赤ちゃんがぐずって大変! そんなとき、スマホを見せるとピタリと泣きやむ。
子育てにとっても便利なスマートフォン。でも、動画ばかり見たがって、将来スマホが手放せなくなるのではと心配…
スマホと子ども、どう関わっていくのが望ましい?
新しいツールと育児のありかたを、専門家と一緒に考えます。

専門家:
大日向雅美(恵泉女学園大学学長 発達心理学)
七海陽(相模女子大学准教授 児童文化学 こどもメディア論)

子育てに便利なスマホ。使い続けて大丈夫!?

生後3か月のころから車に乗るとき激しく泣くようになり困っていたところ、泣きやませに効果があるという赤ちゃんに大人気の動画を知りました。試してみたところ、とても効果があり、今ではお出かけにスマホが欠かせません。また、オムツ替えのときも、スマホで動画を見せるとおとなしくなってくれるので利用しています。スマホにはとても助けられていますが、スマホ育児はよくないと聞くこともあり、モヤモヤとしています。
このまま使い続けても大丈夫なのでしょうか?
(8か月の男の子をもつママより)

オムツ替えはコミュニケーションのチャンス

回答:大日向雅美さん

本当に困っているときに、スマホを短時間だけ使うのは問題ないと思います。
一方で、オムツを替えるときは「たくさん出てよかったね」「気持ちよくなったね」など、声をかけて赤ちゃんとコミュニケーションをとるチャンスでもあります。体を触ってもらっているときは、いちばんママの声や表情を読みとれるときなんです。
そんなときに、いつもスマホの画面だけを見せているのは、もったいないことでもあります。その点を頭の隅に置きつつ、困ったときには使ってもよいと思います。

スマホの影響については、まだ定説がない

回答:七海陽さん

スマホが子どもに与える影響については、まだ科学的な定説がありません。ですが、長時間の使用によって、睡眠、運動、パパやママとのコミュニケーションなどの時間が減るおそれがあり、親子で過ごす時間が減ることで、結果的に子どもの発達に影響を及ぼすのではないかと言われています。


1日に何度も動画を見たがる。見せる時間を減らしたい!

息子がスマホの動画に夢中で困っています。6か月のころから見始めて、1歳になると自分から見たいと言うようになり、今では自分で画面を操作して、次々と動画を再生して見ています。
大好きなのは電車の動画。中でも踏み切りの動画がお気に入りで、自分で「カンカン」と呼んでいます。寝る前や、歯磨きのとき、車に乗ったときなど、「カンカン」を見たいとしつこくおねだりします。「5分だけ!」と約束をして、「5分たったから終わりね」と言うと素直に聞いてくれるのですが、この“5分”が、1日に何回も繰り返されます。
おねだりされると、ついついスマホを渡してしまうのですが、このままでは将来スマホが手放せなくなるのではと心配になります。見せる時間を減らすにはどうしたらいいのでしょうか?
(2歳4か月の男の子をもつママとパパより)

イヤイヤ期で見たがっている可能性も

回答:七海陽さん

この年齢のころは、イヤイヤ期に入って自己主張が強くなってきます。そのために、ずっと見続けているのかもしれませんので、他のものに意識が向くように働きかけてみてください。
また、もう少し成長すると、別のものに興味が移って「カンカン(踏切の動画)」を卒業することもあると思います。

自分の行動をコントロールできるように

回答:大日向雅美さん

お子さんは「5分だよ」という約束が守れています。ですので、もう一歩だと思います。
今は“5分”という時間がわかっていないと思います。5分がどれぐらいなのかが分かるために、大きな時計などがあれば「この針がここになったらね」といった約束を前もってして、自分で調整できるようにしてあげましょう。5分は少し短いかもしれませんので、満足できる10分ぐらいにしてもよいかもしれません。
約束を守れているので、次は自分の行動をコントロールしようという段階です。ママもパパも、お子さんをうまく導いていると思います。その後は、1日に何度も見ないようにしましょう。「1日2回だけね」と決めたり、他の遊びに誘ってあげたり、自尊心を上手に育んであげたりすれば、うまくいくのではないかと思います。

親自身が、1日に1~2時間はスマホを使ってしまいます。

スマホはダラダラと使わない

回答:大日向雅美さん

私たち大人が、スマホの中毒症状になっているのではないかと、自戒を込めて思います。
スマホには必要な部分もあると思いますが、ダラダラと使わないようにしましょう。ママとパパがお互いに注意し合ったり、この時間帯はスマホを使わないと目標を決めたり、目標を達成できたら自分で自分を褒めてあげたり。そのような取り組みをしたほうがいいですね。


スマホのアプリで一緒に遊ぶパパ。スマホで遊ばせ続けても大丈夫?

7か月になる娘がいます。平日、子どもと2人で過ごすときは、できるだけスマホには触らず、体を使った遊びをするように心がけています。一方で、休日はパパが子どもを見てくれていて、そのときにスマホを使っています。パパはIT関係の仕事をしていて、スマホにとても詳しく、評判のよい子ども向けのアプリを選び抜いて、一緒に楽しんでいます。パパは、アプリならいろいろなもの、新しいものがあって、いい刺激になるのではと積極的に考えています。
パパと子どもの様子をほほえましいと感じながらも、アプリで一緒に遊ぶことが育児としてどうなのか、少し心配です。
これからも、スマホで一緒に遊ばせて大丈夫でしょうか?
(7か月の女の子をもつママより)

パパの得意分野で子どもと関わることはいいこと

回答:大日向雅美さん

いいなと思うことが2つあります。まず、ママとパパ、それぞれの考えのバランスがよくとれていること。そして、パパが自分の得意分野で子どもに関わっていることです。工作が得意なパパ、運動が得意なパパ、それぞれ得意なことを活用して子どもに関わればいいわけです。ただ楽をしたいからスマホを見せているわけではないところが、すごくよいと思います。
子どもが、もう少し大きくなると、いろいろなやりとりができるようになってきます。そこで「これはおもしろいね」など、コミュニケーションをゆたかにとってください。それこそ、スマホのプロのだいご味だと思いますよ。

アプリの何を楽しんでいるのか情報共有する

回答:七海陽さん

パパが一緒に楽しんでいて、とてもいいですね。お子さんの「楽しいな」「おもしろいな」という気持ちを共有してあげることは大事なことです。また、ママとパパで、子どもがアプリの何を楽しんでいるのか情報共有していくとよりよいと思います。


パパに子どもを任せるとスマホばかり。これでいいの?

パパに子どもを見ているように頼むと、だっこしてスマホで音楽を聴かせているだけです。
夜の寝かしつけや、休日の日中など、パパに任せると何時間もスマホを見せています。
スマホに頼り過ぎているのではないでしょうか?

一緒に遊んで、子どもの気持ちに応えてあげる

回答:七海陽さん

パパも子どもを任されて“どうしよう”となることがあると思います。ですが、一緒に遊んで、おもしろさを共有して、子どもの気持ちに応えてあげていただきたいですね。

自分の子どもだという意識で責任感を持つ

回答:大日向雅美さん

昔、パパに「子ども見ててね」と頼んだら、本当にじっと見つめているだけのパパが結構いて、ママは怒っていたんですよ。そこに、スマホが加わっただけのような感じがします。やはり、自分たちの子どもなのだから、もっと責任感を持って関わってほしいですね。それは親としての「義務」ではなく、親としての「責任」です。
一方で、パパも自分なりに一生懸命考えた結果がスマホなのかもしれません。ママのほうも、あまり成果を急ぎすきないようにしましょう。


将来はスマホを使わせたい! どんなコンテンツなら大丈夫?

子どもと、おじいちゃん、おばあちゃんとは遠く離れているので、ビデオ通話をするときにスマホを使っています。写真をママやパパと一緒に見るときにも使っています。動画やアプリなどは見せていませんが、そのうちに興味を持つようになるだろうと思っています。そのとき、無理やり取り上げると、なおさら気になってしまうのではないかと思います。
どんなコンテンツなら見せても大丈夫でしょうか?
(8か月の男の子をもつママとパパより)

子どもの発達に配慮したアプリを

回答:七海陽さん

まずは、親が見て違和感のないアプリを厳選してください。「おうちの方へ」「保護者の方へ」といった注意書きが表記されているものは、配慮がなされているアプリの目安になります。

動きが速い・点滅が激しい・色が奇抜などは避ける

回答:七海陽さん

動きが速かったり、光の点滅が激しかったり、色使いが奇抜なものは避けたほうがよいでしょう。
また、動画などで、CM(広告)が流れることがあると思います。CMをスキップできないものは、積極的に広告を見せたいと考えられるので、子ども向けのコンテンツとしてはふさわしくないと思います。

信じてよい情報か確かめながら、メディアリテラシーの力を育む

回答:大日向雅美さん

離れたところに暮らしている、おじいちゃんおばあちゃんとビデオ通話をするために使われていて、とてもいいことだと思いました。スマホは、そういった双方向のコミュニケーションのツールとして使うことができます。

コンテンツを見せるとき、一方的に流れてくる心配な動画もあるでしょう。ここで気をつけてほしいのは、情報の元である出典がどこか、きちんと調べることです。信じてよい情報かどうか自分で判断する“メディアリテラシー”の力は、将来的に必要になります。子どものころから、ママやパパと一緒に「これは心配だからやめよう」「これは安心だね」と話して、情報を選択して、その姿勢を見せていく。すると、子どもはやがて「これはママやパパがダメだって言うな」ということがわかってきます。上手に使うというのは、そういうことだと思います。


すくすくポイント
子どもがスマホを見るときに気をつけたいこと

「すくすく子育て」で行ったアンケートでは、「スマホ育児」に関するお悩み・ギモンの第1位が「子どもの視力への影響」でした。
そこで、子どもの目の専門家である、小児眼科医の仁科幸子さん(国立成育医療研究センター)に、お話を伺いました。

乳幼児期は、目の機能が伸びる大事な時期

スマートフォンは、ものすごく近い距離で、小さな画面を見ることが特徴で、目にとって単一の刺激だけになってしまうことがあります。
お子さんが小さいうちは、まだ視力ができあがっておらず、遠くや近くにピントを合わせる力、目を動かす力、両眼で立体的に奥行きをとらえる力など、目の機能が伸びる大事な時期です。感受性が高いこの時期に、スマホの単一な刺激だけを与え続けることはもったいないことと言えます。
その場限りで見せるのであれば、すぐに目が悪くなることはありませんが、子どもがどんな格好でどのようにスマホを見ているか、親が観察することがポイントです。目の発達のためには、体を使った外遊びをできるだけたくさんすることがおすすめです。

スマホを見せるとき、注意するポイントは?

子どもにスマホを見せるとき、注意したいポイントがいくつかあります。

まず、長時間見せ続けることはやめましょう。

見せるときは、きちんとおすわりした姿勢で、画面を離して正面から見るようにします。

寝そべりながら見ると、ものの位置など、正しい情報が目に入ってこなくなるのでやめましょう。

電車、バス、ベビーカーなど、振動のある場所で見せるのは、視力の発達によくありません。

特に注意したいのは、子どもがスマホを見ているときの様子です。
極端に顔を近づけたり、変に顔を傾けるようなら、目の病気が隠れているかもしれません。

スマホを喜んですごく近づいて見るけど、他は全然反応がない場合は、目のチェックを受けてみましょう。


専門家からスマホ育児についてのメッセージ

子どもに適していないコンテンツを見ることができないように制限する「フィルタリング」という便利な機能があります。危険なコンテンツを子どもたちが見なくてすむのです。最低限、フィルタリングを使うようにしましょう。
(七海陽さん)

スマホは、新しく登場した子育てのツールだとも言えます。夫婦や家族で、どう使うのかを話し合いましょう。そして、子どもをどのように育てたいのか、その「哲学」があるといいですね。「理想の人間像に育ってほしい」と考えるのであれば、そのために親はどういう生活を心がけたらよいのか。地味ですが、その哲学を育んでいくためには、やはり家族の対話が必要です。
(大日向雅美さん)

※記事の内容や専門家の肩書などは放送当時のものです