食事のしつけ

すくすく子育て
2017年7月1日 放送

食べものを、投げたり、こねたり、吐き出したり。一口食べては動き回って、全然じっとしていない!
もっと静かに行儀よく、しっかり食べてほしいのに、何を言っても効き目がない。
どうする? 子どもの食事のしつけ。
親子で楽しく食事するための工夫、専門家と一緒に考えます!

すくすく子育て「食事のしつけ」

専門家:
井桁容子(東京家政大学ナースリールーム 主任保育士)
太田百合子(管理栄養士・東洋大学非常勤講師)

食べものを大事にしてほしい、どんなふうに教えたらいい?

嫌いなものを食べさせたとき、一度は口に入れるけど、すぐに口から出してしまいます。食べものを手でこねたり、投げたりもします。大好きな牛乳も、温かいものしか飲みません。食べものを、もっと大事にしてほしいと思っています。今はまだ小さいので「食べものを粗末にしたらダメ」と言ってもわからないし、どんなふうに、教えていったらいいですか?
(1歳3か月の男の子をもつママより)

子どもの行為を言葉として聞く

回答:井桁容子さん

1歳の年齢相応に、よく育っているお子さんだと思います。
口に入れた食べものをポロポロと出すのは、それだけ敏感だといえます。ポロポロした物が入った、温かいものが入った、ぬるいものが入った。そういった食感や温度がよくわかっている。1歳だと、このぐらい育っていれば十分です。

食べものを投げてしまうのは「いりませんよ」の意思表示です。まだ言葉で「つくってもらったけど、いりません」と言えない。一番わかりやすい表現がポイと投げることです。
子どもの行為を言葉として聞いてあげましょう。いらないと表現しているときは「ポイじゃなくてママにちょうだい」と手を差し伸べてみましょう。

子どもにとって感覚を養う大事な体験

回答:太田百合子さん

私も年齢相応に育っていると思います。
食べものこねたりすることは、大人から見ると、おもちゃで遊んでいるようだ、よくないことだと思いがちです。ですが、この時期は感覚が研ぎ澄まされていて、指先で何でも触ってみる体験は、とても大事なことです。むしろ、少しはやらせてあげるのがよいと思います。
遊んでいるように見えて、子どもにとっては感覚を養う大事な体験なのです。

でも、食べものを投げたり落としたりを放っておくこともできないから、どう注意したらよいでしょう?

投げたり落としたりしても、大げさに反応しない

回答:太田百合子さん

食べものを投げたり落としたりすると、大好きなママやパパが「ダメ!」と反応します。その反応が、子どもにとっては面白いのです。だから、知らないふりをしたり、大げさに反応しないようにしてみましょう。反応が少ないと、子どもは「つまらないな」となります。

また「投げられるとママが困るのよ」など、親の気持ちを伝えてみましょう。今はわからなくても、だんだんと人の気持ちを察することができるようになります。


食事中遊んでばかりでじっとしていない、どうしたら集中して食べてくれる?

ものすごく食事に時間がかかることが悩みです。食事の前にはテレビを消して、おもちゃも片づけて、きちんと座って「いただきます」をするのですが、一口食べると走りだしたりします。戻ってきて、もう一口食べると、また部屋を一周。おもちゃなどで遊んだりもします。そして、私が片づけようとすると、食べたがって泣きだします。朝が特にひどく、起きて1時間おくようにしているのですが、やはりだめです。1時間の間に、おなかが空いたと言いだしたり、食べさせると、やっぱり遊びだしてしまう。
楽しいことと何でもしていいことは違うと教えないといけないと思いますが、口調が強くなったり、まわりくどく説明してわかる歳でもないので、端的に言って伝わる方法があればと思っています。どうしたら、きちんと座って、食べてくれるようになりますか?
(2歳1か月の男の子をもつママより)

けじめをつけたほうが子どもの気持ちも整理される

回答:井桁容子さん

けじめをつけたほうが、お子さんの気持ちも整理されます。例えば「食事はテーブルの上で気持ちよく食べよう」「おもちゃを持ってくると、ばい菌が入って食べられないことがあるよ、だから今はなしだよ」と話をしましょう。
この時期は、子ども本人も「どこでやめていいのか、わからない」という特徴があります。ですので、大人がきぜんとした態度で対応してあげたほうが、子どもの気持ちもすっきりすると思います。きちんと「これはよくないと思うので、やめることにします」と宣言して、子どもにわかってもらうようにしても大丈夫です。

3歳ぐらいまでは動き回る

回答:太田百合子さん

私の子も、このような感じでした。3歳ぐらいまでは続くと思います。
保育園や幼稚園の集団生活がはじまると、そこには緊張感があって、きちんと座ることができる。でも、自分の家だと解放感があって動き回ってしまいます。

例えば、遊ぶ部屋と食事をする部屋を分けてみてはどうでしょう。集中力を高めることができるかもしれません。
朝も1時間ぐらいかかるということでしたが、サンドイッチやおにぎりなど、手づかみで食べられるものを置いてはどうでしょう。歩きながらでもいいので、食べるかもしれません。

2、3歳でもおとなしく食べている子がいますが、親のしつけの問題なのか、個人差なのか気になります。

あちこちに興味が移るのが子ども

回答:太田百合子さん

気にしなくても大丈夫です。
あちこちに興味が移るのが子どもです。5〜10分ちゃんとできたら、たいしたものです。小学校に上がるころには落ち着きます。それまで、長い目でみてあげましょう。


食事のときに遊んだり寝てしまったり、どうしたら短い時間で食べられる?

幼稚園に通うようになった長男が、食事中に激しくダダをこねたりして、食べ終わるまで1時間近くかかるようになりました。食事が始まっても、おままごとを続けたいと言って、テーブルの上には本物の食事とおもちゃの食事がごちゃ混ぜ状態になることも。
食事の途中で眠くなってしまい、何度も声をかけ、起こしながら食べさせることもあります。とにかくせかして食べさせているので、それもいいのかなと思っています。楽しく食べようとか、ニコニコしようねと言っていますが、もうこっちがイライラしてきて。
食事のときに遊んだり、寝てしまったり。どうしたら、集中して食べられるようになるでしょう?
(3歳9か月の男の子と1歳9か月の女の子をもつママより)

眠いときは無理をしない。お兄ちゃんに手伝ってもらいながら親子で食卓を囲む

回答:井桁容子さん

おそらく、幼稚園ですごく疲れているのではないでしょうか。たくさんの情報があって、お友達もいて、その中できちんとしなくてはいけません。食べるより、眠いほうを優先してあげてください。あるいは、眠くなる時間の前に食べるようにしましょう。寝ているときに食べものを口に入れると危険です。眠い様子のときは、体が休むことを要求しているのだと考えてください。

また、できるだけ親子で一緒に食卓を囲んで食事をしましょう。お兄ちゃんが妹の食事を手伝うようになると、お母さんも一緒に食べることができますね。そうやって「みんなで食べると楽しいね」となると、お兄ちゃんもお兄ちゃんらしくなります。もう少しお兄ちゃん扱いしてあげて、任せてみましょう。

子どもは大人の食べ方を見ながら多くのことを学ぶ

回答:太田百合子さん

子どもは大人の食べ方を見ながら多くのことを学びます。大変なことですが、一緒に食事することを考えてみましょう。「おいしいね」と共感しあうこともできます。むしろ、その方が早道かもしれません。

子どもと親が同じものを食べることも考えてみてください。3歳であれば、大人の料理でも薄味なら大丈夫です。味噌汁に具をいっぱい入れれば、それだけで栄養満点です。お魚も食べやすいですね。例えばムニエルにして「半分にしようね」と親子で分ければ、子どもは結構よろこんで食べたりするものです。赤ちゃんの分は味付けをする前に取り分けます。少しぐらい塩分があっても、後で薄めるぐらいでもいいと思います。

親の笑顔は子どもにとって最高のおかず

回答:井桁容子さん

食事は1日3回、それが一生続きます。だからこそ、お母さんが頑張り過ぎているところを見せて、子どもに「食事はすごく頑張らないといけない、つらいもの」だと、思わせたくありませんよね。これ以上頑張ると、そのように思わせてしまいそうだと感じたら、ちゃんと手を抜きましょう。子どもにとって、お母さんが笑顔でいてくれることが、最高のおかずになります。


スプーンがうまく使えない、いつから使えるようになる?

10か月くらいから、スプーンを持たせ始めました。でも、なかなかスプーンやフォークを使いたがりません。離乳食は早めからスタートしていたので、時間がかからずにできるようになるのではないかと、ちょっと期待をしていたのですが。私がスプーンですくってあげると、上手に持って口に運ぶことはできるのですが、私に「もっとすくって」とあまえ、自分からすくって食べようとはしません。
ネットで調べたら、1歳3か月ぐらいでは、上手になる時期みたいなことが書いてあったので、ちょっと焦りを覚えました。
どうすれば、自分ひとりで使えるようになりますか?
(1歳6か月の男の子をもつママより)

スプーンを渡すのは合理的だから

回答:井桁容子さん

スプーンをママに渡すのは合理的だからです。自分ではうまくすくえないから、うまくすくえるお母さんを使って口に入れるほうが早いということです。あまえているのではありません。ですので「自分で食べないといけないんだ」と思ったときは、きちんと食べます。人に協力してもらうのが上手だとも言えますね。

自分ではうまくすくえない場所など、手伝ってあげても全然問題ありません。こういうことで、あまえんぼうにはなりません。

いつぐらいから上手に使えるようになるんですか?

今は手づかみ食べでよい。1歳代は脇が開かないのでスプーンで食べづらい

回答:太田百合子さん

1歳代のころは手づかみ食べが全盛期で、2~3歳になるとスプーンやフォークを使うようになります。
ですので、今の年齢なら手づかみ食べでもかまいません。手づかみ食べが長いほうが、指先の感覚が養われるので、できれば手づかみ食べをいっぱいしたほうがよいです。

発達の点では、1歳代は脇を開けにくく、手首をかえすこともうまくできません。まだ、スプーンが使いづらいのです。2歳ぐらいになると、脇が開いてきて上手にすくえるようになります。ですから、焦る必要はありません。


子どもと一緒に外食をするときの工夫は?

子どもと一緒に外食するとき、どうしても親は落ち着いて食べられません。料理がくると、子どもが「くれくれ!」と大騒ぎし始めて、どんどん食べさせてあげて、その間自分たちは食べられません。
子どもは食べ終わると、もう食べるものがなくてあきちゃって、椅子に立ち上がったり、のけぞったり、遊びたいとなってしまいます。ある程度しかたがないと思いますが、なにかコツがあれば知りたいです。
(1歳3か月の男の子をもつママより)

子どもに無理をさせている、やがて一緒に食べられるようになる

回答:井桁容子さん

外食は、ほどほどにしましょう。3歳ぐらいまでは、どうしてもそのような状態になります。子どもが、自分のしていることで、親がイライラしたり、お店がてんやわんやになるという経験も大事だと思いますが、落ち着いて食べるのは無理に決まっています。外食で落ち着かせるというのは、子どもに無理をさせているという意識を持たないといけません。

これが一生続くわけではありません。今は、子どものために大人がゆずる時間がある。やがて、一緒に食べられるような時間がある。いつかは、子どもを食事に誘っても「一緒にはいかない」と言われるときがきます。子どもの成長、家族の成長とはそういうものです。

もし行くのであれば、リラックスした雰囲気の場所を選びましょう。

1~2歳の子どもはじっとしていられません

回答:太田百合子さん

まず、1~2歳の子どもにじっとしてというのは無理ですね。
お店を選ぶときは、子どもが食べられるものなのか注意する。後は、そそくさと食べて、そそくさと帰ってくる。でないと、親も子どもも疲れてしまいますね。


すくすくポイント
年齢ごとの食事のしつけ

1歳から3歳まで、年齢ごとの食事のしつけのポイントを太田百合子先生(管理栄養士・東洋大学非常勤講師)に教えてもらいました。

1歳代の食事のしつけ

この時期に大切なのは、生活リズムを身につけて、自然におなかがすくようにすること。

食事の前に、おもちゃを片づける、手を洗う、エプロンをつける、椅子に座る、「いただきます」をするなど、食事の流れを、楽しんで身につけるようにしましょう。

手づかみ食べは、手や指先の感覚を養うのにとても大切です。
思う存分、させてあげましょう。

2歳代の食事のしつけ

だんだん動きが活発になり、自己主張がハッキリしてきます。
食事中に動き回ったりして、困ることもありますよね。

足の裏がちゃんと床につくように椅子とテーブルを調整すると、姿勢がよくなって落ち着いて食べられるようになります。

また、少しずつスプーンやフォークが使えるようになります。
柄が長すぎないものを選びましょう。

スプーンのボール部分の大きさは、口の幅3分の2くらいを目安にしましょう。

3歳代の食事のしつけ

だんだん自分で考えて行動できるようになります。
お皿を出す、食事を盛りつけるなど、お手伝いを通じて、食事の楽しみを広げましょう。

食べるのに時間がかかる悩みも多くなります。
ずるずる長引かせず30分くらいで切り上げて、次の食事までにおなかがすくようなリズムを作りましょう。

お箸は、まだ自己流の持ち方で構いません。日ごろの食事の中で、大人が手本を見せましょう。
折り紙や粘土など、指先を使う遊びをたくさん取り入れて、小学校に上がるころまでに、使えるようになるといいですね。

※記事の内容や専門家の肩書などは放送当時のものです