質問スペシャル2016(1)
2016年6月4日 放送
「子どもに伝わる叱り方」「教えて!子どもの耳・鼻のケア」などの、これまでの番組で放送しきれなかった質問と回答をまとめて紹介します。
また、これまでの番組で紹介したパパ・ママがその後どうなったかをお伝えします。
遠藤利彦(東京大学大学院教授 発達心理学)
汐見稔幸(白梅学園大学学長 教育学)
守本倫子(国立成育医療研究センター 耳鼻咽喉科 医長)
加部一彦(埼玉医科大学総合医療センター新生児部門 小児科医)
「大丈夫?スマホやタブレット」の回で、悩んでいたママはその後?
<前回の放送での質問内容>
スマートフォンの依存症 子どもの場合は?
▽放送終了後の様子
お子さんが、一度スマートフォンで動画を見始めると、きりがよくない限り、なかなか止めてくれないことが悩みでしたが、ママが一声かけると、お子さんは動画のきりがよくなくても、止めるようになっていました。
どうして止めてくれるようになったの?
ママ:
「うちは、パパがスマートフォンでゲームをするのですが、『ゲームを止めてと言ったら止める』というシンプルなルールを、パパに対して作りました。スタジオでお話をしていて、気がついたのですが、娘はパパが大好きなので、パパのまねっこを知らず知らずのうちにしていたのかなと。パパが変わってくれたら、娘も変わるかなと思ったんです。
ルールを作ったことで、すぐにやめてくれるようになったパパ。すると、パパが大好きな娘も真似をするようにやめるようになりました。
その上、今までは、外に行っても、私と娘が遊んでいる中、パパだけスマートフォンでゲームをしていたのですが、今は娘と一生懸命遊んでくれるようになりました。私がやる遊びとは違う遊びをやってくれるので、とてもありがたいです。」
ルールを作ったことで、すぐにスマホをやめてくれるようになったパパ。
その上、お子さんとも遊んでくれるようになったそうです。
パパ、これからもがんばってくださいね!
叱って泣いたらなだめてしまう。これでも叱っていることは伝わる?
「子どもに伝わる叱り方」の回より
叱って、子どもが泣いてしまった場合、なだめることがあります。そうしていると、何に対して注意していたのか自分自身、わからなくなってしまいます。これでも叱ったことはつたわるのでしょうか?
(2歳5か月の女の子をもつママより)
丁寧に伝えるようにする
回答:汐見稔幸さん
叱って泣いてしまうようであれば、大声で叱るのではなく、逆に抱いてあげたり、ひざにおいてあげたりしてみてください。そして、「こうしたかったんだよね」「でも、これをやったらこうなっちゃうからね」「ママは止めてほしいんだ」と、注意したいことを丁寧に伝えていくと、より効果的ではないかと思います。
泣くことは子どもの発達上、大切なこと
回答:遠藤利彦さん
子どもは泣くことで学ぶこともあります。まずは前提として、泣くことは、子どもが発達していく上で、とても大切なことだと考えてください。泣くこと自体が悪いことではありませんよ。
ストレスがまったくないところで育つことが子どもにとっていいことではありません。
「ストレス予防接種」という言葉があります。これは、ストレスは予防接種と同じようなもので、人は適度なストレスが与えられることで、ストレスへの耐性を上げるということです。
そうすることで、もっと強いストレスが与えられたときに、自分で跳ね返せるようになっていくのです。
お子さんが泣いているときには、なだめようとするだけではなく、子どもは子どもで学んでいるものがあるんだな、というように考えるのもいいですね。
気をつけたい!「よい叱り方と悪い叱り方」
「叱っているけれど、子どもに伝わっているの?」「こんな叱り方で大丈夫?」など、自分の叱り方に自信が持てないというママパパも多いと思います。
「すくすく子育て」では、専門家の遠藤利彦さん(東京大学大学院教授 発達心理学)が、叱り方のパターンについて解説してくれました。
理由を説明してわからせる
ちゃんとダメな理由をつけて説明しながら怒るという叱り方です。
これは、全世界的にお子さんが言葉を理解するようになったら、最もいい叱り方ではないかと言われているものです。
子どもの罪悪感、恥に訴える
子どもの自尊心に訴えていく叱り方です。恥や罪悪感みたいな感情に訴えていくということです。
子どもは1歳過ぎくらいから、自分と言うものに対する意識が芽生えてきます。そして、2歳をすぎると、自分が他の人からどう思われているかということに敏感になってきます。
そうすると、「自分はいい子でいたい」という気持ちが子どもの中に出てくるのです。
「自分はいい子なはず」という子どものこころに訴えかけていくような叱り方は、効果的に働くのではないかと言われていますが、子どもの自尊心を傷つけない言い方を心がけてください。
力ずくで行う(体罰)
頭ごなしに体罰で子どもに言うことを聞かせていくしかり方です。
程度の問題もあるとは思いますが、日常茶飯事になると、確実に子どもの方が傷ついていくと言われています。
体罰は長期的な意味で、あまり用いない方がいいということが、研究の中ではわかってきています。
愛情をひっこめる
「○○ちゃんはお母さんの子じゃないんだからね」「置いて行っちゃうからね」などというような、子どもの存在を全否定してしまう叱り方です。
叱り方の基本は、何か悪いことをしたときに、その行為を叱るという「部分否定」です。
「気に食わないことをやったら、子どもの全部を否定する」というような叱り方は子どもの発達にはあまりよくないと言われています。
今後お子さんを叱るときには、注意してみてくださいね。
大人のようないびきをかく。鼻などにトラブルがあるの?
「教えて!子どもの耳・鼻のケア」の回より
息子は大人のようないびきをかきます。鼻などにトラブルがあるのではないかと心配です。
(1歳1か月の男の子をもつママより)
トラブルがある可能性がある
回答:守本倫子さん
鼻づまりでいびきをかくことはあるかもしれません。しかし、赤ちゃんや小さなお子さんは、元気であれば、寝息をかいても、いびきはかかないものです。
いびきをかくことは、鼻などの空気が通るどこかが狭くなっているというサインです。トラブルがあるかもしれないため、耳鼻咽喉科を受診した方がいいと思います。
人の鼻の後ろには「アデノイド」というものがあるのですが、これは5歳くらいまではどんどん大きくなるものです。
かぜをひいたりすると、この「アデノイド」が通常より大きくなることがあります。そうなると、空気が通る道を「アデノイド」が邪魔してしまうため、鼻で息がしづらくなり、空気が狭い道を通るときの音が「いびき」として聞こえます。
さらにひどいと、無呼吸症候群と言って、呼吸が止まることもあります。これは、心臓や肺にもすごく負担がかかってしまいます。その上、よく眠れていないため、かぜをひきやすかったり、成長障害を起こしたりすることもあります。
また、ぼーっとして、1日中ダラダラするようなことになるため、症状がひどくならないうちに、受診する必要があるかと思います。
新生児のころからの縦抱きは、この先の成長に影響が出る?
「ママも赤ちゃんも気持ちいい、だっこ」の回より
「首が据わるまでは横抱きで」と聞いていたのですが、娘は新生児のころから横抱きが嫌いだったので、あやしたり、寝かしつけたりするときは、基本的に縦抱きをしています。
この先の成長に影響はあるのでしょうか?
(8か月の女の子をもつママより)
首をしっかり支えていれば心配ない
回答:加部一彦さん
首が据わっていない赤ちゃんをだっこするときは、首をしっかり支えることが大切です。
縦抱きよりも横抱きの方が、赤ちゃんの首を支えやすいですが、しっかりと首を支えていれば、赤ちゃんが嫌がらない限り、縦抱きでも問題ありません。
アンガールズ山根パパも体験!サラシを使ったおんぶのやり方
すくすく子育て「ママも赤ちゃんも気持ちいい、だっこ」の放送で紹介された、おんぶ講座。
だっこで体に負担を感じていたママと、番組のMC山根パパも「参加してみたい!」ということで、「おんぶ練習会」に参加しました!
<ママのお悩みはこちら>
一日中だっこで大変!疲れにくい工夫は?
今回参加したおんぶ練習会
世田谷区 おでかけひろばぶりっじ @roka のおんぶ練習会。
この日の参加者は、ほとんどの方がおんぶ初体験でした。
おんぶをするときのポイント
げんこつ山プロジェクト NPO法人子育て支援グループamigo
石山 恭子 理事
おんぶは、背中に背負っているだけのように見えますが、意外と、大人と子どもの掛け合いみたいな部分がとても大きく影響します。
<レッスン1:おんぶに適した背中を作る>
大人が赤ちゃんを乗せてあげる背中をしっかり作ってあげることが大切です。
赤ちゃんが大人の背中にしがみつくような感覚があるとうまくいきます。
おんぶひもはあくまでも、補助の道具。子どもがおんぶされやすい背中を作ってあげましょう。
まずは、道具を使わずに、おんぶの感覚を養う練習をしてください。
利き手側の脇の下から、背中に持っていくようにするとやりやすいですよ。
始めは、おんぶを乗り物的な感じで楽しんでしまうと思いますが、これを繰り返すことで、大人の背中に体をあずける感じができてくるかと思います。2人の関係性が大切です。
また、赤ちゃんがおんぶに慣れるように、わらべうたなどを歌いながら、体を上下に揺らして縦のリズムを体験させてあげましょう。
<レッスン2:道具を使っておんぶ>
おんぶひもを使ってもいいですが、この教室では「サラシ」を使ったおんぶのやり方を紹介。
▽使用する道具
・4メートルのサラシ
▽使い方
(1)サラシの真ん中を赤ちゃんの背中に当て、両脇に通し、胸元で強く握る。
(2)サラシを握ったまま、赤ちゃんを一気に背中でかつぐ。
サラシがしっかりと脇に通っていれば、赤ちゃんは落ちません。
(3)片方のサラシをもう一方の肩に持っていく。
こうすると、リュックを背負うような形になります。
(4)肩にかかるサラシを後ろへもっていき、ももの上から、反対の足の下へ通す。
左右同じ要領で通してください。
両足に通すと、お尻はこのような感じになります。
サラシがクロスになって足が抜けづらくなります。
(5)脇の下から前にきているサラシを、逆側の肩のサラシに通す。
左右同じように通してください。
(6)胸の前でサラシを結ぶ。
これで完成です。
慣れるまでは、1人ではやらずに誰かと協力してやるほうが安全です。
おんぶ練習会に参加した感想
ママ:
「サラシのおんぶひもがとても楽です。前だっこよりも安定感があります。腰の疲れとかも全く感じないです。」
山根さん:
「おんぶひもはけっこう使えますね。この調子で活用していくと、子育ての幅が広がりそうですね。」
このあと、ママはおうちでもサラシを活用。
結び方もマスターし、おんぶをしながら家事をこなしているそうです!
※記事の内容や専門家の肩書などは放送当時のものです