ウチの子 大きい? 小さい?

すくすく子育て
2019年11月23日 放送

今回のテーマは、子どもの体重。
「好き嫌いなく、たくさん食べているのに、なかなか体重が増えない⋯⋯」
「赤ちゃんのときに太っていると大人になってから肥満になるって、本当なの?」
ウチの子、大きい? 小さい?
気になる子どもの体重について、一緒に考えていきましょう。

専門家:
加部一彦(埼玉医科大学総合医療センター/小児科医)
太田百合子(東洋大学 非常勤講師/管理栄養士)

乳幼児期の「大きい・小さい」のポイントは?

3歳未満と3歳以降とでは考え方が違う

回答:加部一彦さん

授乳中や離乳食を食べている乳児のときと、3歳以降とでは、「太っている・やせている」についての考え方や子どもの成長のしかたが違います。そういうことを知っておくと少し気が楽になるかもしれません。

食事量や体重の変化は、1日あたりではなく長いスパンで見て。

回答:太田百合子さん

食事量や体重の変化など、グラム単位で気になる方もいるかもしれませんが、1日あたりの増減量で一喜一憂せずに、もう少し長いスパンで見ていくとよいと思います。


たくさん食べて飲んでいるのに、体重が増えない。大丈夫でしょうか?

生まれたときは発育曲線の枠の中に入っていましたが、2か月ころから、体重の増え方が鈍くなり、枠に届かなくなりました。5か月から離乳食を始め、どんな食材もすすんでたくさん食べ、母乳のほかにミルクもしっかり飲んでいるのに、体重は7か月になった今でもまだ5kg。発育曲線の枠から大きく下回ったままです。たくさん食べて、たくさん飲んでいるのに、体重が増えません。大丈夫でしょうか。
(7か月 女の子のママ)

大きい子でも小さい子でも、その子なりに伸びているかどうかを見る。

回答:加部一彦さん

基本的には体重が少しずつでも一定して増えていれば心配ありません。

発育曲線の中に入っていたほうがいいのではないかと心配になる方も多いようですが、これは基準ではなく、100人の赤ちゃんがいたときに、94人は黄色い枠に入り、それ以外にも大きい子も小さい子もいますよ、ということを表したグラフです。一定の割合で大きくなっていれば、枠の上にいても下にいてもあまり心配ない。ここから外れているかどうかではなく、大きい子でも小さい子でも、その子なりに伸びているかどうかを見るようにしてください。また、月齢ごとの発達にある程度そっていれば大きさはあまり関係ありません。

その子なりに発育曲線のラインに沿っているかを見る。

回答:太田百合子さん

その子なりに発育曲線のラインに沿っていれば、離乳食の量もミルクの量も母乳の量もその子に合っていると言えると思います。夜もぐっすり寝るようなら、足りていると考えてよいでしょう。


体重がどんどん増えています。将来肥満になってしまうの?

娘は8か月になりますが、体重は10.5kgと標準を大きく超えています。生まれたときの身長・体重は発育曲線の枠に入っていましたが、生後1か月を過ぎたころから、どんどん体重が増え、2か月で枠からはみ出してしまいました。5か月から離乳食を始めましたがまだあまり食べません。母乳は好きなだけあげてよいと聞いたものの、本当にこのままで大丈夫なのか不安になっています。
赤ちゃんのときの肥満がそのまま体質として引き継がれる可能性もあるという文献もあると聞いて、やせたほうがいいのかなと夫も心配しています。このままだと大人になると肥満になってしまうのでしょうか。母乳を減らしたほうがいいのでしょうか。
(8か月 女の子のママ)

乳幼児に多いのは「良性肥満」です。授乳や食事を自己判断で制限しないで。

回答:太田百合子さん

乳幼児に多いのは「良性肥満」といわれるもので、動きが活発になるとだんだんとやせていくことが多く、今は授乳や離乳食を減らす必要はありません。肥満になってしまうからと授乳や離乳食を減らし過ぎると、空腹で夜中に目が覚めて生活リズムが狂ったり日中不機嫌になったりする可能性があるので、自分の判断で制限はしないでください。

乳児期は、食生活で脂肪の数が増えるわけではない。将来の肥満に直接関係はありません。

回答:加部一彦さん

発達も特に問題がなさそうなら、そのまま様子を見ていてよいと思います。乳幼児期の赤ちゃんの体重は70〜80%が水分で、体重あたりの水分量が多く、いわゆる水太りの状態です。これから筋肉がつくなどして水以外の成分が増えていくため、体重もそろそろ頭打ちになっていくのではないでしょうか。胎児期と乳児期は、食生活によって脂肪の数が増えるわけではなく、また、この時期の「太っている」状態は、将来の肥満に直接関係はありません。

乳幼児期の体重増加と大人の肥満

解説:加部一彦さん

赤ちゃんの時期に脂肪細胞が増えるのは、発育に必要な、正常な体の働きです。

脂肪細胞の数が増える時期は、胎児期、乳児期、思春期の3回あるといわれています。

脂肪細胞には、成長期の体をつくり、ホルモンを分泌するなどの大事な役割があります。
ですから乳児の時期は、必要な分だけ一定の割合で、誰でも脂肪細胞の数が増えます。

一方、大人になってからの肥満は、食べ過ぎや運動不足などで、余ったエネルギーがため込まれること。
大人の肥満は、基本的には脂肪細胞そのものが大きくなり、時には分裂して、数も増えます。
これは、生活習慣などが原因で起こることが多いといわれています。

このように、赤ちゃんの時期に太ることと、大人の肥満は、性質が違うのです。


1日あたりの体重増加が大きいと負担がかかるというのは本当?

2000g未満で小さく生まれ、2週間をNICUで過ごしました。退院後は順調に身長・体重が増えて発育曲線の中に入りましたが、1日58gずつくらい増えています。理想は1日30gくらいで、あまり増えすぎると子どもの体に負担がかかるとも聞いて、心配しています。
(6か月 男の子のママ)

小さく生まれた赤ちゃんは「キャッチアップ」といって急速に体重が増えます。

回答:太田百合子さん

小さく生まれた赤ちゃんは、「キャッチアップ」といって、体重が増え身長が伸び、急に大きくなる時期があります。今はそういう時期だと捉えてください。

体重の伸びは基本的に心配ありません。月齢相当の発達も合わせて見ていきましょう。

回答:加部一彦さん

お子さんの発育曲線を見ると、とてもよく伸びていますね。月齢相当の発達が見られれば、基本的には心配ないと思いますよ。
おなかの中で大きくならなかった影響が将来にわたって残る可能性も指摘(DOHaD学説)されていますが、みながそうなるわけではありませんから、健康的な生活を心がければ、基本的には問題はありません。

<DOHaD学説について>

胎児期・新生児期のさまざまな環境が、成人後の健康状態に影響を及ぼしているのではないかという学説が、近年注目を集めています。
中でも、小さく生まれた赤ちゃんは、おなかの中でうまく栄養をとれない状態にあったため、エネルギーをより体にため込もうとして太りやすい体質で生まれてくるのではないかという説があります。そのため、小さく生まれた赤ちゃんは、将来、生活習慣病になるリスクが他の子に比べて高いのでは、と考えられているのです。


4歳ごろからやせてきた息子。食事の量を増やしたほうがいいか悩んでいます。

元気いっぱい、やんちゃな盛りの兄弟がいますが、やせすぎではないかと心配です。特に上の子は3歳まではふくよかでしたが、4歳からどんどん身長が伸び続けていつの間にかほっそりした体つきになりました。私の親から「ちゃんと食べさせているの?」と言われたり、周りの人にも「細いね」と言われたりすると、やっぱり細いのかなと気になります。保育園でも自宅でも、3回の食事とおやつは、ちゃんと食べているのですが、動く量に対して食べる量が足りているのか心配です。このまま食べる量を見守ったほうがいいのか、もっと食事の量を増やしたほうがいいのかと悩んでいます。
(6歳3か月、3歳10か月 男の子のママ)

5〜6歳は、赤ちゃんの体型からほっそりとした体型へと変化する時期です。

回答:加部一彦さん

お子さんは、赤ちゃん・幼児の体型から、だんだん「少年体型」になってきています。

体格を表す指標として「BMI」が知られています。(乳幼児の場合は、同じ計算式のカウプ指数が用いられます)

BMIは、乳児期に急激に増加し、その後、5〜6歳前後でいったん減少。そのあとふたたび増加に転じます。つまり、統計上5〜6歳は、ほっそりとした体型に変化する時期なのです。
これから運動量も増えて筋肉がついてきますから、体型もどんどん変わっていきます。今は、やせすぎだとあまり気にしなくてもいいと思いますよ。

4割の親が自分の子どもの体型を正しく認識していません。

回答:太田百合子さん

幼児期の体格を判断するには、身長と体重を測ってBMIで見る方法もありますが、もう一つ、肥満度という計算方法があり、母子健康手帳にも記載されています。

一般的に、BMIは乳児期の体格を判断するため、あるいは統計などで全体の傾向を見るために使われます。

一方、幼児期の子どもの体格を個別に判断するときによく使われているのが「肥満度」です。
全国調査に基づいて割り出された「標準体重」を元に、そこからどれくらい離れているかを見るものです。

また、親が自分の基準で、太りすぎじゃないか、やせすぎじゃないかと思い込んでいる場合もあります。ある調査によると、4割の保護者が自分の子どもの体型を間違えて認識していたというデータがあるんです。家族や親戚など身近な人たちの体型と比べることで、判断基準が影響されることもあります。

一般的に、1〜2歳ぐらいまではがむしゃらに食べる時期です。3歳以降になると落ち着いて、自分の満足できる量が感覚的に分かってくるようになります。そこで、無理強いしたり、たくさん食べなさいと言うと、ますます食べる意欲がなくなったり、かえって過食になる可能性もあるので、無理することはありません。


子どもが太りぎみで便秘も気になる。食事などで気をつけることは?

3歳の娘がちょっぴり太めなのが気になっています。生まれたときは体重も身長も標準のほぼ真ん中だったのですが、体重が増えてもなかなか身長が伸びず、現在、体重は発育曲線の枠の範囲内ですが身長はやや小柄です。食べることが大好きなので、太りすぎないように牛乳は低脂肪乳に、ヨーグルトは無糖にするなど、油分や糖分をできるだけ控えてカロリーをとり過ぎないように家での食事に気をつけています。保育園に通っていて、給食でたくさん食べてくるので、家での食事がそこまで効いていないのかなとも思います。
また、1年ぐらい前から毎日お通じがないので、便秘も少し関係があるのかなというのも気になるところです。
(3歳3か月 女の子のママ)

好き嫌いをできるだけ少なくして、よく体を動かすように注意してあげましょう。

回答:加部一彦さん

身長的には少し小さめでも、ここから身長は伸びていくと思います。
3歳前後からは、食事や生活リズムが大人と近づいてくるため、運動不足や食べ過ぎなどによって、大人とおなじような肥満になる可能性が出てきます。
一般的に、体型の指標であるBMIは、5~6歳を過ぎたころ、ふたたび増加し始めます。

この減少から増加へ転換する時期を「アディポシティ・リバウンド」と言います。

そして、この「アディポシティ・リバウンド」が、2~4歳ころに早まると、将来の肥満や、生活習慣病のリスクが高まる可能性があると報告されています。
今後どのように体重と身長が伸びているかを見ながら、好き嫌いをできるだけ少なくして、よく体を動かすように注意してあげるといいのではないでしょうか。

便秘の解消には、水分・食物繊維・油分・糖分が大事。栄養をバランスよくとりましょう。

回答:太田百合子さん

便秘が少し気になりますね。子どもは、太っていてもやせていても栄養はバランスよくとることが重要です。糖分の浸透圧で便が軟らかくなるので、糖分も便秘解消につながりますし、油を控えているということですが、野菜炒めなど油を使うことで野菜が食べやすくなり、食物繊維もとりやすくなります。水分補給と食物繊維、そして、油、糖分、これらは実は便秘解消にとても大事なものなんです。

3歳以降の肥満を防ぐ食べ方のポイント

解説:太田百合子さん

1.「あと一品」を心がける。

カレーライスやスパゲッティのような、ひと皿メニューの場合、それだけだと早食いになってしまいます。野菜サラダやヨーグルト和えなど、何か「あと一品」あったほうがゆっくり食べるようになります。

2. 奥歯でしっかりかめる食材を。

根菜・海藻・キノコ・こんにゃくなど、奥歯でしっかりかめる食材を増やしましょう。バターソテーにするなど油も使えば、効率よく便秘解消もでき、食物繊維もとれます。

3. 前歯を使わせるように食材を工夫する。

前歯は食べ物のかたさを感じるセンサーなので、ちょっと食べづらいかもしれないけど、食材を少し大きめに切ったほうがよくかむようになります。

「食事は家族そろって」とよく言われます。一緒に食べるとゆっくり食べますので、ぜひ一緒に食べてあげてください。


専門家から
これだけは言っておきたいメッセージ

子どもは変化していく存在です。発達も一緒に見てあげて。

加部一彦さん

子どもは変わっていく存在です。今この時だけでなく、長いスパンで考えてあげるといいですね。また、体が大きくなっていくだけではなくて、できることもどんどん増えていくはずです。発育だけではなく、発達していることも一緒に見てあげてほしいと思います。

親の価値観が子どもに影響します。太っていてもやせていても、食事は楽しく。

太田百合子さん

親の価値観は、やはり子どもたちにも影響してきます。やせているのがいい、普通なのがいいというわけではありません。目の前のお子さんの成長を見てあげてくださいね。
太っていてもやせていても、「食事は楽しく食べる」ということを教えてあげてください。

※記事の内容や専門家の肩書などは放送当時のものです