教えて! パパの本音

すくすく子育て
2018年2月10日 放送

イクメンという言葉がもてはやされる中、悩みをかかえるパパたちがいます。
イクメンってどこまでやればいいの? 妻の育児にどうも納得ができない⋯
今回は、パパたちが育児について本音で語り合います。

専門家:
大豆生田啓友(玉川大学教授 乳幼児教育学)
田中俊之(大正大学心理社会学部准教授 男性学)

イクメンってどこまでやればいいの?

ママは子育てに専念していますが、もうすぐ子どもは保育園に預けて職場復帰を考えています。私もできるだけ家事や育児をしていますが、最近は仕事が忙しくなり、思うようにできていません。ママからすると「本当にやってほしいことは先延ばしにされ、仕事に復帰した後が心配」だといいます。ママにも納得してもらおうと、家事・育児の“やることリスト”をつくって取り組んだりしています。
このように、家事・子育てに参加しようと努力しているのですが、世間で言う「イクメン」という言葉に少し違和感を持っています。子どもが好きで、育児に参加したい気持ちはありますが、「イクメン」かどうかを周りが決めていて、言葉がひとり歩きをしていて、そこにプレッシャーを感じます。
どこまですれば、イクメンと言えるのでしょうか。
(6か月の男の子をもつパパより)

定時で帰る方法を考える

回答:田中俊之さん

父親の中にもいろいろな考えの方がいると思います。例えば、仕事をして収入を確保さえすれば父親の役割を果たしていると考えている層もあります。その場合は、意識を変えていただくしかありません。
ですが、育児に取り組んでいる方であれば、社会の、働きすぎ、長時間労働の問題をどう改善するかが課題になると思います。仕事を定時で終えられれば、夕方の食事、お風呂、寝かしつけなど、育児の大変な時間をママと一緒にすることができるので、かなりの部分が解決できると思います。どうやれば定時で帰れるのかを考えていきましょう。

本当は定時で帰りたいのですが、今後のことを考えると、ここで働かないと子どもを育てていく収入が得られなくなるのではないかと、プレッシャーを感じます。社会の構造が変わらないと難しい面があると思います。

パパが悩んでいるのは真剣に取り組んでいる証拠

回答:田中俊之さん

プレッシャーやストレスを感じて悩んでいるのは、真剣に育児に取り組んでいる証拠だと思います。
ですので、プレッシャーを感じる男性が出てきたことは、よい兆候だと思います。

理想のイクメン像より、我が家の子育てを考える

回答:大豆生田啓友さん

パパたちが育児で悩むようになったのは、大きな時代の変化だと感じます。
その意味では、男性も子育てをするのだという「イクメン」という言葉が果たした役割もあると思います。
でも、実際の子育てや家事は、それほどきれいごとではありません。まして、仕事の環境の多くが変わらない中で、育児をすることにギャップを感じているのだろうと思います。「イクメン」という言葉自体を見直す時期にきているのではないかと思います。
私たちは、どこかで“こうあるべき”という「イクメン」像を作り上げていますが、絵に描いたような「イクメン」は存在しませんし、それが大事なわけでもありません。父親としての在り方は、“こうあるべき”というよりも、我が家の場合はどうするのがよいのだろうと、“我が家の子育て”を考えていくことが重要だと思います。


妻と意見が合わないとき、どうすればいい?

ママの育児のやり方が気になってしまいます。例えば、子どもはママの化粧品で遊ぶのが大好き。誤飲して危ないのではないかと気になりますが、ママは止めてくれず、納得がいきません。他にも、扉やテーブルの角など、危険ではないかと気になる部分は、私が対策グッツを取り付けたりしていますが、ママは「私がちゃんと見ているから大丈夫。私のことが信用できないの?」と不満があるようです。
そういう性格なのだろうとあきらめて、自分で全部やるのですが、ママは「パパが言うことも間違いではないけど、もっと信用してほしい」と言い、いつも言い争いになってしまいます。もちろん、ママを信用していないわけではありませんが、“まさか”をどうしても考えてしまいます。
育児について、ママと意見が合わないときは、どうすればいいのでしょう?
(1歳の男の子をもつパパより)

“違い”が顕在化するのはよいこと

回答:田中俊之さん

ママとパパで、「おおらか」と「神経質」のバランスがよいのではないかと思います。さまざまなご家庭がありますが、2人とも同じタイプの場合は、逆に心配になります。
日本では恋愛結婚が多く、お互いの意見が合う似た者同士だからカップルになったという意識がありますが、結婚や子どもができると、子育ての方針が違うなど、2人の“違い”が見えてきます。ですが、これからずっと一緒に暮らしていくわけですから、“違い”が顕在化してきたことはよいことです。パパとママの意見が違うのは自然なことなので、子どもの前で、パパとママが別の意見でも、それほど問題ではありません。

夫婦のコミュニケーションを見直す

回答:田中俊之さん

意見が合わないこととは別に、ママに不満があることが気になりますね。
もしかしたら、単に意見が合わないだけでなく、ママが言いたいことをパパがきちんと受け止めていないのかもしれません。パパは何を言われているか、理解していない可能性があるのです。それが、ママをイライラさせているのであれば、パパに足りないのはコミュニケーションです。人の話をきちんと聞いて、言われたことに返事をする。不満の解決には、これが大切だと思います。
お互いに論破しないことも大事だと思います。言い負かしても、関係が悪くなるだけだと思います。


子育てをしたいのに子どもに嫌がられてしまう。どうしたらいい?

子育てをしたいのに、子どもに嫌がられてしまいます。例えば、子どもを怒った後、食事のときにご飯をあげようとしても「パパよりママがいい」と言われます。歯磨きをしようとしても「嫌だ」と言われます。こんなとき、どうしたらいいのでしょう?

パパに特別感を持たせる

回答:田中俊之さん

2歳ぐらいになる子どもと、二人でスーパーへ行ったとき、「パパと〇〇ちゃんでお買い物だね」と言ったら、「ママと〇〇ちゃん」だと言い直されました。ママはいないので「パパと〇〇ちゃんでしょ」と確認しても「ママと〇〇ちゃん」と繰り返します。
やはり、長時間労働の悩みもありますが、どうしてもママと接している時間のほうが長くなります。そこでママにお願いしてしまうと、短期的には解決できますが、その差がどんどん広がってしまうので、踏みとどまりましょう。
ずるいかもしれませんが「パパといるといいことがある」ということをつくりましょう。例えば、パパと買い物にいくとチョコレートが食べられるなど、ちょっとした特別感を持たせて、パパと行こうと思ってもらうのです。
1日にあげるおやつの量を決めておいて、事前にママと作戦会議をしておくとよいでしょう。

子どもと良い関係をつくるためのご褒美は効果的

回答:大豆生田啓友さん

かつて、ご褒美は子どもにとって本当にいいのかという話がありました。最近の研究では、使い方によってはとても効果的だと言われています。子どもとよい関係をつくる手段としてのご褒美は、よいと思います。


外出先などで子どもがご機嫌になってくれるあやし方は?

外出先で子どもがぐずったとき、変な顔をしたり、口で音を出したりしてあやすのですが、なかなかご機嫌になってくれません。そんなときみなさんはどうしているのでしょうか?
子どもをあやして笑顔にする方法があれば教えてください。
(7か月の男の子をもつパパより)

雰囲気を変えてあげる

回答:大豆生田啓友さん

今の状態から“雰囲気を変えてあげること”が大事だと言われています。リズムをつけてあげたり、室内であれば外を見せてあげるだけでも変わります。変化のパリエーションが、たくさんできるといいですね。

子どもが泣いている原因を探る

回答:田中俊之さん

子どもがぐずったら、まずは落ち着きましょう。
以前、子どもを自転車に乗せるときに、ヘルメットをかぶせようとするとぐずって嫌がったことがありました。またぐずっているなと思ったのですが、よく見ると、ヘルメットの留め具であごを挟んで泣いていたんです。親が落ち着いて対処をしてあげることも大事だと反省しました。
子どもが泣いていると、子どもに原因があると思いがちですが、そうではない場合もありますので、冷静に対処しましょう。


すくすくポイント
子育て中の夫婦のコミュニケーション どうすればいい?

子育て中の夫婦のコミュニケーションは、どのようにとればよいのでしょうか。
家族関係や、子どもへの親の役割などを研究している、福丸由佳さん(白梅学院大学発達臨床心理学教授)にポイントを聞きました。

ポイント① 考え方が違ってあたりまえ

夫婦の間柄だと、「言わなくても分かってくれる」「向こうも同じことを思っているはず」と思いがちですが、違いがあるという認識を持つことが大切です。

夫婦でも考え方や感じ方が違います。相手が「自分と同じ見方をするに違いない」と思うよりは、「きっと違うだろう」と考えてください。違うことのよさもあると思います。違うかもしれないから、「ここは聞いてみよう」「話し合ってみよう」とコミュニケーションする姿勢が大事だと思います。
(福丸由佳さん)

ポイント②「私」を主語にして伝える

相手にしてほしいことがある場合、「私は〇〇してもらうとうれしい」と、自分の気持ちを言葉にして伝えるようにしましょう。

「もっと“こう”してほしい」と言いたいところを、「ここはありがたかった、でも私はもう少し“こう”してくれるとうれしいな」と言えば、相手も「僕はもう少し“こう”したいんだけど」など、話し合いになっていくと思います。そういったプロセスがすごく大事だと思います。
(福丸由佳さん)

ポイント③ 困っていることや不安を言葉にする

2人のお子さんを持つ福丸さん。パパは、1人目のお子さんのときより、2人目のときの方が子育てに積極的だったそうです。そこにはある理由があるといいます。

1人目のとき、パパは何をどうすればいいのか、わからなかったり、怖かったそうです。今になって、そういうことを言います。だから、もっと「困っていること」「迷っていること」「不安なこと」を具体的に言葉で伝え合えれば、お互いに「そういうことだったんだ」と思えて安心します。このような「実はね」というコミュニケーションが大事だと思います。
(福丸由佳さん)

これらのポイントを参考に、夫婦のコミュニケーションをとってみてくださいね。

※記事の内容や専門家の肩書などは放送当時のものです