子育て家族の“仕事復帰”

すくすく子育て
2018年2月24日 放送

育児と家事だけで精一杯! さらに仕事も始まったらどうなっちゃうの? 復帰して忙しくなったら、子どもにさびしい思いをさせてしまう?
仕事復帰に関する不安や疑問について考えます。

専門家:
坂上裕子(青山学院大学准教授 発達心理学)
大沢真知子(日本女子大学教授 労働経済学)

仕事と家事と育児、すべてこなせるか不安⋯

今は育休中なので、朝から育児や家事ができているのですが、あっという間に一日が過ぎていきます。仕事に復帰した後、何もかも中途半端になってしまい、ストレスになるのではないかと不安です。
(10か月の女の子をもつママより)

支えてくれる人、支えになるサービスを考えておく

回答:大沢真知子さん

いろいろな人に支えてもらったり、積極的にサービスを利用したりするとよいと思います。
次のポイントについて考えておきましょう。

<復帰後の負担について考えるときのポイント>

  • どんなときに、どんな支えが必要かを予測しておく
  • 支えてくれる人は、どのぐらいいるか考えておく
  • 行政・民間の支えになるサービスを調べておく

パパやママ友、親族など、みんなに頼って助けてもらい、一緒に子育てをするイメージで考えてみましょう。
サービスには、ファミリーサポート、宅配サービス、家事代行などがあります。費用はどれぐらいか、どこに頼めばよいのか、緊急の場合はどうするのかなど、事前に夫婦で調べておきましょう。今だけのことではなく、将来への投資だと考えてサービスを利用することは、意味があることだと思います。

すべてを完璧にこなさなくていい

回答:坂上裕子さん

ひとりで仕事・家事・育児をこなすのは、超人でない限り無理だと思います。
私自身が仕事に復帰する前に、「すべてを満点でやることはできないので、最初は7割ぐらいできたら御の字」と言ってもらえたことがありました。完璧でなくてもいいんだと、自分にやさしくなってあげてください。慣れるまでは、抜けるところから手を抜いていきましょう。そのようなスタンスでよいと思います。

“働くママ”の仕事と家庭の両立ポイント

働くママたちは、どのように仕事と家庭を両立させているのでしょうか。
7歳と2歳、2人の子どもを育てながら働いているママに、両立のポイントを聞きました。生活の中で、無理なく小さな工夫や準備を重ねることで、時間と心に余裕が生まれるそうです。

ママの平日のスケジュール

短時間勤務制度を利用して、9時半から16時まで仕事をしています。パパは帰りが遅く、いつも21時半過ぎなので、平日は朝から晩まで家事や子どもの世話に追われています。

ポイント① 家事はできるだけ朝の時間を利用する!

夕方、家に帰ってからは、ご飯、お風呂、寝かしつけなど、すべてをひとりでやらないといけません。なので、できるだけ朝に家事を終わらせるようにしています。例えば、朝に洗濯と簡単な掃除をします。朝食を作るときには、ついでに夜ご飯の準備として野菜を切っておきます。カット野菜があれば、さっと炒め物にできますし、ご飯を炊く時間がないときは焼きそばにすることもできるので、気持ちに余裕が生まれます。

ポイント② 家電に頼る!

仕事復帰をきっかけに、冷蔵庫と洗濯機を容量が大きいものに買い換えました。仕事が忙しいと、洗濯物をためてしまうことがありますが、大きい洗濯機なら1回で洗えるという安心感があります。冷蔵庫も、大きいサイズならたくさんストックできるので、買い物は週末にまとめ買いをして、平日に行かなくてもすむようにしています。

ポイント③ 夫婦で納得できる家事分担を

パパとの家事のシェアについて工夫をしています。例えば、洗濯はその日の量に合わせて洗濯機の設定をしなおさないといけないのですが、パパにはそれができない、というような「パパに頼めない家事分野」があります。仮にパパがその家事をやったとしても、私が思っていることと違うことをされるとイライラしてしまうので、我が家の場合は、洗濯は私、洗濯物を干すのはパパという分担にしています。私もパパも実家が遠いこともあり、本当に頼れるのはお互い2人なので、日頃から良い関係性でいられるような家事のシェアをしています。

これから仕事に復帰するママたちへ

育休中はひとりで家事や育児をしていたので、パパは家事と育児の細かい流れがわからない状態でした。そのため、復帰後に、ひとつずつパパに教えないといけませんでした。バタバタと忙しいときに、細かいポイントをパパに教えるのは、時間もなく、精神的にも余裕がなくなってしまいます。
できれば、育休中から、少しずつパパに家事のポイントなどを共有しておくとよいと思います。ひとりで抱え込まないようにすることがいちばんのポイントですので、そういった準備をしておきましょう。


急な早退や欠勤で迷惑をかけることが心配⋯ 周りへの配慮はどうしたらいい?

今は育休中です。仕事に復帰したとき、どうしても急な早退や欠勤があって、迷惑をかけてしまうことがあると思います。周りの方へ、どのような配慮をしたらよいのでしょう?
(11か月の男の子をもつママより)

対応できる準備をしておく

回答:坂上裕子さん

お子さんによって個人差はありますが、保育園に通い始めてからの1年間は、風邪や病気をするという前提で、対応できる準備をしておきましょう。例えば、病児保育などを調べて登録するなど、準備をしておくだけでも、気持ちに余裕ができます。
また、保育園から突然の呼び出しがあるときがあります。もしものとき、誰かが対応できるように、パパとママで役割分担を話し合っておきましょう。事前にシミュレーションができていれば、安心できると思います。

自分にできる働き方を考える

回答:大沢真知子さん

子育てや介護など、いろいろな事情を抱えて、時間的な制約がある中で働いている方が、すごく増えています。そんなときは、自分にできる働き方を考えてみましょう。例えば、家で働く「在宅勤務」という働き方も広がってきています。
迷惑になると考えがちですが、どう仕事するのかを工夫して、自分から提案しながら働き方を変えていくこともできるのではないかと思います。

いろいろな働き方への理解が進んでいればよいのですが、会社に言いにくいこともあると思います。
そういった場合のよい方法はあるのでしょうか?

仕事を周りの人と共有する

回答:大沢真知子さん

職場の周りの人たちに、自分の仕事内容を伝えて、共有しておきましょう。共有しておけば、何かあったときに、必要なことであれば手伝ってもらうことができます。日頃から「いろいろなことで迷惑をかけることもあるけど、お互いに助け合おうね」と話しながら、いいチームを作っていくのがよいと思います。

子どもの病気など、いざというときに、周りの人と助け合えるようにしておくことは大事なことです。そのためには、仕事を引き継げるよう、資料やデータを整理しておきましょう。そして、子どもの体調をよく観察することです。体調が悪化しそうな場合は、早めに周囲に相談します。また、ふだんから子どもの体調について情報共有しておくと、周りの人もフォローする心の準備ができるそうです。


子どもも仕事も大事。子育てしながらキャリアアップできる?

忙しい職場で働いているのですが、先輩のママたちは、スーパーウーマンのような人か、サポート的な役割を担っている人が多く、自分は子育てをしながら積極的にキャリアを積んでいけるか不安を感じています。もちろん子どもも大事にしたいし、仕事もしっかりやりたいと思っていますが、キャリアアップはできるのでしょうか?
(7か月の男の子をもつママより)

夫婦で相談して、キャリアプランを長期で考える

回答:大沢真知子さん

長期の視点で、自分のキャリアをどうしたいのか考えましょう。
子育てが大変なときは少しスローダウンになりますが、手が離れてきたらスピードアップできるときがきて、チャンスもあると思います。パパには、ゆくゆくは自分もキャリアを積み重ねていきたいことを伝えて、「今は子育てを優先しよう」「これはチャンスだからやりたい」など、夫婦で相談しながら協力していくと、子育てと仕事、どちらも大事にできる形になるのではないかと思います。

ママのキャリアアップ、どう考える?

先輩ママは、キャリアアップをどう考えているのでしょうか。
5歳と1歳の2人の子どもを育てながら看護師をしているママにお話を聞きました。家族と自分のキャリアの将来を見据えながら、今の子育ての期間を大事にしているといいます。

仕事に復帰した後、仕事の内容に変化はありましたか?

以前は入院患者の看護をする病棟看護師として働いていました。夜勤もあり大変でしたが、患者さんが治っていくところを見守れたり、退院のときに「ありがとう」と言ってもらえたり、やっていてよかったなという達成感ややりがいを感じていました。でも、職場の先輩ママを見ていると、子育てをしながら病棟で働くのは、時間に追われて大変そうでした。私の場合はそこまで器用にできないだろうと感じて、子育てを優先するために夜勤のない外来に異動することにしました。

働き方を変えたことに後悔はありませんでしたか?

あと5年ぐらい病棟にいたら主任になれたかもしれないので、少し残念だなと思います。今、異動してから6年ぐらいがたって、病棟にいる同期たちのキャリアアップや昇格を見ると、羨ましいなという気持ちも正直あります。でも、私は子育てを優先しようと考えていたので、後悔はありません。

キャリアアップについてどう考えていますか?

キャリアアップをあきらめたわけではありません。例えば、下の子が小学生になったら、今よりも手が離れて、余裕もできてくると思います。そのとき、認定看護師や専門看護師の勉強をして、専門性を高めた領域に行きたいと考えています。


子どもと関わる時間が減ることで寂しい思いをさせてしまう?

今は育休中で、24時間子どもと向き合うことができるのですが、保育園に預けると子どもとの時間が減ってしまいます。私自身の親が専業主婦で、保育園に預けられた経験がないこともあって、預けられた子どもがどう感じるのか気になります。寂しい思いをさせてしまわないか不安です。
(1歳の女の子をもつママより)

愛情を伝えるために大事なのは時間ではない

回答:坂上裕子さん

時間をかけないと愛情が伝わらないわけではありません。例えば、親が忙しく仕事をしていた学生から「運動会や学校行事のときは、必ず両親がそろってきてくれました」と聞くことがありました。忙しい中でも、短い時間でも、自分と向き合う時間をとってくれたと感じているそうです。必ずしも、時間の長さだけではないということです。

保育園の良いところを知る

回答:坂上裕子さん

お子さんを保育園に預けることに不安を感じているかもしれませんが、預けることは、子どもを見てくれる目がたくさん増えることなんです。つまり、それだけ子育てのパートナーが増えるのです。
親も支えられる部分がすごくありますし、子どもにとってもいろいろな経験ができる場所ですので、安心して保育園へ送り出してほしいと思います。

一生懸命生きている姿を見せる

回答:大沢真知子さん

母親がキャリアウーマンだったという教え子から「ママの背中を見て育って、すごく尊敬できる」と聞いたことがあります。
子育ては、小さい時期だけではありません。人生をかけて、一生懸命に生きる親の姿は、子どもにすごくいい影響を与えると思います。ですので、やりたいと思ったら頑張っていい人生を送ることがいちばんだと思います。ママが幸せで生き生きとしていることが、子どもにとってもいちばんだと思います。


子育てによるブランクがあるけど再就職できる?

子どもが小学生になったら再就職をしたいと考えています。ただ、キャリアは新卒から出産までのわずか6年間です。さらに、子育てによるブランクがある私が、再就職することなんてできるのでしょうか?
(2歳の女の子をもつママより)

育児期間をブランクと考えない

回答:大沢真知子さん

確かに、再就職の難しい面もありますが、育児をしていた期間はブランクではありません。育児期間の経験で、コミュニケーション能力が上がるなど、すごく成長していると思います。
また、消費者の8割が女性だと言われ、生活者としての視点・経験もある母親の力は、会社から必要とされていると思います。自信を持って、再就職に臨んでほしいと思います。

子育てで培われるママのスキルってどういうものがありますか?

忍耐強さ、多様な視点など

回答:坂上裕子さん

まずは、忍耐強さです。夜泣きに耐えて、だっこして、みなさん身についていると思います。
そして、さまざまな視点で考えることができることです。子育てをしていると、自分だけの視点だけではなく、子どもの視点など、常に多様な人の視点でものを考えます。いろいろな人と関わることが多いため、他者の視点を無意識に取り入れながら、物事を考えるようになっていくのです。育児をしているからこそ、得られる部分ではないかと思います。


すくすくポイント
“働くママに聞いた” 子どもへ愛情を伝える方法

働くママたちは、どのように子どもに愛情を伝えているのでしょうか。
子育てしながら仕事もしている、2人のママに聞いてみました。

愛情の伝え方 ケース①

まずは、7歳と2歳、2人の子どもを育てながら働いているママ。
保育園のお迎えのときに、必ずやっている儀式があるそうです。

それは、“あつ~いハグ”なんです。

ママ
「1日会えなかった分の愛情をすべて伝えようと、ぎゅっとハグをするようになりました。家に帰るとバタバタして忙しく、なかなか愛情を伝える時間を持てないので、保育園のお迎えの時間に愛情をぎゅっと注いでいます。ハグすることで、お互いにつながりを強くできていると思いますし、表情も和らいで、私自身もすごく癒されるので、スキンシップがとても大事だと思います」

愛情の伝え方 ケース②

つづいて、5歳と1歳、2人の子どもを育てながら看護師をしているママ。
おやすみの前に、毎日やっていることがあるそうです。

それは、“絵本の読み聞かせ”なんです。

ママ
「仕事は朝が早く夜が遅い勤務なので、絵本を読む時間が、子どもたちと会話をする時間になっています。子どもたちと保育園のことなどを、ゆっくりと目を合わせて話しています。1日10分ほどだけど、スキンシップしたり、1日の出来事や思ったことを話したり、深く関われる時間になっています」

働くママたちは、生活の中に子どもと向き合うちょっとした時間を作っていました。
みなさんも参考にしてみてくださいね。

※記事の内容や専門家の肩書などは放送当時のものです