新型コロナウイルスとこれからの子育て(4)
子育てがラクになるには?


2020年6月10日

新型コロナウイルスの影響で、「人との距離をとる」「オンラインでのやりとりが増える」など、暮らしが大きく変化しています。子育ては今後どうなっていくのでしょうか? 子育てをどう乗り切っていったらいいのでしょうか? 専門家とともに考えます。

今回は、長年、保育の現場で子どもを見守り続けてきた柴田愛子さんです。子育てがラクになる方法について伺いました。
(2020年5月18日 インタビュー)


柴田愛子さん
保育施設代表

基本的に子どもは、私たち大人と芯の部分はそう変わらないって思うんです。親って、子どもに対して「何でこんなことやるの?」って、いつも理由をわかっておきたい、いつも子どもというつかみどころの無いものを、理解したいって思うんだけど、子どもを理解するのは無理なんだと思うのね。だから、「何でこんなことするの?」って言うよりも、「あ、あなたはこんなことすることが好きなのね」「今この子のブームなのね」「走るだけでこんなにうれしいんだね」って思ったほうが楽だと思うの。子どもが楽しんでいるという、その事実を受け止めるっていうことですよね。例えば、ジャンプばっかりしているんだったら、「このジャンプが、この子の何かの足しになってるんだよね、きっと」って。親は、子どもを分かってあげて育てるというのではなくて、子どもがどう育っているか、どう日々を過ごしているかということを、受け止めちゃえばいいって思うんですよ。

親は、子どものありのままを受け止める以外に無い。ありのままを受け止めると、子育てが楽しくなってくるのよ。「あら? この間まであんなに好きだったのに、もうやらないの?」って。だから、子どもを立派に育てることに一生懸命になっている親御さんに言いたいのは、「大丈夫。子育てはあなたの肩にはかかっていません、子どもはもう自分を生きていますから」ってこと。子どものしていることが、そんなに迷惑じゃなくて危なくなかったら、という条件がつきますけども、「あーこういうことが好きなのね」って、ちょっとおおらかに受け止めること以外、子育てが楽になる方法って無いんじゃないかなって思いますけどね。

子どもが自分を生きている、というのは、遊びでもそうで、もともと子どもはひとりで遊ぶ力を持っている。自分が退屈しないように、自分から遊ぶものなんです。ところが、子どもがちっちゃい時はかわいいもんだから、大人はつい相手にしちゃって「高い高い」とかいろいろやっちゃってね。そうするとだんだん子どもは大人を頼るようになる。大人を頼るようになってきたところで、今度は親が面倒くさくなると、「ひとりで遊んで」って。それがいけないのよね。でも、子どもに対して、「今、ママは遊ばないの」って言うのが後ろめたいとか子どもがかわいそうって言う人もいるのね。いやいや、全然後ろめたくないですよ。子どもとずっと遊ぶことで疲れちゃったら、元も子もないじゃない? そんな時はメリハリをつけることよ。時間で区切っちゃえばどう?「残念!今は遊べません」「はい、ママと遊ぶ時間がやってきましたー!」って言って1時間位遊んだら、「はい、今から夜ごはんの準備です」っていうふうにね。そうすると、「今は遊ぶ時間ではありません」って拒否されると、子どもなりに「今はダメなんだ」って思って、都合のいいタイミングを待つようになるんじゃない?

今みたいに、長い時間、家族いっしょに家の中にいるっていうことは、いつに無いことなのよね。ずっと向き合っていると苦しくなるし、お互いがお互いを拘束しちゃうわけじゃない? だから、それぞれが自由であって、時々みんなでしゃべる、みんなでごはんを食べるとか、一日にリズムをつけていったら良いんじゃないかなって思うの。親も自分の時間を作る、子どもにも付き合ってあげる時間も作るっていうように、リズムを作っていったら、少し楽な気持ちになってくるんじゃないかしら。


みなさんへのメッセージ

子どもは自分を生きている、子どもは自分自身で楽しくなれる力がある。
子どもの友達を例に考えてもそうで、今は「お友だちがたくさんいるのはすばらしい」とか「友達関係を通じて社会性が身につく」なんて、お友だち神話みたいに語られることもあるけど、そんなに簡単に友達なんてできるもんじゃない。
私が小さいころ、地域に女の子がいなくてずっと男の子の集団に交じって遊んでたの。それはすごく楽しかったけど、そこに友達とよべる関係の子はいなかった。学校でも人とつるむのが好きじゃなかったので、友達という存在はいなかった。でも、子どものころの私は、他の子のことをすごくよく見てたの。「どうして〇〇ちゃんはイタズラがすぐ見つかっちゃうんだろう?」「△△ちゃんはどうしてこんなにまずい給食をおかわりできるんだろう?」って。そして、友達がいなくても、私はじゅうぶんに集団の中で豊かに過ごすことができたと思ってるんです。どんな子も、その子のタイプや置かれた環境に応じて、自分を楽しくさせて豊かに過ごすことができる力があるのよ。