新型コロナウイルスとこれからの子育て(3)
「子どもを守らなくては」と心配するパパ・ママへ


2020年6月6日

新型コロナウイルスの影響で、「人との距離をとる」「オンラインでのやりとりが増える」など、暮らしが大きく変化しています。子育ては今後どうなっていくのでしょうか? 子育てをどう乗り切っていったらいいのでしょうか? 専門家とともに考えます。

今回は、子どもの発達に詳しい榊󠄀原洋一さんに伺いました。
(2020年5月18日 インタビュー)


榊󠄀原洋一さん
お茶の水女子大学 名誉教授/小児科医

新型コロナウイルス感染を警戒しながらの生活が続いています。子育て中のご家族では、親御さんは自分自身とお子さんも感染から守らなくてはいけない、という気持ちになっていると思います。また、保育園や幼稚園、学校が休みになったり、行くことを自粛したり、あるいは自粛してオンラインなど新しいスタイルで始まったりと環境の変化が起こっていますが、それに対しても、親御さんは子どもをどうケアするか考えなくてはいけない、と思っていらっしゃるのではないでしょうか。

環境の変化という点でいうと、子どもたちは、外に出る時間が短くなったり、お友だちと遊ぶチャンスが減ったりします。大人と子どもで異なるのは、大人の場合はなぜ外出自粛をしなくてはならないかということが理解できます。でも、乳幼児の場合は、まったく理解できない。何が起きているかわからない。外で雨が降っているわけでも、台風が来ているわけでもないのに、外に出られない理由がわからない、というのが子どもならではの事情です。もうひとつあげるとすると、子どもにとって、最も重要な環境は「親」です。その親が、新型コロナの影響で働き方が変化したり、ストレスがたまったりすることで、子どもがそのストレスにさらされることがあります。

こういったさまざまなことを、親は子どものために考えなくてはならない。大変なことだと思います。

でも、なかなか外に出られない、といっても、小さい子どもにとっては、近所を歩いたり、公園に散歩に行ったりするということで、じゅうぶん外出していることになります。また、子どもにとっては、親と一緒にいられるということで、けっこう楽しんでいるかもしれない、ということもあります。外出できない状態での子どもたちの心理状態についての研究論文が出てきているのですが、子どもの不安やうつの気分は、親の気分やうつを反映していて、親が楽しくふるまっていると、小さい子どもはそれほどストレスを感じていないようだ、という結果が出ています。親は子どものことだと心配になることが多いと思いますが、子どもの立場で考えると、ちょっと違う面もあるように思います。

また、新型コロナに関する研究やデータを見ていると、子どもは感染したとしても軽症であることが多いということなどもわかってきています。ですので、手洗いなど基本的なことを着実に行いながら、親御さん自身がストレスをあまりためないように、お子さんをみていってあげてほしいなと思います。


みなさんへのメッセージ

新型コロナウイルスの影響で、人と人とのコミュニケーションがとりにくくなった、仕事や授業のやりかたが変わった⋯⋯など、変化に戸惑ったり、困ったりする方もいらっしゃると思います。「子どもの将来に影響があるの?」と気になる方もいるかもしれませんが、子どもっていうのは大人よりずっとフレキシビリティ(柔軟性)が高いんです。一時的に影響を受けることがあるかもしれないけれど、その後はきれいに回復していきます。子どもって、そういう力があるんだ、ということを知っていただければと思います。