楽しい? 大変? ふたごの子育て

すくすく子育て
2017年1月21日 放送

ふたごの子育ては、授乳するのも赤ちゃんが泣くのも2倍! とっても大変です。
今回は、ふたごの子育てに関するギモンに答えます。

専門家:
安藤寿康(慶應義塾大学教授 ふたご行動発達研究センター長)
布施晴美(十文字学園女子大学教授 日本多胎支援協会 理事)

ふたごのお風呂はどのように入れたらいい?

我が家は一卵性のふたごの女の子です。8か月になりました。
今は私の実家で暮らしており、子どものお世話は母が手伝ってくれています。しかし、もう少しで実家を出るので、母のサポートは無くなります。そうなったとき、1人でどのように2人をお風呂に入れたらいいのかが心配です。
母に手伝ってもらうときは、私が1人をお風呂に入れている間に、母にもう1人の着替えをお願いしています。しかしそれでも、待たせている方が泣いてしまうと、とても焦ります。他のふたごのママたちが、どうやってお風呂に入れているのか知りたいです。
(8か月のふたごの女の子をもつママより)

他のふたごママのお風呂の入れ方

<10か月のふたごの男の子のママの場合>
実家が遠く、親に手伝ってもらうことはできないので、台所にベビーバスを置いて入れています。
1人ずつ順番に入れて、待っている方はおもちゃと一緒にバウンサーに座ってもらっています。
もう10か月なので、ベビーバスだと半身浴のようにはなってしまうのですが、10分~15分でお風呂と着替えを終わらせることができます。片方が待つ時間も短く済むので、この方法で素早く入れています。

<4歳の女の子と1歳のふたごの男の子のママの場合>
我が家は基本的にシャワーです。また、上の娘がいるので手伝ってもらっています。
1人に私がシャワーを浴びせる間、上の子にもう1人を見てもらっています。そのため、上の子がいる昼間に済ませるようにしています。
上の子は、息子たちに危ないことは危ないと言ってくれますし、お風呂のときだけでなく食事を作るときも面倒を見てくれるので助かっています。

「お風呂は夜に入れる」ということにとらわれず、“可能なタイミング”に“可能な方法”で

回答:布施晴美さん

お風呂は必ず夜に入らなければならないものではありません。夜に限らず、余裕のある時間に入れましょう。
私もふたごの息子がいます。子どもが小さい頃は、昼間の「今だったらいいかな?」というタイミングを見計らって、1人ずつ入れるようにしていました。待っている方は、サークルの中に入れておいたり、バウンサーを脱衣所まで持っていき、そこに座ってもらっていました。
また、寒い時期は毎日お風呂に入れるのではなく、1日交代で入れたりもしていました。その場合、お風呂に入れない方の子は、首や脇の下、おしりなどはキレイに拭いて、残りの部分は蒸しタオルでホカホカと温めたり、頭を洗ったりしていました。

育児書にとらわれず、独自の子育てのしかたを編み出して

回答:安藤寿康さん

ふたごならではのお世話の悩みを抱えている親子は多いですが、基本的に育児書は単胎(※1)向けに書かれています。そのため、多胎(※2)でその育児方法を参考にすることは、基本的に難しいです。
育児書にとらわれずに、それぞれの親子に合った独自の子育てのしかたを編み出していくといいですよ。

※1単胎⋯ひとりで生まれる子
※2多胎⋯ふたご、3つ子以上


片方ばかりだっこすることになってしまう。愛情の偏りは大丈夫?

甘えん坊でよく泣く子のほうばかりをだっこしてしまうことが気がかりです。
泣いたらだっこ、という感じでどうしてもだっこの回数が偏ってしまいます。もう1人の娘がやきもちをやいたり、今後心に影響が出ないか心配です。
(8か月のふたごの女の子をもつママより)

1人を授乳しているときに、もう1人が泣き始めてしまったとき、すぐにだっこしてあげられないので心配です。おっぱいあげてミルクあげてとしていると、長いときは30分近く待たせてしまうこともあります。そうすると、待たせていた方が、愛情不足になり将来心身に影響がでないか不安です。
(10か月のふたごの男の子をもつママより)

だっこも「量より質」が大切

回答:布施晴美さん

親としてはどちらの子も大切だし、かわいいんですよね。だからこそ、平等にしてあげたいと心配になるのだと思います。でも、だっこも“量よりも質”が大切です。
「大事だ」「かわいい」という質的なものがあれば、「だっこする回数や時間」という量的なものは、あまり気にしなくて大丈夫です。
もし、片方の子の方がだっこが少ないと感じる場合には、もう1人の子が寝ている間などタイミングを見つけて、ギュッとだっこする時間を作ってあげてください。そういったことで愛情を伝えてあげれば、子どもも「ママは私のこと、大事でかわいいと思ってくれているんだな」と感じることができます。

ふたごであってもそれぞれ個性がある。“平等=全く同じに接する”ではない。

回答:安藤寿康さん

成長したふたごの方からは、「“平等に”育てて欲しいというのは、“同じように”育てて欲しいというわけじゃない」という話を聞きます。というのも、一卵性双生児であっても、“どっちが強い”“どっちが甘えん坊”など、子どものときからひとりひとり違う個性を持っています。それを無視して全く機械的に同じに接するというのが“平等”なのではありません。それぞれの個性に合わせた愛情表現のしかたを考えていってあげてください。すると、子どもが大人になったときに「ちゃんとわかってたよ」というふうに言ってくれるという話を聞きますよ。


ふたりを同時に見るのは大変で、外出時は周囲にとても気を使う。どうしたらいい?

我が家は男の子と女の子の二卵性のふたごです。今は3歳になりますが、1歳半から2歳くらいの頃につらい経験があり、その頃が一番大変でした。
2人を連れて公園に行ったとき、娘を見ている間に息子が他の子どもとトラブルを起こしてしまったのです。私は娘と砂場にいて、息子は滑り台にいたのですが、そこで他の子ともめたようで相手の子が泣き出してしまいました。私は息子が何かやってしまったんだなと思い、相手の親子に息子とともに謝りに行ったのですが、相手のママに、「近づかないで。うちの子怖がっているから。2人を見られないんだったら家にいればいいのに。」と言われてしまいました。
それ以来、誰もいない朝の早い時間に公園に行き、人が来たら帰るという生活をしていました。息子が知らない子にもすぐ手を出してしまうことも怖く、そのようにしました。
ふたごを連れてのお出かけは、やはり周囲に気を使います。
(3歳のふたごの男の子と女の子をもつママより)

ひとりで頑張ろうとせず、助けを求めて

回答:布施晴美さん

朝早くに公園に行ったりと、本当に頑張られたなと思います。
「2人を見られないんだったら連れてこないで」という話はたまに聞くことがあります。しかし、ふたごのママというのは、2人を見られないということですごく頑張ろうとし、遠慮をして、周りにも気を使っています。そのため、「私が2人を見られないから・・・」と外に出ていくことを諦めてしまいがちです。しかしそうではなく、頑張って外に出て行ってみてください。
子育て支援センターや広場に出向き、そこでヘルプを求めていいんです。「1人でなんでも頑張ろう」ではなく、助けを求めてみてください。そういった場所で「ふたごなんです」と話せば、「ふたごのお母さんだから、今あっちのお子さんに手がかかって、こっちの子は見られないのね」と、理解し手助けしてくれる人もいるはずです。

多胎児支援サークルなども活用して

回答:安藤寿康さん

ふたごの子育ての、基本的な悩みは共通しています。そして、ふたごの子育てというのは長い歴史があり、先輩ママ・パパたちによってノウハウは蓄積されています。ノウハウの共有のために、多胎児支援サークルやインターネットなどでグループを作っているところもあります。そういったところに相談すれば、「それだったらこういうふうに」と教えてくれるルートがあります。
しかし、私たちの調査によると、多胎支援サークルにつながっているふたご家庭というのは、3割ほどしかいません。地域のコミュニティにもそういったサークルがあるので、ぜひ参加してみてください。そういったところで情報を積極的に集めることで、仲間が増えたり、悩みを解消するヒントを得ることができますよ。


ふたごだから同じ動きをするの?

ふたごは2人で同じ動きをすることがあり、不思議です。例えば、同時に泣いたときに泣き声がシンクロしたり、寝相が同じだったりします。赤ちゃんのときも大きくなってからも、気が付いたら同じ格好で寝ているというふたごは多いそうです。
これらはどうして起こるのでしょうか。

理由はさまざま。一卵性双生児は動きが似る可能性は高い。

回答:安藤寿康さん

偶然ということもありますし、それぞれの場合によって理由が違うでしょう。
ポイントとなるのは、ふたごが一卵性なのか二卵性なのかということです。この2つは遺伝的に全く違います。
一卵性双生児の場合、寝相や大人になったときのちょっとしたクセなどが似ることがあります。それはおそらく、遺伝的に筋肉や骨格の作りが同じであったり、神経系の働きが同じであったりすることから作り出されるクセが似ているためです。
しかし一緒に泣き出すことは、「感情伝染」というものがあるため、ふたごでなくても起こります。特にふたごで見られやすいというのは、やはり似ていることが理由になっているのかもしれません。
いずれにしろ、ふたごが一緒にそういうことをする姿を見ることで、親は「ふたごは大変さも2倍だけど、かわいさも2倍」という気持ちがわくのだと思います。


ふたごだけで通じ合う言葉で話すことで、言葉の発達が遅くなる?

よく2人で目を合わせてニコニコしていたり、気づくと同じオモチャでくっついて遊んでいたりしているので、2人だけのつながりや絆があるのかなと思います。私にはわからない言葉で話している感じです。うらやましいというか、混ぜて欲しいなと思ったりします。
しかし、ふたご同士の会話で話が通じてしまうので、言葉の発達が遅くなるという話を聞き、楽しそうでいいなと思う一方で心配もしています。
(10か月のふたごの男の子をもつママより)

ふたごの赤ちゃん同士で話している言葉

これは、「ツインランゲージ」や「ツイントーク」と呼ばれ、理由や意味はハッキリわかっていません。
「1人が出す声をもう1人がマネをし、その繰り返しを楽しんでいる」という説があり、成長するにつれて見られなくなるそうです。

そういう傾向はあるが、心配はない程度のもの

回答:安藤寿康さん

ふたごは単胎児に比べ言語発達が少し遅くなるということは、世界中で言われています。
その理由は、つい忘れられがちなことですが、ふたごは基本的に単胎児よりも早産になることが多いからです。出生後の月齢で考えると発達は遅い面があります。
また、「ツインランゲージ」によって若干遅れるという面もあります。これは特に男の子のふたごに顕著に表れます。
しかし、「ふたごは言語発達が遅れる!」と強く言われるほど、単胎児と比べて大きく差があるわけではありません。だいたい小学校に上がる頃までには追いつきますので、心配はありません。

遅れを心配するより、子どもが話す言葉を楽しんで

回答:布施晴美さん

「これからどんなことを言うかな」というのは本当に楽しみなことで、私もメモに残していました。「コレはコレを言っている」「2人ともコレをこういう風に表現しているんだ」など、育児日記などに記録していたんです。これらを後から見直すととても楽しいので、言語発達の遅れを心配するより、「何をしゃべったかな」ということに注目し、ふたごならではの表現を記録に残すなどして楽しんでください。


ふたごは遺伝すると聞きましたが、本当なのでしょうか。

ふたごは遺伝すると聞きましたが、本当なのでしょうか。
(4歳の男の子のママより)

一卵性は遺伝しないが、二卵性は遺伝の可能性もある

回答:安藤寿康さん

一卵性双生児というのは、世界中どこを見ても出産の割合は同じです。そのため一卵性の場合は、近い親族にふたごがいることは全くの偶然です。
一方、二卵性双生児というのは、民族によって生まれる割合が違います、これは基本的に排卵のメカニズムに影響があり、遺伝的な影響もあると言われています。そのため、二卵性双生児の場合、親族の中に二卵性双生児がいる確率が多いというのはデータでも見られます。


すくすくポイント
一卵性のふたごと二卵性のふたごの違い

一卵性と二卵性の違い

<一卵性のふたご>

一卵性は、もともと1つの受精卵が2つに分かれて発育したものです。2つの受精卵の遺伝子はほぼ100%同じなため、性別も血液型も同じです。つまり、遺伝子的には同一人物なのです。

<二卵性のふたご>

二卵性は、2つの別々の受精卵が同時に子宮の中で発育したものです。遺伝子は50%ほど同じで、性別や血液型が違う場合もあります。同時に生まれた兄弟とも言えるんです。

一卵性と二卵性の区別のしかた

一卵性と二卵性の区別は、生まれた後にDNA検査で調べないと正確にはわかりません。そのため、一卵性だと思っていたのに二卵性だった、ということもよくあります。
一卵性と二卵性を間違える理由は、生まれたときの胎盤の数です。
一卵性の場合、胎盤は2人で1つのこともあれば、2つのこともあります。二卵性の場合は必ず胎盤は2つですが、くっついて出てきて1つに見えることもあります。そのため、胎盤の数だけでは判断ができないのです。

ふたごが生まれる確率

一卵性のふたごが生まれる確率は、世界中でほぼ同じです。1000回の出産で、4組ほどの割合で生まれます。二卵性のふたごが生まれる割合は民族によって違い、日本ではもともとは少なかったです。しかし最近、高齢出産や不妊治療の影響で増えており、今は一卵性よりも多く生まれています。

※記事の内容や専門家の肩書などは放送当時のものです