赤ちゃんの発熱

すくすく子育て
2017年10月21日 放送

初めての発熱! あわてた経験がありませんか? 夜中でも救急病院にいくべき? 解熱剤はどうやって使うの?
そんな赤ちゃんの発熱について、とことん教えてもらいます!

すくすく子育て・赤ちゃんの発熱

専門家:
山本淳(小児科開業医)
日沼千尋(東京女子医科大学看護学部長 小児看護)

休日や夜間に受診した方がよい緊急を要する発熱って?

はじめて熱が出たのは2か月のときでした。朝まで様子を見ることにしたのですが、深夜2時半ぐらいに40度を超えて、おっぱいを飲ませようとしたら口が軽いけいれんのようになっていて、うまく吸えなくて。ちょっと怖くなって、パパと3人でタクシーに乗って病院に駆けこみました。そのときは、3か月未満ということで、すぐに入院。翌日には容態が落ち着き、2泊3日で退院。細菌性の風邪と診断されました。
2回目の発熱は7か月のときです。夜ぐずって泣きやまないので熱を測ったら38度を超えていました。土曜の夜で翌日は病院がやってないし、どこまで様子を見たらいいのか悩みました。どんどん悪くなるのも心配、かといって症状が重くないのに夜間救急に行くのもためらいがあります。このときは様子を見て、週が明けて病院に行きました。
症状と受診のタイミングに悩みます。休日や夜間でも、病院に行った方がいい緊急を要する発熱って、どんな状態なんでしょうか?
(8か月の男の子をもつママより)

発熱そのものは正常な反応

回答:山本淳さん

子どもの発熱は、たいてい感染症が原因です。感染症になると、細菌やウイルスと戦うために免疫反応が起こります。免疫反応の過程の中で熱が出ます。ですので、発熱そのものは「正常な反応」なのです。

熱が何度以上だと病院に行ったほうがいい、という目安はあるんですか?

38度以上が目安 機嫌や食欲も大事

回答:山本淳さん

38度以上の熱がある場合、緊急度は月齢によって変わります。

生後3か月ぐらいまでは、38度以上の熱が出たら、急いで病院に行ってください。
熱だけではなく、機嫌はどうか、食欲はあるかなども大事なポイントです。
特に、生後1か月未満は、夜間で救急外来しかないような場合でも、早めに、24時間以内には受診してください。
何かの処置をするというより、まずは小児科医に診てもらうことが大切です。

<発熱(38度以上)時の緊急度の目安>

  • 0~3か月:機嫌がよくミルクが飲めていても、24時間以内に受診しましょう。
  • 4~5か月:機嫌がよく食欲があるなら、急ぐ必要はありません。夜間の場合、翌日には受診しましょう。
  • 6か月以降:緊急度は低くなります。機嫌や食欲に問題なければ、あわてて受診せずふだんとどう違うか様子を見ましょう。

3か月以上の子の発熱で、緊急性が高い、すぐに病院に行ったほうがいいと、親の目で判断できることはありますか?

食事がとれない、呼吸がおかしいなど目安となるポイントがある

回答:日沼千尋さん

次のような状態のときは、すぐに受診したほうがよいと思います。

  • 食欲がなく、食事や水分がとれない
  • 下痢、おう吐、せきなどの症状が激しい
  • 何をやっても機嫌が悪い 好きなものに反応しない
  • 視線が合わない
  • ぐったりしている
  • けいれんがある
  • 呼吸がおかしい

熱が長引いた場合の受診のタイミングは?

長女は1歳くらいから何度か熱を出していますが、1度熱を出すと数日熱が下がりません。だいたい3~4日ぐらいで、長引くことが多いです。かかりつけのお医者さんからは、4日以上続くことはほとんどないと言われていたので、2~3日は様子を見ることが多いです。病院に行くタイミングを、いつも悩んでいます。
(2歳7か月の女の子と3か月の男の子をもつママより)

熱がどういう経過をたどるか知っておく

回答:山本淳さん

一般的には、子どもの発熱は1~2日目が高く、3~4日目になると下がってきます。
1日で下がることもありますが、2~3日目の夕方になると上がると考えていたほうが、心の準備ができて慌てずにすみます。

<一般的な子どもの熱の経過>

※一般的な例のため、発熱の状況により同じ経過をたどらないことがあります

そうはいっても、早く受診すれば早くよくなるのではないかと思ってしまいます。

発熱以外の症状がなければ、少し様子をみる

回答:山本淳さん

そのお気持ちはよくわかります。ですが、熱が出て1日目だと発熱以外の症状がなく、医師にとっては正確な診断への手がかりがありません。2~3日目になると、おおよそどのような病気なのかがわかってきます。ですので、特に初日は、発熱以外の症状がなければ少し様子をみてもよいと思います。
とはいえ、初日でも心配であれば遠慮なく病院に行ってください。そのとき私たち医師ができることは、家でどのように経過を見ればよいかなどのアドバイスになります。3~4日目も安心してみてくださいなどと伝えるのも私たちの大事な仕事です。
高熱が2~3日続いたり、熱がだんだん上がっている場合は、そのタイミングで受診してください。医師もいろいろなことがわかりますし、必要であれば検査も行います。


病院で処方される解熱剤 家でどう使えばいい?

10か月のとき、40度近くの熱を出して病院で解熱剤を処方されました。解熱剤を使うのは「38.5度以上で、ぐったりしているときに」と聞いていました。そのときは39度あったのですが、ぐったりはしていなかったし、ふだん通り遊んでいたので結局使いませんでした。解熱剤で早く治るなら飲ませた方がいいのかもしれませんが、熱が出た方が菌をやっつけるとも聞きます。下手に熱を下げない方がいいのでは?と思うこともあって、薬で熱を下げることに抵抗があります。
解熱剤はどのように使えばよいのでしょうか?
(11か月の男の子をもつママより)

38.5度は目安。つらそうなときに使う

回答:山本淳さん

解熱剤は、そもそも病気を治す薬ではありません。解熱剤は「鎮痛解熱剤」といって、熱によるつらさや痛みを和らげます。本人が熱のせいでつらい、頭が痛いなど痛さを感じているようだったら使ってみましょう。
38.5度以上とよくいわれることもありますが、そこにこだわる必要はありません。39度でも平然としているなら使わなくてもいいし、38.4度でもつらそうであれば使ってもよいのです。38.5度は目安なので、つらそうだったら、薬のメリットがありそうだったら使いましょう。

解熱剤で熱を下げると、細菌やウイルスなどと戦えなくなるのではないかと心配です。

高熱による体力の消耗を防ぐために使う

回答:山本淳さん

確かに熱は免疫反応のひとつです。体温が上がることで、細菌やウイルスなどと戦いやすくなる部分もあります。ですが、熱が上がることで体力が消耗してしまっては、元も子もありません。消耗を防ぐという意味で、上手に使っていきましょう。

解熱剤の上手な使い方は?

生活のリズムを整えるタイミングで使う

回答:日沼千尋さん

解熱剤は生活を楽にするために使いましょう。
子どもの熱は夕方から夜にかけて上がる傾向があります。上がりきったところで解熱剤を1回使うとよいと思います。

<一般的な子どもの熱の経過>


※一般的な例のため、発熱の状況により同じ経過をたどらないことがあります

解熱剤により少し元気が戻ったところで、お風呂に入れたり、ご飯をあげたり、子どもらしく楽しく遊ばせたりしてから、寝かしつけてあげる。そうすることで生活のリズムが整います。食べることや眠ることで体力もつき、回復力も強くなります。このように、生活を整えるために、タイミングを見て解熱剤を上手に使ってみましょう。

熱が高すぎると、脳に障害が出ると聞いたことがあります。

重い病気だから高熱が出ている

回答:山本淳さん

脳に障害が残るような重い病気は、おおむね高熱をともないます。障害が残るのは熱のせいではなく、病気自体が重いのです。それが高熱の影響だと誤解されていることがあります。

発熱時のホームケア

熱が出たときのホームケアを確認しておきましょう。

  • 熱の出はじめ、熱が上がっているとき
    手足が冷たく悪寒がしているうちは毛布などで温めます。
  • 熱が上がりきったら
    室温を少し下げ、薄着にして体を冷やします。脇の下、首、足の付け根を冷やすと効果的です。
    水分補給も大事です。脱水症状にならないよう、水、お茶、赤ちゃん用イオン飲料などを、少しずつあげましょう。

回答:日沼千尋さん

おでこなどに貼る冷却シートには注意が必要です。赤ちゃんが、親の目の届かないところではがして、口に入れてしまうことがあります。できる範囲で、環境を整えて、体を冷やしてあげましょう。


頻繁な発熱は体質? ふだんの生活や環境が影響している?

子どもが1歳後半のころから熱が出ることが多くなってきました。長いときで5日間の高熱です。だいたい39度以上が出てしまいます。37~38度をいったりきたりということもあります。熱が出ても元気なときもありますが、あまりにも頻繁に熱を出すので、何か大きな病気があるのではないかと心配です。
お医者さんでみてもらっても、鼻水が出たら鼻水の薬、せきが出たらせきの薬、薬を飲んで治ったら「大丈夫ですよ」ということの繰り返しです。心配と看病とで、子どもより私のほうがまいってしまうところがあります。
子どもは熱が出やすい体質なんでしょうか? ふだんの生活や環境が影響しているのでしょうか?
(2歳3か月の男の子をもつママより)

高体温には「発熱」と「うつ熱」がある

回答:山本淳さん

熱が出やすいお子さんはよくいらっしゃいます。体質というよりも個人差です。
もともと、小さいうちは体温調節が未熟です。その上、体が小さいので体重1キログラムあたりの表面積が広く、周りの温度の影響を受けやすいのです。温まりやすく、冷めやすいわけです。そのため、体温の変化が大きいという特徴があります。

体温が高くなる高体温は、ウイルスなどに対する反応で体温が上がる「発熱」と、周囲の環境の影響を受けて体温が上がる「うつ熱」という状態があります。高い気温や室温、布団や厚着などで、体温の調節が妨げられ、子どもの体温が高くなることがあるのです。

うつ熱はどのように対処したらいいのでしょう?

着るものや熱を測るタイミングに気をつける

回答:日沼千尋さん

まず、お子さんの着るものを大人より1枚少なくします。また、冬など寒いときは、手足が気になると思いますが、出ていても大丈夫です。そのことで、体温の調節もしやすくなります。

熱を測るタイミングにも気をつけましょう。泣いたあと、走るなど運動のあと、外から帰ってきたとき、お風呂あがりなどは、どうしても体温が高くなってしまいます。15~30分おいて測るようにしてください。

食生活の栄養が関係していて自分の料理がダメなんじゃないか、睡眠不足なんじゃないか、など神経質になってしまいます。

医師にもっと相談する

回答:山本淳さん

お母さんのせいではありません。あまり気にしないでください。まずは、医師との関わり方を変えてみてはいかがでしょうか。
今は、鼻水の薬、せきの薬、熱冷ましの薬など、薬をもらいに行くような感じかもしれません。それも大事ですが、薬をもらうことより大事なのは、お母さんがいつも悩んでいるようなことを医師に話すこと、そして、医師の話を聞くことだと思います。
私たち医療関係者も、そのことを大事にしています。風邪や熱ぐらいで相談していいものかと、遠慮しているのかもしれませんが、気にせずに相談してみてください。


男の子のほうが熱を出しやすいと聞いたことがあるけど本当ですか?

男の子のほうが熱を出しやすいと聞いたことがあります。本当なのでしょうか? うちの子は、これまでに発熱は2回ですが、今後が心配です。
(1歳9か月の男の子をもつママより)

発熱に性別の差はありません

回答:山本淳さん

ぜんそくなど、病気によっては男の子が多いことがあります。ですが、発熱や風邪に性別の差はありません。


すくすくポイント
あわてないで!熱性けいれん

子どもは、急激に熱が上がると「熱性けいれん」を起こすことがあります。
日本では、熱性けいれんが起きる確率は8%くらいです。遺伝的要素が大きいといわれています。

実際に「熱性けいれん」を経験したママの話を聞きながら、どのようなものなのか知っていきましょう。

ママ
「子どもが1歳3か月のとき、41度の高熱が出ました。はじめはぴくぴくと、ちょっと苦しそうに『うぅうん』と、うなっていた感じです。その後、けいれんが起こりました。目が白黒してしまって、救急車を呼びました。」

けいれんが起きたら、次のように対処しましょう。

<けいれんの対処法>

  • まず、服をゆるめて、顔を横向きにして、静かに寝かせる
  • けいれんが何分続いているか、時間を計る
  • 体のどの部分から始まったか、左右の差はあるかなど、よく観察する
  • 口にものを入れない、体をさすったりゆすらない
  • 落ち着いたら体温を測る
  • 5~10分以上続く場合は、救急車を

※動画を撮影しておくと診察のときに役立ちます

ママ
「けいれんは3分くらいで収まり、翌日には熱も下がりました。ですが、そのあと体に発疹ができました。高熱の原因は、突発性発疹でした。」

<突発性発疹>

生後6か月から1歳半ぐらいの赤ちゃんがかかりやすく、高熱が下がると顔や体に発疹が出る。急に熱が高くなるので熱性けいれんを起こすことも多い。


子どもの発熱は、どうしても慌ててしまいがちになります。
けいれんを起こしたときの対処法を、ふだんからシミュレーションしておくといいですよ。

※記事の内容や専門家の肩書などは放送当時のものです