赤ちゃんの夜泣きとねんね

すくすく子育て
2018年10月6日 放送

おむつを変えても、あやしても、夜通し泣いてなかなか寝てくれない「夜泣き」。朝までぐっすり寝る子もいるのに、うちの子だけ夜泣きが続くのは私のせい? そもそも、赤ちゃんはどうして夜泣きするの? そんな夜泣きの悩みにお答えします。

専門家:
黒田公美(理化学研究所 脳神経科学研究センター/脳科学)
市川香織(東京情報大学 准教授/助産師/母性看護学)

赤ちゃんはどうして夜泣きするの?

8か月のころから息子の夜泣きがはじまり困っています。以前は多少ぐずる程度で、すぐに寝ていましたが、8か月になるとびっくりするような大きな声で泣くようになりました。1時間ほどの夜泣きが、ひと晩に1~2回あります。
夜泣きの対策をいろいろと調べて、「おなかいっぱいにさせるとよく眠る」と聞けば、ご飯の量を増やしてみたり、「部屋は涼しいほうがいい」と聞けば、最適な温度を探ってみたり、「できるだけ部屋は暗く」と聞けば、遮光カーテンに変えたり。それでも、夜泣きはやみません。夫婦であの手この手を使って、なんとかその場をやり過ごす日々です。
赤ちゃんはどうして夜泣きするのでしょうか?
(9か月の男の子をもつママ・パパより)

赤ちゃんが泣くことをネガティブに受け止めないで

回答:黒田公美さん

古今東西、夜泣きは親の悩みの種ですよね。残念ながら誰にでも効く特効薬のようなものは今もありません。
でも、赤ちゃんが泣くことをネガティブに受け止める必要はありません。夜泣きする赤ちゃんをみていると、親はどうしても「つらいのかな」「怒っているのかな」「何かが悪かったのかな」と考えてしまいます。大人が同じように泣いていたら相応の理由があるはずです。ですが、赤ちゃんの場合はたいしたことがない理由でも激しく泣くことがあります。泣いている本人が、必ずしもつらいと感じているわけでもありません。ネガティブに受け止めている部分があれば、その点は安心してください。

夜泣きの原因は睡眠と覚醒の切り替えがうまくできないこと

回答:黒田公美さん

夜泣きの原因として、赤ちゃんの睡眠と覚醒のメカニズムが未発達であることが考えられています。赤ちゃんの睡眠は、生後まもなく昼夜関係なく3時間おきに起きるような段階から、少しずつ大人型の睡眠になっていきます。その過程で、睡眠と覚醒をうまく切り替えることができない時期もあります。そのような時期は、眠いけど眠れない、すっきりと起きることができないといったことで泣くことがあります。

子どもの睡眠が安定するのは何歳ぐらいですか?

目が覚める回数は成長とともに減る

回答:黒田公美さん

脳波を使って「赤ちゃんの睡眠」を調べた研究があります。
この「乳幼児の睡眠経過図」は、赤ちゃんの睡眠時の脳波を調べたデータです。線が一番下にある時が、赤ちゃんが目覚めている(覚醒している)時を示します。一番上のステージはレム睡眠、真ん中付近に深い睡眠の状態(ノンレム睡眠)があります。


出典:Louis, J., et al., Sleep. 1997 May;20(5):323-33.

一般的に夜泣きが多くなる9か月から詳しくみてみましょう。
次の図は「9か月」「1歳半」「2歳」のデータを抜粋して拡大したものです。それぞれ、目が覚めている時間を色で示しています。

9か月の場合は、夜8時過ぎに寝て朝8時前に起きるまでに、9回起きていることがわかります。実際に、9回すべてで泣いているわけではありませんが、少なくとも脳波上は頻繁に起きている状態です。これが1歳半になると4回、2歳になると2回に減っています。このように、だんだんとまとまって眠るようになっていくわけです。

夜泣きで毎日がつらいときは、どう乗り越えたらいいのでしょうか?

体を休ませる工夫をして、気持ちまで落ち込まないように

回答:市川香織さん

夜泣きで眠れないことはとてもつらいですよね。赤ちゃんが起きてもすぐに寝てくれれば親も休めますが、夜泣きに対処する間は起きていないといけないので、肉体的にもつらいと思います。ですので、もし赤ちゃんが昼寝をしているとき、ママが一緒に休めるようなら昼間に睡眠時間を確保するなど、体を休める工夫をしてください。ご夫婦で対処されているとのことですが、ときにはパパに赤ちゃんをまかせて、ママはしっかり休む、などその他のご家族に協力してもらうことも考えてみてください。まずは、体を休めて、気持ちまで落ち込むことがないようにすることが大事だと思います。


夜泣きの対応に、やっていいこと悪いことはありますか?

娘が1歳を過ぎても夜泣きが続いていることに悩んでいます。ママ友には「1歳を過ぎると寝るようになるよ」と言われましたが、娘はひと晩に3回、週の半分は夜泣きがあります。私自身が、娘に寝る力をつけてあげられていないのではないかと思っています。
そして、夜泣きを落ち着かせるため授乳に頼っていることが、夜泣きが続く原因ではないかと心配しています。夜泣きの対応はいろいろ試してはいるのですが、結局は授乳しているので、娘も泣けばおっぱいをもらえると思っているのかもしれません。自分自身も手を抜いているような罪悪感を持ってしまいます。
夜泣きの対応に、やっていいこと悪いことはあるのでしょうか。
(1歳1か月の女の子をもつママより)

親子の数だけ正解がある。おっぱいでの対応も問題ない

回答:市川香織さん

夜泣きの対応にはいろいろありますが、これが正解という対応はありません。親子の数だけ正解の数もあるのではないでしょうか。授乳することでお子さんが安心するのであれば、逆に強みだと考えて自信を持ってください。2歳ぐらいまでは、子どもがおっぱいを欲しがるのは一般的なことですし、お子さんの年齢的にもまったく心配ありません。

家事や寝る時間を見直して、親子が安定する生活リズムを

回答:黒田公美さん

赤ちゃんは、自分のそばに誰かがいてくれているか確認するために、夜中に起きることもあります。そのとき親がいないと、親が戻ってきてくれるのかわからず不安になるのかもしれません。親としては、赤ちゃんを早く寝かしつけて、その後に家事などいろいろなことをやりたいと考えると思いますが、そうであるなら、いっそ親がやりたいことが終わるまで赤ちゃんには寝るのを待ってもらい、用事が終わったら親子で一緒に寝るという方法もあります。朝は赤ちゃんより早く起きて、用事をすることもできます。このように、家事や寝る時間を見直してみてはいかがでしょうか。家庭の事情で少し夜型になったとしても、親子の生活リズムが安定することが大切だと思います。

家庭に合っていれば、周りと違っても気にしない

回答:黒田公美さん

夜泣きの対応方法が、家庭に合っていて、親子で納得できているのであれば、それがいちばんいい方法だと考えてよいでしょう。その方法が周りの人たちと違っていても気にする必要はありません。

子どもに危険がなければ大丈夫

回答:市川香織さん

子どもに危険がなければ、どのような対応でも間違いではないと思います。例えば、車に乗るとよく寝てくれるような子どもであれば、夜泣きのときはドライブに出かけたり、ベビーカーに乗せて家の周りをひと回りしたり。親は大変かもしれませんが、その対応で落ち着いて寝てくれるのであれば、気分転換もできるのではないでしょうか。

子どもが寝る力を身につけるために、親ができることはありますか?

子どもは自分で眠る練習をしている

回答:黒田公美さん

赤ちゃんは、寝るために自分でいろいろな工夫をしています。例えば、寝やすい姿勢を探したり、指をしゃぶってみたり、口をパクパクさせたり、場合によっては好きな毛布をだっこしたり。赤ちゃんも、気持ちよく寝たい、泣きたくない、朝はすっきり起きたいと思っています。夜泣きをしている時期は、その練習の途中で、いずれ必ずできるようになっていきます。
ですので、親が赤ちゃんに寝る力を身につけさせるというよりも、親は赤ちゃんが自分の力で行っている練習を見守って、練習の妨げになるものがあれば取り除いてあげるというスタンスが基本になるのではないでしょうか。


夜泣きのせいで成長が遅れている?

「寝る子は育つ」と聞きます。娘は低出生体重児で生まれて、1歳2か月になりますが、まだ身長が平均にとどきません。夜泣きすることが、成長の遅れに関係しているのではないかと少し悩んでしまいます。夜泣きと成長には何か関係があるのでしょうか?
(1歳2か月の女の子をもつママより)

身長は伸びる可能性が十分ある

回答:黒田公美さん

睡眠と発達の関係についての研究もありますが、特に身長については、まだはっきりとした結果が出ていません。たとえ今の身長が低くても、中学生のころの身長が伸びる時期とは別だと考えてください。これからの発達で、身長が伸びる可能性は十分あります。今は、赤ちゃん自身が、泣いているとき以外は、楽しく過ごせていればよいのではないでしょうか。また、赤ちゃんは睡眠が不足していればきちんと寝るので、心配し過ぎる必要はないと思います。

ちなみに、よく寝るのは何歳ぐらいですか?

5~10歳ごろが人生でいちばん深く眠れる時期

回答:黒田公美さん

生涯にわたって睡眠効率を調べた研究によれば、5~10歳ぐらいの間は、ノンレム睡眠(深い眠り)の比率が高く、また途中覚醒が少ない、人生で最高にぐっすり眠れる時期です。高齢になるにつれ、途中で目覚めやすく、深く眠りにくくなってしまいますが、小さい子どもは目覚ましが鳴っても気づかずに寝ていることがあります。赤ちゃんはこの5~10歳の時期に向け、深く、気持ちよく眠る力をつけていきます。


夜泣きはいつか終わるとわかっていてもつらいときは?

夜泣きは成長していけば必ずなくなっていく、それを待つほかないと聞きます。ですが、どうしても、それでも今がつらいと悩んでしまうときは、どうしたらいいのでしょう?

気持ちが落ち込んだら、家族や周りの人と話すこと

回答:市川香織さん

子育てをしている時期は、ほかの時期と比べて「自分が悪いのではないか」と考えてしまいがちです。自分と、自分の子どものことしか見えなくなって、とてもつらくなることがあります。
以前、ママたちに「子どもが1歳までの間で、うつのように感じた時期はありますか」という調査をしたとき、半分ぐらいの多くのママが「診断はされていないけど、うつのような気持ちになりました」と答えていました。気持ちが落ち込んだときは、外に出たり、家族や周りの人と話すことが大切です。

相談先はありますか?

小児科や地域の保健センターを利用して、ひとりで悩まない

回答:市川香織さん

小児科や、全国の市町村にある保健センターで相談してみましょう。保健センターの保健師に相談したり、センターに行くことが大変であれば電話での相談もあります。まずは、ひとりで悩まないようにしてください。


すくすくポイント
先輩ママは夜泣きをどう乗り切ったの?

夜通し泣かれて、親もへとへとになる夜泣き。先輩ママたちは、どうやって夜泣きを乗り切ったのか、2人のママにお話を聞いてみました。

「一度、起こす」方法で乗り切った

息子は10か月のころから夜泣きをはじめました。以前、寝ているときに窓を開けたら車の音が聞こえて、たまたま車が好きな息子が起きて、その後寝かしつけるとすんなり寝てくれたことがありました。同じようなことが続いたので、一度起こしてみるといいのかもと思ったんです。

3歳になった今も、たまに夜泣きがあります。ですが、寝ているときに一度起こして、お茶を飲ませて、絵本を1~2冊読んで、もう一度寝ると朝まで寝てくれます。対応がわかっているのでイライラも減り、この方法を続けています。

夫婦の「ローテーション」で乗り切った

夜泣きには夫婦2人で対応していて、共倒れしそうになっていました。子どもはかわいいけど、私は寝ることができずにイライラしてしまって。そんなとき、パパが「赤ちゃんは苦しめようとしているのではない。寝たいけど寝られないだけだから」と、子どもが寝ることができるように2人で工夫しようと言ってくれました。

そのとき夫婦で考えたのが、交代で睡眠をとる「睡眠ローテーション」です。一人が子どもの世話をしている間に、もう一人が寝て体を休ませるわけです。自分が休むときは「寝ていいんだ」と思うと安心して眠れました。

その後、子どもが2歳半になったとき、夜泣きせずに朝まで寝ることができた日は、感動して泣いてしまいました。3歳になった今は、朝までぐっすりです。夜泣きが終わる日はくるんです。

※記事の内容や専門家の肩書などは放送当時のものです