子どもに伝わる叱り方

すくすく子育て
2016年4月16日 放送

子どもが危ないことやいたずらをしたとき、きちんと叱らなきゃと意識して伝えるけど、子どもは何度も繰り返す・・・。
「叱っているけれど、子どもに伝わっているの?」「子どもは理解しているの?」そんな叱り方についての疑問に答えます!

「すくすく子育て 子どもに伝わる叱り方」

専門家:
汐見稔幸(白梅学園大学学長 教育学)
遠藤利彦(東京大学大学院教授 発達心理学)

子どもを叱るときのポイントは?

タイミングが大切

回答:汐見稔幸さん

これはやってはいけないことだとか、これをやったら必ず失敗するよ、ということを教えていくのが親としてのつとめです。しかし、叱るタイミングというのが大切です。

叱ることにおっくうになってはいけない

回答:遠藤利彦さん

最近、あまり叱らないでほめる子育てがいいと言われることがあります。しかし、しつけというのは、「ほめる」と「叱る」の両方があって、しつけになるのだと思います。そのため、叱ることにおっくうになってはいけないと思います。


叱っていることは子どもに伝わっているの?

危ないことをしたときや、おもちゃを大事にできないときに、息子を叱っています。叱るときは、「目を見て」、「真剣な顔で」、「すぐに」その場で叱ることを心がけています。また、感情的に怒ってはいけないと思い、説明して注意するようにしています。
このようにして、私が真剣な顔で叱っても、息子はニコニコしていることがあります。叱っていることが、伝わっていないのかなと思います。
(2歳1か月の男の子をもつママより)

ガミガミと叱る前に子どもの気持ちを察するひとことを

回答:汐見稔幸さん

頭ごなしに「ダメ」と伝えても、子どもの耳には入りません。
叱る前に、まずは、「これが楽しいんだよね」「これが好きだよね」と子どものやっていることに1回共感してください。その後で、「それは楽しいけど、こうなっちゃうからダメだよ」と丁寧にダメな理由を伝えてあげましょう。

<とっさに共感するのが難しい場合>
子どもの行動をそのまま言葉にしましょう。
そうすると、子どもは自分のことをわかってもらえたと感じるため、次の言葉を受け入れやすくなります。

「すくすく子育て 子どもに伝わる叱り方」

さらに、「こうすればもっと良くなるよ」というような、代案を出せると子どもは喜びます。

「すくすく子育て 子どもに伝わる叱り方」

強い感情をこめることで親の本気度が伝わる

回答:遠藤利彦さん

叱るときに「大声を出してはいけない」という考えは持たない方がいいと思います。
例えば、子どもがケガをしそうになるなど、本当に危険なときは大声が出てしまうものです。
大声が出てしまうような強い感情がこもった叱り方は、1回で子どもに伝わります。1回きりの学習で十分に伝わるんですね。人は、どうしても必要なときは、大声を出してしまうものですし、子どものために大きい声をあげてしまうというのは、自然なことだと思います。
まだ言葉を理解しない子どもにとっては、感情がすべてです。そのため、強い感情をこめることで、親の本気度が伝わります。

叱る瞬間だけでなく生活全体でのバランスを見る

回答:遠藤利彦さん

いつも叱っていると、伝わりにくいですよ。
叱るときは、その瞬間だけでなく、子どもとの生活全体でのバランスをみてください。
24時間の間に子どもとどんなやりとりをしているか、ニコニコ笑いかけたり、ほめたり、叱ったり、いろいろなやりとりがあると思います。その中で、叱っている割合を考えてみましょう。
いつも叱ってばかりで、叱ることがパターン化してしまうと、「ここまですると、ママはこう言うだろうな」というように、親の叱るときの反応を子どもが予測しやすくなります。子どもは、予測ができてしまうと、逆に「もっとやってやろう」と考えることもあるため、何回言っても聞かないことがあります。
そのようなときは、「ふだんは怒らない人に怒ってもらう」というように、叱るときのパターンを変える工夫をしてみてください。


0歳の子にも叱れば伝わる?

娘は、人の顔をつねったり、触ったりと、手を出してしまいます。やめさせようと、叱っているのですが、なかなかやめてくれません。0歳の子でも叱れば伝わるのでしょうか?
(10か月の女の子をもつママより)

漠然とは叱られていることがわかる

回答:汐見稔幸さん

0歳の子は叱られたときに、大人が理解できるのと同じような理解はできませんが、漠然と「叱られている」ということはわかっているようです。
「触りたいよね、気持ちいいしね、だけど痛いんだよ」と丁寧に伝えてあげると、だんだん叱られていることがわかってくると思います。

また、他のお子さんをつねったり、ひっかいたりして嫌がられることもあると思います。そのような場合、他の子に迷惑をかけてはいけないと思い、「ダメよ」と叱り、行為をやめさせてしまうかもしれません。しかし「ダメ」だと頭ごなしに叱ると、逆に子どもはその行為をくりかえしてしまいます。
頭ごなしに叱るのではなく、「本当はつねりたくなかったんだよね。でも、つねって泣かせてしまったね。困ったね。」と抱きしめて、子どもの気持ちに共感しながら、ダメだと伝える方が、効果があることがわかってきています。

回答:遠藤利彦さん

1、2歳の段階で、人に手を出す子は、人に関心のある子です。そのため、叱るときは、「本当は遊びたかったんだよね」という共感のしかたもいいと思います。「もっとこういうやり方のほうが、仲良く遊べるでしょ」というようにもっていってあげる方が、お子さんも納得すると思います。
1、2歳の段階で、人に関心のある子は、3、4歳になると、他の子と仲良く遊べるようになっているということもありますよ。


感情的にならずに叱れる?

3人の子どもたちと1日中一緒にいると、かわいい反面、毎日ケンカが続く状態なので、イライラすることもあります。
叱ると怒るは違うとよく聞きますが、叱るときは、どうしても自分の感情が入ってしまうため、程度がよくわかりません。
例えば、何回注意してもお片づけしてくれないときに、「何回言ったらわかるの!」「お片づけしないとご飯なしだよ!」というように言ってしまいます。また、自分が寝不足でイライラしていたり、思うようにいかなくてイライラしていたりすると、怒らなくてもいいようなところで、怒ってしまうことが何度かあります。感情的に怒りたくはないのですが、難しいです。どうすれば感情的にならずに叱れるのでしょうか?
(2歳6か月の双子の女の子、1歳3か月の男の子を持つママより)

一歩引いて叱る

回答:汐見稔幸さん

子どもの行動には必ず理由があります。子どもはその理由をわかってはいるけれど、言葉で伝えるのが難しいのです。しかし、お母さんからすると、理由を聞いても教えてもらえないため、子どもを叱り続けることになってしまいます。子どもはまだ発達途上なので、こういった叱り方になってしまうこともあると思います。
叱るときには、「ケンカや叱られることで、人との関わり方を覚えていくのかな」「今叱っておけば、ダメだと言うことをわかってくれるかな」と、少し一歩引いた立ち位置になると、そこまで感情的に怒らなくてもすむようになるのではないかと思います。

親の感情が伝わるのは自然なこと

回答:遠藤利彦さん

本当に大切なときには、感情が入ってしまうものです。
子どものこころの健康な発達を考えるにあたって、オープンコミュニケーションという言葉があります。
オープンコミュニケーションとは、感情的に偏りのないコミュニケーションのことです。
人間は、悲しむこともあれば、怖がること、怒ること、笑うこともあります。そう考えると、子どもの前ではいつも笑っていましょうというのは、とても不自然なことですよね。
お母さんもお父さんでも、怒りがわくこともあれば、落ち込むこともあります。さまざまな感情があるのが当たり前です。そのさまざまな感情が、子どもに伝わっていく状況の方がむしろ自然だという考え方です。
そうはいっても、全体的に、マイナスよりは、プラスの感情をやや多めにする方が、お子さんの発達にプラスに働くかと思います。


叱る基準がぶれてしまう。このような叱り方は大丈夫?

子どもを叱るときに、昨日言ったことと、今日言っていることが違うことがあります。そうすると、「昨日は怒られなかったのに、今日は怒られた。」と子どもが混乱している部分があるように思えます。
また、ひとつのことで叱っていたはずが、「この前も・・・」と前の話を持ち出してしまうこともあります。その度に反省はするのですが、こんなに基準のぶれた叱り方をしていて大丈夫なのでしょうか?
(4歳8か月と、3か月の男の子を持つママより)

子どもは親の少々の失敗は多めに見てくれる

回答:遠藤利彦さん

お母さん自身が、基準がぶれていることを自覚できていて、反省できているようであれば、修復できますよ。
また、子どもは親の少々の失敗は多めに見てくれるということが、最近の研究でわかってきています。最終的に自分の気持ちに応じてくれるのであれば、それまでの親の失敗は、多めに見てくれると言われています。お母さんが反省して、子どもの気持ちに応じて接しているのであれば、大丈夫だと思います。

ママのストレスが強い可能性がある。

回答:汐見稔幸さん

確かに叱る基準がぶれてしまったり、前の話を持ち出して叱ったりするのは、子どもも困ってしまうと思います。しかし、お母さん自身がそのことがあまりよくないと気づいているのであれば、問題はないと思います。失敗したと思っても、引きずらないようにしてください。

また、そのように叱ってしまうということは、お母さん自身のストレスが強い可能性があります。
ストレスを発散することも大事だと思います。


すくすくポイント
年齢別 叱り方のコツ

子どもにやってはいけないことを伝えたい時、どのような言葉を使っていますか?
子どもが大人の言うことを理解するには段階が必要です。
年齢別の叱り方のコツを紹介!

0~1歳

短く、わかりやすく、表情豊かに。
擬音語・擬態語を使う。
0~1歳の叱り方のコツ

1~2歳

1歳半を過ぎると、自我が芽生え、自分の気持ちが強くなってくる。
叱る前に、子どもの気持ちに共感する言葉をかける。
1~2歳の叱り方のコツ

3~4歳

少しずつ親の気持ちを理解し始める頃。
その場で具体的な言葉で説明する。
3~4歳の叱り方のコツ

4~5歳以降

社会のルールや他人の気持ちがわかるようになる頃。
自分の欲求をコントロールできないため、丁寧な説明が大切。
4~5歳以降の叱り方のコツ

子どもの成長に合わせて、あせらず根気よく、伝えられるようにしましょう。

※記事の内容や専門家の肩書などは放送当時のものです