叱る? 叱らない? 子どものウソ

すくすく子育て
2017年4月15日 放送

子どものウソ、叱るべきか、叱らないべきか。悩むことありませんか?
何度も繰り返すウソ泣き。本気で泣いていることもあるし、対応に困る。
ウソをついて欲しくない!子どもにどう伝える?
子どものウソについて、専門家と一緒に考えます。

すくすく子育て「叱る?叱らない?こどものウソ」

専門家:
柴田愛子(保育施設「りんごの木 子どもクラブ」代表)
遠藤利彦(東京大学大学院教授 発達心理学)

子どものウソ泣き。どう対応すればいい?

3歳になったばかりの長男が、妹が生まれた頃からウソをつくようになりました。「お風呂行こうか?」と聞くと「行かない」と言い、「妹と2人で行っちゃうよ」と言うと、まだ言葉を話さない妹が行かないと言っていたと。こんな風に、自分のやりたくないことがあると、妹のせいにしてウソをつきます。寝かしつけのときは、ママが妹にかまうとウソ泣きします。本当に泣いているときもあり、対応に困っています。ウソ泣きで人の気を引くような子どもになってしまわないかと心配です。成長の過程として見守っていいものなのか、どう対応すればいいのでしょう?
(3歳の男の子・3か月の女の子をもつママより)

ちゃんと気にかけていることを言葉と行動で伝える

回答:柴田愛子さん

この場合、ウソかそうでないかは問題ではありません。

お母さんは下のお子さんが生まれて、授乳など睡眠不足で大変だと思います。でも、長男から見ると、急に妹がきてママを独占しているわけです。

私が営んでいる保育施設で、4歳で下の子が生まれた子どもが3人いました。その子たちに「下の子が生まれてお母さん変わった?」と聞いてみたら、みんなが変わったと言います。「何が変わったの?」と聞くと、一緒にお風呂に入らなくなった、絵本を読んでくれなくなった、それから寝るときはいつもママの背中だと言います。

子どもたちは、赤ちゃんのことを使ってでも、ママに僕のことを忘れないでねと伝えたいのではないでしょうか。ですから、下のお子さんのお世話の前に、上のお子さんに「一緒に寝ようね」と声をかけたり、抱きしめるなど、気にかけていることをきちんと言葉と行動で伝えるのがいいと思います。

子どもがウソをつくのは心の力がついてきた証拠

回答:遠藤利彦さん

実は、ウソをつくには、知性や社会的なコミュニケーションの力が必要になります。その意味では「心の力がしっかりとついてきたんだ」と、その発達を評価してあげましょう。

また、子どものウソというのは基本的に人の注意を引こうとするウソです。その他には、自分の失敗を隠そうとするウソ、自分の空想や願望が膨らんだ結果、それがウソになってしまうこともあります。これらは非常に一般的で、誰もがそのようなウソを経験して大人に成長していきますので、特に心配なことはありません。

上の子との時間もできるだけつくろうとしています。まだ足りていないから、ウソをつくのでしょうか?

一人前に扱って頼れば、わかってくれることも

回答:柴田愛子さん

「足りる」ということはないと思います。

先ほどの子どもたちの話になりますが、私は子どもたちにこのように伝えました。
「ママはもっといっぱい寝たいんだよ。でも今はとってもガマンしているの。下の子にちょこちょこおっぱいあげないといけないからね。でも赤ちゃんは急に大きくなれないの。だから、赤ちゃんが育つまで、あなたたちはガマンしかないんだよ。頼むよ。」
すると、子どもたちはつきものが落ちたようにガマンするようになりました。

ガマンさせるのはかわいそうではなく、協力してもらう方がいいかもしれません。そして「ガマンできてえらいね、もうちょっとの辛抱だよ」など「わかっているよ」のメッセージを伝えれば、子どもの頑張る気持ちの支えになるのではないでしょうか。


作り話は、放っておいて大丈夫?

子どもがよくウソの混じった作り話をします。電車が好きなのですが、電車に乗っていないのに「今日電車楽しかったね」と言ったり、一人で遊んでいたのに「今、アンパンマンにパチッとされた」と言ったり。ウソと思っていないのかどうか、判断できず心配です。
(2歳7か月の女の子をもつママより)

ファンタジーの世界で遊べるのは心の育ちが健康な証拠

回答:遠藤利彦さん

心配しているようですが、むしろ逆です。そのようなファンタジーの世界で遊べるようになっているのは、心の育ちが健康である証拠のようなものです。
2歳から3歳になると、いろんな空想や想像で自分の遊びを作っていけるようになります。それこそ、アニメのキャラクターが自分のお友達になったりします。
ごっこ遊びをするときは、役割の人の気持ちになりきる必要があります。それは、人の気持ちを理解する力が備わってきたのだと受けとめてください。

楽しかった思いは本当です

回答:柴田愛子さん

想像していることが言葉で出ることは、心配しないでよいと思います。
電車に乗ったときの楽しい思いがまだ残っていて、それが「今日」となるとウソになりますが、楽しかった思いは本当です。それはウソというよりも、想像の世界と現実とが混ざり合っているのだと思います。
4歳ぐらいまではそういう時期ですので、心配はいりません。


ウソをついてほしくない。どうすればわかってくれる?

4歳になる長女がウソをつくことがあり対応に悩んでいます。例えば「おなか痛い!」とウソを言います。「甘えたいだけじゃないの? 元気じゃない? ウソついちゃダメよ。」と、ウソには厳しく対応しています。体調は心配ですが、ウソをつくのがクセのようになっても困るし、ウソはついて欲しくないです。素直に生きて欲しいと思っています。どうすればいいでしょうか。
(4歳の女の子・6か月の男の子をもつママより)

ウソかどうかを追及するよりも、ほかにメッセージがあると考える

回答:柴田愛子さん

子どもにウソかどうかを追求しても、あまり役に立ちません。

実は私自身が小学生のとき、毎朝お腹が痛くなっていました。兄弟がみんなで「またウソだよ」と言ってくるのですが、ウソではなく本当に痛かったんです。
不安などで気持ちが重くなると、精神的なものを言葉で表現するよりも、先に体が反応してお腹が痛くなります。
私が「おなかが痛い」と言うと、母はだまって私をひざに乗せて、お腹に手をあててくれました。そうすると、5分ぐらいでだんだん「大丈夫かも」と思えてきて、学校に行っていた記憶があります。

ウソかどうかを追及するよりも、不安なのか、あまえたいのか、心がざわざわしているのかなど、他にメッセージがあると考えて「私の手が必要なのね」と解釈してあげるといいと思います。

本当のことを言ったらほめる

回答:遠藤利彦さん

子どもの視点で考えると、一番つらいのは、本当のことを言っても怒られるし、本当のことを隠してウソを言っても「ウソついたでしょ」と怒られることです。どちらも怒られて、逃げ場がなくなり追い詰められてしまいます。
ですので、やったことは悪いかもしれないけど、本当のことを言ったらちゃんとほめてあげることが必要です。
あるいは「ウソを言わなくても『〇〇して』と言えばいいのよ」と伝えましょう。そのように対応していくと、少しずつウソが減っていくと思います。


トイレを汚しても正直に言わない

4歳の長男が、トイレをぎりぎりまでガマンして、まき散らして汚してしまうことがあります。トイレの後「大丈夫だった?」と聞いても、汚したことを内緒にして「大丈夫」とウソを言います。自分なりに拭いたりするのですが、後で入った人が気付きます。正直に言わないで、ごまかしてしまうことが悩みです。
(4歳の男の子・11か月の男の子をもつママより)

うまくできたらほめることを重視する

回答:遠藤利彦さん

4歳から5歳になると、他の人に対する気遣いの結果、ウソをつくようになります。例えば、ママを悲しませたくないという理由でウソを言ったりします。
ですから、ウソをついたときに叱るより、うまくできたときに褒めることを大事にしてみましょう。そのうちに子どもも納得して、うまくできなかったことを素直に言えるようになると思います。

拭いてくれた行為には「ありがとう」の気持ちを

回答:柴田愛子さん

ママに知れると大変だと思ったのかどうかはわかりませんが、自分できれいにしようと掃除している、その行為は褒められていいことだと思います。そのときは「拭いてくれてありがとうね。一緒に拭こうね。」と言えばよいのではないでしょうか。

子どもの掃除が十分でなく、親が掃除しなおすことになるかもしれませんが、子どもが小さいころは、二度手間が基本です。子どものやりたい気持ちを大事にしてください。「ママがやるからいいのよ」と言ってもかまいませんが、落ち着いたときに「ありがとうね」と感謝の気持ちを伝えてフォローしておくといいと思います。


すくすくポイント
ちょっと気にかけたほうがいい 子どものウソ

子どものウソの多くは、心配しなくて大丈夫。でも、ちょっと気にかけたほうがいいウソもあります。

お金に関するウソ

4歳から5歳になると物欲が生まれます。お金をひろっても親に内緒にしたり、友達のものを勝手に持ってきて、ごまかすようなことも。

このようなウソをついたときは、「ウソをついているのはお見通しだよ」と、きぜんとした態度で伝えましょう。
「二度として欲しくない」という親の思いが何より大事です。言葉では理解できなくても、怒りや悲しみの感情が伝われば、子どもの心に残ります。

お金に関することは、後始末も大事です。友達のものは返しに行く、ひろったお金は交番に届けるなど、対処のしかたを教えましょう。

ひとに意地悪するようなウソ

友達をだましたり、いじめようとしてウソをつく子どもは、その子自身が意地悪をされている可能性もあるそうです。

40年にわたって保育施設で子どもを見つめてきた柴田愛子さんが、こんなエピソードを教えてくれました。

<クツがない!>

よく保育園で、靴を隠す子が話題になります。
靴を隠された子が「クツがない!」と騒ぐと、みんなが「いっしょに探そう」となって先生や子どもたちで探します。みんなが探し出すと、隠していた子が「あったよ!」と靴を出してきます。そうすると、みんなが喜ぶわけです。
これは「僕をみつけて」というメッセージだと思います。保育園の中で、自分の存在感が薄いように感じて、みんなの注目をあびたいと思ったのではないでしょうか。
「それウソだよね」と言ってもいいですが、それ以上にその子どもに対して声かけを多くする必要があると思います。そのウソはメッセージ性のあるウソなのです。
(柴田愛子さん)

<ポイント>

子どものウソには、大人へのメッセージが隠れていることも。頭ごなしに叱るのではなく、気持ちをくんであげましょう。

※記事の内容や専門家の肩書などは放送当時のものです