紫外線対策とスキンケア

すくすく子育て
2018年4月28日 放送

デリケートな子どもの肌。特に、日ざしが強い時期は紫外線が気になりますよね。日焼け止めクリームはどう選べばいいの? ふだんのスキンケアで気をつけることは?
そんな紫外線対策とスキンケアの疑問にお答えします。

専門家:
馬場直子(神奈川県立こども医療センター 皮膚科部長)

子どもの紫外線対策は、どれぐらいすればいいの?

健康のため、適度に日光浴が必要だと聞きますが、子どもの場合はどれぐらい紫外線をカットすればいいのか加減がわかりません。子どものころから浴びた紫外線が蓄積されて、将来、シミや肌のトラブルにつながると聞いたこともあり、気になります。子どもの紫外線対策は、どの程度すればよいのでしょうか。
(5歳と1歳2か月の女の子をもつママより)

紫外線の健康に良い面と悪い面を知る

回答:馬場直子さん

太陽の光には、目に見える可視光線と、目に見えない紫外線・赤外線があります。それらの違いは光の波長です。紫外線は可視光線より波長が短く、エネルギーが高い光です。紫外線を浴び過ぎると、シミ・しわ・免疫低下・良性や悪性の腫瘍・白内障などの原因になり、健康に悪影響があります。
一方で、ビタミンD(※)が紫外線によって皮膚で合成されるという、健康に良い面もあります。ビタミンDを食事からとることもできますが、食物アレルギーなど、食事だけでは十分にとれない場合もあります。適度に紫外線を浴びることも大事なのです。

※ビタミンDとは
人にとって大切な栄養素で、体内へのカルシウムの吸収を助ける役割をします。ビタミンDが不足すると、体がカルシウム不足になり、骨のカルシウムを溶かして補おうとします。そうなると、骨がもろくなり、くる病(カルシウム不足による骨格異常。主な症状としてO脚など)や骨軟化症などにつながります。

どれぐらい紫外線を浴びればよいか、目安はありますか?

地域・季節・時間帯などによって変わる

回答:馬場直子さん

住んでいる地域、季節、時間帯、肌のタイプといった条件によって違うので、一概には言えません。ひとつの目安としては、8月1日、東京で、いちばん紫外線の強い時間帯(正午)で、半袖で顔と両腕を露出した状態なら、3分ぐらいで1日に必要なビタミンDがつくられると言われています。冬(1月)の場合、同じ条件で、長袖で顔と手だけが露出した状態なら、50分は必要だと言われています。
紫外線を浴びるとき、必ずしも外に出る必要はありません。小さいお子さんなら、日当たりのよい窓辺でひなたぼっこでも十分だと思います。

敏感肌の子どもはしっかり対策する

回答:馬場直子さん

肌が敏感で、紫外線を少し浴びただけでも赤くなるようなタイプのお子さんは、しっかり紫外線の対策をしましょう。例えば、夏でも薄手の長袖を着る、日焼け止めクリームを塗る、帽子をかぶる、紫外線が強いお昼前後は外出しない、など気をつけてみましょう。

ビタミンDは、食べるものだと何からとれますか?

きのこやお魚からとることができる

回答:馬場直子さん

しいたけなどの「きのこ類」、鮭・うなぎ・しらすなどの「魚類」からとることができます。

小さいころに浴びた紫外線は蓄積されるのですか?

影響がないとは言えない

回答:馬場直子さん

まだ厳密な知見は得られていませんが、生涯に浴びる紫外線の約半分を、学童から学生の時期に浴びると言われています。ですので、小さいころからの蓄積が影響しないとは限りません。


日焼け止めクリームの選び方と、肌への影響を知りたい!

子どもは元気いっぱいで、公園で遊ぶのが日課ですが、これから夏になり紫外線が強くなることが心配です。
日焼け止めクリームは肌によくないと聞いたことがあり、これまでは紫外線防止用のケープや帽子をかぶらせていました。でも、最近は帽子を嫌がるようになり、ひとりで歩き回るようになったので、日焼け止めを使うしかないと考えています。
子どもは肌が弱くカサカサしているので、子どもにはいいものを選んであげたいと思い、まだ日焼け止めクリームを使ったことがありません。
早めにケアしたいと思っていますが、どう日焼け止めを選べばいいのか迷っています。また、肌への影響も気になります。
(1歳3か月の男の子をもつママより)

保湿剤の上に塗るのもひとつの方法

回答:馬場直子さん

肌にトラブルがなく、1歳を過ぎて外に出ることも多くなる場合、レジャーで1日中外にいるときや日ざしが強いときには、日焼け止めを塗ってあげた方がいいと思います。日焼け止めは、そもそも肌にいいものというより、紫外線から肌を守ることを目的としてつくられています。人によってはかぶれるようなこともありますので、気をつける必要はあります。
肌がデリケートな場合は、保湿剤を塗った上から日焼け止めを重ねて塗るのもひとつの方法です。

日焼け止めを塗るときの注意点はありますか?

試し塗りで合っているかチェックする

回答:馬場直子さん

日焼け止めクリームは、赤ちゃん用(子ども用)で、「アレルギーテスト済み」「パッチテスト済み」と表記された、試験をしているものを選んでください。試験をしたものでも、お子さんに合うかどうかは塗ってみないとわかりません。ですので、まずは腕の一部などに少し塗り、1日以上様子を見て、何も出ないか試すと安心です。その後、顔や体にも使うようにしましょう。

ムラがないように2度塗る

回答:馬場直子さん

日焼け止めクリームを塗るときは、まず手のひらに出し、それを額・ほっぺた・あごなどに指でちょんちょんと乗せて、まんべんなくムラのないように全体にのばします。塗りが1回だと、どうしてもムラができたり、薄すぎたりするので、2度塗りをすることも大事です。

日焼け止めはしっかり落とす

回答:馬場直子さん

日焼け止めクリームを塗ったら、毎回しっかり落とすことを意識してください。日焼け止めが残っていると、次はその上から塗り重ねてしまうことになります。それが積み重なり、何日か続けていると、かぶれて、赤くなったり、かゆくなったり、ぶつぶつができたりすることもあります。

日焼け止めを選ぶポイントはありますか?

SPFの数値の意味を知って選ぶ

回答:馬場直子さん

日焼け止めには、SPFとPAという表記があります。

SPF・PAは、紫外線を防ぐ指標のことです。数値が高いほど防御する時間が長くなりますが、濃度も高いので肌への刺激も強くなります。
SPFの数値は、1あたり20分の日焼け防止効果があります。SPF10だと200分です。子どもの場合は汗で流れたり、こすったりして効果が弱くなることもあるので、数値が高いものを使うより、10~20程度のものを使い、2時間で落ちると考えて塗り直すほうがよいと思います。


お湯洗いだけのスキンケアで大丈夫?

娘が4か月のとき、アトピー性皮膚炎と診断されました。それからは、保湿剤とアトピーの塗り薬で、朝晩欠かさずケアしています。食事の前には、口の周りにワセリンを塗ります。それでも、湿疹は出たり消えたりを繰り返しています。そして、体を洗うときは、お湯だけで洗っています。赤ちゃん用のせっけんでも、体に必要な脂分まで落としてしまうと聞いたからです。でも、汚れがちゃんと落ちているのか気になります。
こんなスキンケアで大丈夫でしょうか? そもそも、お湯だけで汚れは落ちますか?
(11か月の女の子をもつママより)

塗ったものはきちんと落とす

回答:馬場直子さん

せっけんは、食事の油汚れを落とすので、皮膚のよい脂も落としてしまいます。でも、ワセリンや軟膏を塗り、せっけんで落とさず、そのまま次を塗っていると、どうしても積み重ねでたまってしまい、トラブルの原因になりかねません。塗ったものはきちんと落とすようにしましょう。
落とすときは、タオルやガーゼでこすらず、泡を手にとって、やさしくなでるように洗いましょう。水分を拭き取るときも、タオルでこすらず、やさしく水分を吸い取るように押し拭きしましょう。脂も落ちてしまうので、洗った後は保湿剤などでしっかり補うのがよいと思います。

保湿剤は、どれぐらい塗れば十分ですか?

塗った後にテカテカ光るぐらい

回答:馬場直子さん

手のひらに1円玉ぐらいの量を出して、大人の手のひら2枚分です。子どもの場合は、顔全体の適量になります。塗った後にテカテカ光るぐらい、少し多めに塗るのがちょうどよいと思います。

暑い時期になると、1日に2~3回シャワーを浴びることもあると思います。毎回せっけんを使うと洗い過ぎですか?

せっけんを使うのは1日1回で十分

回答:馬場直子さん

1日に何度もせっけんで洗うのは、洗い過ぎになると思います。せっけんを使うのは1日1回で十分です。汗ぐらいであれば、シャワーで洗い流すだけでよいでしょう。
また、汗や汚れをそのままにしていると、汗や毛穴の腺が詰まってしまい、汗疹(あせも)や毛嚢炎(もうのうえん)が起こることがあります。洗うときに、しっかり落としてあげましょう。


大人と赤ちゃん、洗濯と洗剤をいつまで分ければいいの?

肌ケアの一環として、大人と子どもの洗濯物を分けて洗濯しています。洗剤も赤ちゃん用を使っています。それをいつまで続ければよいのかわかりません。目安はあるのでしょうか?
(11か月の男の子をもつママより)

すすぎをしっかりすれば大丈夫

回答:馬場直子さん

分けて洗うのは大変ですよね。一緒に洗濯するとき、問題になるのは衣類に残った洗剤です。ですので、心配があれば、すすぎを1回多くするなど、すすぎをしっかりすれば分けて洗濯しなくても大丈夫です。
また、洗濯に気をつけるのは、おおよそ1歳ぐらいまでが目安だと思います。


すくすくポイント
紫外線とのつきあい方

日ざしが強い時期になると、紫外線が気になりますよね。
そこで、紫外線のことをよく知って、上手につきあえるようにしていきましょう。

地域・時期・時間帯

紫外線の強さは、時刻や季節などで異なります。
また、地域によっても違います。太陽が地表に当たる角度が直角になりやすい、赤道に近い地域ほど、紫外線は強くなります。

この図は、札幌と那覇の月別・時間別の紫外線の強さを表したものです。
札幌を見てみると、太陽が直角になるお昼ごろに、最も紫外線が強いことがわかります。那覇も、太陽が直角になる昼ごろ、最も強くなっています。年間を通して見ると、赤道に近い那覇のほうが、紫外線が強い期間が長いことがわかります。

気象庁のホームページで、地域ごとの紫外線の強さを毎日発表しているので参考にしてみてください。

  • 気象庁 紫外線情報分布図
    www.jma.go.jp/jp/uv/

スキンタイプ

紫外線の影響は皮膚の色でも違います。

皮膚の色はスキンタイプと言って、世界的には白人が該当する「タイプI」から、黒人が該当する「タイプVI」まで、6段階に分けられています。このスキンタイプによって、紫外線の影響が異なるといいます。

皮膚が白く、紫外線を浴びるとすぐに赤くなるような人は、紫外線に対する感受性が高く、紫外線の影響を強く受けるので、気をつけなければいけません。皮膚が黒い場合は、メラニン色素がたくさんあり、皮膚にメラニンのベールがあるようなもので、皮膚の深いところまで紫外線が届きにくく、影響を受けにくい傾向があります。
(神奈川県立こども医療センター 皮膚科部長 馬場直子さん)

日本人のスキンタイプは、「タイプII」から「タイプIV」までの3段階に入ることが多いとされています。日焼けしたとき、黒くならず赤くなる人は「タイプII」、逆に黒くなる人は「タイプIV」、その中間は「タイプIII」です。

日光浴をするときは、自分の地域の紫外線の強さや、自分のスキンタイプを気にかけてみてください。


紫外線対策について

紫外線には、健康に良い面と悪い面があります。
以前は、健康に良いと考えられていて、母子手帳にも「赤ちゃんを日光浴させましょう」と書かれていました。でも、1980年代に入ると、光老化・皮膚がん・白内障といった悪い面が注目され、できるだけ遮光しようという風潮になっていきました。しかしながら、遮光し過ぎたことが影響したのか、今度はビタミンD不足による、くる病の増加が問題になりしました。
研究が進み、いろいろなことがわかるにつれて、対策が変わることは当然だと思います。今言えるのは、極端にならないこと。紫外線の浴び過ぎには注意が必要ですが、まったく浴びないことも問題です。ご家族で、上手に紫外線とつきあっていただきたいと思います。
(馬場直子さん)

※記事の内容や専門家の肩書などは放送当時のものです