子育ては孤独? ママの人間関係

すくすく子育て
2017年12月2日 放送

子どもを産むとママの人間関係も変わりますよね。気軽に話せるママ友がいない⋯ SNSを見ては孤独を感じてしまう⋯
今回はママの人間関係について、みんなで考えます。

専門家:
大日向雅美(恵泉女学園大学学長)
倉石哲也(武庫川女子大学教授)

気軽に話せるママ友がほしい⋯ どうしたらいい?

子育てをはじめて1年、近所に子どもの話を自由にできるママ友がいなくて悩んでいます。せっかく仲よくなっても仕事に復帰したり、引っ越したりで、また探さないといけなくて、毎回「はじめまして」で疲れてしまいます。知らないママに声をかける勇気も持てません。
子どもを産む前は、バスガイドの仕事をしていて、友人との時間も楽しんでいました。でも、今はパパとしか話をしない日もあります。できれば、学校や仕事での友人のように、お互いのことがわかっていて、気兼ねなく話ができるママ友が欲しいのです。それが思いのほか難しくて悩んでしまいます。
子どものためにも、私のためにもと思うのですが、無理して作るものではないのかもしれません。どうしたら、気軽に話ができるママ友ができるのでしょうか?
(1歳1か月の女の子をもつママより)

すぐに何でも話せる人をと思わない

回答:大日向雅美さん

難しい悩みですよね。
今まで育児をがんばってきて、少しほっとしたときに、ほとばしるように人と話をしたいと思う。私たちは、人と関わり合いながら生きているのですから、当たり前のことです。ただ、ママ友とは、気軽に話せないこともあると、どこかで線を引くことも大事です。
毎回「はじめまして」になるのも、しかたがありません。学校や職場であれば、生活感覚が似ていたり、趣味が同じだったり、そうしたことをきっかけに友人をつくっていけます。ですが、ママ友は、子どもを介しての関係という面があります。人間関係のつくりかたが違うので、学校や職場の友人のようになるのは無理なんです。だから、すぐに何でも話せる人をと思わないで、少しずつ、「はじめまして」と言える人からはじめていきましょう。

自分が行ってみたいところに、子どもと行ってみる

回答:倉石哲也さん

話ができる機会がないのは残念なことですよね。
でも、買い物しているときに店員さんとやりとりをしたり、「赤ちゃん、大きくなったねぇ」と声をかけてもらえたり、友だち以外にも人とのつながりがあると思います。
チャンスがあれば、ママが行ってみたいと思うお店やスポットに、お子さんと一緒に行ってみてください。そこで出会う方とは、服の話をしたり、雑貨の話をしたり、そんな関係になれると思います。店員さんが話しかけてくださることもあります。以前の友人とは違うかもしれないけど、人とのつながりに新鮮さがあるのではないかと思います。

子どものためにママ友を作ろうとしなくていい

回答:大日向雅美さん

みなさんが、ママ友をつくらないといけないと思い詰める理由のひとつに、「子どもに友だちをつくってあげなくては」というママの思いがあります。でも、1~2歳代は、いっしょに遊んでいるように見えても、友だちだという自覚はないのです。だから、子どものためにママ友をつくろうと思わなくてもいいんですよ。
子どもは、3~5歳ぐらいになると、自分たちで友だちをつくります。そのころのママ友との関係は、違った意味で難しいと思います。今は、ママとお子さんとの関係を大事につくっていく。それで十分なんです。


ママになって後悔はない⋯けど悲しい。どうすれば気持ちが楽になる?

子どもを産んで、幸せな日々を過ごしているのですが、ふと悲しくなることがあります。SNSで、友人や同僚の様子を見ると、私も以前はこうだったなと思って、置いてきぼりになったようで、落ち込んでしまいます。
今は育休中ですが、生命保険の会社で働いていました。営業だったので、毎日いろいろな人に会って、知識も経験も増えていると実感していました。今は、家事と育児、毎日同じことの繰り返しです。子どもの成長はありますが、自分の状態を考えて孤独を感じることがあります。
ママになって後悔はないのですが、すごく悲しい気持ちになります。どうすれば、気持ちが楽になるのでしょうか?
(5か月の女の子をもつママより)

頑張ってきた人は、みんな喪失感を体験する

回答:倉石哲也さん

仕事に、すごく誇りを持っておられたのですね。強い思いがあった分、人間関係や頑張ってきたことがなくなってしまい、喪失感にさいなまれる。頑張ってきた人は、みなさんが体験することだと思います。この喪失感は、お子さんが小さい間はしばらく続きます。
SNSを見ると、以前のように頑張れていない自分を感じて、寂しさ、羨ましさ、妬み、自信のなさ、そういった感情がどうしても広がってしまいます。ですので、落ち込んだときは、あまりSNSを見ないように心がけてみましょう。
どうやったら、自分は幸せになっていけるのかを、少し考えてみましょう。

2~3年後の設計図を壁に貼る

回答:大日向雅美さん

この悩みは、ママになった女性が持つ定番の悩みですね。かつては、年賀状や暑中見舞いの季節に、同じ症状になっていたんです。今は、SNSを使えば、いつでも見ることができるから、余計につらいですよね。私たちは、ママとして充実しているとしても、それ以外の、女性であり、社会人であり、ひとりの大人である自分が欲しいのは当たり前です。
2~3年後の設計図をつくるのがよいと思います。今は生活の8~9割がママだけど、数年後、子どもが幼稚園に入ったら、こんな営業の活動を始めようなど、設計図をつくって壁など見えるところに貼っておくのです。先が見えて、暗闇が少し明るくなるということも、あると思います。
そして、とにかく泣いていい、文句を言っていい。「こんなの嫌!」と言っていい。だけど、相手次第なので、うっかり言ってしまって人間関係が崩れることが心配だったら、ノートに書いたり、お風呂で叫んだりしていいんです。気持ちを吐き出した後は、壁に貼った設計図を見て、「あと1年たったら、こういう私になれる!」と気持ちを整えていくとよいと思います。

今後、仕事に復帰したときを思うと、幼稚園の送り迎えなどがあって、以前のようにできるか不安があります。

子育ての経験が仕事に生きる

回答:大日向雅美さん

子どもがいなかったころのように働けるのか、先回りをして心配してしまうかもしれません。ですが、ご自身には、子育てによっていろいろな力がついています。子どもがいても、きちんと家事ができていたなど、気がついていないだけで、いろいろな能力をマルチに身につけています。その力を自分でわかるためにも、何をやっていたのか書いておくことが大事です。後から振り返れば「こんなことができるようになっていたんだ」と気づきます。一歩ずつ進んでいけば大丈夫です。
昔と同じように働かなくてもいいのです。むしろ、ママとなった力を、子育てでこんなに涙を流した、その経験を、仕事に生かしていく。すると、営業で出会った方への印象や、ご自身の感受性が、もっともっと素敵になっていくと思います。


子どものいない旧友と、どうやって会ったらいい?

子どものいない友人から「せっかく子どもが生まれたんだから、会おうよ」と言われます。ですが、子どもを連れて行っていいのか悩んでしまいます。「子どもを預けてゆっくり会おう」と言ってくれますが、子どもを預けてまで、自分の時間をつくっていいのかなと悩みます。
(11か月の男の子をもつママより)

還暦をすぎると、また楽しく会える

回答:大日向雅美さん

以前のように友人と会うのは無理なんです。以前のように「会おうね」と言えるのは、還暦を迎えてからなんです。私の場合、今はクラス会のお知らせなどがたくさんあって、旧友と楽しく会っています。
結婚してない方や、お子さんのいない方と、子育てをがんばっているみなさんとは、リズムが違います。そのため、お互いに遠慮したり、いろいろと気を遣います。細々と関係を続けて60歳ぐらいになると、パッと燃え上がるように楽しく会えます。そのころには、子育てをしている人もしていない人も、介護をしている人もしてない人も、人生を分かち合って「楽しいね」と言えるんですよ。

友だちがくると家の雰囲気が変わって子どももすごく楽しい

回答:倉石哲也さん

友人を家に招くと、少し外の空気が入るので、家の雰囲気が変わります。子どもにとっては、ママと同じような年代の人に関わってもらえるなど、すごく楽しいことだと思います。友人にお子さんがいるかどうかは関係ありません。子どもに、かまってもらえるという体験をさせてあげてください。すごく幸せな気持ちになると思います。
少し工夫をして、そういう機会をつくってあげてください。


児童センターや子育て支援センターで仲よしグループにうまくなじめない

児童センターや子育て支援センターに行くと、すでに仲よしのグループができていて、うまくなじめず、話に入っていけないことがあります。そんなとき、一歩踏み出すにはどうしたらいいのでしょうか?

支援センターのスタッフに声をかける

回答:大日向雅美さん

そういうときは、寂しくてつらいですよね。グループの人たちも、一生懸命にやっとできたグループで、新しい人には抵抗がある場合もあります。そこを、なんとか崩してほしいと思います。
でも、なかなか難しいときは、無理にできあがったグループに入ろうとしないで、子育て支援センターのスタッフに声をかけてみましょう。年配の支援者さんや保育士さんがいると思います。何気なく声をかけてみると、孤立しているママ同士をつないでくれたり、話し相手になってくれます。
スタッフの方は、ママたちを孤独にさせない、お役に立ちたいと思っています。声をかけてもらうと、かえってありがたいな、うれしいなと思うんですよ。

子どもと楽しく過ごそうと心掛ける

回答:倉石哲也さん

支援センターでは、とにかくお子さんと楽しい時間を過ごす。そういったわりきりも大事かもしれません。ほかのママとの関係よりも、子どもとの時間を大切にするということです。
子どもが疲れたり、気分が変わったら、家に帰ろう。そのように、子どもに意識を向けるのも、ひとつの方法です。


すくすくポイント
子育てをしていると孤独になるの?

子育てをしていると、孤独になるのでしょうか?

民間の研究所が全国の母親495人を対象に「子育て中に孤独感を感じたことがあるか」という調査をしたところ、53.2%のママが孤独を感じていることがわかりました。

どんなときに孤独を感じるのかを聞いてみると、パパが協力的ではないとき(23.7%)、公園などで話し相手がいないとき(29%)、一番多かったのが、子どもと自分だけで家にいるとき(63.7%)だといいます。

NHKの調査では、小さな子どもを持つママが子どもの世話をしている時間は、一日に6時間近いという結果が出ています。

ママの時間

ママになると、時間の使い方がどれくらい変わるのか、くわしく見てみましょう。

<自由時間>

自分に使える自由時間は、子どもがいない女性が平日で4時間12分であるのに対して、6歳以下の幼児がいるママは平日で2時間28分でした。
およそ半分の時間しかないことがわかります。

<子どもの世話>

6歳以下の幼児がいるママの、子どもの世話にかける平均時間は、平日が5時間46分、土曜が5時間31分、日曜が5時間54分です。
でも、子どもが学校にあがると、平日で1時間5分と、およそ5分の1に減ることがわかりました。


多くのママが子育てをしながら孤独を感じています。
でも、子どもの成長と共に生活は変わっていきます。
じっくり向き合えるのは今だけかもしれません。

※記事の内容や専門家の肩書などは放送当時のものです