教えて! 子どものちょっと気がかりなこと

すくすく子育て
2018年11月10日 放送

子どもの言動や身体のことで、日頃から気になっていることはありませんか? 周りの人に相談しても「そこまで心配しなくても」と言われ、解決しないことも。
そんな、ちょっと気がかりなお悩みに答えていきます。

専門家:
榊󠄀原洋一(お茶の水女子大学名誉教授/小児科医)

蒙古斑(もうこはん)ってそもそもなに? 治療は必要?

息子の背中に大人のこぶしくらいの大きさの濃い蒙古斑があります。治療したほうがよいのでしょうか?
(1歳9か月の男の子をもつママより)<

6か月になる娘の腕と足首に蒙古斑があります。生後2か月のときには、病院で早めにレーザー治療したほうがよいと言われました。蒙古斑は自然に消えるという医師もいれば、レーザー治療が必要という医師もいて悩んでいます。
(6か月の女の子をもつママより)

長女の腰のあたりと、次女のお尻全体と肩に蒙古斑があります。そもそも蒙古斑とはどういうもので、いつごろ消えるのか知りたいです。
(4歳と1歳の女の子をもつママとパパより)

蒙古斑はメラニン色素を持った細胞が透けて見えたもの。成長とともに薄くなる

回答:榊󠄀原洋一さん

人間の皮膚にはメラニン色素を作る細胞があります。これは生まれつき持っているものです。白人にはあまりみられませんが、アジア系やアフリカ系の人にはよくみられます。この色素を持った細胞が透けて見えたものが蒙古斑です。蒙古斑はお尻にできることが多いですが、背中、首筋、手、手首、足首にできることもあります。
ほとんどの場合、蒙古斑は成長とともに薄くなっていきます。身体が大きくなり、皮膚の細胞も新陳代謝を繰り返す中で、だんだん蒙古斑が目立たなくなっていくのです。大人になると、日焼けなどもするので、さらに目立たなくなっていきます。

一般的にはレーザー治療の必要はない

回答:榊󠄀原洋一さん

蒙古斑は、レーザー治療で早く消すこともできます。ただ、だんだんと薄くなっていくので、一般的には治療の必要はありません。

長女が生後1か月のとき、足の付け根に蒙古斑とは違う赤いあざのようなものができました。生まれたときにはなかったあざです。4歳になった今も残っています。治療するべきなのでしょうか。
(4歳と1歳の女の子をもつママとパパより)

赤いあざは血管腫。気になるようならレーザー治療も

回答:榊󠄀原洋一さん

赤いあざは「血管腫(けっかんしゅ)」と言います。皮下の良性の増殖血管による赤い発疹です。蒙古斑とは別のもので、その多くは消えませんが、治療しなくてはいけないものではありません。あざが気になるようであれば、レーザー治療で消すこともできますが、お子さんの年齢やあざの場所などを考慮して、治療を考えてください。お子さんが大きくなって、あざが目立つ場所にあり、気になるのであれば、皮膚科に相談してみましょう。

レーザー治療をするときに痛みはありますか?

レーザー治療は痛みを伴う

回答:榊󠄀原洋一さん

レーザー治療は、レーザーで患部を焼きます。焼いた部分がかさぶたのようになり治っていくわけです。このとき、激痛ではありませんが痛みを伴います。


子どもの頭の形が気になる。治す方法はある?

息子は左側を向いて寝るクセがあり、頭の左側が平らになってしまいました。ネットで調べると「治らない」という書き込みもあり不安に思っています。
(6か月の男の子をもつママより)

3か月検診のとき、はじめて息子の頭が変形していることを知りました。右側が平らで、左側が少し出っ張っているようです。寝かせるときに、タオルを挟んでみるもののいつも同じ向きになってしまいます。頭の形を治す方法はないのでしょうか?
(5か月の男の子をもつママより)

頭の形は成長とともに丸くなっていく

回答:榊󠄀原洋一さん

赤ちゃんの骨は柔らかくて薄く、生まれてくるときは頭部の骨を絞って産道を通ります。その後も骨が薄いので、いつも同じ向きで寝かせていると、頭部の重さで徐々に変形して左右非対称になったり平らになったりすることがあります。
一方で、人間の脳は5歳頃には大人と同じ大きさになっていきます。脳の成長に従って頭蓋骨が内側から外に押し出され、頭の形は丸くなっていきます。赤ちゃんのころに頭が変形していたとしても、ある程度、自然と球の形に近くなるわけです。もし、頭の形が心配であれば、ドーナツ型の枕のようなものを使ってみてもよいでしょう。髪の毛が生えてくるとだんだん目立たなくなりますよ。


子どもの利き手はいつごろ決まる? 自由にさせておいて大丈夫?

娘は左手でスプーンやフォークなどを使います。ネットなどで利き手はいつごろ決まるのかを調べても、いろいろな意見がありよくわかりません。
(3歳の女の子をもつママより)

4歳になる息子の利き手がまだ決まりません。私自身はもともと左利きで、右利きに矯正されてストレスを感じていました。自由にさせておいてよいものなのでしょうか。
(4歳の男の子をもつママより)

利き手は生まれつき決まっている

回答:榊󠄀原洋一さん

利き手は生まれつき、どちらかに決まっていると考えられています。ただ、赤ちゃんのときは、どちらが利き手なのか判断がつきません。スプーンやフォークを使うなど、集中して細かいことをやるころになるとわかるのです。

子どもの利き手は、遺伝が関係しているのでしょうか?

利き手と遺伝の関係ははっきりしていない

回答:榊󠄀原洋一さん

ある家系に生まれた子どもたち5~6人が、全員左利きだったというケースがあります。この例からは利き手と遺伝が関係しているように思えますが、両親が右利きであっても左利きの子もいます。ひとつの遺伝子ではなく、複数の遺伝子が関係しているかもしれませんが、まだはっきりしたことはわかっていません。

道具など右利き向けが多いので、左利きは矯正したほうがよいのですか?

医学的には必要ない。矯正する場合はいろいろなケースを考慮して

回答:榊󠄀原洋一さん

8割以上の人が右利きだといわれています。字を書く方向は右利きが書きやすく、ドアノブやトイレの水を流すスイッチなど、いろいろなことが右利きに合わせて作られています。そのため、左利きだと不便なこともあります。利き手を矯正することもできますが、お悩みをいただいたママのようにストレスを感じることもあり、マイナスに作用してしまうこともあります。一方で、左利きを特技に生かせるケースもあります。例えばスポーツです。野球の場合は、右利きの選手にとって左利きの相手は苦手なこともあり、左利きが利点になることがあります。利き手を矯正するかどうかは親が決めることだと思いますが、医学的には矯正する必要はありません。


“あまのじゃく”は性格なの? 育て方が関係している?

長女の言動に気がかりなことがあります。“あまのじゃく”な性格で、必ず反対のことを言うのです。例えば、子どもが「かゆいから薬を塗って」と言うので、「かゆいところを見せて」とこたえると、「見せない!」と言います。その後も、「塗らなくていいの?」「塗る」「じゃあ塗るよ」「塗りたくない」といったやりとりの繰り返しです。あまのじゃくは、もともとの性格なのか、イヤイヤ期の延長のようなものなのか気になります。もしかすると、私の育て方であまのじゃくな性格になってしまったのでしょうか。
(3歳4か月の女の子をもつママより)

あまのじゃくは言葉の駆け引きのはじまり

回答:榊󠄀原洋一さん

大人は言葉の駆け引きをします。例えば、何かを頼まれてもすぐに「はい」と返事をせずに、反応を探ることもあります。あまのじゃくは、そういった言葉の駆け引きの芽生えなのです。お子さんの年齢だと、大人との言葉のやりとりが楽しい遊びでもあります。

あまのじゃくの言動は育て方とは関係ない

回答:榊󠄀原洋一さん

子どもには生まれつきの気質・性格があります。自己主張が強かったり、引っ込み思案であったり、いろいろな子どもがいます。あまのじゃくも性格に関係する部分があると思います。しつけで変わる部分もありますが、基本的にあまのじゃくの言動は育て方とは関係ありませんし、治さないといけないことでもありません。
今は親子のコミュニケーションとして、会話を楽しんでもよいのではないでしょうか。

時間に余裕があれば、子どものあまのじゃくに付き合うことができますが、忙しいときはどこで区切ればよいのかわかりません。

反応しなければ続かない

回答:榊󠄀原洋一さん

忙しくて子どものあまのじゃくに付き合うことが大変であれば、子どもの言動に反応をしなければよいのです。反応しなければ、そこから続くことはないと思います。


娘が「うんち」「おしり」と言いたがる。どうしたらいい?

娘がいつも「うんち」「おしり」と言いたがります。言葉が増えてきた2歳のころから、「うんち」や「おしり」が大好きな言葉になって、ひとりで言っては大笑いしています。パパも、はじめはおもしろがって大げさに反応していたのですが、繰り返し言うようになると、このままではまずいので「やめなさい」と言っていますが、言えば言うほど本人はよろこびます。私も過剰反応してしまったことが悪かったかもしれません。今後どういった対応をしたら、言うのをやめてくれるのでしょうか。
(2歳1か月の女の子をもつママより)

「うんち」はリリーサー。大人の反応を引き出そうとしている

回答:榊󠄀原洋一さん

子どもの言動に大人がおもしろがると、子どもはますます同じことを言うようになります。ママもパパもはじめは大げさに反応していましたね。子どもは、大人が言葉にどう反応するのかをどこかで理解しています。そのため、お子さんにとって「うんち」や「おしり」が、ママやパパが楽しく反応してくれる魔法の言葉になったのです。こういった言葉を、心理学では反応を引き出すという意味で「リリーサー」といいます。この魔法の言葉で、みんなが反応してくれるため、どんどん言ってしまうわけです。

反応がないと言わないようになる

回答:榊󠄀原洋一さん

「うんち」や「おしり」といった言動をやめさせたいのであれば、この言葉への反応を減らしましょう。反応を引き出せないとわかって、だんだん言わないようになると思います。


鼻の下に綿を当てるクセ、やめさせたほうがいい?

娘には、生後10か月頃から綿を鼻の下にあてるクセがあります。四六時中しているのでやめさせたいと思っていますが、この不思議なクセの理由も気になります。特に、妹が生まれてからは、より綿に執着するようになりました。娘の不安のサインかもしれないと考えると、私の接し方に問題があったのではないかと責任を感じてしまいます。単にそれだけが原因ではないかもしれませんが、娘との接し方のよい方法はあるのでしょうか。
(2歳3か月と6か月の女の子をもつママより)

指しゃぶりと同じようなクセのひとつ

回答:榊󠄀原洋一さん

お子さんの行為は、よく知られている「指しゃぶり」と同じようなクセです。クセには「爪かみ」「髪の毛を触る」「鼻に指を入れる」など、よく聞くものから少ないものまでいろいろな種類があります。おそらく、指しゃぶりのように、自分に合う刺激があると何となく落ち着く。お子さんの場合は、綿を鼻の下にあてることで落ち着くのだと思います。

クセと心理的なストレスは関係ない

回答:榊󠄀原洋一さん

指しゃぶりのようなクセに心理的なストレスが関係しているのか調べられていますが、全く関係ないことがわかっています。例えば、寂しいから指しゃぶりをするといったことはありません。クセは医学的にはあまり解明されていない無害なものです。育て方にも関係がないと思います。たまたまお子さんがこのようなクセをするようになったのです。

毛布やぬいぐるみを持っている子どもがよくいますが、同じようなことでしょうか。

ぬいぐるみは移行対象。これも持つ子と持たない子がいる

回答:榊󠄀原洋一さん

毛布やぬいぐるみなどを、いつも触っていたりするものを心理学では「移行対象」といいます。子どもが特別に愛着を寄せる対象です。移行対象についても、これを持つ子と持たない子がいます。お子さんのクセはめずらしいかもしれませんが、心配することはないと思います。


すくすくポイント
相談を受けたときどうこたえればいい?

番組「すくすく子育て」に寄せられたお悩みの中に、「家族やママ友に悩みを真剣に相談しても、『大丈夫だよ。心配し過ぎ』など、きちんと取り合ってもらえずモヤモヤした」というエピソードがありました。
みなさんも、日頃から子育ての相談をすることも、されることもあると思います。では、相談を受ける側になったときは、どのようにこたえるとよいのでしょうか。子育てに悩むママ・パパを支援している倉石哲也さん(武庫川女子大学 教授/臨床福祉学)にお話をうかがいました。

どういう姿勢で悩みを聞くのがいいでしょうか?

相談の背景を想像しながら聞く

悩みごとの相談を受けたら、すぐに答えたり、よい解決方法を探したりするよりも、まずは話を聞きましょう。相手がいろいろと考えて、いろいろな心配を抱えていると想像しながら話を聞くことがポイントです。ひとつの相談の背景には、他にも聞いてほしい悩みがあるはずです。
(倉石哲也さん)

付随する悩みにも共感して、受け止めていく

例えば「子どもの○○をなおしたい」という相談であっても、話を聞いていると「自分の接し方がよくないのではないか」など、付随して他の悩みが出てくることがあります。そういった部分も「わかるよ」「そうだよね」と共感する。そのように相手の悩みを受け止めていくと、相手の気持ちが落ち着いていきます。
(倉石哲也さん)

悩みを受け止めた後は、どのように話すといいでしょう?

自分の考えは限定的に伝える

自分の考えは限定的に伝えるほうがよいでしょう。例えば「“私は”こう思う」のように、“私の意見”という限定をします。単に「こうした方がいい」と言うと、相手は「そうしないといけないのではないか」という気持ちになってしまいます。言われた側が束縛感をもってしまうのです。「“私は”こう思う」と言えば、相手は「これはこの人の考え。どうするかは私が決めればいい」と思えます。言われた側も、言う側も負担にならず楽になれるのです。
(倉石哲也さん)

支えることで、相手は進もうと思える

相手が「うまくいっていない」と思っている部分を聞いて、「よくやっていると思うよ」と支える。相手の気持ちを聞いて、共感して、支えることは、無理に答えを出すことより大切なことです。相手は「支えてもらった」と感じて気持ちが少し楽になり、次の一歩を踏み出そうと思えるのです。
(倉石哲也さん)

倉石さんはママ・パパの悩みにこたえるときは、このように心掛けているそうです。
みなさんも、参考にしてみてください。

※記事の内容や専門家の肩書などは放送当時のものです