コミュニケーション能力はどう育つ?

すくすく子育て
2017年4月8日 放送

性格的にすぐ怖がったり、恥ずかしがってあいさつできなかったり。自己主張をしすぎて友達とトラブルになったり。
親はどんな風にサポートできるのか。子どものコミュニケーション能力について専門家と一緒に考えます。

すくすく子育て「コミュニケーション能力はどう育つ?」

専門家:
大日向雅美(恵泉女学園大学学長 発達心理学)
渡辺弥生(法政大学文学部心理学科 教授)

内向的なのは大きくなったら克服できる? 性格的なもので変わらない?

児童センターなどで、いつも一人で電車遊びをしていたり絵本を読んでいたりします。興味がありそうなおもちゃも友達が遊んでいるとだまって見ているだけ。自分からは言えないのかなぁと少し心配です。家の中でもママに「あそんで!」と言ってくることはほとんどありません。
内向的な性格が悪いとは思っていないのですが、それが「友達と遊べない」までいくと集団生活についていけるのか心配です。大きくなったら克服できるものなのか、性格的なもので変わらないのか、知りたいです。
(2歳4か月の男の子・4か月の女の子をもつママより)

2歳では一人で遊ぶのが普通です。良い面を見ていきましょう

回答:渡辺弥生さん

2歳、3歳で社会性が身についてくると思われがちなのですが、そうではありません。遊びの発達で考えると、2歳では一人で遊ぶのが普通の発達段階です。3歳、4歳になってから、だんだん友達に声をかけ始めていきます。ですので、全然心配ないと思います。

子どものことを「内向的だな」と思ってしまうと、それが子どもに伝わってしまいます。「優しく見守るタイプ」「慎重なところがある」など良い面を見ていけば、それが伝わり子どもの自信が育つと思います。

2歳というのは、子どもがいろいろなイメージを獲得していく時期でもあるので、遊びが単純だったら「新聞でもこんな遊びができるよ」など働きかけてイメージ遊びを増やしてあげるといいかもしれません。「お友達に“入れて”と言うと、一緒に遊べるかもよ」と教えてあげたりするのもいいと思います。

自己アピールすることだけがよいというわけではありません

回答:大日向雅美さん

まず、子どもが集中できるもの、楽しめるものがあるのは、とてもよいことなので大事にしてください。

次に、大きくなってからのことを心配されていますが、自分をアピールすることだけが社会人として評価されるとは限りません。
例えば、私が務めている女子大学で、早く就職の内定をもらってくる学生は意外に内気で話すことが苦手な人も多いんです。人事担当の方に伺ったら、グループ面接などで人を押しのけて話す人よりも、他の人が話しやすい雰囲気を作ることが魅力になるとのことでした。

性格を良い方向に解釈して育ててあげていただきたいなと思います。

これは性格なのでしょうか? 大きくなって変わるのでしょうか?

性格は、いろんな経験やなりたい自分によって育まれます

回答:大日向雅美さん

例えると、性格は円状になっていて中心には気質というものがあります。気質は生まれつきのもので、あまり変わりません。でも、友達とケンカしたり、親に働きかけられたりして、気質の周りに新しい、いろんな自分がつくられていきます。
最終的に「なりたい自分」ができて自己改造したくなるのは思春期なんです。人と話せない、でももっと人に伝えたいと思ったときに、一生懸命自分を変えていきます。そうやって生涯にわたって「気質」を中心として、その周りに円状に膨らませていくのが性格かなと思います。

対人関係は、いろんな人と関わることで学べます

回答:渡辺弥生さん

基本的に、対人関係やコミュニケーション能力はどんどん変わっていきます。いろんな人と関わることで学んでいけるので、心配ないと思います。


どうしたらお友達の気持ちを聞いてあげたり、自分を抑えたりできるようになりますか?

いつもお友達と嬉しそうに遊んでいますが、自分の遊びたいおもちゃを友達に使われると、思い通りにならずに大泣きします。「かしてあげたら?」と言っても「自分が今こうしたい」が抑えられないようです。家でも話したいことがあると、相手のことをおかまいなしに話し続けています。もうすぐ幼稚園に入るので心配です。
友達と遊ぶときに自分勝手と思われるのはかわいそうで、そうなるなら受け身になって話を聞く部分をのばして成長してくれたらと思っています。集団生活を楽しく過ごしてほしいなという思いがあります。
(3歳7か月の女の子・1歳3か月の男の子をもつママより)

うまくできないことを経験するために園に入る

回答:大日向雅美さん

「人の気持ちがわかる」というのは、心理学で「心の理論」と言います。自分が考えていることと、相手が考えていることは違うと理解することです。そこから相手に寄り添うことができるようになります。
このことがわかるのは、4歳を過ぎてからなんです。

子どもが楽しく話せることは素敵だと思いますが、親が予定や用事があるときに、じっくり聞いてあげるのは難しいですよね。そういう場合は「この時はママは聞けないのよ」と伝えて「今は無理なんだ」とわからせて、でも「この時はちゃんと聞くよ」と伝えてメリハリをつけるのが大事だと思います。

幼稚園での集団生活のことを心配されていますが、うまくできないことを経験するために園に入るので、今から心配しなくてもいいと思います。友達が聞いてくれないということもあるでしょうけど、そういう経験をしていくんだと思われたらいいかもしれません。

聞く力を育てるには、まず親がしっかり聞いてあげる

回答:渡辺弥生さん

相手の気持ちを理解させようと「〇〇ちゃんが泣いているのはどうしてだと思う?」「スコップ取られたからくやしいんだよ」などと聞いてみたら、実はあまり理解していないこともよくあると思います。だからこそ、そうやって相手の気持ちを理解するような機会をつくってあげてください。

聞く力を育てようと考えるなら、まずは親がちゃんと子どもの話を聞いてあげるが大事なことです。子どもはまだ「聞く」ということがわからないので、お母さんやお父さん自身がしっかり話を聞いてモデルを示してあげてください。


自分がされて嫌なことを他の子にしてしまう。親はどう接するべき?

友達と名前をおもしろおかしく呼び合って遊んでいることがあるのですが、ほんとうはそれが嫌で、家に帰ってきて泣いてしまったりします。つよい子には「やめて」と言えなくて、よわい子には同じように名前をからかったり。「それは嫌なことだよね」と言うのですけど、友達の前では同じことを繰り返してしまいます。親として、どう接していいのか悩んでいます。
(5歳6か月の男の子をもつママより)

「されたこと」と「したこと」は一緒ではない

回答:渡辺弥生さん

5歳、6歳ぐらいになると、他の人との比較ができるようになり、グループで遊ぶようになるので、どうしてもリーダーシップをとる子と、そうでない子がでてきます。

この段階では、自分がされたことと、自分がしたことは、一緒に考えることがなかなかできません。自分がされたときと、自分がしたときは違うという感じです。なので「自分がされて嫌なことをしないように」という言葉はあまり効果がない言葉になります。
「されたこと」と「したこと」を区別して、それぞれ「こうしたほうがよかったね」「今度はこうしてみたらどうだろう」というように話をしていくといいかもしれません。

子どもが自分の気持ちを言葉にできるように

回答:大日向雅美さん

子どもには残酷な面もあります。つよいものに巻かれて、よわいものをいじめていく、動物本能そのままという部分がまだあるんです。でも、それを放置せずに減らしていくのがしつけになります。

注意してほしいのは「友達にされて嫌なことはしないのよ」といっても「嫌なことって何?」となることです。大人が「嫌なこと」と考えても、子どもはそう思っていないことがあります。
なので「あのときどう思ったの?」と聞いて、子どもが自分の気持ちを最大限、言葉にできるように働きかけましょう。最後に「あなたがそう思うのだったら、〇〇ちゃんも嫌だったのかな」というように、最終的な結論は子どもに持たせてください。

例えば、子どもがおもちゃの取り合いで友達を叩いてしまったとき、「自分が叩かれたら嫌でしょ」と言う前に、「叩いてしまうほど、おもちゃが取られたのが嫌だったの?」と聞いてみましょう。大人が先回りして「嫌なこと」を決める前に、子どもが自分の言葉で話ができるようにするといいと思います。

きちんと言葉にできるとは限りませんが、やがて「くやしかった」「大事なおもちゃだったから」と言えるようになります。そこでやっと「同じことをお友達にしないようにしましょう」と、接点がもてるようになります。

いつも子どもに寄り添えるとは限らないので、ときには「ママはいけないと思う」などこちらの気持ちを出してもいいんです。正解と方法はひとつではないので、複雑なコミュニケーションをくり返すことも大事です。


ボールが頭にくっついてしまい娘が泣いた。私もみんなと一緒に笑ったが どうすればよかった?

キッズスペースで、お友達みんながボールを投げて遊んでいたら、ボールがくっつくタイプのボールで、たまたま娘の頭にくっついてしまいました。それが面白くて、お友達も、お母さんたちも、私もみんなで笑っていましたが、本人はすごく恥ずかしかったようで、しくしく泣いてしまいました。どういう対応をしたらよかったのでしょうか?
(2歳4か月の女の子をもつママより)

あとで「ごめんね」とフォローしましょう

回答:大日向雅美さん

親や大人から見ると「かわいい」と思えて笑うけど、本人はその場の雰囲気についていけなくて、一人取り残されてしまった、恥ずかしかった、と感じるのはよくあることです。
後で「ごめんね」「悲しかった?」「可愛かったから笑ってしまったのよ」などとフォローすれば問題ないとおもいます。

うまく気分が切り替えられるように

回答:渡辺弥生さん

2歳ぐらいの子どもからすると、周りがどっと笑うことは結構怖いんです。それで、思わず泣いてしまうことはあります。そんな場合は、「びっくりしたね」など言いながら、泣き止まなければ「むこうのおもちゃで遊ぼう」など、うまく気分を切り替えるような状況をつくってあげるのもいいかもしれません。


すくすくポイント
思いやりを子どもに伝える絵本を紹介!

思いやりを持った人になってほしい。でも、そもそも思いやりって、どういうことなんでしょう?

渡辺弥生先生によると「お互い違う人間だからこそ自分の伝えたいことを伝えるように努力したり、相手が表現しようとしていることを自分が理解できるようにする。そういうことを積み重ねることが思いやり。」とのこと。

でも、思いやりを子どもにどう伝えたらいいのか。そんなとき絵本が役に立つと言います。
絵本を読んで、登場人物はどんな気持ちかな? 自分だったらどうかな? など親子で会話をしてみましょう。

いもうとのにゅういん


作 筒井頼子
絵 林明子

主人公のあさえが幼稚園から帰ると妹がぐったり。盲腸だとわかり入院することになります。
いたずらっ子な妹だけど、いないとなんだか寂しい。お見舞いに行くことになり、何を持っていったら妹が喜ぶのか考えます。
あさえがぐっと成長する瞬間が描かれています。

ほんとはちがうよ


作・絵 かさいまり

ハリーとマットは大の仲良し。だけどある日ハリーは旅に出たくなります。
そんなハリーの気持ちを知ったマットは、一人になる寂しさから心とは別のことばかりを言うようになってしまいます。
「ほんとはちがうよ いっしょにあそびたいのに」
人の気持ちは複雑なもの・・・。そんなことを学べる絵本です。

くれよんのくろくん


作・絵 なかやみわ

くれよんのくろくんは、他の色と一緒にまざって絵を描くことができません。
仲間外れにされてしまいますが、その後シャープペンシルのお兄さんのおかげでみんなと仲良くなるというお話。仲間はずれにしてしまう気もち、される気もち、どちらも考えることができます。

※記事の内容や専門家の肩書などは放送当時のものです