大丈夫? スマホやタブレット

すくすく子育て
2016年5月14日 放送

子どもにスマートフォンやタブレットを見せていますか?
見ている間は静かにしてくれる、家事がはかどるなど親が助かることもありますよね。でも不安も多いのでは?
「コミュニケーション不足にならない?」、「依存症にならない?」などのお悩みについてお答えします。

「すくすく子育て 大丈夫?スマホやタブレット」

専門家:
榊󠄀原洋一(お茶の水女子大学副学長 小児科医)
遠藤利彦(東京大学大学院教授 発達心理学)

スマートフォンを使いすぎて、コミュニケーション不足にならない?

子どもが、スマートフォンで動画や写真を見ることが大好きで、すぐに「貸してほしい」とねだってきます。また、子どもが泣いて手に負えなくなったときに、スマートフォンを見せるとおさまるので、助かっています。このようにスマートフォンを子どもに見せることがあるのですが、やめさせるのが大変です。スマートフォンの使いすぎで、家族の間で、コミュニケーション不足になるのではないかと心配です。
(2歳3か月と8か月の女の子をもつママより)

スマートフォンなどを1人きりで何時間も使わせない

回答:遠藤利彦さん

子どもは、動かないものよりは動くものが好きですし、単純なものよりもやや複雑なものが好きなものです。ただし、1番好きなのは物やスマートフォンではなく、人とのやりとりです。
スマートフォンを利用している以外の時間では、人とやりとりしていると思いますので、スマートフォンの使いすぎで、コミュニケーション不足になることはないと思います。幼稚園や保育園に通うようになると、先生やお友達とのやり取りが増えるため、そこでコミュニケーション力は自然と培われていくと思いますよ。
問題なのは、スマートフォンを子どもに1人きりで使わせることです。1日何時間も「1人使い」をさせていると、「コミュニケーション不足」となってしまう可能性があるため、注意が必要です。

スマートフォンは便利な道具なので、どんどん普及していきます。日本の教育分野でも2020年を目処にしてデジタル教科書に完全移行するという動きがあったりもします。道具ですから、使い方によってはメリットもあるし、逆に使い方を間違えるとそれがデメリットになることもありますので注意しましょう。

親子の会話が言葉に影響する

回答:榊󠄀原洋一さん

スマートフォンの普及からまだあまり時間が経っていないので、少しずつ研究が始まっているところです。テレビの研究を参考にしますと、テレビの視聴時間が長い子どもと短い子どもの話す言葉の数について比較したところ、視聴時間が長い子どもの方が言葉の数が少ないという研究結果があります。
しかし、さらに詳しく研究したところ、視聴時間の長い子どもでも、日常生活の中で親子の会話が多いと、話す言葉の数が多いという結果が出ています。テレビの視聴時間よりも、親子の会話の量がコミュニケーション力に影響するのですね。
スマートフォンを使うときは、親子でお話ししながら使うといいと思いますよ。


動画を見せていると、言葉を覚えるのが遅くなる?

「子どもに動画を見せていると言葉を覚えるのが遅くなる」とインターネットの情報で見たことがあり、不安に感じています。実際はどうなのでしょうか?
(1歳1か月の女の子をもつママより)

言葉を覚える時期をあまり心配する必要はない

回答:榊󠄀原洋一さん

子どもが小さいうちは、言葉を覚える時期として大切ではあるのですが、覚える言葉の数に、臨界期はありません。そのため、「必ずこの年齢までに覚えさせなくてはいけない」と言うこともありません。
50歳、60歳になっても新しい言葉を覚えることはできますし、保育園、幼稚園、学校に通うなかで、自然と覚えていくため、心配する必要はないと思いますよ。

臨界期とは、経験や学びなどを与えた際に、その効果が一番出る時期のこと。

上手に利用すれば言葉の発達にプラスに使える可能性も

回答:遠藤利彦さん

スマートフォンを利用して言葉を覚えさせるような工夫をするのもいいかもしれません。
赤ちゃんや幼児が言葉を1番覚えるのは、「共同注意」という場面です。「共同注意」とは、親と子どもで同じものを見ているときに、子どもが見ているもの(例:犬など)に対して、「ワンちゃんだ、かわいいね」などと、親が子どもに話しかけます。そうすることによって、子どもはそのタイミングで「ワンちゃん」という言葉を覚えるようになります。
そのため、スマートフォンに猫が表示されているときに、「あっ、猫ちゃんかわいいね。」などと、コミュニケーションのトピックにするといいですね。
スマートフォンを、言葉を覚えるためのツールとして使用した上で、「共同注意」を取り入れながら子どもに接するといいと思いますよ。


スマートフォンの依存症 子どもの場合は?

娘にスマートフォンを使わせるときには、「○個まで動画見てもいいよ」と約束をさせます。そのため、動画を見終わった後に、分かりやすく注意すると、すぐにスマートフォンを返してくれます。しかし、どこまでが「使わせすぎ」に当たるのか境界線が分かりません。スマートフォンを使いすぎると、依存症になってしまうのでしょうか?
(5歳の女の子をもつママより)

同じ動画を何度も見ることは、必ずしも依存症ではない

回答:遠藤利彦さん

依存症と言うのは、同じモノでは飽き足らなくなり、より強い刺激を何時間も求めてしまうことを指します。
子どもが、同じ動画を何度も見るのは、必ずしも依存症というわけではありません。それは、子どもにとって、お気に入りのぬいぐるみやキャラクターを持つことと同じで、「あると安心するもの」という感覚です。動画を繰り返し見ることで、動画に映っているキャラクターが徐々に自分の友達のような感覚になって、話しかけたりするというのは、決して依存症ではないと思います。

また「観察学習」といって、身近な人ほど子どものモデルになります。ママやパパがすごく興味津々で見ているものには、当然子どもも興味を示します。そういうことを考えると、ママやパパも「この時間は使わない」といったような時間を作っておくと、結果的にお子さんもやめられるということも言えます。

スマートフォンを使う前に終わりの時間を決めておく

回答:榊󠄀原洋一さん

親がルールを決めて、「それ以上は使わせない」とはっきり決めることが大切です。時間が分かるくらいの年齢の子であれば、「30分だけだよ」や、「勉強の時間までは使ってもいいよ」などと伝え、子どもがその約束を守ることができたら、きちんとほめてあげましょう。そうした習慣の中にルールを作っていくといいと思いますよ。
まだ幼く、言葉が通じない子であっても、親が怒っている表情を見れば子どもにも伝わります。子どもが泣いて駄々をこねたときに、親が根負けして許したりせず、「ダメなものはダメ」と厳しく律して渡さないようにすると、子どもも「渡してもらえないんだ」と理解するようになります。


タブレットとほかの遊びとのいいバランスの取り方は?

息子は、よくタブレットで動画を見ていますが、動画から新しい遊びを覚えたりしています。そして、おままごとやミニカーでも遊びます。しかし、時間的な配分を考えると、タブレットで遊ぶ時間が他の遊びよりも多いかもしれません。
以前、保育園の連絡帳に、家でタブレットを使って遊んでいる旨を書いたところ、「体を使った遊びをしていかないと、遊びの幅が狭くなってしまう。」と保育士さんから指摘を受けたので、心配です。他の遊びとのいいバランスの取り方を教えてください。
(2歳5か月の男の子をもつパパより)

いろいろな遊びの中の1つとしてなら問題ない

回答:榊󠄀原洋一さん

タブレットばかりではなく、他の遊びもしているのならば、問題ありません。
いろいろな遊びの中の1つとしてタブレットがあるのはいいと思います。


スマートフォンなどを使った遊びで得られることと、物を使った遊びで得られるものは違うの?

物を使った遊びでは、子どもは仮説・実験・検証を行っている

回答:遠藤利彦さん

子どもが物を使った遊びをするとき、子どもの頭の中では、科学者のように仮説・実験・検証が行われています。
例えば、ティッシュペーパーを出して遊ぶときなどは、「これを引っ張るとこうなるんじゃないか」といった仮説を子どもはたてています。その後、箱からティッシュペーパーを引き出すという実験をし、自分の仮説通りであれば、「当たった!」と検証します。
これは子どもにとって重要な学びです。こうした遊び方が、物を使った遊びでは、よくあることだと思います。
それに対し、スマートフォンやタブレットでの遊びは、「1人で動画などを見て、終わり」になってしまうと、あまりメリットが無いと言えます。しかし、スマートフォンやタブレットで流れている映像を見て、動きなどを真似してみるというのは、子どもにとって発達のプラス要素になる可能性もあります。


寝る前にスマートフォンを見せても大丈夫?

夜寝る前に下の子に授乳をするとき、上の子がその様子を見て、さみしがってしまいます。気を紛らわせるためにしかたなく、スマートフォンを渡していますが、寝る前にスマートフォンを見せても大丈夫なのでしょうか?
(3歳の女の子をもつママより)

スマートフォンなどの明るい光が睡眠を妨げている可能性がある

回答:榊󠄀原洋一さん

人間の頭の中では、夜寝るために必要な「メラトニン」と言うホルモンが夕方くらいから分泌し始め、徐々にたまっていきます。そのメラトニンが多くなると、寝る準備が整い、人間は寝ることができます。
しかし、「メラトニン」というホルモンは、目から明るい光が入ると、急に出なくなるものです。寝る前にテレビやスマートフォンなどの画面から明るい光を見てしまうと、頭の中では寝る準備をしていたのに、妨げられてしまいます。
結果的に寝る時間が遅くなってしまい、睡眠時間が短くなる可能性があるため、医学的にも寝る前のスマートフォンやタブレットの使用は避けたほうがいいでしょう。

子どもの気持ちを落ち着かせるものを寝る前の習慣として使う

回答:遠藤利彦さん

スマートフォンではなく、子どもの興味を引くようなものを使って、気持ちを落ち着かせることを習慣化できるといいと思います。
一般的には、「就眠儀式」と言って、眠る前に「必ず同じことをする」というものです。「○○をしたら、自分は眠る」などのように、儀式の中で自己暗示をかけることで、実際に眠ることができたりします。
気持ちをゆっくりと落ち着かせるような子どものお気に入りのものを作っていくと、徐々にスマートフォンを使わずに眠れるようになると思います。

※記事の内容や専門家の肩書などは放送当時のものです