すくすく子育て 増刊号 2019(2)
2019年9月21日 放送
今回の「すくすく子育て」は増刊号!
- これまでの放送で反響が大きかったテーマをダイジェストで
- 「すくすくアイデア大賞」の過去のアイデア、本当に効果がある? ⋯⋯試してみました!
- 時間の都合で放送できなかった質問
- 「あきえの知ってビックリ!!赤ちゃんの世界」紙おむつの研究開発現場に潜入!
これまでの放送より
これまで取り上げてきたテーマの中で、特に反響の大きかったものをご紹介します。
『子どもが急な発熱! 仕事どうする?』(2019年6月15日放送)
子どもが急に病気になったとき、働く親はどうしたらいいのか考えました。
子どもが病気になるたびに、まず仕事を休むことの心配をしてしまうママ。母親として失格ではないかと悩み、職場にも迷惑をかけて申し訳ない、何よりも子どもに申し訳ないという気持ちを抱えていました。
専門家からは「ママであると同時に職業人であることに誇りを持って」との言葉がありました。
『産後 心と体の不調』(2019年6月29日放送)
産後の心と体の不調について考えました。
番組アンケートでは、10人に1人のママが産後にうつ、またはうつ傾向になったと答えました。
専門家からは「周りの人がママの不調のサインに気づくことが大切」とのアドバイスがあり、「食事がとれているか」「ちゃんと眠れているか」「笑顔がみられるか」などのポイントが挙げられました。
これらの放送について、視聴者のみなさんから多くの「つぶやき」がホームページに寄せられました。
すくすくアイデア大賞を試してみよう
子育ての困りごとを解決できるアイデアを紹介する「すくすくアイデア大賞」。
これまでに数々の優秀作品が生まれていますが、過去のアイデアが、本当に効果があるのかどうか試してみました。
歯みがきゴロン!がしたくなるヘアバンド(2010年)
歯磨きが嫌いで逃げてしまう。そんな子も楽しく歯を磨けるアイデアがこちら。
子どもの大好きなおもちゃをカチューシャに付けてぶら下げるだけ。
ママやパパが頭につけたら、子どもは引き寄せられるように仰向けになり、おもちゃに集中している間に、ラクに歯を磨ける、というアイデアなのですが⋯⋯果たしてその実力は?
歯磨きが苦手な子どもたち16人に試したところ、9人が成功しました。
いつもなら、上を向いてゴロンと寝転がるまでに小一時間かかってしまう子も、口を手で押さえて嫌がる子も、目の前にぶら下がっているおもちゃに手を伸ばして遊んでいるので、すんなり磨かせてくれました。
簡単!鼻かみ上達法(2014年)
鼻かみが苦手な子、多いですよね。そんなときにはこのアイデア。
ティッシュを丸め、鼻の穴につめてロケット発射。これで遊びながら鼻をかむコツがつかめるんです。
※ティッシュは小さくしすぎないようにしてください
こちらも、鼻をかめない子どもたち、12人中9人が成功しました。
鼻をかめずに吸い込んでしまって風邪をよくひく子も、鼻がかめないので病院に吸引に通っている子も、楽しみながら練習して、すぐにできるようになりました。子どもたちも自分でできるようになって、とってもうれしそうでした。
時間の都合で放送できなかった質問
ひとりで子どもの世話をしていると孤独を感じます。モヤモヤした気持ち、どうすればいい?
「子育て中に感じる孤独」(4月27日放送)の回より
パパは、休みの日は一緒に子育てしてくれるのですが、平日は朝早くから夜遅くまで仕事。ひとりで子どもの世話をしているとき、とても孤独を感じます。原因が仕事なので解決策がなく、「しかたがないよね」で終わってしまうので、私の気持ちはモヤモヤしたまま。我慢して頑張るしかない、でもモヤモヤする。どうすればいいのでしょうか。
疲れたときは社会的支援を使うことも大事。パパの働き方も変えていきたいですね。
回答:大日向雅美さん(恵泉女学園大学 学長/発達心理学)
「解決策がない」とおっしゃるけど、そんなことはありません。疲れたときは地域の子育て支援を使う、ママ友同士で助け合う、社会的支援を使うことなども大事ですよ。
もう一つ、パパの働き方も変えていきたいですね。今、「働き方改革」と盛んに言われていて、子育て期の男性が家庭に関われるようにしようと社会は動き始めています。でも、実際に何を変えていけばよいのかについて、ママたちの声、子育ての現場の声が届いていない部分も多いんです。ですから、ママ・パパが日々の子育ての中で困っていることを社会に発信していくことも大切だと思います。
友だちのトラブル、親はどうフォローしたらいいの?
「どうする? 子どもの友だちづくり」(7月13日放送)の回より
子どもが4歳になってから、園で女の子のグループがなんとなくできはじめました。いつも遊んでいるグループではないグループに入ろうとすると、「こっちに来ないで」などと言われてしまうようです。そう言われたとき、親としてどこまで何を言ってあげればいいのか困っています。
(4歳 女の子のママ)
トラブルの経験を通して、自分の気持ちや人の気持ちを理解していきます。
回答:柴田愛子さん(保育施設代表)
4〜5歳になると、「仲間」と「仲間じゃない人」という区別をつけたくなるようです。仲間ではない、と感じた相手に対して、「入っちゃダメ」「友達じゃない」などと言うこともあります。さらに、5歳くらいになると、数人で一緒に行動すると強くなるということを理解しはじめます。その延長で「私たち、仲間だもんね」などと言ってしまうわけです。
大人としては、そういう発言や行動はあまり歓迎したくありませんよね。でも、子どもはそういう段階を通って、少しずつ自分の気持ちと人の気持ちが分かっていくんだと思います。そういうことがあったときに、大人が「それは意地悪でしょ。やめなさい」などと説得しても、子どもは心からは納得しません。そういうときには、「入れてもらえないと悲しいね」「一緒に遊びたかったね」など、今、その子が感じていることをことばにして認識させてあげるようにするといいと思います。
子どもがゲーム好きで心配です。大丈夫でしょうか。
「学びにつながる遊びって? ~3・4・5歳編~」(8月10日放送)の回より
子どもがゲーム好きなのですが、ゲーム中毒やゲーム依存ということばを聞くことがあり心配です。
ゲームばかりだと文化を体験するチャンスが減ってしまいます。頭と体と対人関係を豊かに。
回答:汐見稔幸さん(東京大学 名誉教授/教育学)
ゲームばかりだと「文化の体験」をするチャンスが減ってしまいます。文化には3つの要素が必要です。1つ目は、体で覚えること。ピアノを弾く、包丁を使う、サッカーをするなど、体で覚えて上達していくことは文化を身につけることでもあります。2つ目に、頭で考えることです。考えて、考えて、「できた!」という体験です。例えば、ごっこ遊びもとても知的な遊びですね。考えないとできない遊びです。3つ目は、人と関わることです。想像力を合体させる、一緒に喜ぶ、何かあったときには一緒に悲しむ。そうやって人と深く関わることによって文化を創るのです。
つまり、体と頭、そして対人関係、この3つを豊かにしていくことが文化を身につけるということなんですね。ぜひ、体を使って覚えたり、工夫して遊んだり、人とたくさん関わることを優先させてほしいと思います。
増刊号だけのスペシャル企画
「あきえの知ってビックリ!! 赤ちゃんの世界」第2回 乳幼児用紙おむつ
オムツにミルク、食事用品やおもちゃ⋯⋯。赤ちゃんのためのグッズ、たくさんありますよね。
番組MCの鈴木あきえさんが開発現場にお邪魔して、どのように作られているのかレポートします!
紙おむつはどのように開発されているの?
多くの種類が売られている乳幼児用紙おむつ。
今回は大手紙おむつメーカーの研究所で、「快適な紙おむつを作るうえで重要な部分」についての開発の現場を見学します。
“快適な紙おむつ”に重要なことってなんだろう?
まず案内されたのは、こんな部屋。
この部屋では、防水フィルムシートの研究をしているそうです。
防水フィルムシートとは、おむつの外側を1枚めくると中に入っているシート。おしっこが外に漏れるのを防ぎます。
そして、このシートにはもう一つ大切な役割があります。通気性を確保する機能も備わっているのです。
赤ちゃんがおむつの中におしっこをすると、おむつの中の湿度は一時的に80%まで上昇します。おむつの中がムレると、赤ちゃんの皮膚がふやけて傷つきやすくなります。そこに排泄物のおしっこやうんちが触れると肌がかぶれやすくなるため、おむつの通気性が重要になるのです。
通気性を高めるために、防水フィルムシートにはミクロの穴が空いているそうです。
でも、防水なのに穴を開けたら、おしっこがもれてしまいそう。大丈夫なのでしょうか。
“防水”と“通気”は両立できるのか?!
そこで、防水と通気が本当に両立できるのか、実験を見せてもらいました。
まず、筒状の装置の真ん中に防水フィルムシートを挟み、しっかり止めます。
そしてそこに液体を流し込むと⋯⋯。
防水性があるので、下に液体がもれていないことが分かります。
これなら、赤ちゃんのおしっこも通すことはありません。
続いて、通気性の実験です。ポンプで空気を送ると⋯⋯。
下から送り込まれた空気が防水フィルムシートを通過して上に上がっています。
防水性と通気性が両立できていることが分かりました。
そのほかさまざまな実験が行われています!
吸水実験
おしっこの吸収力を実験しています。
過去のモデルがビーカー2杯分を吸い込む間に、現在のモデルは4杯分吸い込むことができました。
現在のモデルの方が多くの水を、より素早く吸収することができます。しかも、こんなにたくさん吸い込んでも、おしっこの戻りはほとんどありません。
うんちの広がり方の実験
低月齢の子ども用おむつの表面には、柔らかいうんちが広がらないように凹凸があります。
同量のドロッとした液体をおむつの上に載せ、ローラーで圧をかけると⋯⋯。
このように、凹凸があることによって柔らかいうんちは隙間に入り込み、広がらずに狭い範囲で吸収できるそうです。
腰のギャザーの研究
快適おむつの重要ポイント、最後は腰のギャザーです。
現在、売られている乳幼児用紙おむつは8割がパンツ式。赤ちゃんのお腹を締めつけず、しかもズリ落ちない⋯⋯この2点を両立するために、腰のギャザーの改良は重要。
そのため、この研究室では赤ちゃんの骨格から研究をしているそうです。
そのギャザーの鍵となるのが⋯⋯。
おむつの腰の部分に入っている伸縮性の高いゴムです。
いろいろな太さの糸ゴムを組み合わせたり、入れ方を工夫したりすることで、ズリ落ちず、お腹が苦しくないおむつになるんです。
そして、赤ちゃんの体型、肌質、動きを忠実に再現した人形に履かせて、立ったり座ったりする動きを何度も試し、ズリ落ちないかをテストします。
この人形は、動きも実際の赤ちゃんに近づけているので、足の動きだけでなく、お腹も膨らみます。お腹が膨らんだときに、ウエストがしっかりとついて動くか、ズレないかというところもテストのポイントになります。
※記事の内容や専門家の肩書などは放送当時のものです