子どもの「食」の悩み ~離乳食~

すくすく子育て
2019年8月31日 放送

4月放送の「全国のパパママに聞きました! 子育ての悩みは何ですか?」で行なったアンケートの結果、1位は「食」の悩みでした。
そこで、2回にわたって子どもの「食」の悩みについて特集します。
「栄養のあるおいしい離乳食をあげたいけれど、料理が苦手」
「せっかく作った離乳食を食べてくれない」
今回は、悩み多き「離乳食」について考えます。

専門家:
草川功(聖路加国際病院 小児科 医長)
太田百合子(東洋大学 非常勤講師/管理栄養士)

離乳食を始めて2か月です。あまり食べてくれないのはなぜ?

離乳食を始めて2か月ですが、あまり食べてくれないのが悩みです。最初の数口は食べても、5分くらいすると機嫌が悪くなり、食べなくなってしまいます。授乳はしていますが、月齢で見ると離乳食の量が平均よりも少ないので、栄養が足りているか心配です。
(7か月 男の子のママ)

食べることに慣れておらず集中できる時間も短時間。練習の時期だと思って。

回答:太田百合子さん

離乳食を始めたばかりなので、赤ちゃんが食べることに慣れていないのだと思います。7~8か月のころはまだ練習期間と考えてください。
赤ちゃんが集中できる時間は長くないので、食事に時間をかける必要はありません。集中できるのはだいたい5分ぐらいだと思います。映像を見ると、スプーンを子どもの下唇の上にそっとのせるようにする、ひと口の量も多すぎず・少なすぎず適量、とお母さんの食べさせ方はよかったと思います。
その一方で、赤ちゃんがぐずっている様子を見ると、「ちょっと不安だから、おっぱい欲しい!」というようにも見えました。そこで無理強いして離乳食を食べさせる必要はありません。食べるのが嫌になったらやめていいと思います。
離乳食の食べ方は赤ちゃんの成長に伴ってどんどん変化していきます。まずは無理強いしないこと、そして、お母さんも赤ちゃんが食べないことで深く悩まないことです。「食事の量」だけにこだわらず、今は「食のリズム」を付ける時期だと考えましょう。

離乳食は「食べる練習」をする期間です。母乳やミルクだけでは不足する栄養を補給するために、少しずつ固形物をとる練習をします。練習することで消化器官が発達し、かむことに慣れていきます。赤ちゃんは、一年くらいかけて「食べる力」を身につけていくのです。

液体から固形物に慣れていくには時間がかかり、個人差も大きくなります。

回答:草川功さん

赤ちゃんにしてみれば、おっぱいやミルクなど液体だけを吸って飲んでいたのに、離乳食が始まると突然食べ物を口に入れるわけです。口に入ったものをうまく運ぶだけでも難しいことです。母乳やミルクはスルッと入っていきますが、離乳食になると口の中に入ってからも口や舌を使ってのどのほうへと運ばなければなりません。また、徐々に固形物になっていきますから、かむことも必要になっていきます。そして、よりしっかりと消化をしなくてはいけません。そういうことに体が慣れていくまでには時間がかかり、個人差も大きくなります。

離乳食をなかなか食べないとき、母乳やミルクだけで栄養が不足しないか心配です。

栄養がすぐに足りなくなるわけではありませんが、食事を徐々に増やしましょう。

回答:草川功さん

母乳やミルクをしっかりと飲めている場合、栄養がすぐに足りなくなるわけではありません。基本的には、母乳やミルクは赤ちゃんの成長に必要な栄養がバランス良く入っていますので、ある程度の量をしっかり飲めていれば大きな問題はないと思います。
ただ、母乳の場合、まとまった量を決まった時間に飲むのではなく、ちょこちょこと母乳を飲んで回数が多くなってしまうことがあります。授乳のリズムに気を付けないと、離乳食が進みにくい原因の一つになってしまうこともあります。
1歳~1歳半ぐらいまでは、母乳やミルクだけでも、結果として体重が増え、身長が伸び、発達が進んでいれば、そんなに心配はないと思います。しかし、だからといって母乳やミルクだけで良いということではありません。工夫しながら食事を徐々に増やしていきたいですね。

母乳だけでは鉄が不足しがち。食材の幅を広げていきましょう。

回答:太田百合子さん

実は、母乳の成分だけでは鉄が不足しがちです。9か月以降で離乳食を食べていないと鉄欠乏性貧血になりやすいことがわかっています。9か月に入ったら、いろいろな食材を使うようにしていきたいですね。そうすれば、離乳食で自然に鉄不足は補えます。


離乳食の支援ガイド 改定のポイント

赤ちゃんの授乳や離乳食について、国の指針があることをご存じですか?
それが、「授乳・離乳の支援ガイド」。子育ての支援をする人たちのために、基本的な知識をまとめたものです。社会環境の変化や新たな研究成果を受けて、2019年、12年ぶりに改定されました。改定に携わった清水俊明さん(順天堂大学 医学部 教授/小児科)にお話をうかがいました。

まず、アレルギーについて。「離乳食の開始を遅らせてもアレルギーの予防効果に影響はない」ということがわかり、アレルギーの原因になりやすい食べ物について適切な時期から与え始めることなどが盛り込まれました。
また、災害に備えた家庭での備蓄や、避難所での支援について書き加えられました。最近販売が始まった乳児用液体ミルクについての記述もあります。

そして、離乳食作りに疲れる親たちが楽になるアドバイスも記載されています。
不安やトラブルが強すぎて落ち込んだりすることもありますから、そのようなときは、ベビーフードなどを有効利用するのもひとつの手だと思います。いま一番問題になっているのは産後うつです。その原因が授乳や離乳だということもあります。その防止という意味でも、このガイドが有効利用されればいいと思います。
(清水俊明さん)


料理が苦手でレパートリーも少ない。バリエーションを増やしたいけど⋯⋯。

料理が苦手でレパートリーが少ないので、ベビーフードをよく利用しています。例えば、冷凍しておいたゆで野菜を解凍し、ベビーフードと混ぜて一品、ふりかけを挟んだおにぎりとミニトマト。これが定番です。息子はよく食べてはくれるのですが、手抜きだなと思います。マンネリ化して、ベビーフードに頼った味付け、限られた食材しか使いこなせないのが悩みです。手づかみの料理も生の野菜スティックかゆで野菜を与えているだけなので、手づかみできるおかずも知りたいです。
(1歳2か月、1か月 男の子のママ)

そんなママが作っている離乳食を、松尾みゆきさん(管理栄養士)にチェックしてもらいました。

授乳中のママもしっかり栄養をとってほしい。離乳食と大人の食事を一緒に作れる簡単メニュー。

解説:松尾みゆきさん

離乳食のメニューを見ると、野菜は何種類か使ってそれなりにとれているのですが、たんぱく質が全くない日があるのが気になります。もう少し簡単に手軽にとれるたんぱく質を入れるとぐっと良くなると思います。
また、大人の食事が適当になりがちなところが気になりますね。お母さんは授乳中ですから、栄養をたっぷりとって自分の体をいたわってあげてください。

お子さんの離乳食と大人の食事を一緒に作って食べられるメニューの例として、「鶏ささみと野菜スープ」を紹介します。離乳食の冷凍ストックも一緒に作ってみましょう。

忙しい時には、いろんな栄養が1度にとれるスープが便利です。
具はお好みの野菜。今回はキャベツ、ニンジン、タマネギを使います。

野菜を適度な大きさに切って鍋に入れます。野菜がかぶるくらいの水を入れて火にかけましょう。ニンジンは、縦半分に切って斜め切りにすると子どもが手づかみしやすいサイズになります。

煮立ったら鶏ささみを加えます。再び煮立ったら弱火にして、鍋にふたをして野菜がやわらかく、鶏肉に火が通るまで煮ます。

十分に火が通ったら、冷凍ストックする野菜と鶏ささみを取り出しましょう。

鶏ささみのあら熱が取れたら手で筋を取り、細かくほぐします。冷凍用保存袋に入れ、薄く平らにして冷凍します。このように冷凍保存すると、冷凍したままほしい分量だけ割って使えるので便利です。

野菜は離乳食1回分ずつに分け、冷凍しておきましょう。
これで、離乳食の冷凍ストックができました。

最後に味付けです。
大人用の味付けをする前に、子どもの分を取り分けておきましょう。鶏がらスープの素やしょうゆなどで味をととのえたら完成です。

このように、大人用のスープと離乳食、冷凍ストックを一度に作ることができます。

<たんぱく質食材の冷凍ストック>

冷凍ストックのたんぱく質食材は、熱湯で10分ほど塩抜きしたしらす干しもおすすめです。
※冷凍ストックを使用するときは必ず過熱し、1週間ほどで使い切りましょう

離乳食は、大人の料理からの取り分けが便利です。

回答:太田百合子さん

昔は、離乳食というのは、大人の食事から取り分けをしていたんですね。例えば煮物や汁物、煮魚などから味付け前に取り分けていました。9か月以降になれば、少し味があっても大丈夫ですから、例えば大人の味付けのものをお湯で洗って味を薄くしてあげれば食べられます。
それまでは、シチューを作る時に、ルーを入れる前に取り分けなどしていくと、大人の分も一度にできますので、料理も楽しくラクになっていくと思いますよ。

離乳食の時期に気をつけたい食べ物は?

1歳までは、このような食べ物に注意が必要です。

回答:太田百合子さん

まず、刺身など、肉や魚の生もの。そして、味が濃すぎるものや硬すぎるもの。極端に色がついているなど、添加物の多すぎるもの。これらのものは食べさせないようにしましょう。
また、はちみつは1歳を過ぎてから。牛乳を飲み物として利用するのも、1歳までは控えましょう。


手づかみ食べでご飯を投げてしまいます。どこまで好きにさせていいの?

娘は手づかみ食べ真っ盛り。ごはんを握っては投げてしまい、片付けが大変です。新聞紙を敷いていますがその新聞紙からも飛び出して、ベタベタになってとてもストレスになります。手づかみは大事と聞いたことがあるけれど、どこまで好きにさせてよいのでしょうか。
(1歳1か月 女の子のママ)

手づかみ食べは発達に必要なこと。自分で調整できるようになっていきます。

回答:太田百合子さん

手づかみ食べの時期は、汚れてしまうので嫌がる方は多いですよね。ただ、手で触って食べ物の固さを感じることは、発達上とても大事なことです。最初はバナナや豆腐も握りつぶしてしまいますが、だんだん「お豆腐は柔らかい」とわかってくると、つぶさないように握ることができるようになります。指先がセンサーになっていて、指先でその硬さを感じて、自分で調整できるようになることが発達につながります。
それから、手づかみの時期には、長いものなどを前歯でかじり取るのですが、最初のうちは量をコントロールできず、たくさん口の中に詰め込んでしまいます。そういうことを繰り返しながら、ウェッとなったり、ベーッと出したりしながらちょうどいい大きさに調整して、かみ切ることができるようになっていきます。
最初から一口サイズに切ってしまうと、丸飲みや早食いになってしまいがちです。前歯でかじり取って自分の一口量を覚えていくためにも手づかみは大事なんですね。
そうした段階を経て、指先でいろいろなことを感じて調整力がついていくと、スプーンやフォークを使うときにも移行しやすいと言われています。


子どもの味覚は何歳ぐらいまでに決まりますか?

子どもの味覚が小さいときに決まるというお話をよく聞くのですが、何歳ぐらいまでに決まるのかが気になります。
(8か月 女の子のママ)

味覚は食事を楽しむことで広がっていく。楽しく食べることが大事です。

回答:太田百合子さん

味覚は徐々に発達していきます。小さいころ、とてもしょっぱいものばかり、もしくは甘い物ばかりに慣れていたら、味覚の幅が狭くなってしまうということはありますが、普通にいろいろな食事を楽しんでいれば、楽しむことで味覚は広がっていきます。栄養があるから、味覚を広げるためになどという理由で無理やり食べさせるのは、楽しい経験ではないので味覚が広がっていきません。
やはり子どもたちが楽しんで食べることが大事だと思います。食に対する意欲が育っていくと、ちょっと今は食べられないというものでも、いつかふと食べられるようになるものですよ。


専門家から
これだけは言っておきたいメッセージ

「食べる」「遊ぶ」「寝る」生活全体があって成長する。食事が戦いにならないように。

草川功さん

食事はとても気になりますし、大切なものでもあるのですが、子どもはそれ以外にも遊んだり寝たりすることで、結果として大きくなっていきます。食事を食べないときがあっても、本人がご機嫌にしていられればいいと思います。食事の時間が、「戦い」にならないように。楽しめるものになっていけばいいと思います。

離乳食作りはできるだけ簡単に。良い親子関係の中に「食」を。

太田百合子さん

食事作りはとても大変です。いかに簡単にできるかを心がけたほうがいいと思います。それで余裕ができた時間で子どもたちと遊んであげることで、親子関係が良くなって、よく食べるようにもなっていきますので、食事そのものというよりは、全体を見ていただきたいなと思います。

※記事の内容や専門家の肩書などは放送当時のものです