだりしていると口の中はずっと酸性に傾いたままで、中性に戻ることができません。
歯にとっては、時間を決めて規則正しく食事をすることが大事だということが分かります。

食事の間隔をあけることで、だ液が歯を修復する力がはたらきます。

コメント:井上美津子さん

口の中が酸性になってしまったからすぐに虫歯になるということではありません。ダラダラ食べなどで、歯が溶けやすい酸性の状態が長く続かないようにしましょう。食事やおやつの間にある程度時間をあけることで、だ液が歯を修復する力がはたらきます。最低2、3時間程度の間隔をあけると心配は少なくなります。

むし歯菌は生まれたときから口の中にいるの?

むし歯菌は、生活をするなかで感染する。

回答:井上美津子さん

生まれたばかりの赤ちゃんの口の中には細菌そのものがあまりありません。当然むし歯菌もいません。家族の口の中にいるむし歯菌がだ液を介して感染することが多いといわれています。親の口の中に菌が多いとむし歯菌が感染する率も高くなります。
また、感染しやすいかどうかは、時期も関係します。歯がない時期や砂糖をとらない時期はむし歯菌が住みつきにくい時期と言えます。歯が生えて甘いものを食べ始める1歳半から2歳半は、むし歯菌に感染しやすくなるので気をつけましょう。


上手に歯みがき、どうすればできますか?

2人の子どもの歯みがきにはいつも苦労しています。何かを食べた後は歯みがきをさせようとするのですが、3歳のお姉ちゃんは「歯みがきしない!」と言ってなかなか歯みがきができません。歯ブラシの色を工夫したり、「さっき食べたプルーンの食べかすが残っているからみがこうね」などと具体的に伝えたりしています。「歯をみがかないとむし歯になって痛くなるよ」「歯が溶けちゃうんだよ」などと話して、少し協力してくれるようにはなりましたが、毎食後には歯みがきできず、寝る前の1日1回だけということも多いのです。
先日、市の健診で、「歯が黄色くなっている」と指摘されました。どこまでやればちゃんとみがけているのかが分からず、これで大丈夫だろうかと不安です。
(3歳 女の子、11か月 男の子のママ)

歯みがきへの誘い方やみがき方を工夫してみましょう。

回答:鈴木恵美さん

歯みがきのヒントをいくつかお伝えしましょう。
一つ目は、歯みがきへの誘い方の工夫です。
きょうだいがいる場合には、「今日は、誰からみがこうか?」など、順番を選んでもらってみてはどうでしょう。「自分が先にやりたい!」という気持ちが先に立ち、「歯みがきをしたくない」という気持ちを少し忘れることもあります。
二つ目は、歯のみがき方の工夫です。

奥歯をみがくとき、口を開くために指先をひっかけるだけだと、頬の皮膚が無理に伸ばされたり、爪が頬の内側に当たったりして痛みを感じます。少し指を奥まで入れて、指の腹でほっぺたをよけるように押さえたほうが痛みを感じにくくなります。

前歯をみがくときは、唇の裏側を指の腹で押さえます。特に上くちびるの裏側には、「上唇小帯」という細いスジがあり、ここにブラシが触れると痛みを感じます。優しく指の腹でカバーしてあげるのがポイントです。

みがき方のポイント

解説:鈴木恵美さん

<本格的な歯みがきの前に>

歯が生える前から、親子で口のケアに慣れることから準備を始めましょう。次のような段階で、徐々に進めてください。

  1. 体を触ってリラックスさせ、その延長で口のまわりを触ります。口を触られる感覚に慣れてもらいます。
  2. 子どもが自分の指を口に入れて少し歯ぐきを触ってみます。
  3. 大人が指にガーゼを巻いて歯ぐきを触ります。
  4. 前歯が生え始めたら歯ブラシを入れてみましょう。
<歯ブラシの持ち方と歯への当て方>

基本は力のコントロールがしやすい「鉛筆持ち」がよいでしょう。

歯の表面は真っすぐブラシを当てます。歯と歯ぐきの境目には汚れが残りやすいのでしっかりみがきましょう。

奥歯の内側は舌があるため歯ブラシをまっすぐに当てることが難しいので、45度くらいの角度で歯ブラシを当てます。

前歯の裏は歯ブラシを縦にしてかき出すようにみがきます。

<歯をみがく順番>

上の前歯の周辺は過敏なので、最後にみがきます。奥歯から始めるとよいでしょう。


歯並びや歯の質などは子どもに遺伝しますか?

妊娠中から、子どもの歯のケアは気にかけようと決めていました。私も夫も、むし歯や歯並びなどで苦労したので、子どもには歯で苦労をさせたくないと思っていました。糖分はなるべく控えて、何かを食べた後には欠かさずすぐに歯みがきをしていました。
ですが、1年前、歯並びが悪く重なっているところに歯石がついていることに気がつきました。歯石は歯科で取り除いてもらいましたが、自分たちの歯並びが遺伝したせいで将来子どもが歯のことで苦労するのではないかと心配です。
(2歳11か月 男の子のママ)

歯並びには遺伝の要素がある。

回答:井上美津子さん

歯並びやかみ合わせは遺伝の要素が強いですね。ただ、両親の遺伝子の組み合わせで、いろいろなパターンの歯並びやかみ合わせが出ます。また、もともとの歯の生え方以外にも、食事のしかたやクセなど、歯並びに関係する要素があります。もともとの歯並びですべてが決まるわけではありません。

歯の質は遺伝より環境要因のほうが強く影響します。

回答:井上美津子さん

歯の質は、あごの中で歯が作られるときの環境要因のほうが強いと言われています。遺伝的な病気で全体的に歯の質が悪いという方もいらっしゃいますが、それはごく少数です。歯が作られるときの問題(形成不全)がみられる場合は、歯みがきをきちんとしないとむし歯になりやすいということはあります。

かかりつけの歯科医を。

回答:井上美津子さん

歯石はむし歯とは異なりますので、歯科でとってもらえば、子どもの場合はそんなに大きな問題ではありません。早めにかかりつけの歯科医を見つけて、定期的に検診をしましょう。歯並びなど、歯の状態を診てもらったうえで、その子に合ったみがき方を教えてもらうとよいと思います。


歯みがき粉は何歳から使えばよいですか?

いつ頃から歯みがき粉を使えばよいでしょうか。また、朝はいつも保育園の支度で忙しくてスプレータイプのケア用品のみで済ませています。その程度で大丈夫でしょうか。
(2歳5か月 男の子のママ)

歯みがき粉を使うのは、うがいができるようになる3歳ぐらいから。

回答:井上美津子さん

1〜2歳は基本的に歯みがき粉を使わなくていいと思います。うがいもまだうまくできないので、歯ブラシをきれいに洗いながら歯の汚れを落とせばよいでしょう。
3歳くらいになるとうがいもできるようになり、歯みがき粉を使えるようになります。子ども用の歯みがき粉にはいろいろな味がありますので、どの味にするかを選ぶ楽しさが歯みがきの動機づけになることもあります。研磨剤を気にされる方もいますが、今の子ども用の歯みがき粉にはほとんど入っていません。

寝る前の歯のケアはしっかりする。

回答:井上美津子さん

朝はどうしてもスプレーだけということですが、その場合は夜、寝る前にしっかり歯みがきをしておきましょう。うがいができるようになれば、朝もぶくぶくうがいをしっかりさせてください。ぶくぶくうがいは汚れも取れますし、口の機能の発達にも効果が期待されています。

※記事の内容や専門家の肩書などは放送当時のものです