シングルの子育て

すくすく子育て
2017年3月4日 放送

ひとりで子育てをしているパパとママの悩み。「ほんとうに仕事と子育てを両立できる?」「もうひとりの親のこと、どう伝えたらいいの?」「パパとママの二人がいなくても子どもの育ちは大丈夫?」
今回は「シングルの子育て」について、一緒に考えます!

すくすく子育て「シングルの子育て」

専門家:
赤石千衣子(NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ 理事長)
大豆生田啓友(玉川大学大学院教授 乳幼児教育学)

ひとりで子育てする不安。ほんとうに大丈夫?

半年前に離婚して、ひとりで子どもを育てています。あんよも始まり元気いっぱいです。今は一番目が離せないので、家事に育児に忙しく過ごしています。もうすぐ仕事にも復帰する予定です。
休む暇もない日々ですが、実家の両親を頼るのは抵抗があります。自分の子どもだから自分で育てたいという気持ちもあり、離婚したことについて口論になったりするので、なるべく自分でやりたいと思っています。
でも、自分が風邪をひいて熱を出したときに、子どもの世話をする余裕がありませんでした。今後、大病を患うかもしれないと考えると、ひとりで育てていくのはかなり難しいことなのでしょうか?
(1歳2か月の女の子をもつママより)

大変なことを乗り越えるために“ちゃっかり派”になろう

回答:赤石千衣子さん

離婚したことで後ろめたい気持ちになるのはわかります。でも、結婚を続けていたらもっと大変な状況になったかもしれないから、離婚という決断をしたと思うんです。すごく勇気が必要だったと思し、がんばったと思うんです。だから、自分を責める必要はないし、堂々としていたらいい。
仕事が始まると、いろいろ大変なことがもっともっと押し寄せてきます。ここはもう、いきさつはともかく「いろんな人の手を借りちゃおう」と考えて、“ちゃっかり派”になってほしいなと思います。

元気に子育てするために、助けてくれる人のつながりを

回答:大豆生田啓友さん

いろんな研究でわかっているのが、何が子育てで大事かというと、親が元気なことなんです。毎日を楽しく生き生きとしてることが一番いいんです。ひとりで頑張りすぎちゃうと、どこかで「あぁ苦しい」となってしまうから、お友達や公共機関など、たくさん助けてくれる人のつながりをつくっておくことが、まず自分にとって大事だと思います。そして、それは親以外の大人の中で育つという意味で、子どもにとってもとても大事なことなんです。

ママひとりでパパの役割をどうやって果たせばいいの?

無理せず自分らしい関わり方で、自分ができないことは環境を与えよう

回答:大豆生田啓友さん

心理学的には、よく母性と父性という話をするんですね。母性というのは「あたたかく包み込む」、父性というのは「指示する、厳しく関わる」という役割です。でも、女性だから母性的、男性だから父性的だとは限らないんですね。
みんないろんな面を持ち合わせていますし、自分が子どもと関わるときは「自分らしく」しか出せないんです。だから「自分がパパみたいにできないと」と悩んでも難しいと思いますし、あまり考え過ぎないほうがいいと思います。
例えば、子どもが大きくなって「サッカーをやりたい」となったとき、自分ができるなら一緒にやるのもいいし、「サッカーチームでやってみる?」というように応援する役割でもいいのかなと思います。


パパのこと、どう伝えたらいい?

3年前に未婚の母となりました。パパを知らない子どもですが、3歳を過ぎてから人形をパパとママに見立てておままごと遊びをするようになりました。パパがいて、ママがいて、子どもがいる、そういう関係性を理解しているようです。保育園やテレビアニメ、絵本で覚えてきたのかなと思います。
パパという存在を意識し始めたわが子へ、どのようにパパのことを伝えたらいいのでしょうか?
子どもが傷つかないようなウソの話を教えるべきなのか、きちんと理由を説明して本当のことを伝えたらいいのか、すごく悩んでいます。
(3歳2か月の女の子をもつママより)

子どもがわかる範囲で本当のことを伝えて

回答:赤石千衣子さん

私も結婚せずに子どもを産んだシングルマザーです。やはり3歳4歳になると「うちはママと二人だけど、世の中にはパパという人がいるらしい」ということがわかってきて、私に聞いてきたことがありました。そのときに「パパはいるよ」と伝えました。
子どもは大人になっていくわけで、本当のことがだんだんわかってきますから、ママがウソを言っていたと思うと、裏切られた気持ちになるのではないでしょうか。
ですので、シンプルに「ママとパパは話し合って離れて暮らすことにしたけど、あなたにはパパはいるんだよ」ということ、「あなたが生まれたことをみんなが喜んだよ」ということを伝えてあげてほしいなと思います。
死別じゃないのに「お星さまになった」と伝えて、後で「お墓参りに行きたい」と言われて困ってしまったお母さんもいました。子どもがわかる範囲で本当のことを伝えた方がいいと思います。

友達にパパのことを聞かれて子どもが困っていたら、親はどう接すればいい?

「相談できる」信頼関係をつくる

回答:大豆生田啓友さん

ある年齢になってくると、お友達同士でそういうことが話題になったりするから気になるんですよね。そのことがあったときにママ・パパに相談できるということが、すごく大事なことです。
そのときに、どう丁寧に一緒に考えたかが大事です。子どもが困ったことを相談してきたとき「どういうふうに言ったらいいだろう」「例えば、こう言えばどうかな?」「パパは別の所に住んでいるんだよ、と言うとうまく伝わるかな?」というように丁寧に向き合っていくと、ちゃんとママに相談すればいい解決が得られるという、信頼になると思うんですね。丁寧に、一人前の相手として、一緒に考えていく姿勢が大事かなと思います。

おままごと遊びでパパの話をしているようなとき、母親はどう接したらいい?

一緒に遊びの中に入っていこう

回答:大豆生田啓友さん

子どもって、現実と違うことをやるんですね。本人にとっては、もしかして希望かもしれないし、希望ではなくても自分とは違う何か、ズレのあることを空想の世界で遊ぶんですね。自分なりにいろんな葛藤だとかを埋め合わせて、乗り越えていくことでもあるんです。だから「それは違うから」と止めたりしないことが大事です。親も一緒になって遊びの中に入っていけば、子どもは自分の思い描いている世界に一緒になって入ってくれるんだと、心に残ると思います。


将来幸せな家庭を築いてほしい。そのために親ができることは?

3歳の息子と二人で暮らしています。シングルファーザーになってもうすぐ3年。掃除や洗濯はてきぱきとこなせますが、どうしても食事の支度が苦手です。
私も母子家庭で、自分が子どもの頃、親子関係がよくなくてあまり食卓を囲んでいなかったんです。嫌だったときの親が目の前にいて、その顔をみて食べるのが嫌いだったんです。それもあって、食卓が嫌いになったんです。
離婚家庭の子どもは将来離婚するとよく聞きます。子は親に似るというし、子どもは親の背中を見て育つので、できるだけそういうところを見せないようにしていこうと、子どものために思っています。
将来、子どもには幸せな家庭を築いてほしいと思っています。そのために親ができることは何でしょうか?
(3歳9か月の男の子のパパ)

大事に思う気持ちがあれば、子どもは幸せに育ちます

回答:大豆生田啓友さん

「離婚家庭の子どもは将来離婚する」ということが言われますが、自分の子どもがそうなるかどうかはわかりません。だから、いい方にとったほうがいいと思うんです。「私の子どもは大丈夫」「私も幸せだから大丈夫」そう思ったほうが結局いいことが起こってくると思うんですね。
忙しくて大変な側面はあるけれども「自分が子どものことを大事に育てようと思えば、子どもは当然幸せに育つんだ」ということだし、実際そうなんです。

子どもと過ごす今を大切に

回答:赤石千衣子さん

子どもといる一瞬一瞬を楽しく過ごすということが、まず大切です。先のことがわからなくて心配になりますけど、それよりも今を大切にしてください。よく頑張られていると思いますよ。


子どもが成長したら、子ども部屋が必要?

今は1Kの間取りに二人で住んでいるのですが、これから大きくなっていくにつれて、子どもの部屋は必要になるのでしょうか? 必要ならいつから用意したらいいのでしょうか?
(1歳2か月の女の子をもつママより)

ちょっとした工夫でも、自分の空間がつくれます

回答:大豆生田啓友さん

やはり、小学校高学年から中学に入る頃かなと思います。
私の母は、勉強机の上からカーテンを吊ってくれて、狭いけれど仕切ったり広げたりできるような空間をつくってくれて、とてもありがたかったです。
プライベートスペースは、ある程度大きくなると欲しくなってくるので、そのときちょっと仕切るだけでも、子どもの空間が作れます。
ちょっとした工夫でできることもあると思います。


叱ったあと、子どもへのフォローをどうしたらいい?

お父さんとお母さんがそろっていれば、片方が怒ったときに、もう片方がフォローすることができると思いますが、ひとりだとどうしても叱りっぱなしになってしまい、子どもの心のよりどころがなくなるんじゃないかと心配です。叱ったあと、子どもへのフォローをどうしたらいいでしょうか?

叱り過ぎたら、あやまって区切りを

回答:赤石千衣子さん

あまり自分がやっていることが足りてないとか、うちだけ大変と思わないほうがいいと思います。夫婦がいても、そんなにうまくフォローしあえているかどうか、分かりませんよね。
やっぱり、子どもを叱っちゃうことは誰でもありますよね。叱り過ぎたなと思ったときは、私は「ちょっとさっきはごめんね」というようにあやまっていました。それを言うと区切りがついて次のことができるかなと思います。
ぜひ、いろいろチャレンジしてみてください。


すくすくポイント
シングル子育てに役立つ、オススメの本

実用的な情報はもちろん、共感できたり、勇気づけられたり、子どもとの暮らしを後押ししてくれる言葉に出会えます。落ち込んだとき、迷ったとき、先輩や応援してくれている人からの情報に手を伸ばしてみてください。

シングルマザー 365日サポートブック

編著 NPO法人 しんぐるまざあず・ふぉーらむ

シングル子育てをトータルでサポートしてくれる本です。法律や仕事のこと、育児や心の悩みなど、シングル子育てに役立つあらゆる情報を先輩シングルママと専門家がわかりやすく解説しています。
Q&A方式でまとめられているので、知りたい情報をすぐにチェックすることができます。

ひとり親でも子どもは健全に育ちます―シングルのための幸せ子育てアドバイス

著 佐々木正美

子どもの心をちゃんと育てられるのか? そんな不安を抱いたときに読んでもらいたい一冊です。
著者の佐々木正美さんは、児童精神科医として多くの親子に寄り添ってきました。
これまでの経験や調査結果をもとに、安心して子育てをするための秘けつを教えてくれます。

ココ、きみのせいじゃない はなれてくらすことになるママとパパと子どものための絵本

著 ヴィッキー・ランスキー
訳 中川 雅子
絵 ジェーン・プリンス

親子で読める、離婚をテーマにした絵本です。
パパと離れて暮すことになった、ココの揺れる気持ちが描かれています。
離婚のことを子どもにどう伝えたらいいか悩んだときの参考になります。

Q&A 親の離婚と子どもの気持ち よりよい家族関係を築くためのヒント

編著 NPO法人 Wink

離婚家庭に育った子どもたちの本音がつづられています。
「こんなとき、子どもはどういう気持ち?」など、様々な場面での子どもの心を知ることができます。

シングルマザー、家を買う

著 吉田可奈
イラスト ワタナベチヒロ

笑いと勇気を与えてくれるエッセイです。
年収200万円に届かないフリーライターが、突然ふたりの幼い子どものシングルマザーに。
様々な困難に直面しても、まわりにサポートを求めて乗り越えていきます。
悩むより、行動してみようと思わせてくれる本です。

※記事の内容や専門家の肩書などは放送当時のものです