教えて! 子どもの耳・鼻のケア

すくすく子育て
2016年5月7日 放送

「耳そうじ、毎日しても大丈夫?」「鼻かぜのたびに中耳炎になるのはどうして?」のように、子どもの耳・鼻についてわからないことってありますよね。今回は、子どもの耳・鼻について専門家に伺います。

「すくすく子育て 教えて!子どもの耳・鼻のケア」

専門家:
守本倫子(国立成育医療研究センター 耳鼻咽喉科 医長)

耳そうじしない方がいい?

娘の耳あかは、ねっとりしています。耳あかがカサカサしている場合は、1週間以上そうじしていなくても、気にならないと思うのですが、ねっとりした耳あかでも1週間以上耳そうじはしない方がいいのでしょうか?
(3歳3か月の女の子をもつママより)

そうじの頻度は気にせず、外から耳あかが見えてきたらそうじする

回答:守本倫子さん

耳そうじは多くて2週間に1回程度でいいと思います。
そうじの頻度はあまり気にせず、外から耳あかが見えてきたタイミングで、そうじをしましょう。

また、耳あかのタイプは遺伝体質によるものです。
日本人の場合は、カサカサしたタイプの耳あかが全体の6割程度、ねっとりしたタイプは4割程度だと言われています。
欧米人の場合は、ねっとりしたタイプの方が多いため、「耳かき」自体、あまり使いません。耳あかがねっとりしているから、悪いということではないですよ。

耳あかの役目

耳あかは耳の穴を守るバリアの役割を持っています。
そのため、耳そうじをしすぎると、かえって耳の穴の皮膚を傷つけてしまいます。
耳あかは皮膚の表面にある細やかな毛の動きやあごの動きによって、自然に奥から外へ押し出されるため、耳そうじは入り口付近に見える耳あかをとるだけでいいのです。

耳あかは耳の穴を守るバリア役


子どもの耳そうじのコツは?

綿棒の持ち方

綿棒は鉛筆を持つときと同じようにして持ちます。
鉛筆のように持つと、自然に小指で手を支えることになるので、耳の奥深くに綿棒が届かないため、安全です。

耳そうじのコツ

(1)子どもの頭をしっかり押さえる。

(2)耳の穴がまっすぐになるように、耳たぶを少し引っ張る。

(3)手前の汚れだけを、1~2回、かき出すようにくるっと回転させてぬぐう。

回答:守本倫子さん

片手で耳たぶを少し引っ張ることがポイントです。耳の中が見えにくいからといって、懐中電灯を片手に持ちながらだと、そうじしづらくなると思います。
耳の中が見えづらい場合は、ライト付きの耳かきを使う、ライトが耳に当たりやすいような場所をみつけるなどして、工夫してみてください。


眠くなると耳をかきむしる。やめさせるにはどうすればいい?

娘は、夜眠くなると、血が出るまで耳をかくことがあります。やめさせようとすると、泣いてしまいます。
娘が生まれてから耳そうじは、2回ほどしかやっていないため、耳がかゆいというサインなのかと思うこともあります。耳のかきむしりをやめさせるにはどうすればいいのでしょうか。
(9か月の女の子をもつママより)

回答:守本倫子さん

アトピー性皮膚炎があったりすると、かゆくて、夜寝るときにかいてしまって、耳が切れたりすることがあります。

とくに、寝ると体が温まり、かゆくなりやすくなるため、耳をかく子は多いです。
その場合は、クリームを塗って保湿してあげて、様子をみてあげましょう。耳の中にクリームを塗ることを心配される方もいますが、耳の中も皮膚です。耳の中が詰まるほど塗るのはよくありませんが、薄く、少しだけ塗ってあげる分には問題ありません。

かきむしると傷ができ、傷が治るころにはカサブタができますよね。子どもはそのカサブタを取りたくなって、またかいてしまうことがよくあります。そうすると、堂々巡りになって、傷が治りにくくなります。そうなってしまわないように、保湿をして、かゆいところをマッサージしてあげるなどして、かゆみをごまかしてあげるといいと思います。

また、耳あかがたまりすぎて、外耳炎を起こしている可能性もあります。
生まれてから2回ほどしか耳そうじをされていないとのことなので、一度耳鼻科で見てもらうといいかもしれません。


“寝かしつけ”としての耳そうじは大丈夫?

息子がぐずったときに耳そうじをすると、気持ちいいのか、すぐに寝てくれるため、寝かしつけとして毎晩耳そうじをしている状態です。耳そうじと言っても、マッサージを意識してやっています。
息子はよく耳を触るのですが、耳そうじのしすぎなのかと心配です。
耳そうじはあまりしない方がいいとも聞くのですが、マッサージとして、毎晩耳そうじをするのは大丈夫なのでしょうか?
(1歳1か月の男の子をもつママより)

やりすぎは良くない。耳への刺激が少なくなる工夫を。

回答:守本倫子さん

耳の中には「副交感神経」があり、その神経を刺激すると、血管が広がり気持ちよくなり、リラックスできます。
しかし、毎晩、耳を綿棒で触るということは、皮膚をナイロンのタワシでこすっているようなものです。耳そうじのやりすぎはよくありません。
お子さんが耳をよく触るということは、耳そうじのしすぎで炎症を起こしている可能性があります。

マッサージをするときは、なるべく耳の入り口だけを触るようにする、綿棒にベビーオイルやクリームを少し塗るなどして、耳への刺激が少なくなるような工夫をしてください。
綿棒ではなく、指で優しく耳全体をマッサージしてあげる分には問題ないと思います。


鼻かぜのたびに中耳炎になるのはどうして?

娘の鼻水が出たときに耳鼻科に行くと、ほぼ同時に滲出(しんしゅつ)性中耳炎だと診断されます。最近、1か月おきに3回ほど中耳炎になりました。中耳炎といっても、子どもが痛がる様子ではないため、病院の診断を受けて、知るという状況です。
鼻水を吸い取れば、中耳炎になりにくくなると効き、電動鼻吸い器を買ったのですが、吸い取る力がとても強く、「1日に何度も使って大丈夫なのか?」「何歳まで繰り返すのか?」なども気になります。
(1歳6か月の女の子をもつママより)

鼻水が出ていると中耳炎になる理由

鼻の穴は、奥で耳やのどとつながっています。
その耳と鼻をつなぐ通り道「耳管」が、子どもは大人に比べて短く、傾きもなだらかなのです。

そのため、鼻水のばい菌が耳へはいりやすく、中耳炎にかかりやすくなります。
子どもの8割が、1度は中耳炎になります。

鼻吸い器で鼻水をこまめにとってあげることは問題ない

回答:守本倫子さん

上記のように、鼻水のばい菌が耳に入ることで、中耳炎をひきおこすため、鼻水をすいとると、中耳炎になりにくいというのは本当です。鼻水をすすりあげると、中耳炎を繰り返しやすいですよ。
鼻吸い器で、こまめに鼻水をとってあげましょう。

急性中耳炎と滲出(しんしゅつ)性中耳炎の違い

<急性中耳炎>

鼻かぜで出た鼻水の細菌が、耳と鼻をつなぐ「耳管」に入り込み、耳の奥で炎症を起こした状態です。うみがたまり、熱が出たり、鼓膜が痛くなったりします。
耳の奥での炎症がおさまると、うみが水のように変化し、鼻の方へ流れていきます。

<滲出(しんしゅつ)性中耳炎>

鼓膜の内側に水がたまった状態です。そのため、耳の奥の鼓膜がふやけてしまいます。
耳の奥での炎症がおさまり、うみが水のように変化し、鼻水として流れていくときに、鼻水をすすって鼻の中に戻してしまい、水が抜けにくくなることで引き起こされます。
熱や痛みはほとんどありませんが、放っておくと、難聴を引き起こすことがあるため、注意が必要です。
急性中耳炎の治療を途中でやめたり、鼻かぜを繰り返しひいたりすると、かかりやすくなります。

回答:守本倫子さん

小学校入学前後には自然に治ることが多いですよ。それ以降は、繰り返さないようになる子どもが多いです。


固まった鼻水を吸いやすくする方法は?

回答:守本倫子さん

湯船に鼻までつかってブクブクと息を出して遊ぶといいです。
鼻に蒸気や湯が入り、鼻水が柔らかくなります。
また、鼻から息を出すことで、鼻をかむ練習にもなりますよ。

小さな子どもには市販されている鼻用噴霧器

まだブクブクできない小さな子どもには、鼻用の噴霧器に、生理食塩水を入れて、鼻の中にスプレーするのもオススメです。固まった鼻水がしっとりしてくるので、鼻吸い器で吸いやすくなります。
生理食塩水は、自宅で簡単に作ることもできます。

<生理食塩水の作り方>
水500ml(ペットボトル1本分)に、塩4.5g(小さじおよそ4分の3杯~1杯弱)
※0.9%の濃度です。人の涙ぐらいのしょっぱさだと思う濃さで作れば大丈夫です。


鼻かぜを防ぐ効果的な方法は?

こまめに鼻水を吸い取る

回答:守本倫子さん

集団保育を受けていると、子どもは必ず菌をもらってきてしまいます。また、菌もそのときそのときでぜんぜん違います。
菌に対する免疫ができるまでには時間がかかります。まだ鼻がかめないような小さいお子さんの場合は、こまめに鼻水を吸い取ってあげましょう。
また、鼻をかむ練習を早めに始めるといいと思います。3歳ぐらいから、鼻をかむ練習を始められますよ。

何よりも、鼻かぜを悪化させないことが大切です。
鼻水をそのままにしておくと、徐々に黄色くなり、のどに落ちるようになって、タンが混じったセキをするようになります。すると、今度はのどが炎症を起こして、喉頭炎や咽頭炎の状態になり、熱が出たり、気管支炎のような状態になったりします。

こまめに鼻水を取ってあげて、鼻水が濃縮しないように気をつけてあげましょう。


すくすくポイント
子どもの鼻血をしっかりとラクにとめる方法

子どもが、急に鼻血を出すと、「何かの病気?」と心配になりますが、子どもの鼻血のおよそ9割は、自分で鼻を触って傷つけたことが原因です。

両方の鼻の仕切りの壁、入り口から1センチくらいのところには、太い静脈や毛細血管がたくさん集まっています。
ここは、キーゼルバッハ部位といい、粘膜がとても薄いのです。そのため、少し引っかいただけでもすぐに出血してしまいます。

鼻血を簡単・確実に止める方法「母指圧迫止血法」

※母指圧迫止血法の考案者:安岡 義人(鶴谷病院 耳鼻咽喉科 部長)

これまで一般的な鼻血の止血法は、鼻の両側をはさむというものでした。しかし、これだと、息が出来なくて苦しいですよね。そこで考案されたのが、「母指圧迫止血法」です。

まず、ティッシュなどで血を受けながら、片方の小鼻を親指で押さえて、残りの4本の指で下あごに添えて、あごをはさみます。
はさむことで、手を安定されられます。片方の鼻から息が出来るので、苦しくないですね。

血液を飲み込むと、吐き気を催すこともあります。
血がのどに流れないように、下を向かせて3分間押さえ続けます。
ほとんどの場合、この方法で鼻血はおさまるようになります。

大きな子どもなら、この方法で自分で鼻血を止められるようになります。

打撲による出血や10分以上押さえても止まらないようなときは、すぐに病院へ行ってください。
何度も鼻血を繰り返すのは、鼻がかゆいせいかもしれません。アレルギー性鼻炎など、何か原因がないか、耳鼻科で詳しく調べてもらうといいですね。

今回の「すくすくポイント!」
鼻血が出たら慌てずに、親指で小鼻を押さえて3分間!

※記事の内容や専門家の肩書などは放送当時のものです