専業主婦になることを選択したママたち。子どもとずっと一緒にいられるのは幸せだけど、このままでいいの?と焦ってしまうことも…
そんなモヤモヤした気持ちを少しでも軽くできる方法をみんなで考えます。

専門家:
大日向雅美(恵泉女学園大学学長 発達心理学)

専業主婦はヒマだと思われる… 大変さを理解してもらえないのはなぜ?

夫が起業したこともあり、サポートするため専業主婦になりました。夫の仕事の帰りはいつも深夜で、平日に育児を協力してもらうのは難しい状態。私も育児しながら仕事を続けていくことは無理だろうと思いました。専業主婦になったことに後悔はありませんが、モヤモヤとすることはあります。
例えば、独身の友人に会うと、だいたい「仕事しているの?」と聞かれ、「専業主婦だよ」と答えると「楽しそうでいいね」と言われて。他意はないのでしょうけど、楽ではないのに…と思ってしまいます。朝早くに起きて、ご飯を作って食べさせて、食器を洗って、掃除、洗濯、オムツ替え。毎日やることがいっぱいで、その上、子どもをみていると自分の思い通りに進められません。子どもが遊んでいるときも、危なくないか目が離せないので、気を張り詰めています。
私も子どもを持つまでは、こんなに大変だとわかっていませんでした。友人もそうだと思います。パパには大変さを共感してほしくて、毎日のスケジュールを見せたことがありますが「この時間は削れるよ」と言われ、私の気持ちが伝わっていないように感じました…。
育児をするのは当たり前だと思われていて、私はどこで評価されるのだろう、目標はどうしたらいいのだろうと思うことがあります。どうして専業主婦は暇のように思われるのか、こんなに理解してもらえないものなのでしょうか。
(2歳6か月の男の子をもつママより)

認めてほしい人にわかってもらう

回答:大日向雅美さん

小さなお子さんは思い通りにはいかないし、自分のペースで物事を進められないし、朝から晩まで24時間みている専業主婦の大変さは筆舌に尽くしがたい。その大変さを誰にでもわかってもらうのは無理かもしれません。それに、子育ての経験のない友人に「大変ね」と言われると、かえって落ち込んでしまうかも。でも、私たちはやっぱり認めてほしいから、誰に認めてもらいたいのかをはっきりしておくことです。
ママたちが、いちばん共感してほしいのは、身近にいるパパではないかと思います。だとしたら、しっかりとパパと闘うべきです。いっときのことでなく、しっかりとスケジュール表をお見せになったのですから、「休みの日は半日子どもを見てほしい」など話し合ってみましょう。
パパと話し合うときに大事なことは、パパにも言い分があるのではと考えることです。一家の生計を立てるため、外に出て厳しい仕事をしている。その大変さを想像して、その上で「パパのことも考えている。私のことも想像してほしい」と、相互互換的に交渉していくような闘いをしましょう。簡単に「楽」だなんて、言ってほしくはありませんよね。


子どもはかわいいけど、ずっと一緒にいるとつらい… どうしたらいい?

子どもはかわいくて大好きで、自分自身も幸せを感じていますが、ずっと一緒にいると息が詰まることがあります。子どもは何をするかわからないので、「危なくないか」とずっと気を張り詰めていると、イライラしてつらくなり、疲れがとれなくなってしまいます。子どもを預けて働くことも考えましたが、子どものかわいさを、その瞬間を見ることができる今がぜいたくで、専業主婦の特権であるような気がします。それでも、つらいときがあって、どうしたらいいのか悩みます。
(3歳10か月の女の子と5か月の男の子をもつママより)

モヤモヤや、つらい気持ちを大事に

回答:大日向雅美さん

ママになって専業主婦を選んだとき、「子どもとずっと一緒にいたい」と思ったのではないでしょうか。でも、そのときは、それがどういうことなのか、おそらく想像できていなかったと思います。大変だと感じることはいけないことではありません。忙しくて子どもとしか話をしていない状況が、ひとりの大人として不自然ではないかと気づくことが大事です。そう感じたら、いろいろな人と話そうと考えて、子育てひろばに行ったり、外に出たり、次のステージへ進むことができます。だから、今感じているモヤモヤや、つらい気持ちを大事にされてもいいのかなと思います。

勇気をもって預けてもいい

回答:大日向雅美さん

勇気をもって、子どもを預けてみてはどうでしょうか。一時預かりなどもあるので、たまにでも預けてみる。費用はかかりますが、リフレッシュできて、子どもといる時間の楽しさに、あらためて気づくかもしれません。

仕事をしていないのに、子どもを預けることに、抵抗があります。自分が稼いだお金ではないので、どこか後ろめたさを感じます。それに、預けた後、育児に戻ったとき、自由にしていた時間とのギャップを感じて、かえってつらくなることもあります。

必要経費だと割り切る

回答:大日向雅美さん

「子育てをがんばろう、子どもをかわいがろう」という思いが、いつもあるのだと思います。その重みでつらくなってイライラするんですよね。まずは、「自分のお金ではないから後ろめたい」という意識を、子どものため、子育てをする自分への必要経費だと考えて払拭しましょう。
ずっと大変で緊張している中で、違う自分を持てれば、その後また笑顔で子どもと向き合える。そのために必要なことだと割り切れば、ギャップも小さくなると思います。後ろめたさを引きずりながら育児に戻ると、「現実は何も変わってない」と考えてしまいます。でも、「この現実を受け入れるために、自分のために時間とお金を使ったんだ」と割り切れば、目の前に広がる光景も違って見えるかもしれません。「また頑張ろう」と思えたらいいですよね。

将来の人生設計を夫婦で話し合う

回答:大日向雅美さん

今、目の前のお金のことを考えているかもしれませんが、これからの長い人生のことも考えてみましょう。教育費や住宅費や介護費だって必要になってきます。だから、将来を見据えて「この部分はパパに頑張ってほしい、このときは私が働きなおして補う」といった人生設計を夫婦で話し合ってみてください。すると、今あるお金も、決してパパだけのものではなく、家族のためだと納得できるかもしれません。今後、働いて収入を得ることも考えられます。そのための先行投資だと考えることだってできますよ。


働いたほうがいい? でも働けない… どうしたらいい?

以前はIT系の仕事をしていましたが、転職活動中に妊娠がわかったこともあり、やむなく専業主婦になりました。今、子どもの成長過程をずっと見ることができるのが専業主婦の特権だと思っていますが、どうしても気持ちがモヤモヤしてしまいます。
例えば、学生のころの友人は、ほとんど育休後に仕事復帰していて、自分だけが専業主婦なのかという思いがあります。ニュースを見ても、女性の活躍、働く女性を応援、といったことが言われています。働いていないと社会的に支援されないのかなと、取り残されたように感じることもあります。
保育園には入れないし、毎日のように両親の世話になるわけにもいかないし、働こうにも働けない。今後のことを考えると、教育費なども必要になってくるので、働きたい気持ちはありますが、どうしたらいいのか…
(3歳と10か月の男の子をもつママより)

気持ちが揺れるのは新しい時代に入ってきたから

回答:大日向雅美さん

少し大げさに言えば、みなさんは、女性が働くことに関して、日本の歴史史上とても特殊な状況にいます。
昭和のはじめまでは、農業や漁業などの第1次産業がほとんどで、女性も働くことが当たり前でした。働くかどうかは女性自身が選ぶことではなく、当時は専業主婦という選択肢はほとんどありませんでした。その後、高度経済成長期のころから少したったころ、政策的に、男性が精いっぱい働くために女性が専業主婦になっていきました。このときも、女性が自分で道を選ぶということではなかった。そして今は少子高齢化が進み、女性の労働力も必要になってきました。そしてようやく、働くかどうかを女性たちが自分で選べるようになりました。でも、社会の環境が十分整ったとは言えないので、どうしようかと女性たちの気持ちが揺れるんです。
揺れる気持ちは、みなさんがダメだからではなく、この社会が新しい時代に入っている特殊な状況にいるからです。揺れるのが当たり前なんです。だからこそ、女性として、自分でどう生きるかをしっかり考えていい。働くのであれば、どの時点で仕事に戻るのか、そのような人生設計も考えていく。みなさんは、本当の意味で女性の力を発揮する時代の先に立っているともいえるんです。

専業主婦の経験は仕事に生きる

回答:大日向雅美さん

長い間社会から隔絶されて「仕事に戻っても能力不足では」と迷っている専業主婦の方がよくいますが、その認識は間違っています。家事や子育てや介護などの経験が、復職したときに力となって発揮できるんです。いつも子どもの世話をしながら料理をつくるなど、一度に複数の仕事を段取りして実行していますよね。そういった総合能力は、仕事に戻ったときに、すごく役立ちます。また、聞き分けのない子に寄り添って、向き合って、我慢強く生きています。これから、誰もが弱者になりえる時代に、そんな経験や忍耐力が、本当に役立つと思います。

自分で自分を認めることがスタート

回答:大日向雅美さん

子どもがいるのに働いていたら「どうして働くの?子どもがかわいそう」と言われます。でも、専業主婦をしていると「どうして働かないの?」となるんです。そんなものですので、気にすることはありません。何かを言われたら、「そう思われているんだ」と、一旦ピリオドを打ちましょう。そして、「私はどう答えるの」と自分に問い直してみる。今、私は頑張っている、こんなに悩んでいる、このままでいいと思っていない、努力が必要だ。問いかけて、いろいろな自分自身を認めて、評価する。いちばん自分を評価できるのは、自分ではないでしょうか。自分で自分を認めることがスタートですよ。


すくすくポイント
専業主婦をサポートしてくれるところは?

番組「すくすく子育て」で、専業主婦の悩みについてアンケートを行ったところ、「専業主婦をサポートしてくれるのは一体どこなの?」という声が多く寄せられました。例えば「子どもといるとつらい」「私、働けるの?」などは、まわりに相談しにくいといいます。

そこで、そんなママたちの気持ちを受け止めてくれる、東京都港区の子育てひろば「あい・ぽーと」を訪ねてみました。
一時保育や、さまざまなサービスを利用するために、多くの方が訪れています。

さっそくキッチンをのぞいてみると、「手作りパン教室」が行われていました。参加していたのは専業主婦7名。パンが発酵している間はおしゃべりするなど、同世代の子どもを持つママたちが、パンを作りながら悩みを話すこともできます。

子どもたちは、同じ施設内で子育て支援員さんたちが見てくれるので、安心して参加できるんです。

子どもを持っている同じ世代のママから、少し上の方まで、共通の話題があるので盛り上がります。パン以外のことも話して、ストレス発散にもなります。
(パン教室に参加したママ)

ほかにも、親子バレエ教室や工作教室、親子でリトミックなど、講座やプログラムがたくさん用意されています。

また、子育て支援コーディネーターが常駐しているので、どんなことでも個別に相談できます。

親子で交流してもらうためのきっかけ作りとして、いろんな講座を開いていますので、気軽に参加していただけたらと思っています。
(子育てひろば「あい・ぽーと」ひろば事業室長 池田由記さん)

各自治体の子育て支援課などに相談すると、地域で子育てについて相談できるところについて、情報を教えてもらえます。

※記事の内容や専門家の肩書などは放送当時のものです