どうして子どもにキレちゃうの?

すくすく子育て
2018年2月17日 放送

子どもに感情的にキレてしまったことはありますか?
怒り過ぎて自己嫌悪に陥るママたち⋯
キレたらダメだとわかっていても止められない⋯
そんな悩みを少しでも和らげる解決法をみんなで考えます。

専門家:
大日向雅美(恵泉女学園大学 学長 発達心理学)
倉石哲也(武庫川女子大学 教授)

なぜこんなに怒ってしまうのか⋯ どうしたらいい?

3歳と1歳の姉弟を育てています。弟が生まれてから、長女に対する自分の行動について悩んでいます。
長女と周りの子を比べてしまって、なんでうちの子はできないのだろうと焦って、きちんとできるようにしつけたい気持ちになります。はじめは優しく注意するのですが、最後はどなってしまいます。今では、長女が私のまねをして「うるさい!」と言うようになりました。
自分を抑えられないことに悩んで、区役所で泣きながら「ふつうのお母さんになりたい」と相談したこともあります。区役所の方は、「あなたはふつうのお母さんだよ」と言ってくれますが、“ふつうのお母さん“は暴言をはかないし、家事も育児もこなせる人だと思い、私はふつうでないように思えます。私は完璧主義だという自覚はあって、育児にも、子どもの成長にも、いろいろ求めてしまうところがあると思います。
私が泣いていると、長女がハンカチを持ってきてくれたりします。こんなに優しい子なのに、どうしてこんなに怒ってしまうのか。頭の中ではダメだとわかっているのに、口は止まりません。どうしていいのかわからず悩んでいます。
(3歳の女の子と1歳の男の子をもつママより)

「私は必要で怒っている」と自分を認めてあげる

回答:大日向雅美さん

キレた後はつらい気持ちになりますよね。自己嫌悪になり、心がズタズタになっていると思います。まずは、「怒る」と「キレる」は、つながっているようで、実は“質”が違うことをしっかりと心にとめておきましょう。
子育てで怒ることは、しかたがないことではなく、必要なことだと思います。だから、怒ることに罪悪感を持たなくていい。いい子に育ってほしいという思いや期待があって、許せないことが出てくるのは当然で、そこには愛があるんです。
怒ってはいけない、優しいママでいないといけないと思って、どこかで自分を閉じ込めていると、自分で自分をいじめることになります。自分をいじめて、いじめ抜いたときに、もうどうしようもなくなって気持ちが爆発する。それが「キレる」ことです。キレることで、大切な子どもとの関係も断ち切ってしまうことになるから、つらい気持ちになるんです。
「私は必要で怒っている」と自分を認めてあげて、その心を抱きしめてあげてください。

子どもの成長とともに、キレない練習をしている

回答:倉石哲也さん

キレてしまったときは、「子どもにも求め過ぎているのかな」など、自分を見つめなおして、「こんな自分でもいいんじゃないか」と、自分自身に言ってあげる。このような気持ちの整理のしかたを練習していきましょう。
今は、お子さんの成長とともに、自分もキレない練習をしている時期だと思います。「子どもにここまで求めるのは無理があったな」「でも、これはできるな」など、子どもと親の波長を合わせていくのです。波長が合うにしたがって、キレることが少なくなると思います。

パパがいると冷静になれるところがあって、キレることが少なくなります。やっぱり、私と子どもたちだけでいるときのほうがひどいです。

誰かの存在を感じておくことが大事

回答:大日向雅美さん

第三者の存在は、とても大事な要素です。自分とお子さんだけの世界だと、自分を客観的に見ることができませんが、パパがいて、もしパパがキレていたら、「私はああなっていたんだ」と冷静になることができます。あるいは、パパが「ママの気持ちわかるよ」と受け止めてくれたら、気持ちが落ち着きます。
そういう意味では、キレてしまったときは、自分とお子さんだけのカプセル状態から脱することが必要なので、誰かの存在を感じておくことが大事です。第三者がいないときは、頭の中でシミュレーションしましょう。「パパがいてくれている」「あなたはやさしいママだよ、と言ってくれた人と一緒にいる」など意図的に再現することで、第三者の目をつくることができると思います。

自分の嫌いな部分をまねされると感情的になることを知る

回答:倉石哲也さん

お子さんが「うるさい!」とまねをすることが気になると思いますが、ママが泣いているときにハンカチを持ってきてくれたことも、ママのまねなんです。子どもは、ママのやさしい面もきちんと見ています。
ただ、自分が直さないといけないと思っている自分の嫌な部分をまねされると、キレてしまうんです。まねをしている子どもの中に、“私が許せない自分”を見てしまい感情的になるのです。このことをわかっているだけでも、少し気持ちが落ち着くと思います。


まだ3歳なのに感情的に怒ってしまう⋯ どうコントロールすればいい?

3歳の長男と、1歳の妹を育てています。長男に感情的にキレてしまうことが悩みです。特に、食事や遊んでいるときのマナーなど、しつけに関わるところで怒ってしまいます。はじめは抑えているのですが、言ってもきかないと感情があふれてしまいます。
怒り過ぎる自分を止めたくて、子育て支援センターに行くようにしました。支援センターに行くと、保育士さんや、同じような悩みを抱えるママたちに話を聞いてもらって、気持ちが落ち着きます。でも、家に帰ると、また怒ってしまいます。そうやって、怒ること、相談することを繰り返しています。
心の中では、こういうふうに言ったほうが伝わるとわかっているのに、それができないことがあります。繰り返しキレてしまう自分を、どうコントロールすればいいのでしょうか。
(3歳1か月の男の子と1歳2か月の女の子をもつママより)

「相手は、まだ3年しか生きていないのだから」という感覚も必要

回答:大日向雅美さん

「相手は、まだ3年しか生きていないのだから」という感覚も必要です。
私は30数年生きている、この子はたった3年、その両方の感覚を持ちましょう。

パパは、自分も怒ると子どもの逃げ道がなくなるので、子どもの立場に立ったほうがいいと考えています。でも、甘やかしているようにも思えて、どういうバランスがよいのか悩みます。それに、パパは子どもを楽しませていて、良いところをパパが伸ばしていて、私は悪くしているような気持ちになってしまいます。

パパとママで役割を意図的に替えてみる

回答:大日向雅美さん

ときどき、パパとママで、意図的に役割を替えてみてはどうでしょうか。「今日は私に良い役をさせてね、パパは悪い役をやってね」というように、役者になってみましょう。
おそらく、子育て支援センターにいるときは、いろいろな人がいて、その中で癒し合いながら、“やさしいママ”という役を無意識に演じているのだと思います。でも、少し心がほぐれたと思って家に帰ると、観客もいないし、子どもも全然変わっていません。家では、“やさしいママ”という衣装を脱いでしまうわけです。そこで怒ってしまうのは、自然なことですよ。

距離が近いと、気になることが見えすぎる

回答:倉石哲也さん

支援センターで他のママたちと話していると、子どもとの距離が少し遠のいて、気持ちに余裕ができます。でも、家に帰ると、自分と子どもだけで距離が近くなり、気になることがたくさん見えてきます。
例えば、パパが早く帰宅したときには、いつもはママが子どもに食べさせている食事を、パパにやってもらいましょう。ママはそれを見ることで、気持ちに余裕ができるのではないでしょうか。そういった部分を変えていってみてください。


キレてしまって子どもに悪い影響などが今後出ないか心配

2人の兄妹を育てています。お兄ちゃんは、叱っても「ごめんなさい」とすぐに謝ることが多かったのですが、妹は、私の顔を見て、私がどう反応するかを楽しんでいるようで、にやにやします。すると、私もイライラしてきて、つい大きな声でキレてしまいます。
大きな声でキレてしまうことで、今後、悪い影響などが出てこないか心配しています。

繰り返す場合は対策をする

回答:大日向雅美さん

1~2回であれば、子どもに悪影響はありません。だけど、あまり繰り返していると、ママの顔色を見たり、理不尽な叱られ方をしたという気持ちになることもあります。
繰り返してしまう場合は、どこまでは我慢できて、どこから言ってはいけないことを言ってしまう領域に入るのか、振り返ってみましょう。そこがわかれば、子どもと距離をとったり、「ママはそれは許せません」と許せないことをきちんと伝えるなどの対策ができると思います。

子どもの自尊感情に気をつける

回答:倉石哲也さん

子どもの自尊感情について、知っておいたほうがよいと思います。自尊感情が下がってしまうと、何をやっても怒られる、自分はダメなんだと、子どもの意欲がなくなってしまいます。
ですので、キレることを考える一方で、褒めることも考えていきましょう。例えば、「1回キレたら2回褒める」など、自分の中でルールを作ります。キレてしまったら、意図して「2回は褒めよう」と心掛けて、きちんと子どもを褒めていく。そうすれば、下がってしまった自尊感情を持ち直すことができると思います。

キレた後に、謝ってもいいのでしょうか? 怒られたり謝られたりで、子どもが混乱することはないでしょうか。

反省しているなら謝る

回答:大日向雅美さん

ママが反省しているのであれば、謝らないといけないと思います。そして、本当に反省しているなら、できるだけ繰り返す回数を減らすことが、“本当の謝り”になると思います。例えば、謝って、子どもを抱きしめて、一緒に泣いて、それで気が済んでしまうことがあります。でも、また繰り返してしまうのであれば、反省をしていないことになります。
どんなに小さい子どもでも、理不尽に怒られたという思いを持っています。説明できるときは説明する、説明できないことは正直に謝る。絶対に繰り返さないことは無理かもしれませんが、できるだけ繰り返さないと自分に言い聞かせることは大事です。

できるだけ言葉に出して説明する

回答:倉石哲也さん

ママが何を思って叱ったのか、また、怒り過ぎたという気持ちを、できるだけ言葉に出して説明する習慣をつけることが大事です。言葉で説明しないでいると、子どもが成長するにしたがって「パパやママは何を考えているのかわからない」と考えて生きることになるかもしれません。


すくすくポイント
どうしたら子どもにキレないでいられますか?

みなさんが考えた“子育てアイデア”を紹介する番組「すくすくアイデア大賞」では、これまでに、怒りをしずめたりイライラを解消したりするアイデアも紹介してきました。
その中から、2つのアイデアを見てみましょう。

アイデア①「あ!ママ ここまできたよ」

(宮城県 佐藤由佳さんのアイデア)

ふだんは、仲良しの3人きょうだい。でも、けんかで泣いてしまうなど、小さなトラブルが絶えないといいます。
そんなとき、ママがくりだす魔法の言葉がこちら!

それは「ママ ここまできたよ!」。

怒りのレベルを、手の高さによって5段階で表現しているんです。

すぐ怒るよりは、少しずつ段階を踏んでいきたいと思い、自分にも子どもにもわかりやすく表現したら良いのではないかと思って考えたアイデアなんです。

アイデア②「さぁみなさんご一緒に!」

(愛知県 坂本由紀子さんのアイデア)

ママは、性格がまったく違う姉妹の子育てで、クタクタになってイライラしちゃうときもあるそうです。
そんなときの合言葉がこちら!


ママが「さぁみなさん ご一緒に!」と声をかけると、子どもたちは「いつもお母さんがんばっとるわ」と返します。この掛け合いが合言葉になっているんです。
イライラしはじめても、この一言を言ってもらうと少し気持ちが落ち着くそうです。


子どもたちにママの怒りをうまく伝えて、少しでもイライラがおさまるといいですね。

※記事の内容や専門家の肩書などは放送当時のものです