きょうだいの子育て

すくすく子育て
2019年1月19日 放送

上の子が赤ちゃん返りしたり、きょうだいでケンカして一緒に遊べなかったり⋯ こんなとき、親はどうすればいいの? そんな、きょうだいの子育てについて考えます。

専門家:
小島康生(中京大学 教授/発達心理学)
大豆生田啓友(玉川大学 教授/乳幼児教育学)

これって赤ちゃん返り? 上の子にどう接したらいい?

下の子が生まれてから、上の子が赤ちゃん返りしたようで悩んでいます。お着替えや、夜寝るときなど、以前は一人でできていたのに「ママと一緒じゃないとできない」と言うようになりました。下の子を授乳していても、かまってほしいようで甘えてきます。かまってもらえないと、すねてしまって、おもちゃを乱暴に扱うこともあります。私ひとりで子どもたちをみるのは大変で、上の子にどう接すればいいのか考えています。
(3歳4か月の男の子と6か月の女の子をもつママより)

赤ちゃん返りは「自分をみてほしい」のあらわれ

回答:小島康生さん

同じような経験があるママ・パパも多いのではないかと思います。上の子の立場で考えると、下の子が生まれてから、それまでのようにママを独占できなくなって、動揺して、「自分にとっての危機」と受け止めているかもしれません。
赤ちゃん返りは、赤ちゃんのようにふるまうことで「まだ僕はこんなに手がかかるよ」と親にアピールして、自分をみてもらおうとする、生き物としての適応的な行動だと思います。

上の子をしっかりフォローする

回答:小島康生さん

ママが1人で子どもたちの面倒をみるときは、どうしても上の子に関わってあげられる時間が限られてしまいます。パパが家にいるときは、パパに下の子をみてもらい、上の子と一緒に過ごす時間をしっかりと作ってあげてください。あるいは、パパや祖父母など、周りの大人が上の子をフォローするようにしましょう。

1人で2人の子をみるときは、上の子をどうフォローすればいいでしょう?

上の子に見通しを立ててあげる

回答:小島康生さん

例えば、上の子が見通しを立てられるように、「妹を寝かしつけた後に、一緒に遊ぼうね」といったことを伝えてあげましょう。自分で見通しを立てて、気持ちをコントロールすることも、子どもの成長にとって大事なことです。上の子にとっての「成長のチャンス」でもあるのです。


きょうだいで一緒に遊べないとき、どうすればいい?

お兄ちゃんが、妹と一緒に遊ぶことを嫌がります。例えば、お兄ちゃんがおもちゃで遊んでいると、妹も近づいておもちゃを手に取るのですが、お兄ちゃんが「かえして!」と言って、おもちゃの取り合いになってしまいます。妹は泣き出すし、お兄ちゃんも黙ってしまいます。お兄ちゃんから見れば、自分が遊んでいる世界が壊されたと思っているのかもしれません。ケンカが続くと危ないこともあるので、どうしても上の子に「貸してあげなさい」と言ってしまいます。きょうだいが仲よく遊べるようになるには、どうしたらよいのでしょうか。
(3歳4か月の男の子と1歳4か月の女の子をもつパパより)

きょうだいを関わらせないのは逆効果

回答:小島康生さん

上の子が電車のおもちゃで線路をつなげていくような「自分の世界」を作っているとき、下の子が手を出して上の子が作った世界を壊してしまう。下の子は壊しているつもりがなくても、上の子が怒ってしまうのはしかたのないことだと思います。
このような場面で親がやりがちなのは、きょうだいを離して、できるだけ関わらせないことで、ケンカを未然に防ごうとすることです。しかし、海外の研究で、この対処は逆効果になることがわかっています。頻繁にきょうだいを関わらせないようにすると、その後のきょうだいの仲があまりよくないという調査結果が出ているのです。トラブルは親にとって大変なことですが、我慢強く見守ってあげてください。

まず上の子の気持ちを受け止める

回答:小島康生さん

きょうだいでおもちゃの取り合いをしていると、親は下の子の目線で考えがちです。例えば、上の子に「このおもちゃを貸してあげてね」と言って、下の子の気持ちを伝えようとします。でも、上の子も嫌な思いをしているのです。親は、最初に上の子の気持ちを受け止めて、「嫌だったね」と声をかけてあげてください。気持ちを代弁してあげることで、上の子は「自分の気持ちを理解してもらえた」と感じます。その上で、下の子に「お兄ちゃんがせっかく作ったものだから、壊してしまうのはだめよ」と伝えれば、上の子が納得する部分もあると思います。そのように、上の子の気持ちも考えることを心がけることも大切です。

小さいころのきょうだいゲンカは、目が離せなくて大変です。こんなことがいつまで続くのでしょうか?

きょうだいが連帯できる場を作る

回答:小島康生さん

下の子が小さいときほど、きょうだいの力の差が際立つので、仲よく遊ぶことがなかなか難しい部分があります。下の子が3~4歳ぐらいになれば、一緒に遊べるようになってくるでしょう。
以前、「きょうだいがいる家族の行動パターン」を調査したことがあります。例えば、子ども2人の家族がレストランに行ったとき、どう席に座るかを調べました。

下の子が4歳くらいまでは、上の子がパパの隣、下の子がママの隣に座るケースがほとんどです。

でも、下の子が5歳くらいになると、子ども同士が隣に座るようになります。この座り方から、きょうだいは「私たちはチーム」といった意識や連帯感を持っているのではないかと思われます。
ふだんの生活の中でも、意識的にきょうだいをチームにしてあげることを考えてみてはいかがでしょう。例えば、家族でトランプやボードゲームをするときに、子どもチームと大人チームで分かれて対戦するなどです。すると、きょうだいが一緒に頑張ろうとしたり、上の子が下の子をフォローしてあげたりすると思います。特に上の子は、親から「下の子をみてあげてね」と声をかけられると、誇らしい気持ちにもなれると思います。
下のお子さんがもう少し大きくなったら、そのようなきょうだいが連帯できる場を作ってあげてください。


上の子にイライラ、どうすればいい?

子どもたちをお風呂に入れるとき、下の子を先に入れています。でも、上の子の順番になっても「もう入りたくない!」と言われることがあります。そうなると、上の子にイライラして、つい厳しい口調で怒ってしまうので、どうにかできないか悩んでいます。

下の子が生まれて、上の子にイライラしてしまうことが多くなりました。例えば、下の子のおむつ替えをしているときに限って、上の子がお茶をこぼしたり、「ママ遊ぼう」と言ってきたりするので、「ちょっと待って!」と声を荒げてしまいます。そのたびに反省して、どうしたらいいのか悩んでいます。

上の子にイライラしてしまう傾向がある

回答:小島康生さん

親は上の子にいろいろな期待を持っていると思います。また、下の子が小さいうちは手がかかるので、上の子に「1人でやってほしい」「親が大変なことをわかってほしい」という気持ちになり、実際に声に出してしまいがちです。
次のグラフは、親が子どもの自主・自立に関係した「いらだち」を感じた度合を調べたものです。

私もこの結果に驚きましたが、第1子の子どもへのイライラ度合が高いことがわかります。

こちらのグラフは、第1子と第2子で、それぞれ同じ年齢のときに「世話の必要がない」と感じた人の割合を調査した結果です。第2子の方が、世話の必要がないと感じるケースが多かったのです。親の感覚による部分もありますが、下の子が上の子の様子を観察学習して自分でやれるようになる面もあると思います。そして、上の子のときは「ちゃんとできるかな」といった視点でみてしまうため、できない部分が目に付いてしまう傾向もあると思います。

上の子と2人だけでお出かけする

回答:大豆生田啓友さん

親は、上の子を「上の子だから」という意識で見てしまいがちです。ですので、そのような意識を持たなくていい機会を意図的に作ってみましょう。例えば、下の子を家族に預けて、上の子と2人だけでお出かけしてみる。2人だけで過ごせば、「上の子だから」という意識から解放されて、ふだんとは違った子どものよさが見えることもあると思います。


すくすくポイント
先輩ママに聞いた「きょうだいゲンカの対応」

子どもが小さいころのきょうだいゲンカは大変ですよね。そこで、先輩ママたちに、「きょうだいゲンカにどんな対応をしているのか」を聞いてみました。

似ているおもちゃを持ってくる
弟が、お姉ちゃんが遊んでいるおもちゃで遊びたくなってケンカになったら、似ているおもちゃを持ってきて、弟に「これで一緒に遊んだら?」とうながします。それでもだめな場合は、今度はお姉ちゃんにおもちゃを持っていって「こっちで遊ぶのはどう?」と聞きます。
(6歳の女の子、3歳の男の子のママ)

どちらの味方にもならない
どのような経緯のケンカでも、手を出せば怒る、どちらの味方もしないと考えて、きょうだいで解決させるようにしていました。
(12歳の女の子、9歳の男の子、6歳の女の子のママ)

危険がない範囲でやらせる
ケンカに親が入ると、子どもたちにわだかまりが残って、他のところでケンカをはじめてしまうので、危険がないところまではやらせています。
(9歳の女の子、8歳の男の子、5歳の男の子のママ)

足ではなく手で優しく
ケンカのとき、叩いたり蹴ったりすることがあります。手で叩くより足で蹴る方が、力が強くて危ないので、子どもたちには「もしケンカしたくなっても、手で優しく」と言っています。
(16歳の女の子、10歳の女の子、7歳の男の子、4歳の男の子のママ)

泣いている子と遊んであげる
ケンカで泣いてしまった方を、だっこして「ママと遊ぶのも楽しいね!」と言いながら回してあげます。慰めるより、遊んであげる方が子どもの気が紛れます。
(6歳の女の子、4歳の女の子、9か月の女の子のママ)

上の子の気持ちを考える
下の子が小さいときは、上の子には「言えばわかる」と思ってしまいます。でも、上の子はそれなりに「ママと遊びたい、かまってもらいたい」という気持ちがあって、下の子にちょっかいを出して気を引こうとしているのだなと、だんだんわかってきました。それから上の子の気持ちを考えるようにしています。
(9歳の男の子、6歳の女の子のママ)

いろいろな方法できょうだいゲンカを乗り越えながら、その家族ならではの解決策ができていくんですね。
みなさんも参考にしてみてください。

※記事の内容や専門家の肩書などは放送当時のものです