子どものトラブル どうしよう!

すくすく子育て
2017年6月17日 放送

子どもが集まればトラブルはつきもの。でもなるべくならお友だちとの争いごとは避けたいですよね。
そこで、今回は「子どものトラブルにどう向き合うか」。トラブルを子どもの成長の糧にする親の関わり方を、一緒に考えていきましょう。

すくすく子育て「子どものトラブル どうしよう!」

専門家:
遠藤利彦(東京大学大学院教授 発達心理学)
井桁容子(東京家政大学ナースリールーム 主任保育士)

弱い子にいじわる。どう言い聞かせる?

家では妹と仲良く遊ぶ優しいお兄ちゃんですが、お友だちと遊ぶとき、自分より年下の子や優しい雰囲気の子に対して強く出てしまって、おもちゃを取ったり、押してしまったり、意地悪をしてよく泣かせてしまいます。特定の子にしてしまうのは、どうしてなのかなと悩んでいます。滅多に使わないおもちゃも、お友だちが遊んでいたら、取り返したくなって、取り合いして、大泣きして。どう言い聞かせたら、トラブルにならないのでしょうか。
(2歳9か月の男の子と8か月の女の子をもつママより)

相手の性格を認識して行動が変わる

回答:遠藤利彦さん

2~3歳になると、自分の性格や相手の性格がはっきり認識し合えるようになってきます。そして、自分がうまくやりとりできそうな相手は誰だろうかなど、自然に行動が変わっていきます。これは、当然のことだと思います。

相手を泣かせるつもりはないので悪気はない

回答:井桁容子さん

すごく優しいお子さんだと思います。相手の状況をよく見て、洋服を引っぱったりしても、顔をガリガリするなど強引なことはしていません。理性を働かせて、自分は「こう思っている」と伝えようとしているけど、うまく伝えられないから、最後に泣くという行為になっています。大きい子に逆らわないのは、人を見る目がついているからです。

そして、誰かを泣かすつもりではないのに、相手が泣いてしまって、びっくりして自分も泣いてしまう。悪気はなく、優しく、状況もよく見ているので、困ったお子さんだと思いません。

いつも使っていないおもちゃなのに、お友だちが使い出すと「私のおもちゃ使わないで」となるのは、どうしてでしょう?

他の子どもとうまく遊ぶスキルがまだない

回答:遠藤利彦さん

他の子どもが持っているものに関心があると、それを取りに行く。一緒に遊びたいときには近づいていく。ただし、うまく遊ぶためのスキルが、まだありません。おもちゃに手を伸ばすと、相手は取られたくないから、結果的にトラブルになっていますが、根底には仲良く遊びたいという気持ちがあります。
年齢が上がってコミュニケーションの力がついてくると、他のお子さんととても仲良くなれるような力を持っています。そのように考えてください。

トラブルが起きるまでは、見守った方がよいのですか?

感情のぶつかり合いを本人たちが実感することが大事

回答:井桁容子さん

危なくない範囲で、どのような感情がぶつかっているのかを、本人たちが実感することが大事です。言葉にできれば「それが欲しかったんだよ」と言えますが、まだ言葉にできないと、泣く以外に残念な気持ちを表現できません。
相手が泣けば、残念な気持ちで泣く人がいるのだということを感じます。すぐに解決するわけではありませんが、まずいことをしたと感じること、どうしたらいいか考えることが大事です。

そして「欲しかったんだね」など、あなたの気持ちは分かっているよと伝えましょう。自分の気持ちが分かってもらえると感じることが大事です。
「でも、びっくりする人もいるよ」など、相手の気持ちになることを添えてあげましょう。

責めるのではなく落ち着いて話をする習慣を

回答:遠藤利彦さん

感情が高ぶっているときは、なかなか他の人の言葉を聞き入れる余裕がありません。少しタイミングをずらして、落ち着いてきたところで話をしてみましょう。
話すときは、責めるのではなく、落ち着いて「そういうときは、こういうのはどうかな?」「ちょっとダメだよね」という話をしてみる。そのような習慣をつけていくことも大切です。


乱暴な原因は、愛情不足?やきもち?

弟と遊んでいると、遊んでいたおもちゃを触られただけで、叩いたり、服をつかんで引きずり回したり。見ず知らずのお友だちを突き飛ばすこともありました。ママを気遣う優しい面もありますが、弟が生まれたことで愛情不足を感じているのではないかと悩んでいます。子どもが二人になって、私も慌ただしくてイライラすることもあり、乱暴にさせている原因になっていないかと心配しています。
(2歳6か月と1歳1か月の男の子をもつママより)

フラストレーションを経験して乗り越えていく

回答:遠藤利彦さん

下のお子さんが生まれると、今まで受けていたパパ・ママからの愛情を独占できずに一時的に混乱することがあります。それがフラストレーションになって、ときどき手が出たりすることもあります。
多くのお子さんが、同じようにストレスやフラストレーションを経験して乗り越えていきます。

今は乱暴な部分に目がいきますが、もう少し時間がたつと「どうやったら自分も嫌な思いをしないですむだろうか」と、気持ちが切り替わっていきます。少しずつ感情をコントロールできるようになり、相手と仲良くなるような方法をきっと身に付けていきます。

お兄ちゃんを尊重してあげる

回答:井桁容子さん

この時期は、大勢の中でうまくやることよりも、自分自身の思いを大事にされた子どものほうが、後々、人の思いを大事にできます。

まずは、お兄ちゃんのテリトリーを守ってあげましょう。例えば「今はお兄ちゃんがしているから、あなたは入らないでね」のように、お兄ちゃんを尊重してあげる。すると、次にお兄ちゃんから「弟も入れてやってもいいよ」という言葉が出てきます。


お友だちから手を出されたら、どうする?

子どもが自分から手を出すことは少ないのですが、手を出されたときどうしたらよいのか。例えば、順番を守らない子が息子を押しのけたときに、どうしても「ゆずってあげようね」と言って自分の子をなだめてしまいます。この対応でいいのか迷ってしまいます。
(2歳11か月の男の子をもつママより)

自分の思いを表現して良いと伝える

回答:井桁容子さん

あまり我慢が続くのは良くありません。例えば、毎回会っていて、コミュニケーションを頻繁にとるようなお子さんが同じパターンになっているとき、私たち保育士だったら、「それはないよね、取り戻しに行こう」と言って一緒に手をつないで追いかけるようなこともあります。
「自分の思いを表現していい」ということを、子どもに対してきちんと保証してあげないといけません。

「同じのを探そう」「今から作ればなんとかなる」など、うまくいかなかったときに、どのようなポジティブな解決方法があるのかを、提案するチャンスでもあります。ため込まずに工夫して、その思いを表現しながら折り合いをつけていく。そんなことを学ぶチャンスにしましょう。

全く知らない子に手を出されて、そこに相手の親御さんがいないとき、どうしたらいい?

知らない子にも、危ないことは「やめて」と伝える

回答:井桁容子さん

モノを投げたり叩いたりすることは危ないことです。知らない子でも「危ないからやめて」と伝えましょう。「こんな気持ちだよ」と伝えることは絶対に必要です。

ただし、叱るようなことをしてしまうと、「知らない人から否定された、怖かった」という思いしか残りません。「自分が悪かった」までいかないのです。はじめて会うお子さんを、怖がらせるほど怒るようなことは、よくありません。

でも、やったことについては、いつでも、どこでも、誰のお子さんであろうと、「すごく危ないことなのでやめてね」と、伝えておかなくてはいけません。


親はいつまで、どの程度まで介入すべき?

長男のお友だちとのトラブルは随分減りました。長男には「やられてもやり返さない、ガマンをしよう。その代わり、イヤだった気持ちはママに話してすっきり忘れて、ママがイヤだった気持ちは全部もらっちゃうからね」と伝えています。仕事が忙しいこともあり、限られた時間でなるべく子どもと話すように心がけています。そして毎日、保育園でどんなことがあったか聞き出すようにしています。話をする中でトラブルも度々耳にします。まだ解決していないようなら、これまでは先生に対応をお願いしてきました。
でも5歳になった今、どの程度、子どものトラブルに親が介入していいのか悩んでいます。最終的には、母親に話せば何かしてもらえるというのではなく、自分なりに対処ができるようになってほしいという願いがあります。どのように介入していくのがよいか、お聞きしたいです。
(5歳と1歳8か月の男の子をもつママより)

あえて何もしないことで子どもは自立性を獲得する

回答:遠藤利彦さん

できるだけ子どもの気持ちを理解しようと、そればかりになると、困っていることを親が先回りして考えてしまうことがあります。

お子さんがどんどん大きくなる時期は、あえて何もしないでいることも、子どもの発達には重要です。ひとりでいる力、自立性を獲得することにもなります。やってあげることばかりではなく、少し離れたところから見守ることも、親の愛情の表し方だと思います。

言いたいことを待つ方が、子どもの気持ちに添える

回答:井桁容子さん

親が何も言わずに、ゆとりのある空気を作っておくと、お子さんから「今日ね、保育園でね」という話が出てきます。それが、いちばん困っていて、親に聞いてほしいことです。本人が言いたいことを待つ方が、お子さんの気持ちに添える。そういうことが、増えるのではないかと思います。

保育士さんにお願いして介入してもらうのは、どの程度までなら大丈夫?

本当に困っている悩みは早めに確認する

回答:井桁容子さん

お子さんから話を聞いて、親がびっくりするようなこともあると思います。そういうときは、なるべく早く、保育園の担任の先生に「こんなことがあったと本人は言っているけど、いかがですか?」と確認しましょう。保育園での関係性がどうなのかなどを気にせず、遠慮なく聞いてみましょう。


子ども同士のトラブル、相手の親とどう関わる?

・どうしても相手の親御さんの顔色を伺ってしまう。公園で、後ろから小学生がドンと突き飛ばしてきたとき、親御さんはお話されていたり、なかなか見ていないことがあります。どうしたらいいのかなと、いつも迷います。
・こちらから手を出してしまうことが多いので、子どもにも親御さんにも謝ります。またやったら嫌だなと思い、その場からは離れて別の場所で遊びなおさせてしまうことが多いです。
・相手が女の子だと、うちの子に一方的にやられる側になってしまうので、謝ることすら拒絶されてしまうことがあります。

本音で話す方が子どものためになる

回答:遠藤利彦さん

親同士が知り合いの場合、不自然に気兼ねをすると、その後の関係がぎくしゃくして、子ども同士の関係性にも悪い影響を与えてしまうことがあります。気兼ねなく、本音で話す方が、結果的にお互いのため、子どものためにもなります。

その場限りのお付き合いかな、そういう場合はどうしたらいい?

知らない子の親でも、はっきりと伝える

回答:遠藤利彦さん

手を出した子どもの親御さんが気付いていないとしたら、気付いていないことが、その親御さんにとっても不幸なことです。「これは、危ないのではないですか」など、はっきりと伝えましょう。

親が謝る姿を見て悪いことをしたと感じる

回答:井桁容子さん

大勢がいるような、密度の濃いところでうまくやることが、コミュニケーション力ではありません。1~2歳の頃は、子どもの思いを満足させることが重要です。ですから、トラブルになりそうだと思ったら、その場から離れることも大事です。

子どもが危ないことをしてしまった場合、叱るのではなく、相手の方に「すみません、痛かったですね、びっくりさせちゃいましたね」と謝る姿を見せることも大事です。親が謝っている姿を見ると、叱られるよりもドキッとして、悪いことをしたんだと納得します。


すくすくポイント
謝るべき状況で子どもがふざけてしまうのはなぜ?

子どもがトラブルを起こしたとき、謝ることができる子どもになってほしいと思いますよね。
でも、謝らないといけないとき、子どもがふざけるような行動を取ることがある。それは、どういうことなんでしょう?
遠藤利彦先生(東京大学大学院教授 発達心理学)に聞いてみました。

悪いと分かっているけど素直に謝れないという気持ちが、ふざけた行動を生んでいます。潜在的には「やってしまったな、申し訳ないな、すまないな」という気持ちを持っていることが多いです。

特に、叱られているときは、追い詰められた状況です。張り詰めた緊張をなんとか自分でほぐそうとして、ちょっとふざけた行動をしてしまうこともあります。叱られているときに話を変えたりするのも、自分が悪いと分かっているからこそ、話題を変えて、その場の緊張をほぐそうとしているわけです。

素直に、大人が期待するような「謝る」ことができないかもしれません。だからといって、罪悪感や、謝る気持ちのような、心の力が育っていないわけではありません。

謝るべき状況でふざけるような行動を取ったとしても、罪悪感を持っているかも。
反省していないと決め付けなくてもいいんですね。

※記事の内容や専門家の肩書などは放送当時のものです