きょうだいの子育て

すくすく子育て
2016年11月26日 放送

「きょうだいゲンカはどうやって対処したらいい?」「いつも下の子が後回しになってしまう。下の子の心に影響はない?」など、きょうだいの子育てに関するさまざまな悩みやギモンに答えます。

専門家:
汐見稔幸(白梅学園大学学長 教育学)
遠藤利彦(東京大学大学院教授 発達心理学)

今回のテーマについて

きょうだいで一緒に楽しんだ経験が大切

きょうだいはケンカをしょっちゅうしていても、楽しいことを一緒にやったという経験がどれだけあるかによって、仲の良さが変わってきます。
きょうだいが一緒に楽しんだという経験を、できるだけ増やしてあげてください。
(汐見稔幸さん)

子どもそれぞれの個性にあったサポートを

きょうだいがいつも仲良く一緒にいるというのは理想ですが、子どもは一人一人個性的です。それぞれの個性に応じてうまくすみ分けて行けるようにサポートしてあげましょう。
家族の中で心地のいい役割や、居場所を見つけられるように促していくことが大切です。
(遠藤利彦さん)


ケンカの仲裁はしたほうがいい?

我が家は年子の姉妹です。年齢が近いせいか、毎日ケンカが絶えません。
私はケンカ両成敗だと言われてきたので、どちらの味方もせずに、仲裁はしないで本人たちに解決させたいと考えています。
しかし見守っていると、下の子のほうが活発で、いつも上の子のほうが泣かされていて、気になっています。
上の子は妹に、見ていたタブレットを取り上げられたり、髪を引っ張られたりしています。
見ていると、上の子のほうが我慢しているようです。
私自身も、下の子のほうはまだコミュニケーションが取れず、泣くと手が付けられなくなってしまうので、コミュニケーションの取れる上の子に我慢してもらった方が助かってしまうところがあります。
もう少し“お姉ちゃんだから”という言葉を使って、下の子を怒ったほうがいいのでしょうか。
(4歳3か月と2歳8か月の女の子をもつママより)

無理にケンカをとめずに、ルールや基準を提案して、子どもの気持ちを落ち着かせる

回答:遠藤利彦さん

きょうだいゲンカは発生してしまうものです。
子どもは、ケンカの中でお互い言いたいことを言い合って、その中で気持ちの折り合いを探っているところがあります。
ケンカを通して学んでいることもたくさんあるのです。
そういった意味では、いきなり無理にケンカを止めると、気持ちの折り合いがつかず、かえってしこりが残るということもあります。

ただ、お子さんは、2歳~4歳なので、ルールや基準を徐々に理解できていく年頃です。
「こういうときはこうしようね?」というルールを提案して、それを守らないときなどはダメとはっきり伝えましょう。

なかなか難しいことではありますが、このようにして2人の気持ちが落ち着いていくように、はかっていくのが基本です。

成敗するのではなく、言葉のコミュニケーションを補ってあげる

回答:汐見稔幸さん

小さなケンカなら仲裁をしなくてもいいですが、これ以上続けるとひどいケンカになるな、というときには介入してあげましょう。

この年頃の場合、言葉でコミュニケーションが十分にできないからケンカになっている面があります。
そのため、コミュニケーションを手伝ってあげることが親の務めです。

もうこれ以上ケンカを続けさせてはいけないと思ったときには、「いいかげんにしなさい」「お姉ちゃんなんとかしなさい」などと言うのではなく、お互いの言い分を伝えるやりとりを手伝ってあげましょう。
そのようにすれば、きょうだい関係にそれほどしこりを残さずに済みます。

仲裁のしかた

ケンカの仲裁は、「どちらが悪い」と成敗するのではなく、親が間に入り、お互いの言い分を分かりやすく伝えてあげることが有効です。

<例>
姉妹のケンカの場合
姉の言い分を妹に「お姉ちゃんはこう言っているよ」と伝える。
次に妹の言い分を姉に「でも妹はこうしたいんだって」と伝える。
また今度は、姉の言い分を妹に「でもやっぱりイヤなんだって」と伝える。

このように言葉の伝達を繰り返すとことで、子どもはコミュニケーションのしかたを学び、徐々に冷静になることもあります。


上の子優先で下の子が後回しになっても大丈夫?

我が家には4歳の息子と、4か月の娘がいます。
息子はお兄ちゃんになったばかりで、まだまだ私に甘えたいようです。私が下の子の相手をしていると、ヤキモチをやいてスネてしまいます。
2人目の妊娠がわかり母子手帳を取りに行ったときに、助産師さんに上の子メインで見ていったほうがいいと言われました。また、まわりのママたちにも、上の子を優先したほうがうまくいくと言われました。
下の子のことも気になりますが、できるだけ上の子の甘えを受け止めてあげたいと考えています。
しかし、下の子が放っておかれてしまう状態になることもあり、このままでいいのか不安に思っています。この前も、下の子におっぱいをあげているときに、上の子が「どいて!」と怒り、ちょっと待ってと言っても「待てない!」とさらに怒ってしまったので、急いで下の子へのおっぱいを終わりにして、上の子の要求に応えました。
上の子を優先することで、この先、下の子が、情緒が乏しい子になったり、愛情不足を感じたりしないか心配です。
上の子優先で下の子がいつも後回しでいいのでしょうか。
(4歳の男の子と4か月の女の子をもつママより)

下の子の発信するシグナルに、きちんと応えることが優先

回答:遠藤利彦さん

“上の子を優先した方がいい”というのは、どうしても小さい年齢の下の子に手がかかり、上の子に意識が回らなくなるということを注意するための、極端な言い方です。

0~2歳という下の子の年齢のころは、シグナルを発信したときにちゃんと親に応答してもらえるかどうかで、しっかり育っていくところがあります。
そういう意味からすると、上の子を優先して下の子を後回しにするという考え方は基本的にはおかしいです。

下の子が何かシグナルを発信してきたときには、できるだけそれに応えてあげてください。
下の子は頑張って「こっちを見て」と色々な発信をしています。
それにちゃんと応えてあげることはとても大切なことです。

回答:汐見稔幸さん

上の子がヤキモチをやく場合には、「今これをやってるからごめんね。終わったらちゃんと○○ちゃんのところに行くからね」と、「ガマンさせてごめんね」ということを上の子に伝えてあげてください。
すると上の子も、その瞬間はとても嫉妬心がありますが、ちょっとガマンすれば、必ずママやパパが来てくれるとわかり、ある程度ガマンができるようになります。

今回は上の子はすでに4歳ということなので、おそらくこれまでに親子間での信頼関係ができあがっています。
上の子は、下の子が生まれて一時的に混乱しているところはあるかもしれませんが、子どもがフラストレーションを経験するというのは、発達的には悪いことばかりではありません。
適度なフラストレーションを感じるなかで、どうやったら自分の気持ちを落ちつけられるのだろうと、子どもなりに、解消のしかたを見つけ始める時期です。

フラストレーションを自分で解消する“心のたくましさ”を身につけるいい機会だという風に、見方を変えてみてください。


上の子がガマンしすぎているけれど大丈夫?

上の子が2歳のころに、第2子を妊娠しました。
娘は私のお腹がどんどん大きくなっていくのを見て、お姉ちゃんの自覚が出来たようで、何もかも下の子優先で、私は譲るよと言っています。
しかしそれは本心ではないと思うので、内心はすごくストレスをためているのではないかと思っています。どうしていけばいいでしょうか。
(4歳の女の子と1歳4か月の女の子をもつママより)

上の子の成長を肯定的にとらえて

回答:遠藤利彦さん

上の子はお姉ちゃんとして自覚ができたという捉え方で大丈夫です。
無理にガマンしてため込んでいるのではなく、お姉ちゃんってどんな風に妹にふるまったらいいのかと、子どもなりに考えながら接しています。
今スタジオにいる姉妹の様子を見ていても、仲良く遊んでいるようです。

上の子は、1人でいられる力を身につけたのだという風に、肯定的に考えてみてください。

うまくストレスを発散させてあげることが大事

回答:汐見稔幸さん

ガマンをさせていることが良いか悪いかではなく、そのストレスをうまく発散出来ているかどうかが問題です。

ストレスを発散させるためには、“自分がお母さんに大事にされている”という感覚を、上の子が感じられるように丁寧に伝えていくことが必要です。
たとえば、今度どこに遊びに行くかというときに、上の子の意見を聞いて、「じゃあ今度ここへ行こうか」「そうしたいんだったらそうしようか」と上の子が選択するチャンスを増やしていってあげてください。
すると上の子は、自分も大事にされているんだと感じることができます。

そういう意味では上の子は、上だからこその体験をすることができます。
そうすると、きょうだいで良い関係というのは、作られていきます。


余裕をもってきょうだいを育てるにはどうしたらいい?

我が家には4歳の息子と、2歳の娘がいます。
私は働いているのですが、保育園が別々で迎えも時間がかかりますし、帰ってきて夕食、お風呂、後片付けと、子どもたちを寝かすまで限られた時間しかありません。
そんな中どうしても、言ってわかる上の子のほうにイライラが向いてしまいます。
もうちょっと余裕を持って子育てをするには、どういたらいのでしょうか。
(4歳の男の子と2歳の女の子をもつママより)

イライラするのは当たり前

回答:遠藤利彦さん

幼児期の子どもを2人同時に育てるということ自体、とても大変なことですよね。
手間がかかり、当然イライラも発生します。
イライラするのが当たり前という捉え方をしてみてください。

上の子に対して特に、イライラしてあたってしまうということですが、それはおそらく上の子には「もうこれぐらいのことはして欲しいな」という期待が高まっているため、そういう気持ちになってしまうのだと思います。

しかし別の見方をすれば、上の子はお兄ちゃんだけれどまだ4歳です。
「まだ4歳なのだからできないことはできないよね」という風に思ってあげることも大切です。

パパはママをねぎらい、ママはストレス発散方法を見つけて

回答:汐見稔幸さん

パパは平日、子どもが寝てからの帰りになるとのことですが、帰ってきたらできるだけママに「今日はどうだった?」と聞いてあげてください。
そして「大変だったね。本当にお疲れさま」と言ってハグをするなど、毎日感謝してください。
ママは、自分のことを一番わかってくれる人が、気持ちを理解し、ねぎらってくれるかでだいぶ気持ちが違うと思います。

また、ママ自身が土日などに体を動かすなどして、ストレスを発散できる何かを見つけることもオススメです。
それは、運動だけでなく、ゲームでもなんでもかまいません。

上手にストレスを解消する方法を、夫婦で探してみてください。


長女だけかわいく思えない。どうしたらいい?

我が家は3人の子どもがいますが、長女だけをかわいく思えずに悩んでいます。
長女は、幼稚園の支度や上履き洗いなどを自分でこなせるほどしっかりしています。
しかし、私に似ている言い方や、下の子に対する態度など、長女が何をしていてもイライラして、冷たくあたってしまいます。手をつなぐのもイヤで、トントンさえもしたくありません。
“上の子かわいくない症候群”という言葉を聞いたことがありますが、症候群で終わるのか不安です。
(6歳の女の子と3歳の女の子と11か月の男の子をもつママより)

気持ちを共感して聞いてもらうことが大事

回答:汐見稔幸さん

上の子につらく当たってしまう自分がイヤだという、今抱えている気持ちを、どうやって出すかということが一番大事です。

今の気持ちを聞いてくれる人が、「ああしなさい」「こうしなさい」などと言うのではなく、「大変だね」と非常に共感的に聞いてくれることが大切です。
そのようなことを何回か繰り返すうちに、少し気持ちが楽になっていくということがあると、上の子に対して距離をとって接することができてくることがあります。

実際に似たようなことが我が家にもあり、私はひたすら聞き役でした。
でもそれは、とても大事なことだったと思っています。

自分以外にも子どもを愛してくれる人がいると安心して

回答:遠藤利彦さん

きょうだいといっても1人1人とても個性的です。
すると、大人の人間関係と同じように、“馬が合う・合わない”“相性が良い・悪い”といったことがあります。
3人子どもがいるということは、相性が良い子もいれば、馬が合わないと感じる子もいるというのはある意味当たり前です。
そういう風に考えると、ママだからと言ってすべての子どもを無条件に愛せるという考え方は、不自然なのかもしれません。
家族の中にはパパもいますし、パパ以外の家族や、家族の外にも子どもに密に関わってくれるいろいろな大人がいるので、その中に子どもをすごく愛してくれる人もいます。これが大事なことです。

ママは、自身が十分に愛せないと感じるならば、他に愛してくれる大人を探してみること、そしてほかの人が愛してくれる分、この子は絶対大丈夫だという風に、少し肩の力を抜いてみることも大切です。


すくすくポイント
きょうだいの子育てに悩んだときにオススメの絵本5選!

きょうだいの子育てって難しいですよね。きょうだいの子育てに悩んだときは、絵本を読むことがオススメです。
絵本には、上の子の気持ちや、下の子の気持ちが描かれているものがたくさんあります。
子どもはもちろん、ママにもきっと、お気に入りの絵本が見つかりますよ。

オススメの絵本

「リサのいもうと」

文:アン・グットマン
絵:ゲオルグ・ハレンスレーベン
訳:石津 ちひろ

この絵本は、新しいきょうだいを迎える子どもの、うれしいだけではない複雑な気持ちを描いています。

<ストーリー>
もうすぐお姉ちゃんになる主人公のリサは、赤ちゃんの名前を考えていたときに、ついつい意地悪なことを思いついてしまいます。
子どものヤキモチが、ほほえましく思えてくるような話です。

「たまごにいちゃん」

作・絵:あきやま ただし

この本は、甘えん坊な主人公“たまごにいちゃん”の成長を描いた話です。

<ストーリー>
主人公の“たまごにいちゃん”は本当はもう卵からでないといけないのですが、弟のほうが先にヒヨコになったって平気です。その理由は・・・?
「大きくなりたくない」おにいちゃんを優しく見守るお母さんにも、注目して読んでもらいたい絵本です。

「わがままいもうと」

文:ねじめ 正一
絵:村上 康成

この絵本は、妹のわがままに振り回されるお兄ちゃんの話です。

<ストーリー>
優しいお兄ちゃんに甘える妹。
そんな妹がかわいくてしかたがないお兄ちゃん。

こんな仲良しきょうだいになれるといいな!と感じる、上の子も下の子も一緒に楽しめる絵本です。

「ティッチ」

作・絵:パット・ハッチンス
訳:石井 桃子

この絵本では、末っ子の気持ちが表現されています。
主人公は3人きょうだいの末っ子ティッチです。
年上や大きいものへあこがれる気持ちや、きょうだいの中で役割を見出そうとする姿が描かれ、小さな末っ子の成長を応援したくなるような絵本です。

「ちょっとだけ」

作:瀧村 有子
絵:鈴木 永子

この絵本は、きょうだいが生まれた小さなお姉ちゃんの話です。
今までママにやってもらっていたことを、失敗しながらも自分でやってみようとするお姉ちゃんの健気な姿が描かれています。
たとえば、一生懸命自分でコップに牛乳を入れるエピソードなどがあります。
絵本を読んだあとに、子どもをギューっと抱きしめたくなる絵本です。

絵本を選ぶポイント

我が家のきょうだい構成と、重なるような絵本を選ぶこと。

親子で、主人公の気持ちと一緒か、一緒じゃないかなど、そんな話をしてみるのもオススメです。
子どもの本音が引き出せるかもしれません。

親子でお気に入りの本を見つけてみてください。

※記事の内容や専門家の肩書などは放送当時のものです